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Home > 輸配送・TMS> 三井倉庫ロジスティクスとT2、日立産機450kmを自動運転し定期化検証
輸配送・TMS 2026年9月24日

三井倉庫ロジスティクスとT2、日立産機450kmを自動運転し定期化検証

三井倉庫ロジスティクスとT2、日立産機450kmを自動運転し定期化検証

三井倉庫ロジスティクスとT2は、日立産機システムと共同で空気圧縮機およびサービス部品を自動運転トラックで幹線輸送する実証実験を完了しました。日立産機システムの相模事業所から関西拠点までの約456kmを対象とし、綾瀬スマートICから尼崎ICまでの高速道路区間約450kmをレベル2自動運転で走行しています。

綾瀬から尼崎まで450kmを自動走行した実証運用の全容

本実証は、重量物であり輸送時の振動管理が求められる産業機械および保守部品を対象に、自動運転トラックによる長距離幹線輸送の実現可能性を検証する目的で実施されました。2026年6月22日、7月21日、8月17日の計3回にわたり運行が行われ、実商流におけるオペレーション手順、ルート選定の妥当性、所要リードタイムの計測が完了しています。

実証実験の概要と各社の役割分担

今回の運行ルート、輸送品目、検証項目および参画3社の役割分担は以下の通りです。

項目 実証運用の詳細内容 オペレーション上の確認事項
実施日程 2026年6月22日、7月21日、8月17日(計3回) 夏季の運行条件下における走行安定性とデータ収集
全体運行区間 相模事業所(神奈川県綾瀬市)〜関西2拠点(約456km) 東名・名神高速道路を経由する幹線長距離ルート
自動運転適用区間 東名・綾瀬スマートIC〜名神・尼崎IC(約450km) 全行程の約98%におけるレベル2自動運転システム主導走行
輸送品目 空気圧縮機(コンプレッサー)、サービス部品 産業資材における積載安定性と荷崩れ・振動の影響
到着拠点 グローバル部品センター尼崎、関西物流センター 関西側の荷受拠点における荷役・荷渡し工程

参画各社は以下の役割分担に基づいて実証を進めました。

  • 株式会社日立産機システム: 実証対象貨物(空気圧縮機および保守用サービス部品)の供給、発着拠点および運行ルートの選定
  • 三井倉庫ロジスティクス株式会社(代表取締役 社長執行役員:石川輝雄): 自動運転トラックを組み込んだ幹線運行スキームの策定、荷役を含む全体輸配送プロセスの検証
  • 株式会社T2: 自社開発の自動運転トラックの提供、実走行データの収集および自動運転制御技術の検証

「トランスゲート綾瀬」至近の相模事業所を活用した有人区間の極小化

本実証の大きな特徴は、T2が2026年4月に東名高速道路・綾瀬スマートIC近郊に開設した有人・無人運転切替拠点「トランスゲート綾瀬」を軸とした運行ルート設計にあります。

日立産機システムの出発拠点である相模事業所(神奈川県綾瀬市)は、トランスゲート綾瀬から約1.7kmの至近距離に位置しています。将来的なレベル4(特定条件下における完全無人運転)の運用では、高速道路上を無人走行し、インターチェンジ周辺の中継拠点において地場ドライバーが運転を引き継いで一般道を走行する形態が想定されています。

トランスゲート綾瀬の敷地面積は約2,000平方メートルで、最大6台の大型トラックを受け入れる設備を備えています。綾瀬スマートICからの距離も約80メートルと直結に近い立地にあります。発着地と切替拠点が近接している場合、一般道でドライバーが運転する有人走行区間が大幅に短縮され、拘束時間の削減や車両の回転率向上が可能となります。

相模事業所を出発した車両は、綾瀬スマートICから東名高速道路へ進入し、名神高速道路の尼崎ICまでの約450kmをシステム主導で巡航しました。その後、尼崎ICから一般道を経由して兵庫県尼崎市の「グローバル部品センター尼崎」および大阪府大阪市の「関西物流センター」へ順次納品を行っています。

自動運転商用運行への参画と連携の推移

三井倉庫ロジスティクスとT2は、資本業務提携を通じて段階的に自動運転トラックの実装を進めてきました。本実証に至るまでの主な経緯は以下の通りです。

年月 出来事・取り組み内容 運行体制・物流網への影響
2023年9月 三井倉庫ロジスティクスがT2へ出資・提携 レベル4を見据えたオペレーション開発に着手
2025年7月 国内初のレベル2商用運行に第1号企業として参画 家電・電機資材の定期幹線輸送を開始
2025年8月 三井倉庫ロジスティクスがT2へ追加出資 プラットフォーム構築への関与を強化
2026年4月 T2が切替拠点「トランスゲート綾瀬」「神戸西」を開設 有人・無人を切り替える地上インフラが稼働
2026年6〜8月 日立産機システムの産業機械輸送実証を実施(計3回) 重量級の産業機械へ自動運転の適用範囲を拡大
2026年8月31日 本実証の完了と定期輸送化の検討を共同発表 定期商用運行に向けた運用要件の精査へ移行

