デンソーウェーブ BHTシリーズとは?
株式会社デンソーウェーブが提供する「BHTシリーズ」は、物流・製造・小売業界などの現場で幅広く活用されている高性能ハンディターミナル・業務用端末です。今や世界中で普及している「QRコード」を開発した独自の高度な画像認識技術をベースとしており、高速・高精度なスキャン性能が強みです。
人手不足が深刻化する現場において、入出荷、検品、棚卸といった各種在庫管理業務における作業の「ムダ」と「ミス」を排除し、全体の生産性を向上させることを目的としています。過酷な作業環境に耐えるタフな設計と、多様な業務形態にマッチする操作性を両立しているのが大きな特徴です。
主な機能・特徴
- 圧倒的なスキャン性能と難読コードへの対応
QRコード開発で培った画像認識技術と新デコードエンジンを採用しています。BHT-Mシリーズでは1秒間に約30枚の高速連続スキャンが可能で、なぞるだけでバーコードを瞬時に読み取ります。汚れや擦れ、ゆがみがあるコードはもちろん、梱包用ラップ越しや冷蔵冷凍のガラスケース越しに貼られたコードもサクサク読み取ることができます。 - 過酷な現場に耐える超堅牢設計
耐衝撃性に優れた設計を施しており、BHT-M60では業界最高クラスの耐落下3.0m、BHT-M80では2.5mの落下耐久試験をクリアしています。防塵防水規格「IP67」に準拠し、-20〜50℃の厳しい温度環境に対応。ディスプレイにはAGC製の特殊強化ガラスである「Dragontrail® Pro」を採用し、傷や角割れを防ぎます。 - Androidと自社独自OS「BHT-OS」の選べるOSラインナップ
多機能性やコミュニケーションツールの活用を重視する現場に適したAndroid™搭載モデル(Mシリーズ)と、無駄のないシンプルな構造で安定動作と長期サポート(OSアップデートパッチの継続提供)を保証する独自OS「BHT-OS」搭載モデル(Sシリーズ)をラインナップしています。 - 操作性とユニバーサルデザインの追求
女性や手の小さな方でも疲れにくい軽量・最適重心設計や、握りやすさを追求した指かけグリップ形状を採用しています。手袋を装着したままでも円滑に操作できるタッチパネルを搭載しています。また、画面表示には色覚の多様性に配慮したユニバーサルカラーや、視認性に優れ読み間違いを防ぐ「UCフォント」を採用しています。 - 一括管理を可能にする「BHT DMS」
多数の端末を運用する際、管理ソフト「BHT DMS」を用いて遠隔地からアプリケーションやOSパッチ、マスタデータの一括更新が可能です。各端末のバッテリー状況の監視や、指定エリア外への持ち出し検知、遠隔ロックなどの機能により、管理者の負担を大幅に削減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
BHTシリーズは、大量の荷物をスピーディに捌く必要がある物流倉庫や、厳しい環境下でのオペレーションが求められる現場に最適です。
梱包用ラップに巻かれた荷物や、フォークリフトに乗ったままロングレンジで高い棚のコードを読み取る必要がある現場、また結露しやすい冷凍冷蔵倉庫などの環境下で動作停止を避けたい企業に向いています。さらに、数百台規模の端末を一括して遠隔管理し、システム管理者のメンテナンス工数を最小限に抑えたい企業にとっても非常に有効な選択肢となります。BHT-OS搭載機であれば、既存のアプリケーション資産を大きな改修なしに移管して長期安定稼働させたい場合にも向いています。
【向いていない企業・現場】
一方で、イニシャルコスト(端末の初期導入費用)を極限まで低く抑えたい企業には不向きな場合があります。BHTシリーズは高度なスキャン技術と堅牢性を備えた業務用端末であるため、一般的なスマートフォンや安価な簡易スキャナーに比べて1台あたりの価格が高額になりやすい傾向にあります。
また、自社で開発工数を一切割くことができず、かつ動作検証済みの標準的なパッケージアプリだけでは要件を満たせないようなケースでは、独自のアプリケーション開発(SDKの使用やBHT-BASIC等によるプログラミング)が必要となり、開発や保守の工数がハードルとなる可能性があります。さらに、Webベースの汎用ブラウザ上で動くアプリケーションをスマートフォンのような操作性で手軽にサクサク動かしたい場合、BHT-OSの端末を選択するとミスマッチが起きやすいため、Android対応モデル(Mシリーズ)を選ぶか、あるいは他の汎用スマートデバイスを検討した方がよいでしょう。
料金・プラン・導入方法
デンソーウェーブ BHTシリーズの料金・プランは公式サイト上には掲載されておらず、「要問い合わせ」となっています。
導入を検討する際は、公式の問い合わせ窓口や正規代理店を通じて要望を伝え、個別の見積りを行う形となります。また、導入前に実際の現場で読み取りの感度や操作性、堅牢性を確認できるよう、通常約1週間程度のデモ機無料貸し出しサービスが提供されています。
導入事例・実績
- グリコチャネルクリエイト株式会社
サービススタッフの業務効率向上とペーパーレス化のため、Android搭載のBHTシリーズを導入。最適な端末選定から専用アプリケーション開発までをトータルでサポートを受け、現場でのスムーズな業務遂行を可能にしました。 - 佐渡汽船株式会社
