- キーワードの概要:ドレージ輸送とは、港に到着した海上コンテナを別のトラックに積み替えることなく、コンテナのまま目的地まで陸送する輸送手段です。国際貿易と国内物流をつなぐ重要な役割を持っています。
- 実務への関わり:コンテナのサイズや重量に応じて2軸・3軸シャーシを使い分ける知識や、待機料金(シャーシ留置料)を抑えるための段取りが求められます。適切な手配はコスト削減に直結します。
- トレンド/将来予測:物流業界の労働規制強化に対応するため、港湾での待機時間を減らす取り組みや、ITシステム(DX)を活用した効率的な運行管理、混雑を避けるシャトルドレージの導入が進んでいます。
港湾から内陸へと海上コンテナをそのまま陸送するドレージ輸送。日本の国際貿易を支えるこの輸送手段には、一般トラック輸送とは異なる特殊なルールや運賃体系、シャーシの規格が存在します。実務担当者が直面する2軸・3軸シャーシの選択基準から、法改正に伴うコスト抑制策、港湾混雑を回避する具体的な運用フローまでをプロフェッショナルの視点で解説します。
- 1. ドレージ輸送の基礎知識と一般トラック輸送との決定的な違い
- 1-1. ドレージ輸送(海上コンテナ輸送)の定義と語源
- 1-2. 一般トラック輸送とドレージ輸送を分ける「3つの比較軸」
- 2. シャーシ(車両)の種類・サイズ・最大積載量スペック比較
- 2-1. 20フィート・40フィートシャーシの外寸と仕様一覧
- 2-2. 2軸と3軸の違い:最大積載量とコンプライアンス上の注意点
- 3. 港湾物流で使い分けるドレージの種類(オンドック・オフドック・シャトル)
- 3-1. 港湾地区から直結する「オンドックドレージ」と「オフドックドレージ」の違い
- 3-2. 港湾混雑とコンテナ滞留を回避する「シャトルドレージ」の役割
- 4. ドレージ料金(コスト)の仕組みと見積もり時の付帯料金対策
- 4-1. ドレージ料金を構成する「基本料金」と「スライド制サーチャージ」
- 4-2. 実務を圧迫する「待機料金(シャーシ留置料)」の発生メカニズムと予防策
- 5. ドレージ手配を円滑に進める実務フローと労働規制強化への現場対策
- 5-1. 新規依頼時に手戻りを防ぐ「ドレージ手配情報チェックリスト」
- 5-2. ドレージ不足時代を生き抜く「待機時間削減」と「DX連携」の具体策
1. ドレージ輸送の基礎知識と一般トラック輸送との決定的な違い
1-1. ドレージ輸送(海上コンテナ輸送)の定義と語源
ドレージ輸送とは、港湾に到着した海上コンテナを、中身を別の車両に積み替えることなく、専用の台車(シャーシ)に載せたまま目的地(荷主の倉庫や工場など)まで陸上輸送する方式を指します。一般的には「海コン(かいこん)輸送」とも呼ばれ、日本の輸出入物流を支える基幹的な輸送手段です。
この「ドレージ(drayage)」という言葉の語源は、かつて馬が引く平らな荷車(dray)を使って、港湾や鉄道駅から近隣の倉庫へ荷物をピストン輸送していた歴史に由来します。物流実務においても、港湾のコンテナターミナルから内陸の指定地まで、国際標準規格化されたコンテナをそのままの形で運ぶ役割を担っています。例えば、主要な港湾に到着したコンテナを、港湾地区の保税エリアから直接引き出して輸送する「オンドックドレージ」を行うことで、迅速な通関手続きから国内配送へのシームレスな移行が可能になります。このように、国際貿易における海上輸送と国内の陸上物流を繋ぐ結節点として、ドレージ輸送は外せない存在です。
1-2. 一般トラック輸送とドレージ輸送を分ける「3つの比較軸」
初めて輸出入業務やバルク輸送に携わる担当者にとって、「一般的な10トントラックによる輸送と、ドレージ輸送のどちらが自社に適しているか」の判断は、コストと効率の最適化に直結します。両者の決定的な違いは、「荷物の積み替えの有無」「輸送効率」「コスト構造」の3つの軸にあります。
