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Home > 事例・インタビュー> 共同配送コンソーシアムCODEで効率20%増を実現し物流維持に直結
事例・インタビュー 2026年5月27日

共同配送コンソーシアムCODEで効率20%増を実現し物流維持に直結

共同配送コンソーシアムCODEで効率20%増を実現し物流維持に直結

「今日も必要なトラックが見つからない」
「急な配車キャンセルの連絡に頭を抱えている」

多くの倉庫管理者や実務担当者の皆様が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。

特に食品物流の現場は、深刻な局面に立たされています。

冷凍・冷蔵の厳格な温度管理、賞味期限に合わせた細かな日付管理、そして多頻度小口配送。

これらの厳しい条件が重なり、現場の負担は限界に達しています。

さらに、物流の2024年問題により、時間外労働の上限が年960時間に制限されました。

政府有識者検討会の試算によれば、2030年度には国内の輸送能力が約34パーセントも不足すると警告されています。

この圧倒的なトラック不足に加え、近年の軽油価格の高騰や多重下請け規制の強化が追い打ちをかけています。

従来の「安くて速い個別配送」というビジネスモデルは、すでに維持できません。

本記事では、この食品物流の危機を乗り越えるための切り札を紹介します。

それは、業界の垣根を越えた「異業種連携」による物流網の弾力性(レジリエンス)の確保です。

現場が今すぐ実践できる具体的なノウハウと、導入プロセスを詳しく解説します。

食品物流を襲う未曾有の危機!現場が抱える限界の現実(Before)

食品物流の現場では、日々どのような課題が噴出しているのでしょうか。

まずは、実務担当者が直面している「Before」の過酷な状況を整理します。

多頻度小口配送と厳格な温度管理による疲弊

食品は日用品に比べ、賞味期限や鮮度の維持が極めて重要です。

そのため、小売店舗からは「必要な時に、必要な分だけ運んでほしい」という多頻度小口のオーダーが殺到します。

この要望に応えるため、トラックの積載率は著しく低下しています。

また、コールドチェーン(低温輸送網)を維持するためには、専用の冷蔵・冷凍車両が欠かせません。

近年の電気代や軽油価格の高騰は、これらの運行コストを直撃しています。

2024年・2030年問題に伴うドライバー不足

2024年4月以降、ドライバーの労働時間が制限されたことで、長距離輸送の難易度が劇的に上がりました。

さらに「2030年問題」が示すドライバーの高齢化と減少は、物理的な「運べないリスク」を現実のものにしています。

運送会社から「その条件では運べません」と、取引を断られるケースも増えています。

燃料高騰と多重下請け規制のダブルパンチ

中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰は、インタンク(自社給油施設)の調達難を引き起こしています。

また、行政による「多重下請け構造の是正」への本格的な介入も始まっています。

これにより、これまで「水屋」と呼ばれる貨物利用運送事業者に頼り切っていた配車体制は、根本的な見直しを迫られています。

現場の課題と、実務に与える直接的な影響を以下の表にまとめました。

項目 食品物流の従来課題 2024年問題以降の影響 現場管理者の悩み
配送形態 多頻度かつ小口配送が主流 車両手配が困難になり運賃高騰 予算内でのトラック確保が不可能
温度管理 冷凍冷蔵の厳格な維持が必要 燃料高騰で空調維持費が激増 利益率の悪化と運行キャンセルの増加
納品条件 厳しい時間指定や手作業検品 荷待ち時間が長時間化し敬遠される ドライバーから運行を拒否される

異業種共同配送「CODE」とは?弾力性を確保する新たな一手(What)

この未曾有の危機に対抗する手段こそが、「食品物流に迫る危機、異業種連携で弾力性確保を | LOGISTICS TODAY」の考え方です。

その最先端の社会実装事例として、今大きな注目を集めているのが、共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」です。

花王・三菱食品ら9社が主導する巨大コンソーシアム

CODEは、花王株式会社と三菱食品株式会社を幹事企業とし、業界の垣根を越えた大手9社が参画する巨大な共同配送プロジェクトです。

参画企業には、以下の有力プレイヤーが名を連ねています(五十音順)。

  • 旭食品株式会社
  • 株式会社あらた
  • 株式会社トーハン
  • 日本出版販売株式会社
  • 株式会社PALTAC
  • 三井物産流通グループ株式会社
  • 株式会社メディセオ

