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Home > 輸配送・TMS> 京都府トラック協会、Gマーク率45%目標|最大10万円助成で品質競争へ
輸配送・TMS 2026年10月7日

京都府トラック協会、Gマーク率45%目標|最大10万円助成で品質競争へ

京都府トラック協会、Gマーク率45%目標|最大10万円助成で品質競争へ

京都府トラック協会は、国の「適正原価」制度導入を見据え、安全性優良事業所を認定する「Gマーク」の取得率を2026年度末までに45%以上へ引き上げる「ファイブスター事業」を開始しました。新規取得事業所に10万円、取得済み事業所に5万円の助成金を支給し、運賃の価格競争から輸送品質や安全性を競う市場環境への移行を図ります。

適正原価義務化と京都府トラック協会のGマーク推進策

国はドライバーの低賃金是正と人手不足の解消を目指し、2025年6月に公布された「トラック適正化二法(改正貨物自動車運送事業法等)」に基づき、2028年6月までに「適正原価」制度を施行する方針を固めました。これに伴い、運送事業者が荷主から受け取る運賃や下請企業に支払う委託運賃が、法令遵守に不可欠なコストである適正原価を下回ることが法的に禁止されます。

こうした制度変更を背景に、京都府トラック協会は輸送品質や安全管理体制の強化を促す取り組みを具体化させています。

京都府トラック協会「ファイブスター事業」の概要

京都府トラック協会の平島竜二会長は「業界が望む水準の適正原価が示されると期待している。安さを競う時代は終わり、今後はいかに安心・安全に荷物を届けられるかが勝負になる」と指摘します。

京都府内のGマーク認定取得率は、2026年3月時点で39.7%です。全国平均の34.4%を上回っているものの、全国首位である宮崎県の51.2%には届いていません。協会は2026年度末までに取得率を45%以上とする目標を設定し、2026年1月15日の理事会決定を経て、2026年5月から8月にかけて「ファイブスター事業」の申請受付を実施しました。

項目 詳細内容
推進主体 一般社団法人京都府トラック協会(会長:平島竜二)
対象施策 ファイブスター事業(Gマーク取得・維持推進事業)
助成金額 新規取得事業所:10万円/認定継続事業所:5万円
現状と目標値 39.7%(2026年3月時点)から45.0%以上(2026年度末目標)
参考比較値 全国平均34.4%、全国首位の宮崎県51.2%(2026年3月時点)

Gマーク(安全性優良事業所認定制度)は、全日本トラック協会が事業所の安全性、法令遵守状況、事故や違反の有無などを総合的に評価・認定する仕組みです。認定を取得した事業所は、国土交通省による行政処分基準の緩和、点呼体制におけるIT点呼の導入要件緩和、損害保険会社による保険料割引といった優遇措置を受けることができます。

参考記事: Gマーク(安全性優良事業所)の評価基準とメリット|IT点呼緩和や申請フローを徹底解説

「標準的運賃」の形骸化と収受率44%の現実

国はこれまで、地域や車種ごとに運賃の目安を示す「標準的な運賃」を告示し、適正な対価の収受を後押ししてきました。2024年3月には平均約8%の引き上げを含む改定告示を行い、燃料サーチャージや荷役作業料、待機時間料の別建て明記を推進しました。

しかし、標準的な運賃は拘束力を持たない参考指標にとどまっていたため、市場の実勢運賃との乖離が解消されませんでした。国土交通省が公表した実態調査(2024年度実績・2025年7月公表)によると、荷主と運賃交渉を行った事業者は74%に達したものの、標準的な運賃の8割以上を収受できた事業者は44%にとどまりました。さらに5割未満の収受しか得られなかった事業者が15%に上るなど、買い叩きやダンピングの抑止には至りませんでした。

現場の実態について、京都府宇治田原町の運送会社・岸貝物流の社長である平島穣氏は「帰りの便は安くしてくれ、空(カラ)で走るよりはいいだろうと値切られることも多い」と証言しています。実車率の低下を恐れる運送事業者の心理に付け込んだ復路運賃の値引き要求が常態化しており、指標の告示だけでは下請叩きを抑止できない構造的限界が示されていました。

