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Home > 輸配送・TMS> ダブル連結トラック普及へ日野自動車など11社が7月23日新組織設立、共配が加速
輸配送・TMS 2026年7月24日

ダブル連結トラック普及へ日野自動車など11社が7月23日新組織設立、共配が加速

ダブル連結トラック普及へ日野自動車など11社が7月23日新組織設立、共配が加速

日野自動車は2026年7月23日、ダブル連結トラックの普及や混載・共同輸送の推進を目指す新コンソーシアム「ダブル連結トラック コミュニティ」を設立したと発表しました。2026年中に解散を予定している子会社「NEXT Logistics Japan(NLJ)」の実証成果と知見を11社の連携へと拡張する本取り組みは、深刻化するトラックドライバー不足と脱炭素化の双方を解決する業界標準化の大きな推進力となります。

「ダブル連結トラック コミュニティ」設立の背景と全貌

日本の物流業界において、ドライバーの時間外労働上限規制に伴う「2024年問題」の影が落とし続ける中、長距離幹線輸送の維持は極めて切迫したテーマとなっています。こうした状況下で、1台の車両で従来の大型トラック2台分の貨物を一度に輸送できる「ダブル連結トラック」は、輸送効率の飛躍的な向上をもたらす切り札として大きな期待を集めてきました。

日野自動車が今回立ち上げた「ダブル連結トラック コミュニティ」は、一企業の枠組みを超えて荷主企業や運送事業者が手を取り合い、ハードウェア(車両・インフラ)とソフトウェア(デジタルソリューション・運行管理)の両面から共同輸送の仕組みを社会実装するための新たなプラットフォームです。

参考記事: ダブル連結トラックの仕組みと導入基準|長距離輸送の生産性を高める法規・連結方式の違いを徹底解説

5W1Hで読み解く設立スキーム

まずは、今回発表されたコンソーシアムの基本的な構造を5W1Hの観点から整理します。

  • Who(主体): 日野自動車株式会社(主催)および業界を代表する物流・3PL・荷主企業など10社(計11社でスタート)
  • When(時期): 2026年7月23日設立
  • Where(対象領域): 日本全国の長距離幹線輸送網および主要物流拠点・道路インフラ
  • What(取り組み): ダブル連結トラックの普及・インフラ整備検討、およびデジタル技術を活用した混載・共同輸送の推進
  • Why(背景・目的): ドライバー不足の根本的解消、長距離輸送の生産性倍増、輸送に伴うCO2排出量の削減(脱炭素)
  • How(手段): 子会社NLJの実証成果の継承、2つの専門分科会の設置、参画企業の公募による業界全体の標準化

NEXT Logistics Japan(NLJ)解散と業務移管のタイムライン

本コミュニティ設立のバックボーンには、日野自動車の子会社である「NEXT Logistics Japan株式会社(NLJ)」の事業再編があります。NLJは2018年の設立以来、ダブル連結トラックを用いた高度な混載・共同輸送の実証実験や事業運営を手掛け、多種多様な荷主の貨物を組み合わせる高度なノウハウを蓄積してきました。

日野自動車は2026年3月、実証フェーズの完了に伴いNLJを2026年中に解散する方針を発表しました。その上で、NLJが築き上げたアセットと役割を適切に分担・発展させるロードマップを描いています。

以下の表は、NLJの解散に伴う役割の継承と「ダブル連結トラック コミュニティ」の位置付けをまとめたものです。

| 項目 | 詳細内容・担当主体 | 解決を目指す役割と目的 |
| NLJの解散予定 | 2026年中(2026年3月に解散方針を発表) | 実証段階の終了と次世代フェーズへの移行 |
| 混載運行・共同輸送事業の運営 | 鈴与株式会社へ移管 | 既存の共同輸送サービスの安定的継続と拡大 |
| 車両開発・NeLOSS・自動運転 | 日野自動車社内の専門チームが継承 | OEMとしてのハード・ソフト技術の進化と普及 |
| 業界課題の横断的議論 | ダブル連結トラック コミュニティ(新設) | 複数企業によるアセット共有と標準化の推進 |

日野自動車は、自社単独で物流事業を継続するのではなく、物流実務を専門の事業者に任せつつ、自らは車両技術や運行策定システム「NeLOSS(ネロス)」の開発に注力し、議論の場をコンソーシアムへと広げる道を選びました。

参画企業11社の顔ぶれ

発足当初の参画企業は、主催者である日野自動車に加え、大手3PL、運送事業者、荷主企業などを含む多様な10社です。

  • 日野自動車株式会社(主催)
  • 朝日物流株式会社
  • アサヒロジ株式会社
  • 岡通ホールディングス株式会社
  • 鈴与株式会社
  • 大和製罐株式会社
  • 新潟輸送株式会社
  • ニッコンホールディングス株式会社(ニッコン)
  • 日本陸送株式会社
  • 株式会社丸総
  • ユーネットランス株式会社