| 比較軸 | 一般のトラック輸送(大型ウイング車等) | ドレージ輸送(海上コンテナ輸送) |
|---|---|---|
| 荷物の積み替えの有無 | 港の倉庫等でコンテナから荷物を取り出し(デバンニング)、トラックの荷台へ積み替える必要がある。 | 船から降ろした海上コンテナを、そのまま専用のシャーシに連結して運ぶため、途中の積み替えが発生しない。 |
| 輸送効率と積載量 | 1車あたりの最大積載量は約10トン。荷役作業(バラ積み・パレット積み)にドライバーや作業員の手間と時間を要する。 | 20フィート 40フィートのコンテナを丸ごと運ぶ。シャーシ 種類や軸数(2軸 3軸)の組み合わせにより、20トン以上の大容量を一度に輸送可能。 |
| コスト構造の特徴 | 距離・時間に基づく運賃に加え、荷役人件費や倉庫でのデバンニング・一時保管費用が個別に発生する。 | 港からの距離別のドレージ 料金相場がベースとなる。積み替え人件費は浮くが、コンテナ返却遅延に伴う追加ペナルティ等に注意が必要。 |
上記テーブルが示す通り、実務において留意すべきは「商品破損リスクの低減」と「待機・延滞に伴う追加コスト」のトレードオフです。ドレージ輸送は海外の荷送り人が封印したコンテナを目的地まで一貫して運ぶため、一般トラック輸送で行われる港湾倉庫での一時デバンニングや再積載の手間がなく、商品の破損リスクを大幅に抑えられます。一方で、車両が港湾で待機した際の「待機料金」や、空コンテナの返却期限超過による「デマレージ(超過保管料)」「ディテンション(返却延滞料)」といったドレージ特有のペナルティ料金が発生しやすい性質があります。このため、実務においては運行スケジュールと港湾ターミナルの混雑動向を連携させた緻密な運行管理が必要です。
2. シャーシ(車両)の種類・サイズ・最大積載量スペック比較
海上コンテナを陸上輸送するドレージにおいて、コンテナを載せる台車である「シャーシ」の選定は、安全性と法令順守(コンプライアンス)の観点から最も重要な実務プロセスの一つです。コンテナのサイズや総重量に適さないシャーシを手配した場合、公道を走行できないだけでなく、港湾での受け取り拒否や余計なコストの発生につながります。
ここでは、代表的なシャーシ 種類である20フィート用と40フィート用のサイズスペック、および実務で最も間違いが許されない「2軸」と「3軸」の最大積載量の違いについて解説します。
2-1. 20フィート・40フィートシャーシの外寸と仕様一覧
ドレージ輸送で使用されるシャーシは、積載する海上コンテナのサイズ(20フィート 40フィート)に合わせて設計されています。一般的に使用される標準的なシャーシの外寸スペックは以下の通りです。
| シャーシの種類 | 全長(目安) | 全幅 | 全高(荷台面地上高) |
|---|---|---|---|
| 20フィート専用シャーシ | 約7,500mm | 約2,490mm | 約1,150mm〜1,250mm |
| 40フィート専用シャーシ | 約12,500mm | 約2,490mm | 約1,150mm〜1,250mm |
| 40フィート(ハイキューブ対応) | 約12,500mm | 約2,490mm | 約1,100mm(低床設計) |
背高コンテナ(ハイキューブコンテナ:高さ9フィート6インチ、約2.9m)を輸送する場合は、道路法の高さ制限(原則4.1m、指定道路以外は3.8m)をクリアするために、連結面の高さを抑えた低床仕様のハイキューブ対応シャーシを使用する必要があります。通常のシャーシにハイキューブコンテナを載せて走行すると、高さ制限を超過し道路法違反となるため、事前のルート確認と適切なシャーシ選定が不可欠です。