対象となる商材は、食品、日用品、医薬品、出版(書籍)と、本来は全く異なる管理基準を持つものばかりです。

参考記事: 卸大手9社が共同配送へ!効率20%増を実現する異業種連携と3つの影響

手付かずだった「支線配送」領域への挑戦

これまで、工場から大型拠点までの「幹線輸送」における共同化は進んでいました。

しかし、物流拠点から店舗へ向かう「支線配送(中・近距離輸送)」は、共同化が最も困難な「聖域」とされてきました。

納品先ごとの複雑な時間指定や、独自の検品ルールが存在するためです。

CODEは、あえてこの非効率の温床であった「支線配送」領域に業界横断で切り込みました。

参考記事: 花王・三菱食品ら9社が挑む!共同配送「CODE」が支線配送にもたらす3つの影響

Snowflakeを活用したデータガバナンス

CODEの最大の特徴は、単なる「トラックの相乗り」にとどまらない点にあります。

最先端のデータ駆動型(データドリブン)アプローチを採用しています。

外部のセキュアなクラウドプラットフォームである「Snowflake」をシステム基盤として活用。

各社の出荷量や配送ルートなどの機密情報を保護しつつ、コンプライアンス(独占禁止法)上の懸念を完全に払拭しました。

これにより、多対多のダイナミックな配車マッチングが可能になったのです。

参考記事: 花王ら異業種9社でCODE始動!支線配送を根本から変革する3つの影響

異業種混載がもたらす「容積と重量のパズル」の解消

なぜ、あえて同業種ではなく「異業種」で手を組むのでしょうか。

同業種同士の共同配送は、繁忙期や需要のピークが完全に重なってしまうという弱点があります。

一方で、異業種が連携すると、商流の波を相互に補完し合うことができます。

日用品と食品の最適な組み合わせ

さらに、積載効率の最大化において、物理的な「容積と重量の補完関係」が生まれます。

  • 日用品:かさばるが軽い(容積勝ち)
  • 食品・書籍:小さくても重い(重量勝ち)

これらを同じトラックに混載することで、車両の容積制限と重量制限の双方を、無駄なく限界まで使い切ることができます。

これこそが、異業種連携だからこそ成し得る究極の最適化モデルです。

異業種連携で弾力性を確保するための「3つの実践手順」(How)

「大手の事例だから、自社には真似できない」と諦める必要はありません。

中堅・中小の倉庫現場や実務担当者であっても、以下の3つのステップを踏むことで、異業種連携の恩恵を享受し、物流の弾力性を高めることができます。

ステップ1:自社物流データの標準化と可視化

最初のステップは、自社の出荷データを誰でも活用できる「オープンなデータ」に整えることです。

手書きの伝票や、属人化された配車管理(配車マンの頭の中の暗黙知)のままでは、他社と連携できません。

  • 商品マスターや納品先コード(JANコードやGLNなど)を業界標準に適合させる。
  • 輸配送管理システム(TMS)や倉庫管理システム(WMS)を導入し、運行データをデジタル化する。
  • パレットサイズ(11型など)の規格統一を進める。

参考記事: 物流標準化推進とは?実務担当者が知るべき基礎知識と最新トレンド

ステップ2:非競争領域における「協調」パートナーの開拓

次のステップは、物流を「競争」ではなく「協調」の領域として捉え直し、パートナーを探すことです。

近隣の倉庫や、同じ配送エリアを持つ異業種企業(例えば、自社が食品なら、近隣の日用品卸業者など)にアプローチをかけます。

  • 自社の配送ルートと、他社の空車ルート(帰り便)が重なる部分がないか確認する。
  • 自社の「重量物」と、相手の「軽量物」を混載できる組み合わせを模索する。

ステップ3:サービスレベルの見直しと共同運行の開始

最後のステップは、実際の配送をスタートさせることです。

これには、営業部門や納品先(小売店舗など)の協力が不可欠です。

  • 「翌日配送」から「翌々日配送(リードタイムの延長)」への切り替えを交渉する。
  • 複数社の荷物を1つのトラックに集約し、エリア一括納品を実行する。

実務に落とし込むための具体的なプロセスを、以下の表に整理しました。

手順 具体的なアクション 担当者の役割 推進のポイント
ステップ1 出荷データの標準化とシステム可視化 倉庫システム管理者 JANコードの厳格な運用とデータ抽出
ステップ2 異業種の協調パートナー開拓 物流部門長・経営層 競合や他業界との非競争領域での対話
ステップ3 納品条件の緩和と共同運行の開始 営業担当・配送配車マン 小売店舗へのリードタイム延長交渉

