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Home > 物流用語辞典 > 倉庫・在庫管理> 横持ち

横持ちとは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:横持ちとは、同じ敷地内や近くにある倉庫の間で荷物を水平方向に移動させる作業のことです。目的地へ直接配送できずに中間的な移動や積み下ろしが発生するため、物流の効率を下げてコストを増やす要因になります。 実務への関わり:実務においては、保管スペースの不足や在庫の偏りによって横持ちが発生します。この無駄な移動を削減することで、人件費や車両維持費といったコストを抑えるだけでなく、作業スタッフの負担軽減や出荷スピードの向上が期待できます。 トレンド/将来予測:今後は倉庫管理システム(WMS)などを活用して複数拠点の在庫データを一元管理する動きが主流となります。データを基に最適な在庫配置を行うことで、横持ち自体を発生させない効率的な物流ネットワークの構築が進んでいます。
目次
  • 1. 物流における「横持ち」の定義と類似用語との決定的な違い
  • 1-1. 物流・建設・引越し現場における「横持ち」の基本概念
  • 1-2. 「縦持ち」「ドレージ」「シャトル輸送」との機能比較
  • 2. 横持ちが発生する3つの構造的原因と現場に潜むリスク
  • 2-1. 横持ちが発生せざるを得ない「3つの根本原因」
  • 2-2. 企業体力を奪う横持ちの「3大デメリット」
  • 3. 物流構造を見直す!横持ち費用を削減する物理的アプローチ
  • 3-1. 拠点集約と「適正配置」による発生源のカット
  • 3-2. 輸送頻度の適正化と3PLアウトソーシングの活用
  • 4. WMSとデジタル技術を駆使した横持ち削減のDX手法
  • 4-1. WMSによる複数拠点の「在庫一元化」
  • 4-2. 配車計画・ルートの最適化とTMS連携
  • 5. 横持ちコストを最小化するための「実務チェックリスト」
  • 5-1. 横持ちの無駄を炙り出す「自社チェックリスト5項目」
  • 5-2. 持続可能な輸送体制へのシフト

1. 物流における「横持ち」の定義と類似用語との決定的な違い

1-1. 物流・建設・引越し現場における「横持ち」の基本概念

横持ちとは、同一敷地内または近接する特定拠点間における「水平方向の物品移動」を指す物流用語です。一次保管場所から最終的な出荷場所へ直接運ぶのではなく、中間的なプロセスを経由する際に発生するこの付帯作業は、輸送そのものが新たな付加価値を生まないため、物流コストを押し上げる主要因として問題視されます。

現場ごとの具体的な作業実態は、以下のように分類されます。

  • 物流現場(倉庫間輸送・拠点間輸送):同一企業が運用する隣接した棟同士の移動や、近隣の別倉庫へ在庫を移動させる行為です。例えば、関東近郊で3箇所の分散型倉庫を運用するメーカーにおいて、出荷指示に対して倉庫Aの在庫が不足したため、15km離れた倉庫Bから在庫を一時的に移動させるようなケースが該当します。
  • 建設現場(小運搬):現場周辺の道路事情により大型トラックが進入できない場合、少し離れた資材置場(一次仮置き場)で荷下ろしし、そこから小型車両や台車で施工箇所まで水平移動させる作業を指します。
  • 引越し現場:新居の前の道路が狭くトラックを横付けできない際、大通りに駐車したトラックから玄関口まで、台車を用いて荷物を運ぶピストン移動が横持ちにあたります。

これらの共通点は、目的地への直接配送(ワンストップ)ができず、中間に「積み下ろし」や「再ハンドリング」という余分な工程が挟まる点です。例えば、月間3,000件の出荷を行う3PL事業者において、この中間ハンドリングが1回増えるだけで、作業スタッフの工数が1.3倍に膨らむといった実務上の損失が発生します。そのため、WMS(倉庫管理システム)による在庫最適化や拠点集約を検討する前に、まず自社で発生している移動が「横持ち」に該当するのか正しく見極める必要があります。

