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船舶検査を遠隔データ分析で簡素化、国交省が支援事業場を初認定フェリー2隻対象

発表主体: 海事局検査測度課 発表日: 2026-09-11 最終更新: 2026年9月11日
船舶検査を遠隔データ分析で簡素化、国交省が支援事業場を初認定フェリー2隻対象

国交省が遠隔支援事業場を初認定、データ活用で船舶検査を簡素化

国土交通省海事局は2026年9月11日、船舶安全法第6条ノ4に基づく「遠隔支援業務に係る事業場」の第1号として、バルチラジャパン株式会社を認定したと発表しました。

認定を受けた事業場が遠隔から船舶用エンジンの状態を常時監視・分析し、故障予知に基づいた適切な整備を行うことで、従来の分解・目視による定期船舶検査の手続きが簡素化されます。対象船舶は、旅客フェリー「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」に搭載されている主機(内燃機関)です。

海事DXと制度創設の背景

海運業界では船員の高齢化や人手不足が深刻化しており、海事産業の競争力強化と船舶の安全性向上のため、デジタル技術や運航データの利活用が求められてきました。

国土交通省は2021年(令和3年)5月に公布された「海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律」において船舶安全法を改正し、陸上から船舶の状態を遠隔監視して運航・整備を支援する事業場を国土交通大臣が認定する制度を創設しました。この法改正に伴い、一定の基準を満たす遠隔支援体制がある場合には、国の船舶検査を合理化できる法意図が整えられていました。

第1号認定の対象とデータ活用による新しい検査の仕組み

公表された制度運用の内容と第1号認定の概要は以下の通りです。

  • 認定第1号の概要
    • 認定事業者:バルチラジャパン株式会社(2026年9月11日付認定)
    • 支援対象船舶:旅客フェリー「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」の2隻
    • 対象機器:上記2隻に搭載されている主機(内燃機関)
  • 遠隔支援事業場による新しい船舶検査の仕組み
    • 遠隔監視と故障予知:遠隔支援事業場が、船上の機器等から継続収集される運転データをデジタル技術で常時分析し、エンジン等の状態を把握・故障予知を行います。
    • 適時の整備体制:事業場は「機器取扱いマニュアル」や不具合発生時の「整備方法マニュアル」を提供し、データ分析に基づき部品整備等を実施します。
    • 検査の簡素化:従来の船舶定期検査ではエンジンを分解して内部を目視確認する必要がありましたが、新制度では故障が予知される部品の確実な整備状況を国が確認することで、分解・目視に拠らない柔軟な検査手法が可能となります。

関係する事業者

  • 内航海運・フェリー運航事業者(定期検査に伴う運休期間の短縮やメンテナンス管理の効率化を検討する事業者)
  • 舶用機器メーカー・エンジニアリング企業(遠隔モニタリングや機関保守支援サービスを提供する事業者)
  • 内航船を利用する荷主企業・利用運送事業者(海上モーダルシフトを利用し、安定運航ダイヤの維持に関心を持つ荷主・物流事業者)

海運事業者および幹線物流実務への波及効果

  • フェリー・内航海運事業者
    • 主機の開放・分解を伴う定期検査の負担が軽減されることで、ドック入り期間や保守作業工数の削減につながる可能性があります。
    • 陸上からの常時監視と故障予知により、航海中の突発的な機関トラブルや抜港・運休リスクを低減し、運航の定時性向上が期待されます。
  • 海運を利用する荷主・トラック事業者
    • 幹線輸送でフェリーを活用している場合、船舶の定期検査による長期間のドック運休や代替船手配に伴うダイヤ変更リスクが抑えられ、サプライチェーンの安定性確保に資する可能性があります。

今後の見通し

国土交通省は、遠隔監視やデータ利活用を通じた船舶検査の合理化と運航支援の高度化を継続して進める方針です。

なお、自動運航船や遠隔支援の本格運用に関する工程について、(国土交通省海事局の自動運航船検討会の別途公表資料によれば)2030年頃までの商用運航実現を目指して国内基準や環境整備が順次進められています。

今後の普及に向けた論点

  • 対象船種・対象機器の拡大:第1号はフェリーの主機(内燃機関)が対象となりましたが、他の内航貨物船・RORO船や主機以外の補機・航海機器等へ適用がどこまで広がるかが今後の焦点となります。
  • 機器導入コストと採算性:陸上支援体制の構築やセンシング機器の初期投資・通信コストに対し、検査期間短縮やトラブル防止効果がどの程度見合うか、船主・オペレーター各社における費用対効果の検証がポイントとなります。

特定船舶制度や海事DXに関する関連動向

  • 特定船舶導入や共有建造制度との連携:(国土交通省および鉄道建設・運輸施設整備支援機構[JRTT]の公表資料によれば)遠隔支援システムを導入する船舶は海上運送法上の「特定船舶」等の支援対象に位置づけられており、JRTTの共有建造制度における機構持分上限の拡充や政策金利の軽減措置といった優遇策が整備されています。
  • 内航船団のDX支援動向:(国土交通省海事局の公表資料によれば)深刻化する船員不足への対策として、オペレーター主導で複数の船主と連携して配船DXや運航データの共有を進める「内航海運船団輸送力向上事業」などの補助事業も推進されています。

よくある質問

Q. 遠隔支援業務に係る事業場の認定制度とはどのようなものですか?
A. 遠隔から船舶の状態をデジタル技術で把握・分析し、運航や整備を支援する能力を持つ事業場を国土交通大臣が認定する制度です。適切な整備が行われていることを国が確認することで、船舶の定期検査におけるエンジンの分解・目視検査などを簡素化できます。

Q. 今回の第1号認定を受けた事業者と対象船舶はどこですか?
A. 第1号として認定されたのはバルチラジャパン株式会社です。対象船舶は旅客フェリーの「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」の2隻で、搭載されている主機(内燃機関)が遠隔支援業務の対象となっています。

Q. この認定を受けると、従来の定期検査と何が変わりますか?
A. 従来の検査ではエンジンを分解して内部を目視確認する必要がありました。新制度では、エンジンから継続収集されるデータを分析して故障が予知される部品を計画的に整備し、国がその整備状況を確認することで、分解・目視に拠らずに検査を行うことが可能になります。

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出典

  • 発表主体: 海事局検査測度課 / 発表日: 2026-09-11
  • <遠隔支援業務に係る事業場の制度概要>(PDF)
  • 報道発表資料(PDF)
  • 遠隔支援業務に係る事業場の制度概要(PDF)
  • 掲載ページ
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