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処分動向

北陸信越運輸局が2026年8月にトラック4社処分、事業停止3日や202日車も

発出日: 2026-08-27 最終更新: 2026年9月24日
北陸信越運輸局が2026年8月にトラック4社処分、事業停止3日や202日車も

北陸信越運輸局管内でトラック事業者4社が処分、死亡事故端緒で事業停止も

北陸信越運輸局自動車運送事業安全監理室は、2026年8月分としてトラック運送事業者4社(4営業所)に対する行政処分の状況を公表しました。
今回の公表では、重大な死亡事故や重傷事故の惹起、さらに労働局からの情報提供などを端緒として監査が実施され、4社すべてに対して輸送施設の使用停止(車両停止処分)および文書警告が行われました。
なかでも石川県金沢市の事業者に対しては、死亡事故の発生に伴い3日間の事業停止処分とともに202日車、事業者点数31点という突出して重い行政処分が科されており、安全管理体制の不備に対する厳しい姿勢が示されています。

処分の内訳:事業停止を伴う重処分から日車停止まで全社に車両使用制限

処分の種類 件数 事業者にとっての意味
事業の停止(3日間)・輸送施設の使用停止(202日車)・文書警告 1 営業所全体の運送業務が3日間全面的に停止し、対象車両が延べ202日間にわたり稼働停止となる状態
輸送施設の使用停止(20日車)・文書警告 1 対象となる事業用自動車が延べ20日間にわたり稼働停止となる状態
輸送施設の使用停止(10日車)・文書警告 2 対象となる事業用自動車が延べ10日間にわたり稼働停止となる状態

日車数と違反点数の仕組み:累積31点で急浮上する事業停止・許可取消リスク

トラック運送事業者の行政処分において科される「日車(にっしゃ)」は、事業用自動車の使用停止規模を示す単位であり、車両1台を1日間使用停止とすることを「1日車」として計算します。原則として10日車ごとに1点の違反点数が付与され、事業停止処分が科される場合には別途30点が加算される仕組みです。付与された違反点数は地方運輸局管内で過去3年間にわたり累積管理され、累積点数が51点以上に達すると事業停止処分、81点以上に達した場合は事業許可取消処分という致命的なペナルティに直結します。

主な違反類型:全社で発覚した運転者台帳不備と適性診断・過労防止の形骸化

北陸信越運輸局が公表した行政処分事案では、運転者等台帳の未整備や適性診断・指導の未受診、過労運転防止義務違反など、安全管理と労務管理の根幹に関わる違反が多数確認されました。頻度の高かった主要な類型を解説します。

運転者等台帳の作成・記載不備(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5第1項)

事業者は、営業所ごとに選任・雇用するすべての事業用自動車の運転者について、法令で定められた運転者等台帳を作成し、営業所に備えて置く義務があります。台帳には氏名、生年月日、雇入れ年月日、運転免許証番号のほか、適性診断の受診結果や指導監督の実施記録などを漏れなく正確に記録しなければなりません。
今回の監査では、対象となった4社すべてにおいて運転者等台帳自体の不備や記載事項等の欠落・不適切が確認されました。雇い入れ後の管理が形骸化し、法定事項が長期間更新されていない状態が散見されています。
自社点検においては、台帳に記載すべき法定事項に抜け漏れがないかを定期的に照合し、新規採用時だけでなく、定期的な指導の実施日や適性診断の受診結果が確実に反映されているかを確認する体制づくりが不可欠です。

特別な指導及び運転適性診断受診義務違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第2項)

国土交通省の「指導監督告示」に基づき、事業者は初任運転者、高齢運転者(65歳以上)、死傷事故等を引き起こした事故惹起運転者に対して、個別の特別な指導を実施し、認定機関における特別な運転適性診断を受診させなければなりません。
今回の事案では、4社中3社において特別な指導の不実施や適性診断の未受診が確認されました。特に事故惹起後の再教育や、雇い入れ直後の初任者に対する安全教育が怠られたまま乗務させていた実態が浮き彫りとなっています。
自社点検の着眼点として、採用時や事故発生時、ドライバーの年齢到達時に合わせて適性診断の予約・受診フローが確立されているか、受診結果票を台帳と紐付けて管理し、診断結果に応じた個別の指導記録を残しているかを点検する必要があります。