1-2. 「縦持ち」「ドレージ」「シャトル輸送」との機能比較

実務において「横持ち」と混同されやすい言葉に、「縦持ち」「ドレージ」「シャトル輸送」があります。それぞれの用語は移動の方向、輸送区間、そして発生する目的が明確に異なります。これらを取り違えて理解すると、物流コストの分析時に適切な課題設定ができません。

以下の表は、各輸送・移動形態の定義と発生要因を4つの項目で整理した機能比較マトリクスです。

用語 移動の主目的・方向 主な輸送区間 発生する主な要因
横持ち 水平方向の近距離移動 敷地内、または近隣の拠点間 保管スペース不足、在庫の偏り
縦持ち 垂直方向の上昇・下降移動 複数階層があるビルや立体倉庫内 エレベーターやリフトの経由
ドレージ 海外コンテナの陸上輸送 港湾コンテナターミナルから荷主倉庫 輸入・輸出に伴う通関後の移送
シャトル輸送 2拠点間の定時・往復運行 工場と主要配送センター(DC)間など 生産拠点と出荷拠点の分離

「縦持ち」は、複数階建てのマルチテナント型倉庫などで、1階の荷受場から上層階の保管エリアへとエレベーターや垂直搬送機を使って垂直に荷物を移動させる作業です。水平移動である「横持ち」とは方向が決定的に異なります。実務では、縦持ち専用の待機時間やリフト使用料が追加コストとして発生します。

「ドレージ」は、主に国際物流において港に到着した海上コンテナを、中身を取り出さずにデコンテナ(デバンニング)を行う指定倉庫まで、専用のシャーシ(台車)で陸上輸送する行為です。移動距離は数十キロメートルに及ぶこともあり、単なる「社内都合の移動」である横持ちとは異なり、貿易プロセスに組み込まれた不可避の輸送といえます。

「シャトル輸送」は、あらかじめスケジュールが組まれた特定の2拠点間を、大型トラック等がピストン運行(往復)する仕組みです。突発的・不規則に発生しがちな倉庫間輸送としての横持ちに対し、シャトル輸送は工場の生産計画と配送センターの入出荷計画に基づき、定期ダイヤで計画運行される点が特徴です。自社のコスト無駄を特定する際は、それが計画された「シャトル輸送」なのか、突発的に生じた非効率な「横持ち」なのかを分類して集計することが、その後の改善への第一歩となります。

2. 横持ちが発生する3つの構造的原因と現場に潜むリスク

物流現場において横持ちは、売上に直接寄与しない非効率なコストの代表格として捉えられています。荷主から最終消費者に直接届く幹線輸送や配送とは異なり、自社の拠点間輸送や倉庫間輸送である横持ちは、移動させただけでは商品の価値を生みません。それどころか、無駄な運賃や荷役人件費を発生させ、営業利益を直接的に圧迫する要因となります。

2-1. 横持ちが発生せざるを得ない「3つの根本原因」

多くの物流現場で横持ちが恒常化している背景には、単なる現場の不手際ではなく、物流網の設計やシステム構築の遅れといった構造的な問題が存在します。具体的には、以下の3つの原因に大別されます。

1. 在庫分散による拠点間連携の不備
複数の倉庫を運営しているものの、WMSなどのITシステムによるリアルタイムな在庫一元管理が行われていない場合に発生します。例えば、東日本エリアの注文に対して、本来最寄りの拠点から出荷すべきところを、在庫情報の同期遅れや在庫の偏りによって、西日本の拠点から東日本の拠点へ急遽「倉庫間輸送」を行って補填するケースです。このようにシステム連携の不足は、不要な拠点間輸送を誘発する最大の引き金になります。

2. 流通加工や検品プロセスの分断
輸入製品を取り扱う現場などで、通関後の保管場所と、値札貼りやアソート詰めといった流通加工・検品を行う場所が物理的に分かれている場合に発生します。港湾地区でデバンニング(コンテナからの荷下ろし)した後にドレージ輸送で直接保管倉庫へ運べず、一度加工専門の倉庫へ横持ちし、加工作業後に改めて配送拠点へ輸送するルートを組まざるを得ない状況がこれに該当します。施設の機能分化が裏目に出て、工程間の移動コストが重なります。

