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物流DX・トレンド 2026年7月22日

7月15日始動、佐川グローバルロジスティクス新サービスで特定荷主の法対応が加速

7月15日始動、佐川グローバルロジスティクス新サービスで特定荷主の法対応が加速

佐川グローバルロジスティクス株式会社は2026年7月15日、改正物流効率化法への対応を主眼に置いた包括支援サービス「CLOサポートサービス2026」の提供を開始しました。このサービスは、法改正によりCLO(物流統括管理者)の選任や中長期計画の策定を義務付けられた荷主企業を対象に実務面およびデジタル面から伴走するもので、対応ノウハウの不足する企業にとって強力な解決策となります。


1. ニュースの背景と「CLOサポートサービス2026」の全貌

2026年4月、改正物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律等の改正案)が本格施行されました。これにより、これまでの「努力目標」としての物流効率化は、未遵守時の「罰則適用(最大100万円の罰金など)」や「企業名公表」を伴う、実効性の高い法的義務へと引き上げられました。

特に、前年度の実績に基づき年間貨物取扱重量9万トン以上、あるいは委託輸送量が年間3,000万トンキロ以上の「特定荷主(3,000社超)」に指定された企業には、以下の3つの義務が課されています。

  • 役員クラスのCLO(物流統括管理者)の選任および届出
  • 物流効率化に向けた「中長期計画」の策定と提出
  • 毎年1回の「定期報告」の提出

なかでも、1運行あたり平均3時間とされてきたトラックドライバーの「荷待ち・荷役時間」を、原則として2時間以内(可能であれば1時間以内)に短縮させることが強く求められています。この「2時間ルール」をクリアできない荷主企業は、行政処分の対象となるだけでなく、深刻な人手不足にあえぐ運送事業者から取引を拒絶され、自社の商品を運べなくなる「物流難民」となる生存リスクに直面します。

このような状況下で、多くの荷主企業は「自社に物流効率を可視化するデータがない」「CLOに誰を据え、どのような権限を与えるべきか分からない」「中長期計画に落とし込めるノウハウがない」といった課題を抱えていました。

この難局に対して手を差し伸べたのが、SGホールディングス株式会社の主要グループ会社であり、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)の最大手である佐川グローバルロジスティクス(代表取締役社長:坂上公彦、本社:東京都品川区)です。同社は、自社が長年培ってきた物流現場の運営ノウハウとDX(デジタルトランスフォーメーション)技術をパッケージ化し、2026年7月15日より「CLOサポートサービス2026」の提供を開始しました。

同サービスが提供する包括支援は、大きく以下の5つの柱で構成されています。

支援項目 具体的な支援内容 期待される実務効果
1. 現状調査・可視化 荷待ち時間、荷役作業の実態、CO2排出量、拠点での年間貨物取扱量、梱包サイズの適正化状況を徹底調査。 曖昧だった物流負荷を客観的なデジタルデータとして可視化し。ボトルネックを特定する。
2. 事業特性に応じたKPI設定 荷主企業の事業や商慣習、特性に合わせた実効的なKPIの選定・提示。 実務に即した具体的な数値目標の設定を可能にし、改善活動の指針とする。
3. 中長期計画案の策定支援 国が定めるガイドライン・指針に準拠した物流改善のための中長期計画案を作成。 行政対応(10月末の計画初提出等)にそのまま使える高精度な計画書を迅速に用意する。
4. 計画実行・データ管理体制構築 計画推進に伴う進捗確認方法の設計、データ整備や持続可能な管理体制の構築支援。 計画の一時的な実行に留まらず、年間報告を見据えた定常的なガバナンス環境を構築する。
5. DX化検討サポート KPI自動取得システムや庫内省力化、省人化に向けたシステム検討などDXを推進。 手作業での集計やアナログな管理を排除し、データ連動による自律的な効率化を図る。

また、佐川グローバルロジスティクスはサービスの開始と並行して、改正物流効率化法の概要や、荷主企業が取るべき実務対応を分かりやすくまとめた「ホワイトペーパー」の無料公開も行っています。これにより、実務対応の最初の一歩に悩む企業の経営層や実務リーダーに具体的な行動指針を示し、標準化を後押しする構えです。


2. プレイヤー別に波及する業界への地殻変動

佐川グローバルロジスティクスのこの動きは、荷主企業(製造・卸・小売)、倉庫事業者・3PL、そして行政や社会インフラ全体にわたるすべてのステークホルダーに対し、これまでのあり方を大きく見直す行動変容を迫っています。

