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Home > 輸配送・TMS> 国交省CNP認証、累計15拠点へ拡大し港湾選定の新基準が定着
輸配送・TMS 2026年8月25日

国交省CNP認証、累計15拠点へ拡大し港湾選定の新基準が定着

国交省CNP認証、累計15拠点へ拡大し港湾選定の新基準が定着

国土交通省は2026年8月25日、港湾の脱炭素化を評価する「CNP認証(コンテナターミナル)」制度において、名古屋港飛島ふ頭南側など新たに4つのコンテナターミナルを認証したと発表しました。サプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出削減が求められる中、物流インフラの脱炭素性能を客観的に示す指標が全国15拠点へと拡大し、荷主や船社による港湾選定の基準として定着しつつあります。

CNP認証制度の運用進捗と新規認証4ターミナルの詳細

国土交通省が推進する「カーボンニュートラルポート(CNP)認証(コンテナターミナル)」制度は、国内のコンテナターミナルにおける温室効果ガス排出削減に向けた取り組みをレベル1からレベル5までの多段階で客観的に評価・可視化する枠組みです。2025年3月に制度が創設され、同年6月30日の申請受付開始以降、段階的に認証拠点が拡大しています。

新たに認証された4ターミナルの評価結果

今回の発表で新たに認証を取得したのは、名古屋港飛島ふ頭南側、大分港大在、境港国際、千葉港の計4ターミナルです。これにより、国内の認証ターミナル数は累計15拠点となりました。

港湾名・ターミナル名 認証レベル 評価の特徴・設備動向 認証状交付予定
名古屋港(飛島ふ頭南側) レベル4+++ 先進的な荷役機械の電動化・自動化が進み、中部地域で最高水準の脱炭素化を達成。 2026年9月4日
大分港(大在) レベル1+ 基礎的な排出削減対策に加え、一部設備更新等のプラス評価を獲得。 2026年10月以降
境港(国際) レベル1 港湾脱炭素化推進計画に基づき、初期段階の省エネ・脱炭素基準をクリア。 近日開催
千葉港 レベル1 首都圏の産業拠点を支える港湾として、標準的な脱炭素化基準を満たす。 2026年9月1日

今回の認証で最も高い評価を受けたのは、名古屋港飛島ふ頭南側コンテナターミナルの「レベル4+++」です。同ターミナルは、インバーター制御式ガントリークレーンやタイヤ式門型クレーン(RTG)の電動化、自動化技術の積極的な導入が進んでおり、国内トップクラスの低炭素インフラを備えている点が評価されました。一方で、地方港湾である境港や大分港、首都圏の千葉港などはレベル1およびレベル1+となっており、拠点ごとの投資フェーズや設備環境によって評価レベルに明確な差異が表れています。

制度創設から現在までの時系列と認証実績

CNP認証制度は、2022年12月に施行された改正港湾法に基づく「港湾脱炭素化推進計画」と連動し、港湾管理者の脱炭素化投資を促す仕組みとして運用されています。認証の有効期間は3年間となっており、定期的な更新や設備改修に伴う「レベルアップ申請」が可能な設計です。

時期 認証の動き・主な出来事 累計認証数
2025年3月 国土交通省が「CNP認証(コンテナターミナル)」制度を創設。 0
2025年6月30日 申請受付および正式な制度運用を開始。 0
2025年9月25日 【第1弾】博多港(アイランドシティ)、川崎港、名古屋港(鍋田ふ頭)、大阪港(南港C-1/4)、高松港の5拠点を初認証。 5
2025年11月5日 【第2弾】大阪港(夢洲)、八戸港の2拠点を新規認証。 7
2026年3月10日 【第3弾】堺泉北港(助松)、三河港(豊橋)、四日市港の3拠点を新規認証。 10
2026年4月14日 名古屋港鍋田ふ頭が全国初のレベルアップ(レベル4++へ)を達成。伏木富山港(新湊地区)を新規認証。 11
2026年8月25日 【今回】名古屋港(飛島ふ頭南側)、大分港(大在)、境港(国際)、千葉港の4拠点を新規認証。 15

