国交省が2026年度も貸切バスの覆面添乗調査を実施
国土交通省物流・自動車局安全政策課は2026年10月1日、安全で安心な貸切バス運行を確保するため、今年度も民間調査員による「覆面添乗調査」を実施すると発表しました。
調査期間は2026年10月から2027年2月までで、事前の通告なしに運行中の貸切バスへ調査員が利用者として乗車し、営業所監査などの書面調査では把握が難しい現場の運行実態を直接確認します。
書面監査を補う現場監視の背景
国土交通省では、貸切バス事業者の法令遵守状況を確認するため、監査官が営業所に立ち入る「臨店監査」や、観光地・空港等の発着場で行う「街頭監査」を実施しています。
これらに加え、運行中の適切な休憩時間の確保といった実態を把握するため、平成29年度(2017年度)より覆面添乗調査が導入されました。(国土交通省の公表資料等によれば、2016年1月に発生した長野県軽井沢町のスキーバス転落事故を受けて策定された総合的な対策の一環として位置づけられています。)
2026年10月から2月までの調査予定と確認項目
発表された今年度の調査概要は以下のとおりです。
- 調査対象者
- 貸切バス事業者(無通告により実施)
- 調査実施者
- 国土交通省が委託した者(民間調査員)
- 実施時期
- 令和8年(2026年)10月~令和9年(2027年)2月
- 主な調査項目
- 区域外運送の有無
- 休憩時間の確保
- シートベルトの装着の案内や装着の状況
- 交替運転者の配置状況、など
- 調査後の対応
- 法令違反等の疑いがある事業者に対しては、地方運輸局が指導や監査等を行い改善を指導します。重大な法令違反の疑いが確認された事業者には監査を実施し、違反が確認された場合は行政処分や指導が行われます。
調査の対象となる事業者と関係者
- 貸切バス事業者
- 全国の一般貸切旅客自動車運送事業者が対象となります(無通告で調査員が乗車)。
- 貸切バスの運行に携わる運転者および運行管理者
- 運行中の休憩取得、交替運転者の乗務、乗客へのシートベルト着用案内など、現場実務が直接の確認対象となります。
運行管理実務への影響
- 貸切バス事業者
- 営業所に保管されている点呼記録簿や運行指示書、運行記録計などの書面確認にとどまらず、実際の路上運行において計画どおりに休憩が取得されているか、交替運転者が適切に乗務しているかが無通告で調査されます。日常の安全運行ルールが現場で形骸化していないか、実態に即した運用管理が問われる形となります。
- 旅行業者・ツアー企画者(発注側)
- 区域外運送の有無や適切な休憩時間の確保状況が調査項目に含まれるため、バス事業者との契約内容や運行行程の設定が関係法令と乖離していないかどうかが、運行実態の確認を通じて間接的に影響する可能性があります。
調査スケジュールと事後対応の流れ
- 2026年10月~2027年2月:委託調査員による貸切バスへの覆面添乗調査を無通告で実施。
- 調査期間中および終了後:調査により重大な法令違反の疑いが確認された事業者に対し、各地方運輸局による臨店監査や行政処分、指導が順次進められる方針です。
今後の注目点
- 監査・行政処分への移行状況
- 調査期間中にどのような法令違反の疑いが把握され、そのうち何件が地方運輸局の臨店監査や行政処分・指導へと移行するかは、今後の事後公表が焦点となります。
- 具体的な指摘項目の傾向
- 改善基準告示などの労働時間管理や交替運転者配置基準に関して、現場の運行実態としてどのような不備が確認されるかは現時点で公表されていません。
貸切バスの安全監視体制に関する既報知見
- 貸切バスの安全管理体制
- 貸切バス業界では、臨店監査や街頭監査のほか、道路運送法に基づく貸切バス適正化事業実施機関による巡回指導や、5年ごとの事業許可更新制などが並行して運用されています。
- 過去の行政処分事例
- (国土交通省の公表資料によれば)本調査が導入された平成29年度(2017年度)には、覆面添乗調査を端緒とした監査により、区域外運送や点呼記録の不備などが確認された事業者に対して車両停止などの行政処分が行われた実績があります。
よくある質問
Q. 覆面添乗調査は事前に事業所へ通知されますか?
A. 事前通知は行われません。報道発表資料に「無通告により実施」と明記されており、民間調査員が一般の利用者として運行中のバスに乗車して調査を行います。
Q. 具体的にどのような運行実態が調査されますか?
A. 区域外運送の有無、休憩時間の確保、シートベルトの装着案内や装着状況、交替運転者の配置状況などが主な調査項目として挙げられています。
Q. 調査で問題が確認された事業者はどのような扱いになりますか?
A. 法令違反等の疑いがある事業者に対しては、地方運輸局が指導や監査等を行い改善を指導します。重大な違反疑いが確認された場合には監査を実施し、違反が確認されれば行政処分や指導が行われます。
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出典
- 発表主体: 物流・自動車局安全政策課 / 発表日: 2026-10-01
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