2-2. 2軸と3軸の違い:最大積載量とコンプライアンス上の注意点
実務においてシャーシ選定の成否を分けるのが、後輪の車軸数(2軸 3軸)による最大積載量の制限です。日本の道路法および車両制限令により、車両総重量(GVW)の制限が設けられており、軸数によって積載できるコンテナの総重量(コンテナ自重+貨物重量)が厳格に定められています。
| シャーシサイズ | 軸数 | 最大積載量(コンテナ総重量) | 実質貨物積載量の目安 |
|---|---|---|---|
| 20フィート | 2軸 | 20,320kg(20.32t) | 約18,000kg(18.0t)以下 |
| 20フィート | 3軸 | 24,000kg(24.00t) | 約21,500kg(21.5t)以下 |
| 40フィート | 2軸 | 20,320kg(20.32t) | 約16,500kg(16.5t)以下 |
| 40フィート | 3軸 | 24,000kg(24.00t)※密着3軸は24.4t | 約20,000kg(20.0t)以下 |
※実際の最大積載量は、牽引するトラクター(ヘッド)の第五輪荷重や車両自重との組み合わせによって変動するため、車検証に記載された数値を必ず確認してください。
この2軸と3軸の選定ミスは、荷主企業にとって重大な実務トラブルを引き起こします。例えば、コンテナ自重を含めて総重量23トンの20フィートコンテナを輸入した際、配車担当者が誤って「2軸シャーシ」を手配してしまった場合、以下のような実務上の損害が発生します。
- 港湾での引き取り拒否と追加費用:コンプライアンス違反となるため、コンテナターミナルから公道へ搬出できません。その結果、急遽3軸シャーシや適合するトラクターを再手配する必要が生じ、余計な待機料金や、通常のドレージ 料金相場を上回る当日の緊急手配費用が発生します。
- フリータイム超過によるペナルティ:コンテナの引き取りが遅れることで、ターミナル内での保管無料期間(フリータイム)を超過し、高額なデマレージ(コンテナ超過保管料)が課されます。さらに、空コンテナの返却が遅れればディテンション(コンテナ返却延滞料)の支払い義務も生じます。
- 運行効率の低下と法規制への影響:コンテナ船から直接シャーシに載せて搬出するオンドックドレージなどを計画していても、シャーシの手配ミスによって計画は破綻します。限られた乗務員の労働時間を無駄に消費することは、ドライバーの時間外労働に上限が課される法規制の強化が進むなか、輸送効率を著しく阻害する要因となります。
過積載防止をはじめとするコンプライアンス順守のために、貨物の梱包明細書(P/L)に記載された純重量(Net Weight)だけでなく、コンテナ自重(Tare Weight)を足した「総重量(Gross Weight)」を必ず荷受前に確認し、重量が20.3トンを超える場合は3軸シャーシを指定・手配する仕組みを社内でルール化してください。
3. 港湾物流で使い分けるドレージの種類(オンドック・オフドック・シャトル)
オンドック、オフドック、シャトルというドレージの3つの形態は、港湾から荷主の倉庫までの海上コンテナ輸送における「経由地」と「輸送スピード」を決定付ける重要な区分です。これらを適切に使い分けることは、リードタイムの短縮だけでなく、不要な追加費用の抑制に直結します。
3-1. 港湾地区から直結する「オンドックドレージ」と「オフドックドレージ」の違い
オンドックドレージとオフドックドレージの最も大きな違いは、港湾のコンテナターミナルから最終目的地(荷主の倉庫など)へ「直接運ぶか」「中継地を挟むか」という点にあります。それぞれの定義、発生するシーン、およびメリット・デメリットは以下の通りです。
| 項目 | オンドックドレージ | オフドックドレージ |