2026年4月には名古屋港鍋田ふ頭が既存の評価を引き上げる「レベルアップ」を国内で初めて達成するなど、港湾管理者やターミナルオペレーターの間で設備の高度化に向けた継続的投資が進んでいます。

参考記事: RTG(タイヤ式門型クレーン)の仕組みと選び方|RMG・ストラドルキャリア比較や自動化・脱炭素の最新動向

CNP認証の評価基準と港湾脱炭素化の構造

日本の輸出入貨物の99.6%は港湾を経由しており、臨海部は国内の二酸化炭素(CO2)排出量の約6割を占める産業が集積するエリアです。そのため、港湾空間そのものの脱炭素化は、国家全体のカーボンニュートラル実現に向けた最重要課題の一つに位置付けられています。

レベル1からレベル5までの評価構造

CNP認証では、ターミナル内で稼働する荷役機械のエネルギー効率や使用燃料、陸上給電設備の配備状況、再生可能エネルギーの導入度合いなどが総合的に評価されます。

  • レベル1(基礎的基準): 国土交通省が定めるベースライン基準を満たし、省エネ型荷役機器の導入やアイドリングストップ活動など、運用面での初期的なGHG削減策が講じられている状態。
  • レベル2〜3(高度な電化・省エネ): ディーゼル駆動RTGからハイブリッド型・完全電動型(e-RTG)への換装が進み、ターミナル内の照明LED化やエネルギーマネジメントシステム(EMS)が稼働している状態。
  • レベル4(低炭素インフラの高度集積): 荷役機器の大部分が電動化・自動化され、回生エネルギーの活用や高効率なヤード配置により、荷役作業あたりの排出量が極めて低い水準に達している状態。名古屋港飛島ふ頭南側(レベル4+++)などが該当。
  • レベル5(ゼロエミッション港湾): 水素燃料電池(FC)駆動の荷役機器導入や、停泊中の船舶に対する陸上電力供給(Cold Ironing)の完全再エネ化など、ターミナル運用に伴うGHG排出が実質ゼロとなる将来水準。

参考記事: カーボンニュートラル物流とは?GHG削減の算定方法からEV・DXを活用した実務推進策まで解説

サプライチェーン全体に広がる業界インパクト

CNP認証の拡充は、港湾管理者だけでなく、荷主企業、海運会社、陸上運送事業者など、港湾を利用するすべてのプレイヤーにサプライチェーン構造の再設計を促しています。

製造業者・荷主企業:Scope3削減とグリーン・ルーティングの推進

グローバルに展開する製造業者や荷主企業にとって、サプライチェーン排出量(特にScope3 カテゴリ4:輸送・流通(上流)、カテゴリ9:輸送・流通(下流))の削減は、企業のESG評価や取引継続に直結する要素です。

これまで海上輸送におけるGHG排出量算定は、航路の距離や船舶の燃費データに依存するケースが一般的でした。しかし、CNP認証によって港湾ターミナルでの荷役作業に伴う環境負荷が可視化されたことで、荷主は「どの港を経由して輸出入するか」という拠点選択(グリーン・ルーティング)を最適化パラメータに組み込む必要性が生じています。レベル4以上の高環境性能ターミナルを利用することは、自社のScope3削減実績を客観的エビデンスとともに開示する際の強力な裏付けとなります。

参考記事: Scope 1, 2, 3とは?物流・サプライチェーン実務担当者が知るべき基礎知識と算定ガイド

行政・自治体・港湾管理者:ポートセールスと投資誘導の加速

国土交通省および地方整備局、各自治体の港湾管理部門にとって、CNP認証は港湾間競争を脱炭素化へ誘導するフレームワークとして機能しています。従来のポートセールスは、大水深岸壁の有無、コンテナ処理能力、使用料などのコスト面が主要な訴求軸でした。