輸送を担う運送会社だけでなく、包装容器大手の荷主企業なども含まれており、荷主と物流事業者が一体となって課題解決に挑む姿勢が明確に示されています。コミュニティでは特定の企業の利害に閉じず、一般からの参画企業を幅広く募集しています。

2つの専門分科会が目指す「ハード」と「ソフト」の標準化

「ダブル連結トラック コミュニティ」では、単なる抽象的な意見交換にとどまらず、実務レベルで課題を打破するために「ダブル連結トラック普及・インフラ分科会」と「デジタルソリューション分科会」の2つを設置しています。

ダブル連結トラック普及・インフラ分科会の検討アプローチ

ハード面を扱う本分科会では、全長25メートルにおよぶダブル連結トラックが安全かつ円滑に走行・待機・着車できる環境づくりを検証します。

  • ダブル連結トラックに対応した高速道路PA・SAの専用駐車枠拡大の働きかけ
  • 物流施設や工場敷地内におけるアプローチ道路、バースの設計基準の標準化
  • 車両の連結・切り離しを行うドッキング拠点(中継拠点)の相互利用体制の構築

デジタルソリューション分科会によるNeLOSSとデータ連携の拡張

ソフト面を扱う本分科会では、荷物の積載効率を極限まで高めるシステムやプラットフォームの共有を模索します。

  • NLJが開発した荷物積み付け・運行計画策定システム「NeLOSS」の標準ツール化
  • 企業間における出荷データ、荷姿データ、輸送ルートルート情報の安全な共有手法
  • 異業種間での重軽混載(重量物と容積物の組み合わせ)を自動マッチングするアルゴリズムの検証

ダブル連結トラック普及が物流業界に与える多角的なインパクト

今回のコミュニティ設立とダブル連結トラックの本格普及は、物流サプライチェーンに関わるすべてのプレイヤーに対して明確な構造変化をもたらします。

参考記事: 共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、導入成功のポイントを徹底解説

運送事業者・3PLへの影響|運行効率化と荷主交渉力の強化

運送事業者にとって、ダブル連結トラックの導入は単なる大型車両の置き換えではありません。ドライバー1人で大型トラック2台分の貨物を運ぶことができるため、極めて高い省人化効果を発揮します。

しかし、そのポテンシャルをフルに発揮させるには、常に荷台を満載にする「実車率・積載率の確保」が絶対条件となります。片道で自社顧客の荷物を運び、復路で他社の荷物を混載して運ぶ「ラウンドユース」や、中継拠点を活用した「中継輸送」の設計が不可欠です。

本コミュニティに参画する運送事業者は、11社のネットワークを活用して他社の帰り荷や混載ニーズと自社の運行ラインを結びつけることが容易になります。単なる「運賃の叩き合い」から脱却し、高い積載率と稼働率を維持した高度な運行コーディネーターとして、荷主に対する強い提案力と交渉力を獲得できるようになります。

荷主・SaaSベンダーへの影響|データ連携の標準化と重軽混載の拡大

荷主企業にとっても、自社単独で専用トラックをチャーターする時代は終わりを告げつつあります。今後は、自社の出荷データを標準化されたフォーマットで可視化し、他社の荷物と如何にスムーズに相乗りできるかが、安定的な輸送力を確保するための鍵となります。

特に、飲料のような「小さくて重い荷物(重量勝ち)」と、スナック菓子や空調機のような「大きくて軽い荷物(容積勝ち)」を同一の車両に積載する「重軽混載」は、積載限界(重量)と容積限界の双方をクリアする理想的なアプローチです。

参考記事: 鴻池運輸とダイキン工業の年間250台削減共同往復輸送、共有インフラ移行が加速

こうした高度なマッチングを支えるITベンダーやSaaS事業者にとっては、既存のWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)を外部プラットフォームやNeLOSSとAPI連携させる開発ニーズが急増します。独自仕様のシステムに閉じこもるのではなく、オープンにデータ接続できる仕様への転換が強く求められます。

ドライバー不足と脱炭素化の同時解決|長距離輸送のイノベーション

現場で働くドライバーの労働環境改善においても、大きな前進が期待されます。ダブル連結トラックと中継輸送を組み合わせることで、従来の長距離幹線輸送で当たり前だった「1泊2日の車中泊運行」から、中間地点で車両やトレーラーを交換してその日のうちに帰宅できる「日帰り運行」へのシフトが可能になります。

また、1台あたりの輸送能力が倍増することで、荷物1トン・キロあたりのCO2排出量を大幅に削減できます。ドライバー不足解消という「社会的サステナビリティ」と、脱炭素という「環境的サステナビリティ」を同時に達成できる点が、本取り組みの最大の価値と言えます。

LogiShiftの視点:個別最適から「オープンな共有インフラ基盤」へのパラダイムシフト

今回のニュースを物流ジャーナリストの視点で読み解くと、最も注目すべきポイントは、日本の物流が「自社アセットによる個別最適」から、「競合や異業種ともリソースを共有するオープンなフィジカルインターネット」へ完全に舵を切った点にあります。