3. 急激な需要変動と保管キャパシティの限界
季節性のある商材やセールの実施によって一時的に保管容量が限界に達した場合、やむを得ず近隣の外部倉庫を一時借用することになります。この際、メイン倉庫と一時保管用のサブ倉庫の間で在庫を頻繁に移動させる「シャトル輸送」が発生します。需要予測の精度が低く、急な在庫増加に対応できる拠点集約ができていない場合、こうした突発的な横持ち費用の発生を抑えることはできません。

2-2. 企業体力を奪う横持ちの「3大デメリット」

横持ちの常態化は、単に「社内での移動費用がかかる」という単純な問題に留まりません。企業の競争力を直接的に削ぐ、以下の3大デメリットをもたらします。

デメリット1:物流コストの二重発生
横持ちを行うためには、自社トラックまたは委託先運送会社の車両手配が必要です。さらに、出発地での積み込み、到着地での荷下ろしという「荷役作業(にやくさぎょう)」が必ずセットで発生します。例えば、不必要な横持ちが1回発生するごとに、運賃だけでなくフォークリフトの稼働費や作業員の人件費がそのまま上乗せされ、全体の物流コストを押し上げます。

デメリット2:配送リードタイムの長期化
横持ちプロセスが介在することで、顧客への納品スピードは低下します。本来なら「受注・即日出荷」が可能であるはずが、倉庫間輸送の時間を挟むことで半日〜1日以上のタイムロスが生じます。エレベーターなどを利用して建物内部を上下に移動させる縦持ちとは異なり、横持ちは拠点間の物理的な距離を移動するため、交通渋滞やトラックの配車状況によってリードタイムの遅延リスクがさらに高まります。

デメリット3:破損・汚損リスクの向上
物流において、貨物の破損事故が最も発生しやすいのは輸送中ではなく「荷役(積み下ろし)の瞬間」です。横持ちが発生すると、荷役の回数が単純計算で2倍(積込み時と荷下ろし時)に増加します。フォークリフトによる爪の引っ掛け事故、手作業での落下、トラック輸送中の荷崩れなど、製品がダメージを受ける機会が物理的に増え、結果として商品評価損(ロス)や顧客からのクレームを引き起こす引き金となります。

3. 物流構造を見直す!横持ち費用を削減する物理的アプローチ

物流現場において無駄なコストとされる横持ちは、物理的な物流ネットワークの配置や、在庫管理の精度不足によって発生します。このコストを排除するためには、運賃交渉にとどまらない、物流構造そのものへ切り込む物理的なアプローチが必要です。実務者が主導して実行できる具体的な改善策を解説します。

3-1. 拠点集約と「適正配置」による発生源のカット

横持ちが発生する最大の要因は、拠点が分散していること、そしてそれぞれの拠点における在庫配置が最適化されていないことにあります。最も効果の高い対策は、物理的な「拠点集約」です。

例えば、東関東と西関東に分散していた2つの保管倉庫を、主要な消費地や港湾(大井埠頭などのドレージ輸送の起点)へのアクセスが良い1拠点に統合します。これにより、従来発生していた倉庫間の「シャトル輸送」そのものを廃止できます。統合にあたっては、以下の手順で進めることが実務上重要です。

  • 出荷データの分析:過去1年分の出荷データを分析し、全出荷の8割を占める主要届け先(デリバリー先)の重心点を割り出します。
  • 立地選定:重心点からリードタイム内に配送可能で、かつドレージや幹線輸送の連携がスムーズなエリアに統合拠点を求めます。
  • WMSの一元化:複数拠点に分かれていた在庫データを新拠点に導入するWMSで一元管理し、倉庫内の「縦持ち」や無駄な横移動が発生しない格納ロケーションを設計します。