しかし、欧米を中心に海運・港湾の環境規制が厳格化する中、脱炭素インフラの整備が遅れた港湾は、グローバル船社や主要荷主から航路寄港地として敬遠されるリスクを抱えています。国土交通省が「カーボンニュートラルの観点で荷主や船社等によるターミナルの選択が可能となることから、CNP形成に向けたターミナル間での競争を期待している」と表明している通り、認証レベルの向上は港湾の国際競争力を担保するための必須条件となっています。

陸上運送事業者:港湾接続輸送における脱炭素連携

コンテナターミナルにアクセスするドレージ輸送事業者やトラック運送会社に対しても、間接的な変革圧力が波及しています。港湾エリア全体のCNP化が進む過程において、ターミナルゲート前でのアイドリング規制や、予約システムを活用した待機時間削減(CONPAS等の導入促進)、さらにはEVトラックや水素燃料電池トラックへの優先ゲート割り当てなどの運用連携が検討されています。

荷役機器の電動化と連動して陸上輸送網の脱炭素化を進めることは、物流結節点全体の滞留解消とGHG排出削減を同時に達成するための不可欠なステップとなります。

参考記事: カーボンオフセット輸送とは?荷主企業が押さえるべきScope3削減と実務フロー

LogiShiftの視点(独自考察)

CNP認証の累計取得数が15拠点に達した今回の動きは、港湾物流の競争軸が「コスト・スピード」から「環境性能を内包した総合価値」へ不可逆的に移行したことを示しています。

特に注目すべきは、名古屋港(飛島ふ頭南側でレベル4+++、鍋田ふ頭でレベル4++)のように、特定港湾内で複数ターミナルがハイレベルな評価を競い合っている点です。自動車産業をはじめとする中部地方の製造業基盤では、サプライチェーン全体での脱炭素化要請が極めて強く、港湾インフラ側が先手を打ってハイレベル認証を取得することが、地域産業の国際競争力を守る防衛策として機能しています。

一方で、地方港湾におけるレベル1取得は、脱炭素化の「足切りライン」を通過したに過ぎません。今後は、国や自治体による補助金配分や設備投資支援が、認証レベルの向上計画と連動する可能性が高く、投資余力のある中核港湾と地方港湾との間で「環境インフラ格差」が生じるリスクも内包しています。荷主企業は、単に港湾の利用料だけでなく、利用港湾の認証レベルが自社のESG調達基準にどう合致するかを定期的にモニタリングし、物流ネットワークの再配置を視野に入れた中長期戦略を描く必要があります。

まとめ

港湾の脱炭素化を評価するCNP認証制度は、新規4拠点の追加により全国15ターミナル体制へと広がり、サプライチェーンの脱炭素性能を評価する実務的な基準として定着しました。港湾・物流に関わる実務担当者が明日から意識すべきアクションは以下の通りです。

  1. 自社が利用している主要港湾・コンテナターミナルのCNP認証レベルを確認する
    自社貨物の輸出入で経由しているターミナルがCNP認証を取得しているか、どのレベルに位置付けられているかを把握し、サプライチェーンの環境フットプリントを点検する。
  2. Scope3排出量算定における港湾荷役データの反映方法を整理する
    GHG排出量開示の高度化に向け、航路情報に加えてターミナル単位での環境負荷低減効果を算定モデルに組み込めるか、算定ロジックを再確認する。
  3. 物流パートナーや港湾管理者との脱炭素化連携を進める
    ドレージ輸送の待機時間短縮や運行効率化、EV・低公害車両の導入検討など、港湾結節点における陸上輸送の環境負荷低減に向けた協業体制を構築する。

出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: 国土交通省 報道発表資料(2026年8月25日)
出典: 国土交通省 報道発表資料(2025年9月25日)
出典: 国土交通省 報道発表資料(2026年4月14日)
出典: 国土交通省 港湾脱炭素化推進ポータルサイト

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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