参考記事: フィジカルインターネットとは?2024年問題を解決する仕組みと2030年ロードマップを分かりやすく解説

車両メーカー(OEM)が主導するソフトウェアとコミュニティの統合価値

従来、トラックメーカーの役割は「高品質で壊れにくい車両を製造・販売すること(売り切り型のビジネス)」に限定されていました。しかし、日野自動車がNLJでの実証を経てNeLOSSのような運行策定ソフトウェアを自社で保持し、荷主や運送会社が集うコミュニティの旗振り役となったことは、OEM(完成車メーカー)の立ち位置が大きく変化したことを物語っています。

車両という「ハードウェア」の供給にとどまらず、混載や配車を制御する「ソフトウェア」、そして企業同士をつなぐ「コミュニティ(場)」をパッケージで提供することで、メーカー自身が物流インフラのオーガナイザーへと進化しようとしています。これは、車両の販売台数だけに頼らない、新たなサービタイゼーション(製品のサービス化)のモデルケースと言えます。

フィジカルインターネット実現に向けた「協調領域」の拡張

経団連が提唱する「2030年に向けた物流のあり方」でも示されているように、2030年には日本の輸送能力が25%〜34.1%不足すると予測されています。この破局的な供給不足を回避するためには、物流を競争領域ではなく「協調領域」として捉え直さなければなりません。

参考記事: 日本経済団体連合会が輸送力34.1%不足に提言、共同配送が加速

日野自動車の「ダブル連結トラック コミュニティ」は、まさにこの協調領域を具体化する場です。これまで自社内で囲い込んできた輸送データや運行ルート情報をコミュニティという共通の土台に載せ、パズルを組むように他社とマッチングさせる試みは、インターネットのパケット通信のように荷物を流す「フィジカルインターネット」の現実的な初期実装と言えます。

ガイドライン整備とカルテル懸念の払拭が後押しする異業種共配

これまで企業間で共同配送やデータ共有が進まなかった背景には、「競合他社と輸送データや運賃に関わる情報を共有すると、独占禁止法(カルテル)に抵触するのではないか」という法的懸念がありました。

しかし、政府や公正取引委員会が共同配送促進に向けたガイドラインの明確化を進めたことで、この言い訳は通用しなくなりつつあります。公的なルールのもとで正々堂々とデータを持ち寄り、積載効率を高めるコンソーシアムに参加しない企業は、今後「サステナビリティに欠ける非効率な企業」として、荷主や運送事業者から選ばれなくなるリスクを抱えることになります。

持続可能な輸送体制構築に向けて明日から取り組むべき3つのアクション

「ダブル連結トラック コミュニティ」の発足は、大企業だけのニュースではありません。あらゆる荷主・運送事業者が、自社の物流戦略をアップデートするためのシグナルです。明日から現場のリーダーや経営層が取り組むべき具体的なアクションを3点提示します。

  1. 自社の輸送データの可視化と重軽混載可能性の検証
  2. 自社の出荷荷物の「重量」「容積(外装サイズ)」「出荷時間帯」をデジタルデータとして正確に把握してください。
  3. 自社の荷物が「重量勝ち」なのか「容積勝ち」なのかを把握し、正反対の特性を持つ他社製品と相乗りできる可能性を数値化しましょう。

  4. パレット・伝票・APIの業界標準規格への適合

  5. 自社独自の伝票フォーマットや特殊サイズのパレット、閉鎖的なWMS/TMSは、他社との共同配送を阻む最大の障壁です。
  6. T11型パレットの採用や標準フォーマットへの改修、外部システムと連携できるAPI設計への移行を速やかに進めてください。

  7. 競合・他業種とのオープンな対話チャネルの確保

  8. 自社単独でトラックを手配することに固執せず、業界団体やコンソーシアム、または地域ごとの物流コミュニティへ積極的に参加してください。
  9. 日野自動車が開設した専用窓口(full-trailer@hino.co.jp)をはじめ、オープンな検討の場にアプローチし、共同輸送の可能性を模索することが重要です。

まとめ

日野自動車とパートナー10社によって設立された「ダブル連結トラック コミュニティ」は、単なる車両の普及団体にとどまらず、日本の長距離幹線輸送を「個社最適の自前主義」から「オープンな共有インフラ」へと転換させる重要な一歩です。

ダブル連結トラックという強力なハードウェアと、データ連携やNeLOSSといったソフトウェアの融合、そして企業間の境界を取り払うコミュニティの存在。この3要素が揃った新たな物流エコシステムに乗り遅れないよう、自社の物流データを整え、協調領域での連携に踏み出すことが、これからの激動の時代を勝ち抜く最重要な戦略となります。


出典: LOGI-BIZ online(ロジビズ・オンライン)
出典: 日野自動車株式会社 公式プレスリリース
出典: LNEWS
出典: LOGI-TODAY

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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