具体例として、月間50往復発生していた10tトラックによる拠点間輸送(横持ち)を、WMSの導入と1拠点への統合によってカットした場合、1運行あたり3万円の傭車費として、月額150万円(年間1,800万円)の物流コスト削減が直接的に実現します。物理的な距離をゼロにすることが、最大の横持ち費用削減策となります。

3-2. 輸送頻度の適正化と3PLアウトソーシングの活用

賃貸契約の残存期間や投資対効果の兼ね合いから、即座の拠点集約が困難な場合は、「輸送頻度の適正化」と「3PL(サードパーティ・ロジスティクス)への共同配送委託」を組み合わせたアプローチを実行します。

まずは、自社で手配している横持ちトラックの積載率を算出します。毎日午前と午後の2回、定時で運行しているシャトル輸送において、積載率が30%を下回っているケースは少なくありません。この場合、以下の手順で運行頻度を見直します。

  • リードタイムの猶予交渉:製造部門や販売部門と調整し、横持ちを伴う出荷のリードタイムを「即日」から「翌日」へ変更します。
  • 便数の集約:1日2便だった運行を1日1便に統合、あるいは2日に1便に集約し、1回あたりのトラック積載率を80%以上に引き上げます。これにより、横持ちの運行回数そのものを半減させます。

さらに、自社単独での輸送(チャーター便)を止め、3PL事業者が提供する共同配送ネットワークへ移行することも有効です。他社の荷物と積み合わせる「路線便・混載便」を活用することで、横持ち費用を車両1台あたりの「固定費」から、出荷量に応じた「変動費(従量制料金)」へシフトさせることができます。

4. WMSとデジタル技術を駆使した横持ち削減のDX手法

物理的な物流ネットワークの見直しや拠点集約は、多額の投資と準備期間を要するため、即座に実施することが困難なケースが少なくありません。そこで、より迅速かつ投資対効果(ROI)を明確にしながら横持ち削減を推進するアプローチとして、ITやデジタル技術を活用した物流DXが有効な手段となります。なかでも、WMSとTMS(運行管理システム)の導入・連携は、無駄な倉庫間輸送や拠点間輸送をシステム制御によって未然に防ぐ具体的な解決策です。

4-1. WMSによる複数拠点の「在庫一元化」

不要な横持ちが発生する主な原因は、近隣にある複数倉庫の在庫データがリアルタイムに連携されていないことにあります。例えば、同一エリア内に3つの分散型倉庫を運用しているケースにおいて、各倉庫の在庫状況が個別に管理されていると、特定の出荷オーダーに対して「A倉庫には在庫がなく、B倉庫にはあるが、出荷指示はA倉庫に出ている」といった不整合が発生します。この結果、不足分をB倉庫からA倉庫へ緊急で倉庫間輸送(横持ち)することになり、余計なコストが発生します。

WMSによる在庫一元化は、物理的に離れた複数の拠点や倉庫群をシステム上で一つの「バーチャル(仮想)倉庫」として統合管理するメカニズムを提供します。受注管理システム(OMS)とリアルタイムに同期したWMSは、出荷指示が下りた時点で、配送先に最も近い拠点、あるいは同一拠点内で出荷が完結する最適な在庫を自動的に引き当てます。これにより、出荷のための緊急の横持ちや、特定の倉庫における過剰在庫と他拠点での欠品という偏在状態を防ぐことができます。

具体的には、月間約5,000件の出荷トランザクションを処理する消費財メーカーにおいて、これまで各倉庫がExcelや個別のシステムで在庫を管理していた場合、出荷対応のための緊急の倉庫間輸送(横持ち)が月平均で40回発生していました。これを、複数拠点の在庫をリアルタイムに紐付けるクラウド型WMSの導入へと切り替え、受注データと連動した統合引当ルール(同一拠点内からの出荷を最優先する設定)を適用した結果、倉庫間の緊急横持ち回数を月間3回以下に抑え、余分な横持ち費用の削減を早期に達成できます。