三井倉庫ロジスティクスは2025年7月にT2のレベル2商用運行へ参画し、パナソニックグループの業務用冷凍機やアクアの洗濯機などの商流貨物を輸送してきました。T2の商用運行を利用する企業数は、2025年7月開始当初の5社から、2026年4月時点で11社、2026年7月時点で21社へと増加しています。今回の実証は、家電や消費財中心だった対象品目を、重量物かつ精密な機器構造を持つ産業機械へと拡大した事例となります。

参考記事: 日立産機の産業機械を456km自動運転輸送|三井倉庫ロジとT2、切替拠点1.7kmで有人区間極小化

物流プレイヤー別のオペレーション変化

重量物である産業機械の長距離幹線輸送に自動運転技術が組み込まれることにより、関係する事業者の実務には具体的な変化が生じます。

倉庫事業者・3PL:高速ハブと生産拠点を接続するネットワーク設計への移行

3PL事業者は、運送会社への車両手配業務にとどまらず、高速道路IC周辺に設置される中継拠点と顧客工場の物理的距離を考慮した配送ネットワークの設計を求められます。

本実証のように、工場の敷地から中継拠点までの距離が極めて近い場合、地場集配送の運行距離が短縮され、1人のドライバーが1日に何度もシャトル運行を行える運用体制が成立します。3PL事業者は今後、荷主の工場や部品センターの立地とトランスゲートの配置を紐付けた拠点配置提案や、中継拠点での荷役切り替え手順の標準化を主導することになります。

製造業者・荷主企業:定期幹線便に合わせた出荷ダイヤと荷姿の標準化

産業機械メーカーにとって、自動運転トラックによる定期便の導入は、関東―関西間の長距離輸送枠を計画的に確保する手段となります。

自動運転トラックの運行効率を最大化するには、あらかじめ設定された出発ダイヤに合わせて工場側が出荷準備を完了させておく必要があります。また、手積み・手降ろしを伴う荷役は中継拠点での停車時間を長期化させるため、パレット化の徹底やフォークリフトによる迅速な荷役に対応した梱包仕様の確立が荷主側に求められます。

運送事業者:幹線輸送のプラットフォーム委託と短距離地場運行への再編

実運送を担う運送会社は、ドライバーが長距離を往復する従来の運行形態から、高速道路区間を自動運転フリートに委託し、自社はIC近郊から納品先までの端末輸送に特化する体制への移行が進みます。

これにより、ドライバーの日帰り運行が可能となり、拘束時間の短縮や労働基準の遵守が容易になります。運送事業者は、高速道路の運行管理から解放される一方、トランスゲートにおける車両・トレーラーの引き継ぎ作業や、狭小な工場構内への接車といった高度な地場運転業務にリソースを集中させることになります。

参考記事: 福山通運とT2の自動運転、510km中継輸送で24時間往復を検証

LogiShiftの視点

「高速幹線自動運転×端末有人配送」のインフラ分業モデル

本実証において検証された輸送形態は、高速道路と一般道の結節点を物理的に分離し、それぞれ異なる運行主体が担うインフラ分業モデルの実効性を示しています。

日立産機システムの相模事業所とトランスゲート綾瀬が約1.7kmという至近距離にある配置は、一般道走行を最小限に抑える拠点戦略の有効性を証明しています。全行程約456kmのうち約450km(約98%)が自動運転区間となるため、長距離ドライバーの運転負担が大幅に軽減されます。

今後は、荷主工場や物流倉庫が高速道路ICや切替拠点の周辺に集約される傾向が強まります。幹線輸送が無人化されるレベル4の実装段階においては、拠点の立地条件そのものが輸送コストとリードタイムを左右する要因となります。

産業機械への適用拡大が示す定期運行の実現性

これまで自動運転トラックの商用運行や実証実験は、容積勝ちの荷物が多い日用品や飲料、飲料水、家電製品などが中心でした。これに対し、本件で対象となった空気圧縮機や保守部品は、重量があり、輸送時の衝撃や振動による品質劣化を防ぐ厳格な輸送品質管理が求められる貨物です。

実商流の産業機械を搭載して450kmの高速走行を3回完了し、定期輸送化の検討に入ったという事実は、自動運転システムの加減速制御や車線維持機能が産業用精密資材の輸送基準を満たしていることを意味します。この運用データが蓄積されることで、機械系メーカーにおける幹線自動運転の採用ハードルが下がります。

参考記事: 株式会社T2が国交省自動運転支援事業に採択|2027年度の幹線レベル4実装が加速

明日から意識すべきこと

  1. 自社の長距離輸送品目のうち、パレット化が可能で振動許容度の高い産業資材や保守部品をリストアップし、自動運転幹線輸送への適性を確認する。
  2. 関東―関西間の主要工場および配送センターについて、東名・名神高速道路のスマートICや開設済み中継拠点(綾瀬・神戸西・西宮北など)からの距離を計測し、将来の結節点候補を洗い出す。
  3. トランスゲート等の外部中継拠点を利用した荷役分離やシャトル輸送に対応できるよう、出荷時の梱包仕様および荷受けバースの荷役手順を点検する。

出典: 物流ウィークリー
出典: PR TIMES
出典: LOGI-BIZ online
出典: LOGI-TODAY
出典: 三井倉庫ホールディングス株式会社
出典: 株式会社T2 プレスリリース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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