過労運転の防止措置義務違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第6項、第9条)

事業者は、事業用自動車の運転者が疾病、疲労その他の理由により安全な運転ができないおそれがある状態で乗務させてはならず、改善基準告示に準拠した拘束時間・運転時間の限度遵守や適切な休息期間の確保を行わなければなりません。
今回の処分事案では、死亡事故を起こした事業者や労働局から情報提供を受けた事業者において、過労運転の防止措置を怠っていた事実が認定されました。過密な運行スケジュールや不適切な勤務シフトにより、ドライバーの安全運転が阻害されていたことが示されています。
自社点検にあたっては、デジタルタコグラフやタイムカードの客観的な稼働記録を突き合わせ、拘束時間の上限超過や勤務間の休息期間不足が常態化していないか、荷待ち時間を手待ち時間(労働時間)として正しく算入した運行計画になっているかを厳密に監査することが求められます。

営業所・車庫・休憩施設等の事業計画変更違反(貨物自動車運送事業法第9条第1項・第3項、施行規則第2条・第7条)

運送事業者が営業所、自動車車庫、乗務員の休憩・睡眠施設の新設や位置変更を行う場合、法令に基づき事業計画の変更認可を受けるか、所定の事前届出を行わなければなりません。また、車庫や休憩施設には位置や収容能力に関する明確な技術的基準が定められています。
本公表では、休憩・睡眠施設の位置及び収容能力違反、自動車車庫の位置及び収容能力違反、営業所や荷扱所の名称・位置の変更手続き違反が複数の事業者で認定されました。事業規模の拡大や拠点の移転に際し、必要な許認可手続きを怠ったまま無届で使用していた状況が確認されています。
自社点検では、現地の車庫面積や車両配置、休憩室の設備が認可・届出書類と完全に一致しているかを現地現物で照合し、施設のレイアウト変更や移転を検討する段階で運行管理者と経営陣が法的手続きの要否を確実に事前確認するルールを徹底しなければなりません。

その他の違反類型一覧

上記以外の違反として、以下の項目が監査によって認定されています。

  • 点呼の実施違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条第1項~第3項)
  • 業務の記録違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条)
  • 運行記録計による記録違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条)
  • 一般的な指導及び監督違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第1項)
  • 自動車事故報告規則に規定する事故の届出違反(貨物自動車運送事業法第23条)

注目事例:死亡事故端緒の事業停止処分や労働局通報による多項目違反

事例1: 死亡事故の惹起から事業停止3日間・202日車の大規模処分(株式会社スパート 本社営業所 / 石川県金沢市)

  • 監査の端緒: 令和8年4月22日に発生した死亡事故の惹起を端緒として、北陸信越運輸局による監査が実施されました。
  • 違反の内容: 休憩・睡眠施設の位置及び収容能力違反(施行規則第2条第1項第6号)、営業所等の名称・位置変更違反(同第7条第1項第3号)、過労運転の防止措置義務違反(安全規則第3条第6項)、運転者等台帳の不備(同第9条の5第1項)の計4件の違反が認定されました。
  • 処分結果: 事業の停止(3日間)、輸送施設の使用停止(202日車)、文書警告が科され、事業者点数および営業所点数はともに「31点」が付与されました。
  • 教訓: 重大事故を引き起こした場合、事故そのものの直接原因にとどまらず、事業計画の許認可状況や休憩施設、過労防止措置など運行管理基盤の全体に監査のメスが入ります。日車処分に加え事業停止を伴うと一挙に30点以上の点数が加算され、営業所が稼働不能に陥るため、法令要件に適合した施設管理と労務管理の徹底が不可欠です。

事例2: 労働局からの情報提供を契機に8件の基本管理不備が発覚(株式会社カクショウ運輸 本社営業所 / 長野県佐久市)

