株式会社銀河エクスプレスに対する事業停止処分と輸送の安全確保命令の概要
九州運輸局は2026年9月28日付で、熊本県熊本市東区に本社を置く株式会社銀河エクスプレスに対し、貨物自動車運送事業法第33条の規定に基づく行政処分を行いました。
令和8年5月20日および21日に実施された一般監査において、運転者の過労運転を防止するための措置が適切に行われていなかったことなど計5項目の法令違反が判明したことによるものです。
本社営業所の全事業用自動車を対象とする30日間の事業停止処分に加え、事業用自動車の使用停止処分(2両×10日間)、文書警告、輸送の安全確保命令が下され、32点の違反点数が付されました。
行政処分の内容と事業運営への影響
| 処分・命令の種類 | 根拠条文 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 事業停止処分(30日間) | 貨物自動車運送事業法第33条 | 本社営業所に所属するすべての事業用自動車の使用が停止され、運送業務が完全に差し止められる状態 |
| 事業用自動車の使用停止処分(2両×10日間) | 貨物自動車運送事業法第33条 | 対象となる事業用自動車2両が延べ20日間にわたり稼働停止となる状態 |
| 文書警告 | 貨物自動車運送事業法第33条 | 違反事実について文書で厳重注意を受け、速やかな改善と再発防止の徹底が求められる状態 |
| 輸送の安全確保命令 | 貨物自動車運送事業法第33条 | 輸送の安全を確保するため、運行管理および労務管理体制の抜本的な是正措置を講じることが命じられる状態 |
九州運輸局の監査で確認された5つの法令違反
九州運輸局の一般監査により、以下の5項目の法令違反が確認されました。
- 勤務時間等の基準の遵守違反
- 貨物自動車運送事業法第15条第1項第1号および貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項違反。
- 勤務時間等の基準なお書き違反
- 貨物自動車運送事業法第15条第1項第1号および貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項違反。
- 点呼の記載事項等義務違反
- 貨物自動車運送事業法第15条第4項および貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条第5項違反。
- 運行記録計による記録義務違反
- 貨物自動車運送事業法第15条第4項および貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条違反。
- 運転者に対する指導監督違反
- 貨物自動車運送事業法第15条第4項および貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第1項違反。
過労運転防止および運行管理体制に関して法令が求める遵守水準
貨物自動車運送事業法第15条および輸送安全規則は、過労運転による重大事故を防止するため、改善基準告示に基づく拘束時間・休息期間の遵守を事業者に義務付けています。さらに、乗務前後の点呼における法定事項の確実な記録・1年間の保存(規則第7条第5項)、運行記録計による法定3要素(速度・時間・距離)の継続的な記録・1年間の保存(規則第9条)、ならびに運転者に対する指導監督の実施と3年間の記録保存(規則第10条第1項)を強く求めています。これらの安全運行の根幹を成す規定に違反した場合、法第33条に基づき事業停止や車両使用停止などの重い行政処分が科されます。
同種処分を防ぐための運行管理・労務管理の実務点検ポイント
| チェック項目 | 根拠条項 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 拘束時間・休息期間の限度遵守 | 輸送安全規則第3条第4項 | デジタコおよび出退勤記録を照合し、改善基準告示の上限超過や休息期間の不足が生じていないか確認する |
| 勤務時間等基準なお書きの遵守 | 輸送安全規則第3条第4項 | 1の運行における最初の勤務開始から最後の勤務終了までの時間が告示上限を超過していないか運行計画と実績を点検する |
| 点呼記録簿の法定記載事項 | 輸送安全規則第7条第5項 | 点呼簿に酒気帯びの有無、健康状態、指示内容等の必要項目が漏れなく記載され、1年間保存されているか確認する |
| 運行記録計の作動と記録保存 | 輸送安全規則第9条 | 対象車両で運行記録計が正常に作動し、未装着・故障放置・カード未挿入による未記録がないか、1年分保存されているかを点検する |
| 運転者に対する指導監督の実施と記録 | 輸送安全規則第10条第1項 | 指導監督告示に基づく安全指導を計画通り実施し、日時・場所・内容・対象者を記載した指導記録が3年間保存されているか確認する |
労働局通報端緒の監査体制と違反点数累積に伴うリスク動向
- 労働局との相互通報による監査の強化
- 労働基準監督署等の監督結果(長時間労働や改善基準告示違反)に基づき、都道府県労働局から運輸局へ通報が行われ、それを端緒として重点的な一般監査へ移行する連携体制が定着しています。
- 違反点数の累積による事業継続リスク
- 行政処分により付与された違反点数は原則3年間累積されます。今回の処分で付された32点に加え、累積点数が51点以上に達した場合は事業停止処分、81点以上に達した場合は事業許可取消処分という致命的なペナルティに直結します。
関連記事
- 改善基準告示を完全解説!2024年4月改正のポイントと実務での対応策
- 運行記録計(タコグラフ)とは?装着義務化ルールからデジタコ移行のメリットまで解説
- デジタコ(デジタルタコグラフ)とは?アナタコとの違い・装着義務や労務管理での活用法を解説
- 四国運輸局が2026年8月にトラック1社処分、労働局合同監査で5件違反発覚
- 関東運輸局が2026年7月にトラック16社処分、事業停止60日や最大233日車も
- 北陸信越運輸局が2026年8月にトラック4社処分、事業停止3日や202日車も
出典
- 発出元: 国土交通省九州運輸局
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年10月7日
- 報道発表資料【PDF:83KB】(PDF)
- 掲載ページ
- 報道発表
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
