RightPickとは?
株式会社オカムラが提供する「RightPick(ライトピック)」は、ECや物流センターにおいて多品種・小口の出荷作業を行う現場向けに、事前の商品マスタ登録やティーチングなしで多様な形状のアイテムを自動仕分け・ピッキングするピースピッキングロボットシステムです。米RightHand Robotics社が開発した独自のAI技術とハードウェアをオカムラの物流エンジニアリングと統合し、人手不足の解消とピッキング工程の自動化・24時間稼働を支援します。
主な機能
認識・ピッキング制御機能
- マスターフリー自律ピッキング(RightPick AI)
Intel RealSenseデプスカメラなどの3Dビジョンシステムと独自のAIコントローラーにより、初めて目にする商品であっても寸法・形状・位置を瞬時に認識し、最適な把持ポイントを判断して動作します。事前のマスター登録やティーチング作業が不要なため、頻繁に取り扱いSKUが入れ替わるEC物流現場でも導入初期や商品改変時のデータ登録工数を大幅に削減できます。 - ハイブリッドスマートグリッパー
中央の真空吸着カップと3本の独立可動指を組み合わせた独自構造のロボットハンドを採用しています。平坦な箱物だけでなく、吸着だけでは保持しにくい柔らかいパウチ袋、ボトル類、異形物なども指で包み込むように安定して保持できるため、多様な荷姿のピッキング成功率と搬送中の落下防止を両立します。 - 自律リトライ・エラー回避機能
把持に失敗した場合や商品の密着・重なりを検知した場合でも、システムがリアルタイムに状況を再評価し、別のアプローチ角度や把持方法で自律的に再試行を行います。人によるチョコ停復旧の介入頻度を抑え、安定した連続稼働を実現します。
連携・ハードウェア構成機能
- デュアルGPU搭載プロセッサーモジュール
高速な画像処理と動作計画を瞬時に行うコントローラーを搭載し、最大1,200個/時間の高速ピッキング処理に対応します。夏場の過酷な高温環境下での稼働にも対応するよう耐熱・耐久設計が施されています。 - 協働ロボットアーム・コンパクトセル設計
ユニバーサルロボット(UR)社製協働ロボットアーム(UR5e/UR10e)を採用し、限られたワークステーション空間(設置例:幅0.6m×奥行1.2m×高さ2.5m程度)に設置可能です。安全柵やライトカーテンとの連動にも対応し、既存の作業エリアへ柔軟に組み込めます。 - 上位システム・周辺機器連携(RightPick-MCP API)
標準API「RightPick-MCP」を提供し、倉庫管理システム(WMS)や倉庫制御システム(WCS)と容易にデータ通信を行えます。高密度自動倉庫(AutoStore等)、AGV/AMR、仕分けソーター、コンベヤラインと連動し、Goods-to-Person(GTP)ステーションの完全自動化を構成できます。 - バーコード読み取り・検品連動
ピッキング動作と連動して商品のバーコードを自動スキャンし、読み取り結果に応じた仕分け先ボックスへの振り分けや検品実績の自動記録が可能です。
運用管理・クラウド学習機能
- RightPick コントロールセンター
稼働状況やピッキング実績、エラー率をリアルタイムにリモート監視・可視化できる管理プラットフォームです。24時間365日の連続稼働を支える遠隔保守体制を構築できます。 - クラウドフリートラーニング
世界中で稼働するRightPickのピッキングデータをクラウド上で集約・解析し、AI機械学習モデルを定期的にバージョンアップします。運用を続けるほど、多様な商品に対する把持精度や認識能力が向上する仕組みを備えています。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
SKU数が多く商品の入れ替わりが激しいEC・日用品・医薬品の物流拠点を運営する企業
- 新商品の事前登録やティーチングに膨大な工数がかかっている
RightPickはAIによるマスターレスピッキングに対応しており、商品ごとの3D CADデータや重量・把持位置の事前登録が不要です。季節商品やセール品など商品サイクルが早い現場でも、登録作業にかかる間接工数を発生させずに即座にピッキング工程を稼働させられます。 - 箱物だけでなくパウチ袋やボトルなど荷姿が多岐にわたり吸着単体では自動化が難しかった
真空吸着と3本指を組み合わせた独自のグリッパーにより、吸着面が定まらない柔らかい袋物や円筒形のボトルも安定してピッキング可能です。最大1,200個/時間の処理能力により、手作業に依存していたピースピッキングの省人化を推進できます。 - AutoStoreやAMRなどの自動化設備を導入済みで、ピッキングステーションの無人化を進めたい