参考記事: 国交省標準運賃、53%が収受5〜7割止まりで強制力欠如が課題

制度移行のタイムラインと「適正原価」の法的枠組み

こうした強制力不足を解消するため、政府は2025年6月に議員立法によってトラック適正化二法を公布しました。2026年4月1日には違法な「白トラ(営業許可を持たない自家用トラックによる有償運送)」を利用した荷主に対する100万円以下の罰金新設や、実運送体制管理簿の作成義務付けが施行されています。

さらに公布から3年以内となる2028年6月までに、事実上の最低運賃ラインとなる「適正原価」制度が全面施行されます。

実施時期 制度の動き・決定事項 現場・実務への直接的影響
2024年3月 改定「標準的な運賃」告示 平均8%引き上げ。荷役・待機料の別建て明記
2024年4月 時間外労働上限規制(年960時間)適用 運行管理と労働時間管理の厳格化
2025年6月 トラック適正化二法が成立・公布 適正原価義務化と5年更新制の導入が決定
2026年4月 改正法の一部規定が施行 白トラ利用への罰則新設(100万円以下)。多重下請け是正
2026年7月 適正原価有識者検討会が開始 原価算定式や安全確保費用の算入要件の議論着手
2026年12月 検討会の提言取りまとめ(予定) 適正原価基準の骨子と算定方法の確定
2028年6月まで 「適正原価」制度の全面施行(予定) 適正原価未満の取引継続で事業許可更新拒否

従来の標準的な運賃は「能率的な経営における原価に適正な利潤を加えた推奨運賃」でした。これに対し、新たに導入される適正原価は「法令を遵守して事業を継続するために最低限必要な原価」であり、適正な利潤を含まない床(フロア)として定義されます。

適正原価を下回る運賃での受託や支払いを一定期間(1年間などを想定)継続した場合、運送事業者は5年ごとの事業許可更新が認められず、運送事業の許可を失うことになります。また、違反の原因を作った荷主企業に対しては、トラック・物流Gメンによる「要請」「勧告・公表」といった是正指導が行われます。

適正原価の算出には、固定的な運賃表ではなく、事業者が保有車両の稼働時間、走行距離、実車率などの実績データを代入する「算定式」が採用されます。算定式の構成要素には、人件費や燃料費だけでなく、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフの維持費、任意保険料などの「輸送の安全確保経費」、さらには労働環境改善やBCP対策に係る「事業継続投資原資」が独立して組み込まれる方針です。

参考記事: 国土交通省が2028年6月適正原価を全面施行、取引見直しが必須に

サプライチェーン関係者への具体的な影響

適正原価の義務化と安全性評価へのシフトは、運送事業者、荷主企業、行政当局の三者に業務基準の再構築を求めています。

運送事業者(実運送・元請):価格ダンピングからの脱却と安全管理の証明

運送事業者にとって、安売りによる荷物の囲い込みや空車回避のための大幅値引きは、事業許可の取り消しリスクに直結する行為となります。

今後は、荷主から運賃引き下げを求められた場合でも、自社運行にかかる適正原価を数値で立証し、適法な価格水準を維持しなければなりません。そのため、デジタルタコグラフや動態管理システムから走行距離、稼働時間、待機時間を抽出し、車両ごとに正確な原価を把握する体制整備が求められます。

同時に、荷主から選定されるための差別化軸が「価格」から「安全性とコンプライアンス」へ移ります。京都府トラック協会が助成するGマークの取得は、法令遵守体制や労務管理の健全性を荷主へ対外的に示すための客観的な証明書として機能します。

元請事業者においては、荷主から適正原価以上を収受するだけでなく、下請の実運送事業者に支払う委託運賃でも適正原価を下回らない管理が義務付けられます。適正な仲介手数料を明記せず、下請の運行原価を圧迫する中抜き構造は行政処分や許可更新拒否の対象となります。

製造業者・流通荷主企業:調達基準の刷新と是正勧告リスクの回避

製造業や流通業などの荷主企業は、物流コストの削減方針を修正する必要があります。

下請運送事業者に対して「復路だから安くしろ」「他社はもっと安く走る」といった値引き交渉を行う行為は、トラック・物流Gメンによる調査対象となり、勧告・公表のリスクを招きます。また、2026年4月から白トラ利用に対して100万円以下の罰金が科されていることからも明らかなように、法令違反の運送事業者を利用すること自体がコンプライアンス違反となります。