配送効率20%向上!「CODE」が現場にもたらす劇的効果(After)

異業種連携を導入することで、現場にはどのような変化が起きるのでしょうか。

定量・定性の両面から、期待される具体的な効果を解説します。

定量的効果:運行台数の削減とCO2削減

CODEの取り組みにおいて、実証されている具体的な数値効果は極めて強力です。

年間300台相当のトラック運行削減実績

幹事企業である花王と三菱食品が、西東京や北海道などの一部地域で先行して行った定期運行では、以下の実績が上がっています。

  • 年間のトラック運行台数を約300台相当削減
  • 年間のCO2排出量を約10トン削減

コンソーシアム全体での本稼働により、配送効率はさらに約20パーセント向上する見込みです。

定性的効果:荷待ち時間削減と運行の安定化

数字に現れるコスト削減効果だけでなく、現場の「働きやすさ」や「持続可能性」も飛躍的に向上します。

荷受け集約によるドライバー待機時間のゼロ化

これまでは、別々のトラックで複数の卸が同じ店舗にバラバラに納品に来ていました。

その結果、店舗の荷受け場(バース)は大混雑し、深刻な「荷待ち時間」が発生していました。

異業種共同配送により、1台のトラックに複数の荷物が集約されるため、店舗への入場回数が劇的に減少し、待機時間はほぼゼロに近づきます。

倉庫管理者の手配負担の大幅軽減

「明日のトラックが足りない」と、毎日焦って運送会社に電話をかけまくる必要がなくなります。

あらかじめ最適化された共同配送網に自社の荷物を載せることで、輸配送網の「弾力性(レジリエンス)」が担保されます。

急な需要変動や、災害などの有事の際にも、お互いのアセット(車両・拠点)を融通し合えるため、事業継続(BCP)の観点からも極めて強力な防壁となります。

導入前後の変化と具体的なメリットを以下の表にまとめました。

評価項目 導入前の状態(Before) 導入後の状態(After) 期待される効果
トラック積載率 平均40パーセントから50パーセント台 容積と重量の組み合わせで極限まで向上 配送効率が約20パーセント改善
ドライバーの待機 店舗ごとに2時間以上の荷待ちが発生 共同配送での荷受け集約により待機削減 運行時間短縮と労務管理の適正化
二酸化炭素排出 個社ごとの運行で排出量が増大 運行台数の削減により環境負荷を低減 年間約10トンの排出量削減を実証

参考記事: グリーン物流とは?基礎知識から経営的メリット・実現施策まで徹底解説

まとめ:持続可能な食品物流を築くための成功の秘訣

食品物流に迫る危機は、一社単独の努力で解決できる限界を超えています。

日本物流団体連合会の緊急声明や、改正物流効率化法の本格施行など、国を挙げた構造改革の圧力は増す一方です。

この難局を乗り切る唯一の生存戦略が、異業種連携による共同配送の実現です。

成功のための最も重要な鍵は、現場や経営層の「マインドセットのシフト」にあります。

これまで物流は、コスト削減のための「外部委託(下請け作業)」と捉えられてきました。

しかしこれからは、異なる業界のパートナーと手を取り合い、持続可能なインフラを共に築く「共創(協調)」の時代です。

まずは自社の出荷データをデジタル化し、他社と繋がれる状態を作ることから始めてください。

競合や他業種を「ライバル」ではなく「インフラをシェアする仲間」として捉え直した時、2030年の物流危機を生き抜く強靭な弾力性が手に入ります。

未来の物流標準モデルである「フィジカルインターネット」の実現に向けて、今こそ大きな一歩を踏み出しましょう。

参考記事: フィジカルインターネットとは?2024年問題と物流崩壊を救う革新モデルの全貌


出典: 花王株式会社 ニュースリリース
出典: 三菱食品株式会社 ニュースリリース
出典: 株式会社トーハン ニュースリリース

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監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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