船への乗り込み(乗船手続き)の際、予約情報の確認や座席案内をスムーズに行うためにBHTを導入。QRコードの乗船チケットを読み取ることで乗客1人あたりの処理時間が短縮され、乗車・乗船待ちの行列を解消するとともに、スタッフの業務負荷を大幅に軽減しました。 - 間口グループ
物流センターにおける入出荷検品業務において、自社システムと連携した高出力RFIDスキャナ付きのBHT端末を導入。検品の自動化により、誤出荷(ミス)の防止と宅配・物流業務の大幅なスピードアップおよび生産性向上を実現しました。 - 株式会社デンソーウェーブ(自社電子機器製造工場)
自社の電子機器製造工場にて、紙の帳票を用いた運用による手入力ミスや作業のムダを排除するため、5.0インチの大画面モデルである「BHT-M80」と現場の帳票アプリ「XC-Gate」を組み合わせて導入。写真や画像を多用した電子チェックシートがスムーズに軽快に動作し、ペーパーレスとミスの防止を同時にクリアしました。
導入前に知っておきたいこと
- 開発環境や開発ツールの手配にコストが発生する点
特にBHT-OS(Sシリーズ等)搭載モデルにおいて、自社独自の業務アプリケーションをスクラッチ開発する場合、プログラミングに必要な「BHT-BASIC」や各種開発支援ツール(アドバンスドパック「ADP2」など)のライセンスを別途購入する必要が生じることがあります。また、自社開発にはこれら独自言語の学習コストや開発エンジニアの確保が伴うため注意が必要です。 - 既存の古い機種からのプログラム移行工数
すでにデンソーウェーブ製の従来機種や他社のWindows Embedded CE等の端末を利用している場合、新しいBHT-OS機(Sシリーズ)であれば「画面互換モード」によってそのままアプリを移行させやすい設計になっていますが、特殊な個別動作や一部の画面などでは微調整や移行プログラムの動作検証工数が発生するケースもあります。事前に互換性について検証をしっかりと行うことが重要です。 - 導入コストおよび代替パーツ類の確保管理
初期購入時において、端末本体だけでなく、バッテリーやその蓋、専用の充電クレードルなどが別売りとなっている場合があり、導入総額を事前に構成別に細かく確認しておく必要があります。また、落下時の故障などは最小限に抑えられるタフさがありますが、故障時のダウンタイムを回避するため、現場規模に応じた一定数の予備機をプールしておく予算も加味しなければなりません。
類似ツールとの違い・選び方
ハンディターミナル市場ではキーエンス(KEYENCE)やカシオ(CASIO)などの強豪メーカーが存在しています。これらの競合と比較した際のデンソーウェーブの優位性は、「難読コードの圧倒的な読み取り技術」と「2つのOS戦略」にあります。
QRコード開発元としての高い技術により、他社で読み取りづらいかすれたコードや斜めからの角度でも素早く読み取る点において高く評価されています。
また、キーエンスのように独自の開発方法(プログラム記述不要で画面を作る仕様など)に特化したモデルや、カシオの物流向け定番モデルなどと比較すると、デンソーウェーブは「将来的にアプリ連携やマルチタスク、コミュニケーション機能を利用したいならAndroid(BHT-Mシリーズ)」、「OSサポート終了を気にせず既存の動作環境を長期間維持したいなら独自OS(BHT-Sシリーズ)」という選択肢を明確に提示しているため、企業のシステム戦略に沿って機器構成を柔軟に決められる点が最大の強みです。
よくある質問(FAQ)
- 現在、他社製の古いハンディターミナルを使っていますが、アプリをそのまま移行できますか?
- 他社製やWindows機からの移行の場合、OSや動作環境が大きく異なるため、原則としてアプリケーションの再開発・再構築が必要になります。デンソーウェーブ独自の「BHT-OS」間で移行する場合は、レイアウト修正が不要な「画面互換モード」が利用可能です。
- 砂埃がひどい現場や、雨に濡れる屋外でも故障せずに使えますか?
- はい、BHTシリーズの主要機種は保護等級「IP67」に準拠した最高水準の防塵・防水性能を備えています。また、動作環境温度も-20℃〜50℃まで対応しているため、粉塵の舞う工場内や、雨天時の屋外、さらには冷凍倉庫などでも正確に動作します。
- 端末ごとの設定やOSのアップデートを、本部から一括で行うことはできますか?
- はい、専用の集中管理ソフト「BHT DMS (Device Management System)」を利用することで可能になります。各端末のバッテリー状況や稼働ステータスを可視化しながら、OSのパッチやマスタファイル、アプリケーションの転送を一括かつ遠隔で実行できます。
- 開発に工数をかけたくないのですが、最初から使えるようなアプリケーションはありますか?
- パートナー企業が開発した、導入してすぐに使える各種業務ソフトウェア(WMSや在庫照合パッケージなど)が豊富に提供されています。また、購入元の代理店によっては、標準でいくつかの簡易業務プログラムが最初からセットになっているプランなども存在するため、事前に代理店や窓口へ確認することをお勧めします。