これにより、荷主の物流購買部門における事業者選定基準は「運賃の安さ」から「安全管理体制の有無」へと転換します。運送事業者がGマークを取得しているか、ドライバーの過労運転防止措置や車両点検を適切に行っているかを確認した上で契約を結ぶデューデリジェンスが調達プロセスに組み込まれます。

荷役作業料や待機時間料を運賃と別建てで支払う契約への改定や、荷待ち時間を削減するためのバース予約システムの導入など、実運送側の安全運行を阻害しない環境づくりが必須となります。

行政・規制当局:事業許可更新制と実態調査による監視強化

行政当局の役割は、指標の告示による自発的な是正の促進から、法的基準に基づく厳格なガバナンスの行使へと移行しています。

国土交通省は有識者検討会を通じて適正原価の算定基準を策定し、2028年6月までに事業許可の5年更新制度と連結させます。監査において事業者が適正原価割れの取引を継続していないかを決算データや運行記録から確認し、未達の事業者には更新拒否を執行します。

また、トラック・物流Gメンは、運送事業者からの通報や実態アンケートを基に荷主企業への是正指導を継続します。2026年4月に施行された実運送体制管理簿や書面交付義務を活用し、多重下請け構造の深層で発生している適正原価割れの取引を追跡・是正する体制を運用しています。

LogiShiftの視点:京都発のGマーク推進が示す市場淘汰の現実

京都府トラック協会の取り組みは、2028年6月の適正原価全面施行を前に、地域レベルで運送市場の選別が始まったことを示しています。

京都府トラック協会が「ファイブスター事業」で新規取得に10万円、既取得に5万円の助成を行い、取得率を39.7%から45%以上へ引き上げようとしている背景には、適正原価が導入された瞬間に「安全管理体制を客観的に証明できない事業者は荷主のサプライチェーンから排除される」という強い危機感があります。

適正原価制度が導入されると、法律によって運賃の下限が固定されます。これにより、荷主側は「どの運送会社を使っても最低限支払わなければならない金額が変わらない」という状態に直面します。調達価格に大きな差がつかなくなった場合、荷主が自社の輸送を委託する基準は、事故リスクの低さ、法令遵守、ドライバーの労働環境、そして有事の事業継続力(BCP)へと集約されます。

この環境下でGマークを取得していない事業者は、価格による優位性を失うだけでなく、荷主のコンプライアンス監査において「法令違反リスクを抱える委託先」として敬遠されることになります。京都府トラック協会による助成は、単なる認証取得の推奨ではなく、2028年の制度施行時に会員企業が市場から退場させられる事態を防ぐための防衛策といえます。

運賃ダンピングによって辛うじて事業を維持してきた事業者は、適正原価未達による事業許可更新拒否か、安全品質の不足による荷主からの契約解除という、二重の淘汰圧力に晒されることになります。

まとめ

適正原価の義務化は、長年続いた運賃叩き合いの市場構造を終わらせ、安全性やコンプライアンスの高さで選ばれる市場への転換を決定づけます。

運送事業者の経営層や運行管理者が明日から意識すべき実務対応は以下の通りです。

  1. 自社運行データの集約と原価計算の着手

デジタルタコグラフや動態管理システムの記録を用い、保有車両ごとの固定費、変動費、実車率、走行キロ・時間あたりの運行原価を正確に算出する。

  1. Gマーク認定基準の精査と取得準備

自社の点呼記録、点検整備状況、労務管理体制がGマークの評価基準を充足しているかを確認し、未取得の場合は次期の申請スケジュールに向けた是正計画を策定する。

  1. 荷主との運賃契約における別建て化の点検

運送対価の中に荷役作業料や待機時間料が包含されていないかを確認し、適正原価の算入要件を見据えた別建て契約への改定協議を進める。


出典: 朝日新聞
出典: 一般社団法人京都府トラック協会
出典: 交通労連

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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