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Home > 事例・インタビュー> アークランズ×カインズ共同配送|競合の壁越える「帰り荷活用」の衝撃
事例・インタビュー 2026年2月12日

アークランズ×カインズ共同配送|競合の壁越える「帰り荷活用」の衝撃

ホームセンターのアークランズとビバホーム、店舗向け共同配送を開始

ホームセンター業界の大手、アークランズ株式会社と株式会社カインズによる「店舗向け共同配送」の開始が発表されました。これまで激しいシェア争いを繰り広げてきた競合同士が、物流領域において手を組むこのニュースは、単なる業務提携以上の意味を持ちます。

物流の「2024年問題」によるドライバー不足が深刻化する中、積載効率の低い「空車回送(帰り荷がない状態)」の解消は、全産業的な課題です。特に、長尺物や重量物が多く、輸送効率を上げにくいホームセンター商材において、互いの物流センターを中継拠点として活用するスキームは、業界の常識を覆す画期的なモデルケースと言えるでしょう。

本記事では、この提携の具体的な仕組みと、それが物流業界全体に投げかける示唆、そして今後企業が取るべき戦略について解説します。

ニュースの背景:アークランズとカインズによる共同配送の全容

今回の取り組みの核心は、「納品後の空いたトラックを、競合他社の荷物で埋める」という点にあります。これまでの共同配送は、同じ目的地に向かう荷物を混載するケースが主流でしたが、今回は「帰り荷の相互活用」という、より高度なリソースシェアリングを実現しています。

具体的なスキームとしては、アークランズの「猪名川センター(兵庫県)」とカインズの「桑名流通センター(三重県)」を相互の中継拠点として設定。自社店舗への納品を終えたトラックが、そのまま相手方のセンターへ向かい、相手方の荷物を積んで配送し、最終的に自社拠点方面へ戻るというルートを構築しました。

実施概要と期待される効果

項目 詳細内容
提携企業 アークランズ(ムサシ・ビバホーム)、カインズ
対象エリア 近畿・東海地方
活用拠点 アークランズ:猪名川センター(兵庫県) カインズ:桑名流通センター(三重県)
運行パートナー 佐川急便、高末(名古屋市)
運用モデル 帰り荷の相互活用(相互のセンターを中継地として利用)
削減効果(見込) 運行回数:年間312回削減 CO2排出量:年間約34.1t削減
背景課題 物流2024年問題(ドライバー不足)、脱炭素化、積載効率の向上

この取り組みは、単なる机上の空論ではなく、実証実験を経て運用が開始されています。年間312運行の削減という数字は、ドライバー不足にあえぐ現場にとって無視できないインパクトです。

業界への具体的な影響と波及効果

このニュースが物流業界に与える影響は、ホームセンター業界内に留まりません。運送会社、荷主企業、そしてサードパーティ・ロジスティクス(3PL)事業者それぞれにとって、重要な意味を持ちます。

1. 運送事業者へのメリット:実車率の向上と拘束時間の有効活用

運送会社、特に今回実務を担う佐川急便や高末にとって、最大のメリットは「実車率(トラックが荷物を積んで走る距離の割合)」の向上です。

通常、特定のチェーン店舗への配送(ルート配送)は、センターから店舗へ商品を届けた後、空車でセンターに戻るのが一般的でした。この「復路の空車」はコストを生まず、ドライバーの拘束時間だけを消費する非効率の象徴でした。

今回のモデルでは、復路で他社の荷物を運ぶことで、往復ともに収益を生む運行が可能になります。これは、限られたドライバー数で売上を維持・拡大するための「勝ち筋」となります。

2. ホームセンター業界特有の「扱いにくい商材」の克服

ホームセンターで扱う商材は、トイレットペーパーのような「かさ高品(容積勝ち)」から、木材や園芸用品のような「重量物・長尺物」まで多岐にわたります。これらは標準的なパレット輸送に馴染まないことも多く、積み合わせ(混載)の難易度が非常に高いジャンルです。