|---|---|---|
| 定義 | コンテナターミナルから直接、指定の納品先まで海上コンテナをドレージ輸送する形態。 | 港湾外にある保税蔵置場(バンプールや外部デポなど)に一度コンテナを移動させ、そこから最終納品先へ配送する形態。 |
| 発生するシーン | 納品先の受入体制が整っており、コンテナ到着後すぐにデバンニング(荷下ろし)ができる場合。 | 自社倉庫の保管スペースに空きがない場合や、通関手続き・検品に時間を要する場合。 |
| メリット | ・中継費が発生せず、シンプルな料金体系 ・最短のリードタイムで納品が可能 |
・コンテナを一時保管できるため、倉庫側の受入タイミングを調整可能 ・デマレージの発生を回避しやすい |
| デメリット | ・ターミナル混雑時に車両が拘束されやすい ・フリータイム(無料保管期間)内の引き取りが必須 |
・中継デポでのハンドリング料金や保管料が加算される ・ドレージ 料金相場に加えて追加費用が発生する |
実務における判断において、例えば月間100TEU以上の海上コンテナを輸入するアパレルEC事業者では、通常期はオンドックドレージによる直行ルートでコストを最小化しつつ、セール期など自社倉庫の受入上限を超える時期には、港外の外部デポへコンテナを一時退避させるオフドックドレージへ切り替える運用が効果的です。これにより、フリータイム(通常5〜7日間)超過による高額なデマレージの発生を未然に防ぐことができます。
3-2. 港湾混雑とコンテナ滞留を回避する「シャトルドレージ」の役割
シャトルドレージとは、港湾のコンテナターミナルと、その近隣(数キロメートル圏内)に位置するバンプールや中継デポとの間を、ピストン(往復)運行するドレージ輸送を指します。長距離を走るのではなく、港湾エリア内のみに限定して繰り返し往復するのが特徴です。
例えば、東京港の大井コンテナ埠頭や大阪港の南港地区など、主要なコンテナターミナルでは、朝夕の時間帯にゲート前で数時間の信号待ちや入場待ちが発生します。時間外労働の規制強化によりトラックドライバーの労働時間制限が厳格化するなか、こうしたゲート前での「車両待機」は、運送会社から荷主へ請求される待機料金の上昇を招く直接的な要因となっています。
この課題を解決するためにシャトルドレージが機能します。具体的な運行プロセスは以下の通りです。
- 混雑を避けた搬出:ターミナルの混雑が比較的穏やかな夜間や早朝に、シャトルドレージ専用のトラクターを用いてコンテナをターミナルから搬出し、近隣の中継デポまでピストン輸送して仮置きします。
- 効率的な本線輸送への接続:日中、本線輸送(長距離ドレージ)を担うトラクターが中継デポを訪れ、待機時間ゼロで海上コンテナを連結して荷主のもとへ出発します。
このスキームは、シャーシ 種類の選定においても優位に働きます。20フィートや40フィートのコンテナは、貨物の重量によってシャーシの車軸数(2軸・3軸)を使い分ける必要があります。具体的には、20フィートコンテナで貨物重量が約20.3トンを超える場合、あるいは40フィートコンテナで約24.4トンを超える場合は、公道を走行するために最大積載量の大きい「3軸シャーシ」の手配が義務付けられています。シャトルドレージにより一度近隣デポに集約することで、自社の保有する2軸 3軸シャーシの空き状況に合わせた臨機応変な組み替えや配車が可能になります。
荷主企業がフォワーダーと連携する際は、単に「A地点からB地点へのドレージ 料金相場」のみで比較するのではなく、ゲート前の平均待機時間が2時間を超えるような混雑期においては、あらかじめシャトルドレージと中継デポを組み合わせた輸送ルートの見積もりを依頼してください。待機料金の発生リスクと、シャトル運賃+デポ使用料のコストを天秤にかけることが、激化する港湾混雑を生き抜くための実務的な防衛策となります。