4-2. 配車計画・ルートの最適化とTMS連携

WMSによって在庫データが一元化された後は、現場間の実際の移動(物理的な輸送)を最適化するために、TMS(運行管理システム)とのシステム連携が不可欠です。複数のサテライト倉庫からマザー倉庫への横持ち、あるいは特定の生産工場と物流倉庫を結ぶピストン運行(シャトル輸送)において、配車計画が担当者の「経験」や「勘」に頼っていると、積載率の低下や無駄な稼働便数の増加といった非効率が生じます。

WMSから出力される翌日の出荷・移動データ(容積や重量)を、TMSの自動配車アルゴリズムに直接連携させることで、積載率を最大化する車両台数や最適なローテーションを自動的に算出します。また、横持ち、ドレージ、縦持ちなど、輸送の特性に応じた適切な車両割り当てと運行ルートが策定されます。

以下は、WMSとTMSの連携が横持ち業務に与える具体的なメリットを整理した比較表です。

管理項目 導入前の課題(アナログ運用) WMS・TMS連携による対応策 導入後の具体的メリット
積載率の管理 各車両の荷台に余白が多い状態でシャトル輸送が頻繁に往復し、輸送コストが無駄に発生している。 WMSの貨物サイズデータとTMSを連携させ、3D積み付けシミュレーションにより積載率を最大化。 運行便数の削減につながり、横持ち費用を直接的にカットできる。
配車計画の作成時間 翌日の横持ち・拠点間輸送の手配に、配車担当者が毎日2〜3時間を費やしている。 翌日の出荷・移動要求データに基づき、最適な運行ルートと車両割り当てをシステムが自動計算。 配車計画の作成時間を15分に短縮し、管理コストの削減と属人化の解消を実現する。
ドレージや縦持ちとの重複排除 港湾からのドレージ輸送や、現場内での縦持ち・横持ちの動線が重なり、車両の待機時間が発生。 配送状況や倉庫の入出荷バースの空き状況をリアルタイムに把握し、最適な着車時間・ルートを指示。 車両の待機時間を平均50%削減し、ドライバーの拘束時間を抑制する。

例えば、近隣にある3つのサテライト倉庫と中央物流センター間で、毎日定期シャトル輸送を15便(4トントラック15往復)運行している企業の場合、WMSとTMSの連携により積載率を従来の平均60%から85%へと向上させることができます。これにより、毎日の運行便数を15便から11便へと25%以上削減することが可能となり、燃料費や外部チャーター便の委託費を含む物流コストの削減に直結します。

5. 横持ちコストを最小化するための「実務チェックリスト」

物流現場における横持ちは、保管スペースの不足や非効率な拠点配置など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。無駄なコストを削減するためには、まず自社の現状を客観的に評価し、どこにボトルネックがあるのかを突き止める必要があります。

5-1. 横持ちの無駄を炙り出す「自社チェックリスト5項目」

拠点間輸送や倉庫間輸送における「見えないコスト」を可視化するための自己診断用チェックリストです。自社の運用状況と照らし合わせ、改善が必要な領域を特定してください。

チェック項目 具体的な評価基準 潜む無駄と物流コストへの影響 改善アクション
1. 積載効率 シャトル輸送や拠点間輸送におけるトラックの平均積載率が80%未満である 空車スペースを運ぶことになり、運行あたりの単価が上昇して運賃のロスが発生する ダイヤグラムの見直しや、定期便から臨時混載便への切り替えを検討する
2. 輸送の頻度 同一エリア内の倉庫間輸送が、計画外の「緊急便」として週3回以上発生している スポット便の手配により、通常料金の1.2〜1.5倍の臨時費用が発生する 在庫引当ルールの見直し、または保管機能を一元化する拠点集約を行う
3. ドレージとの連携 港湾デポからのコンテナドレージ後、デバンニングして即座に別倉庫へ横持ちしている 二重の荷役作業(荷下ろし・再積み込み)と、不要な近距離運賃が発生する コンテナのまま最終目的地まで運ぶか、最初の入庫先で配送まで完結させる
4. WMSの活用度 複数倉庫の在庫データがリアルタイムに連携されておらず、目視や電話で在庫確認している システム上の在庫と実在庫のズレを埋めるために、帳尻合わせの横持ちが発生する WMSを導入・統合し、拠点全体の在庫ステータスをリアルタイムに一元管理する
5. 荷役の重複 倉庫内の上下移動(縦持ち)と、棟間や外付けテントへの移動(横持ち)が連続して発生している フォークリフトの走行距離が延び、作業員の稼働時間が1稼働あたり15分以上余計に拘束される 動線設計を見直し、入庫エリアと高頻度出荷エリアを最短距離で結ぶロケーション管理を徹底する