① 製造業者・メーカー

製造業者やメーカーといった発荷主にとって、CLOの選任や中長期計画の策定を、単なる「法的な追加コスト(守りのコンプライアンス)」と捉えている企業は市場から淘汰されるリスクがあります。なぜなら、現場の非効率を改善しない限り、トラックドライバーや運送会社から「選ばれない荷主」となり、自社の製品を出荷すること自体ができなくなるからです。

外部の高度な知見である「CLOサポートサービス2026」を活用することで、メーカーは自社が抱える物流課題をデータとして可視化できるようになります。これまで社内で不可侵領域とされがちだった「営業部門の無理な特急便・即日納品要請」や「生産部門の押し出し生産による過剰在庫」といった、社内における部分最適(部門間のサイロ化)の歪みをデータで示し、全社的な全体最適へと切り替える「経営戦略としてのロジスティクス再設計(攻めの姿勢)」へ転換する絶好の機会となります。

参考記事: 物流総括管理者設置義務とは?2026年施行に向けた選任基準と企業が備えるべき実務対策

参考記事: 選任が迫る物流統括管理者と改正物流総合効率化法2026年への必須対応

② 倉庫事業者・3PL

従来の倉庫事業者や3PL企業は、荷主企業の下請けとして「言われた通りにモノを預かり、運ぶ」という受託型のオペレーション提供が主流でした。しかし、本法改正と佐川グローバルロジスティクスの新サービス始動は、3PL事業者の存在定義そのものを変えようとしています。

3PL事業者は今後、単なる作業の代行者ではなく、荷主企業の経営層(CLO)の意思決定を支え、共にサプライチェーンの強靭化や脱炭素化、現場の労働環境改善を設計する「ロジスティクス・プロバイダー(戦略的パートナー)」への進化が不可避となります。佐川グローバルロジスティクスがコンサルティングとDX、実務を融合させた本サービスを開始したことは、他の3PL事業者にとっても、荷主から「選ばれ続けるための付加価値(競争優位性の源泉)」を再定義する重要なシグナルです。

参考記事: 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)完全ガイド|基礎知識から導入メリット・失敗しない選び方まで

参考記事: ロジスティクス・プロバイダーとは?3PL・4PLの違いや選定の基準、2026年問題への対策まで解説

③ 行政・規制当局

国の立場からすると、特定荷主3,000社超のすべてに対し、改正物流効率化法への厳格な遵守を個別に監視し、指導を重ねることには物理的な限界があります。トラックGメンの増員や監査の強化を行っているものの、本質的な改善には民間企業自らが能動的に動く仕組み(セルフガバナンス)が欠かせません。

佐川グローバルロジスティクスのような業界最大手の民間3PL企業が、国の指針に沿った中長期計画やKPI管理の仕組みを、サービスとして汎用化して市場に流通させることは、行政の施策を後押しする動きと言えます。民間が主導して「定量的な物流管理のプラットフォーム」を普及させることで、業界全体のデファクトスタンダード(標準化)が急速に確立され、国の掲げる政策(輸送力不足の解消、エネルギー消費量の削減など)の実効性が飛躍的に高まることになります。


3. LogiShiftの視点:物流を「生存リスク」から「競争力」に変えるための提言

佐川グローバルロジスティクスが打ち出した「CLOサポートサービス2026」は、今後のロジスティクス戦略を構築する上で強力なツールとなります。しかし、単にサービスを導入し、外注先に丸投げするだけでは法改正の波を乗り越えることはできません。LogiShiftでは、この新たなパラダイムシフトの本質を見据え、荷主企業が取り組むべき3つの提言を行います。

① 「名ばかりCLO」を防ぐ、強力な「物流改善命令権」の確立

法制化対応を急ぐあまり、既存の物流部長などの役職名だけを「CLO」に変更し、実質的な権限を付与しない「名ばかりCLO」が誕生するケースが後を絶ちません。これでは、営業部門による「無理な多頻度小口配送や緊急発送の要求」、生産部門による「稼働率を優先した過剰な見込み生産と押し出し保管」を抑制することは不可能です。

企業は「CLOサポートサービス2026」によって可視化された荷待ち時間や積載率、CO2排出量などの「客観的データ」を盾に、取締役や執行役員クラスをCLOに据え、社内規定に強力な「物流改善命令権」を明文化すべきです。例えば、「CLOの承認を得ない例外的な急ぎ配送は一切行わない」「非効率な配送を強行した場合は、その超過コストを物流費ではなく原因となった営業部門の販管費(P/L)へダイレクトに計上する」といった社内ガバナンス改革を、トップダウンで断行して初めて、真の全体最適が実現します。