4. ドレージ料金(コスト)の仕組みと見積もり時の付帯料金対策
ドレージ輸送のコスト管理において、最も重要なのは「運賃の構成要素」を正しく把握することです。一般的なトラック輸送と異なり、ドレージは「実入りコンテナの配送」と「空コンテナの返却(または引き取り)」という往復運行(ラウンド運行)が基本となるため、料金体系が特殊です。これを見落とすと、予算段階と実請求段階で大きな乖離が発生します。
4-1. ドレージ料金を構成する「基本料金」と「スライド制サーチャージ」
ドレージの基本料金は、港から配送先までの距離に応じた「距離制運賃」が主流です。運賃は、輸送する海上コンテナのサイズ(20フィート 40フィート)や、牽引するシャーシ 種類、およびその最大積載量によって変動します。
具体的には、3軸シャーシを使用する場合、2軸シャーシよりも重いコンテナを運べるため最大積載量は増えますが、車両維持コストや高速道路通行区分が変わるため、基本運賃が約10%〜20%高く設定される傾向にあります。また、港湾内のターミナル間や近隣のバンプール間でコンテナを移動させる「オンドックドレージ」は、短距離用の専用料金が適用されます。
以下に、東京港起点とした場合の一般的なドレージ 料金相場(ラウンド運行基準)を示します。
| 運行エリア(距離) | 20フィート(2軸) | 40フィート(3軸) | 主な付随条件 |
|---|---|---|---|
| 港湾地区内(オンドック等) | 約15,000円〜25,000円 | 約20,000円〜30,000円 | ターミナル間移動 |
| 近距離(30km圏内) | 約35,000円〜45,000円 | 約45,000円〜55,000円 | 片道1時間程度 |
| 中距離(100km圏内) | 約60,000円〜75,000円 | 約75,000円〜95,000円 | 高速道路料金は別途実費 |
この基本運賃に加え、軽油価格の変動に応じて課される「燃料サーチャージ(燃料スライド制)」が加算されます。例えば、基準軽油価格から1リットルあたり5円上昇するごとに、基本運賃の1.5%〜2%をサーチャージとして加算するルールが一般的です。相見積もりを比較する際は、提示された金額に燃料サーチャージが含まれているか、また適用される基準価格がいつの時点のものかを確認しなければ、実質的なコスト比較ができません。
4-2. 実務を圧迫する「待機料金(シャーシ留置料)」の発生メカニズムと予防策
ドレージ輸送において、見積もり予算を最も超過しやすい要因が「待機料金(シャーシ留置料)」をはじめとする付帯料金です。特に、コンテナ船の遅延や港湾ターミナルの混雑、荷主側の荷役作業の遅れによって発生する各種超過料金は、実務上の大きなボトルネックとなります。
これらのコストを抑えるためには、発生源が異なる3つの「時間超過に伴う料金」の相関関係を整理しておく必要があります。
| 料金名 | 課金対象 | 発生のトリガー | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| デマレージ | 船社へのコンテナ保管料 | 港のヤードに規定日数(フリータイム)を超えてコンテナを留置した時 | 通関手続きの早期完了、引取日の調整 |
| ディテンション | 船社へのコンテナ返却延滞料 | コンテナを港から持ち出した後、期限内に空コンテナを返却しなかった時 | 荷下ろし作業の迅速化、即日返却の徹底 |
| シャーシ留置料 | 陸送会社への車両拘束料 | 配送先でコンテナをシャーシに載せたまま、一定時間以上留置した時 | 一晩放置(台切り)を避ける運行計画の策定 |