例えば、月間2,000パレットの出荷を処理する3PL事業者において、上記の「積載効率」と「輸送の頻度」を改善した結果、横持ちの運行回数を月30回から10回へと削減し、月額数十万円規模の物流コストを直接削減できた実務例があります。まずは現状の数値を測定することが、具体的な削減への第1歩となります。

5-2. 持続可能な輸送体制へのシフト

ドライバーの労働時間規制が厳格化された「物流2024年問題」や、さらに実務上の規制が強化される「2026年問題」への対応において、物流業界に求められているのは、いかにドライバーの拘束時間を短くするかという実務的な改善です。価値を生まない移動である横持ちを放置することは、ドライバーの貴重な運転時間を無駄に消費し、運送会社から取引を敬遠されるリスクを高めます。

持続可能な輸送体制へ移行するため、以下の3つのステップを実行する必要があります。

  • 在庫の適地配置と拠点集約の実行: 分散しているサテライト倉庫を1つのマザー倉庫へ拠点集約します。保管場所を物理的にまとめることで、拠点間を往復する横持ちそのものを根本から消滅させます。
  • WMSによる高度な在庫配分計画: WMSのデータを基に、過去の出荷実績から需要を予測し、適切な拠点へあらかじめ在庫を分散配置します。これにより、出荷直前での緊急的な倉庫間輸送を防ぎます。
  • 縦持ちと横持ちを連動させたシームレスな荷役設計: 荷主企業と運送事業者が連携し、パレット化の推進や自動搬送機の活用を進めます。トラックが到着してから出発するまでの荷待ち・荷役時間を1回あたり30分未満に短縮することで、拘束時間を削減します。

突発的な横持ち費用の発生を抑制することは、目先の費用削減にとどまらず、輸送パートナーとの良好な関係を維持するための実務的防衛策でもあります。単一の拠点内改善にとどまらず、サプライチェーン全体の配置を見直すことが、次世代の安定した物流網の構築につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 物流における「横持ち」とは何ですか?

A. 横持ちとは、同一の敷地内や近接する特定の拠点間で行われる「水平方向の物品移動」のことです。例えば、一次保管用の倉庫から出荷用の倉庫へ荷物を移すような付帯作業を指します。この移動自体は新たな価値を生まないため、物流コストを押し上げる要因として削減の対象になりやすいのが特徴です。

Q. 「横持ち」と「縦持ち」や「ドレージ」の違いは何ですか?

A. 「横持ち」が水平方向の拠点間移動を指すのに対し、「縦持ち」は商業ビルなどの高層階へ荷物を運ぶ「垂直方向の移動」を指します。一方、「ドレージ」は港湾に届いたコンテナを専用トラックで陸上輸送することを指すため、一般的な近接拠点間を往復する横持ちとは移動の目的や規模が異なります。

Q. 物流の「横持ち」コストを削減する方法はありますか?

A. 最大の削減策は、物流拠点を集約して移動そのものをなくすことです。また、WMS(倉庫管理システム)を導入して複数拠点の在庫を一元管理し、無駄な移動を可視化するDX手法も効果的です。輸送頻度の見直しや、配車計画の最適化、3PL(物流アウトソーシング)の活用も有効な手段となります。

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