AutoStoreの出庫ステーションやAMR(自律走行搬送ロボット)の受渡口に直接設置して連携できるため、保管・搬送に続いてピッキング工程までを一気通貫で自動化し、夜間や休日を含めた24時間出荷ラインを構築できます。
向いていない企業・現場
重量物・大型品が中心の現場や、極小規模で投資回収期間を短縮したい企業
- 取り扱いアイテムが2kgを超える重量物や30cmを超える大型品である
RightPickの対応スペックは重量最大2kg、寸法最小1cm〜最大30cm程度を基準としています。ケース単位の搬送・パレタイズや重量物中心の資材倉庫などでは対応範囲外となるため、パレタイズロボットや大型物専用の知能ピッキングシステム(MujinOS等)を検討する必要があります。 - 出荷頻度が低く、設備投資に対するROI(投資対効果)の確保が困難な小規模倉庫
産業用ロボットアーム、高精度ビジョン、GPUプロセッサーを組み合わせた高度な自動化システムであるため、一定の出荷物量(中堅〜大手規模)がない場合は設備償却が長期化しやすくなります。物量が限定的な場合は、ハンディターミナルや音声ピッキングを活用した手作業運用の最適化が現実的な選択肢となります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| RightPick | マスター登録不要のAIビジョンと吸着+3本指グリッパーを搭載。AutoStore等と連携するピースピッキングロボット。 | 要問い合わせ | EC・医薬品・日用品等で多品種・不定形ピース品のピッキング自動化を目指す企業 |
| AutoStore | グリッド状にビンを高密度配置し、ロボットが上面を走行して入出庫する超高密度自動倉庫システム(AS/RS)。 | 要問い合わせ | 限られた倉庫面積で保管効率を最大化し、GTPによる出庫効率を高めたい中堅〜大手企業 |
| Skypod | ラック間を3次元(水平・垂直)に自律走行するロボットを活用した立体型自動倉庫システム(AS/RS)。 | 要問い合わせ | 需要変動に合わせてラックやロボットを柔軟に増減・拡張したいEC・物流企業 |
| MujinOS | ティーチング不要で産業ロボットやAMRを統合制御する知能ロボットコントローラ。デパレ・パレタイズ等にも広く対応。 | 要問い合わせ | ピースピッキングだけでなく、パレタイズや工程間搬送を含めた倉庫全体のトータル自動化を進めたい企業 |
ピースピッキング工程単体の自動化・省人化を重視し、既存の自動倉庫(AutoStore等)やコンベヤラインに組み込んで多品種・袋物・ボトルのピッキングを行いたい場合は、RightPickが有力な候補となります。
一方で、保管効率の向上や倉庫全体の保管・搬送インフラそのものを刷新したい場合はAutoStoreやSkypodといった立体型自動倉庫システム(AS/RS)の導入を優先して検討するのが適しています。また、パレット単位のデパレタイズからピースピッキングまで複数工程にまたがるロボット制御を包括的に行いたい現場では、汎用性の高い知能コントローラであるMujinOSとの比較検討が推奨されます。
料金・プラン・導入方法
RightPickの導入費用は、取り扱う商品の特性(寸法・重量・材質)、ピッキングステーションのレイアウト設計、連携する搬送設備(AutoStore、コンベヤ、AMR等)の構成、上位WMS/WCSとのシステム連携要件によって個別に設計されるため、料金は要問い合わせとなっています。
見積もり取得時には、以下のポイントを事前に整理・確認しておくことが推奨されます。
- ハードウェア・セル構成費用
ロボットアーム、3Dビジョンカメラ、グリッパー、安全柵(プロフェンス等)・安全制御ユニット、プロセッサーモジュール本体の初期導入費用。 - インテグレーション・エンジニアリング費
既存倉庫管理システム(WMS/WCS)との「RightPick-MCP」API接続費用や、搬送機器との取り合い調整、現地設置・試運転調整費。 - 保守・ソフトウェアサポート費
「RightPick コントロールセンター」を活用したクラウド監視、AI機械学習モデルの定期アップデート、定期点検や消耗品(吸着カップ等)の交換を含むランニングコスト。
導入の流れ・期間
RightPickの導入は、オカムラが提供する物流システム導入エンジニアリングの流れに沿って進められます。具体的な導入期間は設置台数や周辺設備との連携規模によって異なるため、要問い合わせとなります。
- 問い合わせ・ヒアリング
取り扱い商品の品目数(SKU)、荷姿・寸法・重量の分布、目標ピッキング速度、現行の運用フローや接続予定の上位システム(WMS)についてヒアリングが行われます。 - 商品テスト・検証(フィージビリティスタディ)