2024年4月から施行されたドライバーの時間外労働上限規制に伴い、陸送会社による待機料金の請求はより厳格化されています。一般的に、荷主都合による現地待機は「最初の60分〜120分まで無料(フリータイム)」とされ、それを超えると30分ごとに約3,000円〜5,000円の待機料金(タイムチャージ)が加算されます。
これを予防するためには、荷主企業側で「台切り(シャーシのみを現地に残し、ヘッドを先に帰らせる手法)」を活用するか、あらかじめ作業開始時刻を厳守する体制を整える必要があります。台切りを選択する場合、シャーシ留置料(1日あたり約5,000円〜15,000円)は発生しますが、ドライバーを拘束し続ける待機料金よりも総コストを低く抑えられるケースが多いため、配送先での荷役にかかる予定時間をもとに、どちらが有利かを事前に試算しておくことが重要です。
5. ドレージ手配を円滑に進める実務フローと労働規制強化への現場対策
海上コンテナの陸上輸送であるドレージは、一般的なトラック輸送とは異なり、コンテナの所有権や港湾の規制、特殊な車両規格が複雑に絡み合います。手配の遅れや情報伝達のミスは、高額な追加料金の発生や生産ラインの停止に直結するため、実務担当者には正確な知識と段取りが求められます。ここでは、手配時の手戻りを防ぐ具体的なチェックリストと、ドライバー不足に対応するための荷主側の具体的な自衛策を解説します。
5-1. 新規依頼時に手戻りを防ぐ「ドレージ手配情報チェックリスト」
ドレージ輸送をフォワーダーやドレージ会社へ新規に依頼する際、情報に不備があると配車が組めず、希望日にコンテナを引き取れないリスクが高まります。特に、海上コンテナを載せる台車(シャーシ 種類)の選定や、最大積載量の確認を怠ると、公道走行時の法令違反(軸重超過)を招きます。以下のチェックリストを実務の標準フォーマットとして活用し、手戻りのない手配を進めてください。
| 確認項目 | 具体的な確認内容 | 実務上の注意点 | 判断基準・数値 |
|---|---|---|---|
| コンテナサイズと重量 | 20フィートか40フィートか、および貨物の総重量(梱包材含む)。 | 重量によって手配するシャーシの軸数が変わります。 | 20フィート:約20t超、40フィート:約24t超は3軸シャーシが必須。 |
| シャーシの軸数(2軸・3軸) | コンテナ重量に適したシャーシ(2軸 3軸)の指定。 | 最大積載量を超える輸送は道路法違反となり、取り締まりの対象です。 | 2軸シャーシでの最大積載量は、20フィートで約20,320kgまで。 |
| フリータイムの期限 | デマレージ(コンテナ保管料)とディテンション(返却延滞料)の無料期間。 | 土日祝日を挟む場合はカウントルール(暦日か営業日か)を確認します。 | 一般的にCY(コンテナヤード)搬出後、5〜7日以内に空コンテナを返却。 |
| 納品先の設備・作業環境 | コンテナを着地させるプラットフォームの高さ、回転スペースの有無。 | 40フィートコンテナの場合、全長約12mのシャーシが進入・旋回できるか。 | 回転半径:12m以上の確保、敷地内道路の耐荷重確認が必要。 |
例えば、20フィートコンテナで貨物重量が21トンの場合、2軸シャーシでは最大積載量を超過するため、3軸シャーシの手配が必須となります。この情報が事前に伝わっていないと、当日配車された車両での輸送ができず、ドレージ 料金相場(1運行あたり数万円)と同等の車両キャンセル料が発生します。貨物の梱包明細書(Packing List)に記載された「Gross Weight」を必ず確認し、ドレージ会社へ提示する手順を厳守してください。
5-2. ドレージ不足時代を生き抜く「待機時間削減」と「DX連携」の具体策
