2026年10月改定で最低賃金はどう変わるか
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が、令和8年10月1日以降順次改定されます。
改定額は全都道府県で時間額54円から65円の引き上げとなり、全国加重平均は前年より56円高い1,177円となります。
最低賃金改定の法的背景と位置づけ
厚生労働省の報道発表によると、最低賃金の改定は国民生活に影響を与える主な制度変更として位置づけられています。また最低賃金法第9条に基づき、労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮し、生活保護施策との整合性に配慮して決定されています。
2026年度最低賃金改定の答申プロセス
令和8年度(2026年度)の地域別最低賃金改定に関する経緯は以下の通りです。
- 改定の決定プロセス(LogiShift既報等)
- 2026年6月26日:厚生労働大臣が中央最低賃金審議会へ改定の目安を諮問。
- 2026年7月28日:中央最低賃金審議会が目安を答申(Aランク54円、B・Cランク56円、加重平均55円)。
- 2026年9月3日:地方最低賃金審議会において全47都道府県の答申が完了。33府県で国の目安額を上回り、全国加重平均は1,177円に到達。
対象となる物流事業者と雇用形態
- すべての運送・物流事業者および倉庫事業者
- 直接雇用する正社員ドライバー、運行管理者、事務職。
- 構内作業員、ピッキングスタッフ、フォークリフトオペレーター(パート・アルバイト・有期雇用労働者を含む)。
- 派遣労働者を受け入れている物流事業者
- 派遣元のみならず、派遣先の事業場が所在する地域の最低賃金が適用されます。
物流事業者へのコスト・労務管理上の影響
- 人件費および労務コストの増加
- 最低賃金の改定額は最も低い地域でも1,085円(宮崎県)、最も高い地域で1,280円(東京都)となり、すべての都道府県で時間額54円〜65円引き上げられます。
- パート・アルバイト作業員の時給引き上げにとどまらず、基本給水準全体の底上げや固定給の引き上げ圧力につながります。
- 請負費用・外部委託コストの上昇
- 自社雇用だけでなく、荷役やピッキング等の外部委託費(人材派遣・請負費用)の上昇に直結します。
- 罰則適用のリスク
- 最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、最低賃金法違反として50万円以下の罰金が科される規定があります(最低賃金法第4条・第40条)。
適用時期
| 事項 | 日付 | 補足 |
|---|---|---|
| 北海道、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、岐阜、愛知、三重、大阪、兵庫、香川など各都府県での発効予定 | 令和8年10月1日 | 答申公示後の異議申出等の状況により変更となる可能性有 |
| 長野県、岡山県での発効予定 | 令和8年10月2日 | |
| 群馬県、石川県、滋賀県、和歌山県、鳥取県での発効予定 | 令和8年10月3日 | |
| 福井県、奈良県、福岡県での発効予定 | 令和8年10月4日 | |
| 山口県での発効予定 | 令和8年10月8日 | |
| 島根県での発効予定 | 令和8年10月10日 | |
| 広島県での発効予定 | 令和8年10月11日 | |
| 秋田県での発効予定 | 令和8年10月14日 | |
| 静岡県での発効予定 | 令和8年10月15日 | |
| 福島県での発効予定 | 令和8年10月16日 | |
| 茨城県での発効予定 | 令和8年10月18日 | |
| 宮崎県での発効予定 | 令和8年10月24日 | |
| 鹿児島県での発効予定 | 令和8年10月25日 | |
| 青森県、高知県での発効予定 | 令和8年10月29日 | |
| 山形県での発効予定 | 令和8年10月30日 | |
| 山梨県、徳島県、愛媛県、大分県での発効予定 | 令和8年11月1日 | |
| 長崎県での発効予定 | 令和8年11月2日 | |
| 佐賀県での発効予定 | 令和8年11月15日 | |
| 京都府での発効予定 | 令和8年11月16日 | |
| 岩手県、熊本県での発効予定 | 令和8年12月1日 | |
| 沖縄県での発効予定 | 令和8年12月2日 |
※ 日付は文書本文に記載されているもののみ掲載しています。
最低賃金発効に向けた実務上の確認ポイント
- 自社賃金テーブルの確認と是正
- 適用日(各都道府県で令和8年10月1日〜12月2日にかけて順次発効)までに、時間給労働者の時給および月給制・日給制労働者の時間換算額が改定後の地域別最低賃金額を上回っているか点検する必要があります。
- 派遣労働者の時給確認
- 派遣元と連携し、派遣先事業場の所在地に適用される地域別最低賃金を下回っていないか確認が求められます。
- 荷主への価格転嫁協議の実施
- 上昇する労務コストを運賃・荷役料に反映するため、実走行データや原価に基づいた価格交渉を進めることが求められます。
政府の中小支援パッケージと物流業界の価格転嫁動向
- 中小企業庁による支援パッケージの稼働(LogiShift既報)
- 経済産業省中小企業庁は2026年9月4日、最賃引き上げに対応する総合支援パッケージを公表しました。
- 「取適法(中小受託取引適正化法)」に基づく買いたたきの厳格監視や、省力化投資補助金の上限引き上げなどが盛り込まれています。
- トラック運送業界の転嫁状況(LogiShift既報)
- 帝国データバンクの調査では物流費の転嫁率が34.5%、労務費が32.0%にとどまっており、全日本トラック協会の調査でも大型トラック運転者の平均賃金が固定給シフト(39.5万円)を見せるなど、人件費の固定費化と転嫁の難航が課題となっています。
よくある質問
Q. 自社の事業場に適用される発効日はどこで確認できますか?
A. 答申一覧により、都道府県ごとに令和8年10月1日から12月2日までの発効予定日が定められています(最も早い地域は北海道、東京、大阪など10月1日、最も遅い地域は沖縄県で12月2日)。ただし、答申公示後の異議申出の状況等により発効日は変更となる可能性があります。
Q. 派遣労働者の最低賃金はどの地域の基準が適用されますか?
A. 最低賃金法第13条の規定により、派遣労働者には派遣元ではなく「派遣先事業場の所在地」を含む地域の地域別最低賃金が適用されます(厚生労働省「最低賃金法」によれば)。
Q. 最低賃金を下回って支払っていた場合の罰則はありますか?
A. 最低賃金法第4条および第40条に基づき、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者には、50万円以下の罰金が科されます(厚生労働省「最低賃金法」によれば)。
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出典
- 発出元: 厚生労働省
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 記載なし
- 令和8年度地域別最低賃金改定状況(PDF)
- 掲載ページ
- 報道発表
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
