郵船ロジスティクスは2026年10月14日、東京都港湾局が主導する「令和8年度東京港オフピークシャトル輸送実証事業」に参画すると発表しました。本事業では同年11月9日から品川区の専用デポを活用し、ターミナルゲート前の混雑を避ける午前中のオフピーク輸送体制を検証します。
東京港デポとシャトル輸送による混雑緩和実証の概要
国内の外貿コンテナ貨物の約25%を取り扱う東京港では、コンテナターミナルゲート前におけるトラックの待機時間が長期化しており、車両回転率の低下が問題となっています。午後から夕方にかけて集中するコンテナ搬出入を比較的空いている午前中へと時間帯をシフトさせるため、東京都港湾局は中継デポを活用した港内シャトル輸送の実証事業を計画しました。
本事業の運用体制と検証枠組みは下表の通りです。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 実施期間 | 2026年11月9日〜2027年1月8日(土日祝・年末繁忙期を除く約30日間) |
| 中継拠点(東京港デポ) | 品川区八潮「大井北時間貸しシャーシプール」の一部区画 |
| 参画事業者(荷主・陸運側) | 郵船ロジスティクス、クボタ、大東港運、濃飛倉庫運輸の4グループ計23社 |
| 港内シャトル運行事業者 | 日本コンテナ輸送、井住運送、宇徳ロジスティクス、サンキュウ・トランスポート・東京 |
| 港湾調整機関 | 東京港港湾運送事業協同組合 |
郵船ロジスティクスは自社の国際複合一貫輸送ネットワークと、同じ日本郵船グループで国内海上コンテナ輸送を手掛ける日本コンテナ輸送株式会社の配車網を連携させます。荷主や一般の陸運事業者は混雑するターミナルへ直接並ぶ必要がなくなり、品川区に設置された東京港デポを経由して実入りコンテナの引き取りや空コンテナの返却を行える仕組みを構築します。これにより、港湾周辺の走行ルートから待機車列を排除し、CONPAS(コンテナ搬出入予約システム)などのデジタル施策と物理的なオフピーク搬出入を併用した運用効果を検証します。
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サプライチェーン関係者に及ぶ実務インパクト
運送事業者:ゲート前待機の解消とドライバー拘束時間の圧縮
ドレージ(港湾コンテナ陸送)を担う運送会社にとって、大井ふ頭周辺で発生している数時間のゲート前待機は、ドライバーの時間外労働上限規制(年960時間)を遵守する上で最大の阻害要因でした。午前中の空いている時間帯に港内シャトル事業者がターミナルとデポ間のピストン輸送を一括して引き受けることで、一般の陸運事業者は混雑の激しいターミナルへの進入を回避できます。
大井北デポでの迅速なシャーシ受け渡しが可能になれば、車両1台あたりの拘束時間が短縮され、1日あたりの運行回転数を引き上げることが可能になります。待機時間の縮小は手待料の未収リスクを軽減し、稼働率に直結するドレージ配車枠の維持につながります。
倉庫事業者・3PL:納品スケジュールの安定化と荷役平準化
輸入コンテナを受け入れる配送センターや3PL倉庫では、港湾ゲート前の滞留によってトラックの到着時刻が読めず、バースの空き時間や荷役作業員の配置に無駄が生じていました。デポ経由のオフピーク搬出が定着すれば、港湾混雑に起因する突発的な便の遅延が抑制され、倉庫側は午前中の早い時間帯から計画通りの荷下ろし(デバンニング)作業に着手できるようになります。
下流工程におけるバース予約やフォークリフトオペレーターのシフト管理を正確な入庫スケジュールに基づいて運用できるため、拠点構内での荷役効率向上に寄与します。
行政・港湾管理者:大井地区の幹線道路渋滞緩和と港湾競争力の維持
東京都港湾局および国交省などの行政機関は、慢性化する青海・大井ふ頭周辺の車線塞ぎやアイドリングによる環境負荷を抑制する実効策を求めてきました。個別の運送会社がばらばらにゲートへ向かう現状から、中継デポを挟んだ集約輸送モデルへ移行させることで、港湾道路のピークトラフィックを平準化できます。
ゲートオープンの早い時間枠に実運送需要を誘導できれば、港全体のコンテナ処理キャパシティが実質的に拡張され、東アジアの主要ハブ港に対する東京港の定時性維持と物流拠点機能の向上が期待されます。
LogiShiftの視点:直行型から「共同中継・オフピーク型」への構造転換
本実証の核心は、従来型の「各社が個別にコンテナターミナルへ直行する個別最適」から、「港湾外縁デポと専用シャトルを介してピークを分散させる共同中継型」への構造転換にあります。
外貿コンテナ物流では、船会社が設定するフリータイム(無料保管期間)の最終日や、倉庫の受け入れ開始時間(午前8時30分〜9時)に合わせた配車が重なることで、大井ふ頭周辺に特定時間帯の車両集中が引き起こされてきました。今回のように、郵船ロジスティクスが持つフォワーディングの貨物情報と、日本コンテナ輸送が持つドレージの実動データを結びつけ、大井北シャーシプールをクッションとして機能させる試みは、港湾のボトルネックを物理的に分離する手法です。
今後この仕組みを社会実装へ移行させるには、デポ利用時に発生する横持ち費用や中継ハンドリングコストを、短縮された待機時間の経済価値や燃料削減効果と照らし合わせて誰が負担するのかという運用ルールの明確化が焦点となります。
まとめ:明日から意識すべきこと
東京港を利用する荷主企業および物流実務者は、自社が手配しているドレージ運行の滞留時間と、納品スケジュールの時間指定を見直す必要があります。
午前中のオフピーク枠を活用した引き取りや、中継デポを前提とした配車計画を荷受人側の受入体制とすり合わせることが、港湾待機リスクを回避するための直接的な実務対応となります。
出典: LOGI-BIZ online
出典: 東京都港湾局
出典: 郵船ロジスティクス