  • 監査の端緒: 令和7年10月23日、長野労働局からの情報提供を受けたことを契機として監査が実施されました。
  • 違反の内容: 過労運転防止措置義務違反(安全規則第9条)、点呼の実施違反(同第7条第1項~第3項)、業務記録違反(同第8条)、運行記録計による記録違反(同第9条)、運転者等台帳および記載事項不備(同第9条の5第1項)、一般的な指導監督違反(同第10条第1項)、特別な指導及び適性診断受診義務違反(同第10条第2項)の計8件の違反が確認されました。
  • 処分結果: 輸送施設の使用停止(10日車)及び文書警告、違反点数1点が付与されました。
  • 教訓: 労働基準監督署や労働局による臨検結果は運輸局へ相互通報される体制が定着しています。労務管理上の不備が端緒となって運輸局の監査が入ると、点呼、タコグラフ、日報、安全教育といった安全規則全般の記録類が網羅的に精査されるため、部門を跨いだコンプライアンス管理の徹底が求められます。

事例3: 重傷事故の発生から車庫位置違反や未受診が判明(日本海通商株式会社 八尾営業所 / 富山県富山市)

  • 監査の端緒: 令和8年6月4日に重傷事故を惹起したことを契機として監査が実施されました。
  • 違反の内容: 自動車車庫の位置及び収容能力違反(施行規則第2条第1項第5号)、営業所等の名称・位置変更違反(同第7条第1項第3号)、運転者等台帳の不備(安全規則第9条の5第1項)、指導監督告示による特別な指導及び運転適性診断受診義務違反(同第10条第2項)など計5件の違反が認定されました。
  • 処分結果: 輸送施設の使用停止(20日車)及び文書警告、違反点数2点が付与されました。
  • 教訓: 人身事故の発生時には、乗務していたドライバーの適性診断受診歴や指導記録が確実に確認されます。また、認可を受けていない車庫の使用などハード面の違反も併せて摘発されるため、日頃から運行管理台帳と認可図面を突き合わせた点検が重要です。

実務チェックポイント:行政処分事案から抽出した運行管理・労務安全の必須点検項目

チェック項目 根拠条項 確認の方法 不備が招く処分
運転者等台帳の備え置きと記載事項 安全規則第9条の5第1項 全運転者の台帳が存在し、生年月日・免許番号・受診歴等の必須項目が漏れなく記入・更新されているか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
初任・高齢・事故惹起者への特別な指導 安全規則第10条第2項 該当ドライバーに対する個別指導の実施日時・内容を記録簿で照合する 輸送施設の使用停止、文書警告
特別な運転適性診断の受診管理 安全規則第10条第2項 初任診断・適齢診断・特定診断の受診結果票が保管され、受診漏れがないか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
過労運転防止と乗務時間管理 安全規則第3条第6項、第9条 デジタコおよび出退勤データから拘束時間の上限超過や休息期間の不足がないか点検する 事業停止処分、輸送施設の使用停止、文書警告
点呼の確実な対面実施 安全規則第7条第1項~第3項 乗務前後の点呼が漏れなく行われているかを運行記録データと照合する 輸送施設の使用停止、文書警告
業務記録(運転日報)の適正記載 安全規則第8条 日報の発着時刻、経過地、休憩・手待ち時間が正しく記録され1年間保存されているか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
運行記録計による正確な記録 安全規則第9条 タコグラフが正常作動し、カードの未挿入やデータの欠損・不整合がないか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
全運転者に対する定期的な安全指導 安全規則第10条第1項 指導監督告示の12項目に基づく年間安全教育計画が策定され、実施記録が残されているか点検する 輸送施設の使用停止、文書警告
自動車車庫の位置・収容能力の合致 法第9条、施行規則第2条第1項第5号 保有車両台数に対して認可車庫の収容能力が不足していないか、未認可の敷地を使用していないか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
休憩・睡眠施設の位置・能力確認 法第9条、施行規則第2条第1項第6号 届出済みの休憩・睡眠施設が適切に維持管理され、ドライバーの休息に必要な機能を備えているか点検する 事業停止処分、輸送施設の使用停止、文書警告
営業所・車庫等の位置・名称変更届出 法第9条、施行規則第7条第1項第3号 事業計画の認可・届出内容と現地の営業所・車庫の状況に不一致がないか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告
重大事故発生時の速やかな事故届出 法第23条 死傷事故などの重大事故発生時に自動車事故報告規則に基づく所定の報告が完了しているか確認する 輸送施設の使用停止、文書警告

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出典

  • 発出元: 北陸信越運輸局 自動車運送事業安全監理室
  • 文書番号: 記載なし / 発出日: 2026年8月27日
  • 8月(PDF)
  • 掲載ページ

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

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