働き方改革関連法の適用(いわゆる物流2024年問題)にともない、トラックドライバーの年間時間外労働が960時間に制限された結果、拘束時間の長くなりやすいドレージ輸送の車両確保は年々困難になっています。荷主企業が自社の国際物流網を安定させるためには、港湾や自社倉庫での「待機時間削減」と「デジタルツールを活用した運行管理」の2軸で対策を講じる必要があります。
1. 待機料金の発生を防ぐ「デバンニング時間」の厳守とスケジュール管理
ドレージ輸送における荷役作業の遅れは、1時間あたり数千円から1万円程度の待機料金を請求される直接的な要因です。1日に複数本のコンテナを搬入する拠点では、わずかな遅延の累積が月間で多額の追加費用を発生させます。これを防ぐため、倉庫側での人員配置を最適化し、デバンニング作業を「20フィートコンテナで1時間以内」「40フィートコンテナで2時間以内」に完了させる体制を標準化する必要があります。また、デマレージやディテンションの発生を回避すべく、船社から提示されるフリータイム残日数を起点とした逆算型の配車指示をルール化してください。
2. オンドックドレージの活用による輸送距離の短縮
内陸の自社倉庫まで長距離の往復走行を行うルートは、ドライバーの拘束時間を著しく増加させ、配車拒否のリスクを高めます。対策として、港湾の隣接区域で一度デバンニングを行うオンドックドレージの活用が推奨されます。港湾近郊の倉庫で貨物をコンテナから取り出し、一般的な大型ウイング車に積み替えて複数拠点へ共同配送することで、ドレージ車両の運行回転率を向上できます。実際に、長距離ドレージから港湾近郊デポへのデバンニングへと切り替えることで、1運行あたりの拘束時間を30%以上削減した実務事例が存在します。
3. クラウド型配車管理システムによるリアルタイム動静把握
ドレージ会社やフォワーダーとの電話・メールに頼るアナログな進捗確認は、伝達のズレや不要な手戻りを発生させます。これを解決するのが、コンテナの搬出入ステータスや港湾ターミナルの混雑状況をリアルタイムで共有できるクラウド型配車・動静管理システムです。港湾ターミナルの混雑度を可視化できれば、混雑ピークを避けて比較的空いている時間帯(早朝や昼休み直後など)にコンテナを引き取る「タイムスロット調整」が可能になり、ゲート前での待機時間を劇的に削減できます。デジタルツールを用いて運行情報を可視化することは、限られた車両リソースを最大限に活用するために不可欠なプロセスです。
よくある質問(FAQ)
Q. ドレージ輸送とは何ですか?一般のトラック輸送との違いも教えてください。
A. ドレージ輸送は、輸入された海上コンテナを一度も開閉せず、専用の台車(シャーシ)に載せて目的地まで直接陸送する輸送手段です。一般のトラック輸送との最大の違いは、荷物をバラで積み替えるのではなく、コンテナごと一括で運ぶ点にあります。これにより、荷役作業の手間や荷痛みのリスクを大幅に削減できるメリットがあります。
Q. ドレージ輸送の「2軸」と「3軸」のシャーシにはどのような違いがありますか?
A. 2軸と3軸のシャーシの主な違いは、法律で定められた「最大積載量」にあります。2軸シャーシは比較的軽量なコンテナ用(20ftで約20.3t、40ftで約24tまで)です。一方、3軸シャーシは重量物に対応しており、20ftで約24t、40ftで約30.48tまで積載可能です。過積載による道路法違反を防ぐため、荷物の重量に応じた正しい選択が必須となります。
Q. ドレージ輸送で発生する「待機料金(シャーシ留置料)」とは何ですか?
A. 待機料金(シャーシ留置料)とは、荷主側の都合や港湾の混雑によってドレージ車両が規定時間を超えて待機・拘束された際に発生する追加費用です。近年は物流2024年問題に伴う労働規制強化の影響もあり、ドライバーの待機時間に対する料金請求が厳格化しています。対策として、荷役作業の効率化や事前手配の徹底による待機時間の削減が求められます。