眠気・脇見警報装置(DMS)の保安基準義務化とは?
国土交通省は道路運送車両の保安基準等を改正し、運転者の状態を常時監視して眠気や脇見を検知・警告する「眠気警報装置」および「脇見警報装置」の備え付けを義務付けました。
二輪や被牽引車を除く自動車を対象に、新型車は令和13年(2031年)9月、継続生産車は令和15年(2033年)9月から順次適用されます。
国際基準(WP.29)への調和と居眠り・脇見運転事故の防止
国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)においてドライバーモニタリングシステムに関する国際基準が策定されたことを受け、国内基準の整合を図り安全性を確保するために保安基準が改正されました。
運転者の眠気や前方不注視を早期に検知して警報を発することで、居眠り運転や脇見運転に起因する交通事故の未然防止を目的としています。
これまでの経緯と義務化へのロードマップ
- 2019年12月
- 改正道路交通法が施行され、スマートフォン等の「ながら運転」に対する反則金や違反点数などの罰則が強化(LogiShift既報による)。
- 2020年12月
- 国土交通省の先進安全自動車(ASV)推進検討会が「ドライバーモニタリングシステム ガイドライン」を策定し、技術要件を整理(LogiShift既報による)。
- 2026年3月
- WP.29において、眠気警報装置(UN-R182)および脇見警報装置(UN-R183)に関する国際基準が成立。
- 2026年9月30日
- 道路運送車両の保安基準等を改正・公布。国際基準の発効(2026年10月)に合わせて国内基準へ導入。
対象となる車両と運送事業者の範囲
- トラック運送事業者(実運送・元請運送)
- 適用期日以降に導入する新車(新型車・継続生産車)に警報装置が標準搭載されるため、車両調達や運行管理の実務に影響を受けます。
- 自動車メーカー・架装メーカー
- 保安基準第43条の11および第43条の12に適合した眠気・脇見警報装置の設計・搭載および型式認証への対応が求められます。
トラック運送事業者の車両調達と運行管理への影響
- 運送事業者
- 新型車は令和13年9月以降、継続生産車は令和15年9月以降、DMSが標準装備された車両への更新が進むことで、走行中の居眠り・脇見による重大事故リスクが低減します。
- 車載カメラやセンサーユニットの搭載に伴う車両本体価格の上昇により、新車導入時の調達コストが増加する可能性があります(LogiShift既報による)。
- 運転者が車内カメラによる常時監視に対して心理的負担を感じる懸念があるため、安全確保を目的とした装置であることの社内周知が求められます(LogiShift既報による)。
適用時期
| 事項 | 日付 | 補足 |
|---|---|---|
| 道路運送車両の保安基準等の公布・一部施行 | 令和8年9月30日 | 前照灯照射方向調節装置の備え付けに関する明確化等 |
| 眠気警報装置及び脇見警報装置の義務付け規定の施行 | 令和8年10月20日 | 道路運送車両の保安基準第43条の11および第43条の12の新設 |
| 新型車への義務化適用開始 | 令和13年9月 | 新たに型式指定を受ける新車が対象 |
| 継続生産車への義務化適用開始 | 令和15年9月 | 既存モデルの継続生産車を含むすべての新車が対象 |
※ 日付は文書本文に記載されているもののみ掲載しています。
装置の作動条件と運送事業者が確認すべきポイント
- 適用時期に応じた車両更新計画の確認
- 保安基準の適用は新型車が令和13年9月、継続生産車が令和15年9月であり、既存の保有車両(既販車)へのレトロフィット(後付け装着)義務は課されていません。
- 基準に適合する装置の作動条件の把握
- 眠気警報装置(UN-R182準拠)
- 速度が70km/hから130km/hまでの車速範囲で作動すること(減速時は65km/h未満に減速するまで作動継続)。
- ドライバーの眠気が一定の水準に達した場合に警報を発すること。
- 脇見警報装置(UN-R183準拠)
- 速度が20km/h以上において作動すること。
- 50km/h以上で手元領域(運転者から見て前方左右55°以内、下方30°より下の領域)を3.5秒間注視している場合に警報すること。
- 20km/h超〜50km/h未満で手元領域を6秒間注視している場合に警報すること。
- 眠気警報装置(UN-R182準拠)
欧州のADDW規制と車載AIカメラの業界動向
- 欧州における先行規制
- 欧州連合(EU)では、一般安全規則(GSR)に基づき、先進注意散漫検知システム(ADDW)や疲労検知システムの装着義務化を先行して進めています(LogiShift既報による)。
- 後付け型AIカメラ等の先行導入動向
- 物流業界では法規制に先立ち、赤外線カメラでまぶたの開閉や視線を追跡するAIアテンションモニタリングやウェアラブル睡眠デバイスを活用し、事故防止を図る事業者が増えています(LogiShift既報による)。
よくある質問
Q. いま使用している既存のトラックにも後付けで装置を装着する義務はありますか?
A. 既存の運行車両に対する後付けの装着義務はありません。今回の保安基準改正で対象となるのは、令和13年9月以降に型式指定を受ける「新型車」および令和15年9月以降に出荷される「継続生産車」の新車です。
Q. 脇見警報装置はどのような状況になると警報が作動しますか?
A. 時速20km以上で作動します。具体的には、時速50km以上で運転者の手元(前方左右55°以内かつ下方30°より下)を3.5秒間注視した場合、または時速20km超〜50km未満で手元を6秒間注視した場合に警報が発せられます。
Q. 義務化の対象から除外されている車種はありますか?
A. 二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、ならびに被牽引自動車(トレーラーの荷台部分など)は義務化の対象から除外されています。
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出典
- 発出元: 物流・自動車局車両基準・国際課、物流・自動車局審査・リコール課
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年9月30日
- 報道発表資料(PDF)
- 別紙(PDF)
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