アークランズとカインズは、同じ業態であるため、荷姿や荷扱いに関するノウハウが共通しています。異業種との連携よりも、むしろ「競合だからこそ、荷物の相性が良い」という逆転の発想が、この提携を成功させた要因の一つと言えます。

3. 他業界への「水平連携」のモデルケース化

ドラッグストアやスーパーマーケットなど、ドミナント出店(特定地域への集中出店)を行う小売業において、今回の事例は強力なベンチマークとなります。

「競合とは手を組めない」という心理的なハードルを、経営トップの判断で乗り越え、現場レベルでのオペレーション調整(センターの受け入れ体制やシステム連携など)をクリアした事実は、今後の業界再編や提携の呼び水となるでしょう。

併せて読む: 国交省大臣賞|積載率40%増「共同輸送データベース」の実力とは

LogiShiftの視点:アセットシェアリングが導く「物流の協調領域」

今回のニュースを単なる「共同配送の開始」として片付けてはいけません。LogiShiftでは、この動きを「フィジカルインターネット実現へ向けた、アセットシェアリングの第一歩」と捉えています。ここでは、独自のアングルから3つのポイントを考察します。

考察1:物流センターの「パブリック化」が進む

これまでの物流センターは、自社専用の「城」であり、他社のトラックや荷物が入ることは想定されていませんでした。しかし、今回のアークランズとカインズの事例は、互いのセンターを「中継ハブ」として開放しています。

これは、自社資産(アセット)を他社にも利用可能なインフラとして提供する考え方であり、物流リソースの稼働率を最大化する戦略です。将来的には、小売業の物流センターが、自社商品だけでなく、地域の配送拠点としての機能を兼ね備える「オープンプラットフォーム化」が進むと予測されます。

考察2:3PL事業者に求められる「コーディネート力」

今回のスキームにおいて、佐川急便と高末という物流事業者が間に入っている点は非常に重要です。競合企業同士が直接データをやり取りしたり、トラブル対応を協議したりするのは、心理的・実務的な摩擦が生じやすいものです。

中立的な立場の3PL事業者が、「A社の復路」と「B社の往路」をマッチングし、運行管理を一元化することで、この複雑なオペレーションが成立しています。今後、3PLには単に「運ぶ・保管する」能力だけでなく、企業間をつなぎ、共通の利益を創出する「コーディネート力(調整力)」がより強く求められるようになります。

考察3:「納品条件の標準化」への圧力

センター間での相互乗り入れを行うためには、検品ルール、パレットサイズ、納品時間枠などの「標準化」が避けて通れません。今回は同業種であるためある程度の親和性はあったと思われますが、それでも企業ごとのローカルルールは存在したはずです。

この共同配送を拡大・継続させる過程で、業界標準のルール作りが進む可能性があります。これは、これまで個社最適で組まれていた物流システムが、全体最適へとシフトする重要な転換点です。

併せて読む: フィジカルインターネット実装へ|JPIC「成熟度モデル」が示す物流の現在地

まとめ:明日から意識すべきこと

アークランズとカインズの提携は、物流クライシスに対する企業の生存戦略そのものです。経営層や現場リーダーは、以下の視点を持って自社の物流を見直す必要があります。

  1. 「競合」を「物流パートナー」として再定義する
    • 商流(販売)では競争しても、物流は協調する。この切り分けができるかどうかが、持続可能なサプライチェーン構築の鍵です。
  2. 「帰り荷」への意識改革
    • 自社のトラックが空で走っている区間(空車マイル)を把握していますか? そこに価値を見出すことが、コスト削減とCO2削減の第一歩です。
  3. 異質なパートナーとのマッチング
    • 同業種だけでなく、配送エリアが重なる異業種との連携も視野に入れましょう。その際、コーディネーターとなる物流事業者の選定が重要になります。

「運べなくなる日」を回避するためには、固定観念を捨て、あらゆるリソースをつなぎ合わせる柔軟性が求められています。今回の事例は、その大きな一歩となるでしょう。

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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