現場で取り扱う実際の商品サンプルを用いて、3Dビジョンによる認識精度やグリッパーによる把持テストを実施し、対象商品のピッキング適合率を検証します。 - システム設計・見積もり提示
ワークセルのレイアウト図面、搬送設備(GTPステーションやソーター等)とのインターフェース、安全対策(ライトカーテンや防護柵)の設計を行い、正式な見積もりと導入スケジュールが提示されます。 - 契約・製造・インテグレーション準備
契約締結後、ハードウェアの手配・組み立て、RightPick-MCP APIを介した上位システム連携の開発・事前テストを進めます。 - 現地据付・試運転・立ち上げ支援
物流センター現地での機器設置、安全確認、実運用を想定した結合テストを実施し、本稼働へ移行します。 - 稼働後サポート・モデル更新
クラウドを介したリモート監視(RightPick コントロールセンター)とAIモデルの自動更新により、安定稼働と精度維持が継続されます。
導入事例・実績
- 佐川グローバルロジスティクス株式会社(次世代大規模物流センター「Xフロンティア」)
通販事業者向け物流サービス「シームレスECプラットフォーム」の自動化・省人化に向け、高密度自動倉庫「AutoStore」とピースピッキングロボット「RightPick」を自動連携させる実証実験を実施。AutoStoreの出庫コンテナからの荷物取り出し作業をRightPickで自動化し、業務ライン全体の生産性維持と省人化効果の検証が行われました。 - 株式会社ビーイングホールディングス等との実証検証
総合物流企業等との共同で、自動倉庫「AutoStore」やオカムラ製搬送ロボット「ORV」とRightPickを組み合わせたピッキングラインの効率化・省人化に関する検証が進められています。
導入前に知っておきたいこと
RightPickを検討するにあたり、以下の仕様上の制約や運用上の留意点を確認しておく必要があります。
- 対応可能なアイテムのサイズ・重量制限
ピッキング対象物は寸法が最小1cm〜最大30cm、重量は最大2kgまでに制限されています。大型商品、重量物、極端に薄いフラットなアイテム、過度に透明で光を透過する素材などは、把持テストでの事前検証が必要です。 - ネットワーク環境と通信要件
ソフトウェアのアップデート、AI機械学習モデルの更新、リモート監視システム(RightPick コントロールセンター)の利用には、安定したEthernetインターネット接続環境(推奨:10〜30Mbps程度)の整備が必要となります。 - エア供給環境の準備
真空吸着カップを駆動するため、規定の圧縮空気供給(例: 0.7MPa、0.1m³/分)および電源設備(AC100-230V)が設置場所に必要となります。 - 現場レビューの公開状況
現時点では一般ユーザーによる公開された口コミ・不満レビュー等は確認できていません。導入検討時にはオカムラのショールームやテストセンターでの実機デモ、自社サンプルを用いた適合性テストの実施が推奨されます。
よくある質問(FAQ)
- 商品マスタの事前登録やロボットへのティーチングは本当に不要ですか?
- はい、RightPick AIと3Dビジョンシステムがリアルタイムに対象物の形状や位置を認識・判断するため、事前の3Dデータ登録やティーチング作業なしでピッキングが可能です。
- 1時間あたりどのくらいのスピードでピッキングできますか?
- プロセッサーモジュールを強化したモデルにおいて、最大1,200個/時間のピッキング能力を実現しています(理論上の最大値。対象物の形状や配置条件により変動します)。
- AutoStore以外のマテハン機器とも連携できますか?
- はい、ソーターへの投入ステーション、AGV/AMR(無人搬送車)の受渡ステーション、各種コンベヤラインや仕分け棚など、多様な物流機器との連携に対応しています。
- 既存の自社WMS(倉庫管理システム)と連携できますか?
- 「RightPick-MCP」という標準APIが用意されており、上位のWMSやWCSとスムーズにデータ連携を行うことが可能です。
- 導入前に自社商品のピッキングテストを行うことは可能ですか?
- オカムラの施設等において、実機を用いた把持検証や動作確認を行うことが可能です。具体的なデモやテストの申込み方法は公式サイトより問い合わせが必要です。
- 契約期間や保証体制はどうなっていますか?
- 契約条件や保守サポートプラン(RightPick コントロールセンターによる遠隔サポート等)は案件ごとの個別設計となりますので、見積もり時に担当窓口へご確認ください。