② 100%の合意を待たない、6割の完成度で進める「アジャイル型改革」

完璧な中長期計画を策定しようとして、社内の全部門や取引先(着荷主)との利害調整を100%完了させようとすれば、プロジェクトは確実に頓挫します。先行してCLO体制を機能させている日清食品の深井雅裕CLOが提唱するように、「全体で6割も進めば十分」というアジャイル(迅速)な姿勢こそが実務を動かす鍵です。

まずは佐川グローバルロジスティクスのサポートのもと、自社の中で最も非効率が発生している「特定の主要拠点」や「特定の配送ルート」にターゲットを絞り、バース予約システムの導入やリードタイムの緩和(即日納品の廃止など)をスモールスタートさせるべきです。そこで得られた「待機時間が削減された」「輸送費用を圧縮できた」という小さな成功事例(モデルケース)を数値化して示し、社内の反対勢力や取引先の合意を徐々に形成していく方が、結果的に改革のスピードは格段に早くなります。

参考記事: 2026年4月法改正へ日清食品のCLO選任後アクションで物流効率化が加速

参考記事: 改正物流効率化法10月末計画提出に日清食品など3000社超が挑む必須対応

③ 「フィジカルインターネット」への接続を見据えた標準化

これからの物流は「自社でリソースを独占・所有する」時代から、業界や社会全体で「ネットワークを共有(シェア)する」時代へと変わります。インターネットが標準化されたパケットという単位でデータをやり取りするように、物流も標準パレット(T11型)や、標準化されたデータフォーマット(SIP物流標準など)を活用し、他社と共同配送を行う「フィジカルインターネット」への移行が、2026年以降のロードマップにおけるデファクトスタンダードとなります。

CLOは、自社専用の特注仕様(個社最適)に固執することを捨て、オープンな共有インフラにいつでも乗り入れられるよう、梱包サイズや伝票の電子化といった「標準化パスポート」の整備を急ぐ必要があります。本サービスの「DX推進サポート」を活用し、倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)のデータを外部とAPIで一気通貫に連携できる基盤を整えることが、2030年のさらなる輸送力不足時代を勝ち抜く強固な「ロジスティクス戦略」となるでしょう。

参考記事: フィジカルインターネットセンターが示す2026年4月CLO義務化への必須対応

参考記事: ロジスティクス戦略とは?経営を強固にする定義からDX・サステナビリティ対応まで解説


4. まとめ:明日から経営層と実務リーダーが実践すべき3つのアクションプラン

佐川グローバルロジスティクスが開始した「CLOサポートサービス2026」の登場は、2026年の法改正対応が単なる「罰則を避けるための書類仕事」ではなく、自社のサプライチェーンを再設計し、他社に負けない強力な競争力を手に入れるための絶好の「攻めの投資機会」であることを証明しています。

経営陣や現場のリーダーは、明日から直ちに以下の3つのアクションに向けた検討を開始してください。

  • アクション1:自社の貨物取扱実績の正確な現状集計
    • 自社(およびグループ全体の横持ち物量を含む)が、特定荷主の基準(年間貨物取扱量9万トン、または3,000万トンキロ以上)に該当するかを、Excelによる手集計を脱し、ダッシュボード等で正確に可視化する。
  • アクション2:CLOの選任と「職務権限規定」の改定準備
    • 名ばかりのCLOを防ぐため、取締役や執行役員クラスをCLOに任命すると同時に、営業や生産部門に対して強制的な改善指示を出せる「物流改善命令権」や「コスト配賦ルール」を社内規定に明記する。
  • アクション3:特定の拠点・配送ルートでの「スモールスタート」の実施
    • 自前で全てを抱え込む限界を認め、佐川グローバルロジスティクスのような外部の伴走プログラムを早期に活用する。まずは主要な1拠点でバース予約システム等を導入し、荷待ち時間のデジタル測定と、6割の完成度でのアジャイルな改善を試行する。

自社の物流を「生存リスク(事業継続の危機)」にするか、それとも「競争力(企業価値の向上)」にするか。それは、法改正という外圧を自社の変革のバネへと変える、経営トップと次期CLOの決断にかかっています。


出典: 佐川グローバルロジスティクス株式会社(SGホールディングス公式)
出典: LogiShift
出典: Ye-Live
出典: AFPBB News

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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