Y Cruiseに対する輸送の安全確保命令の発出
関東運輸局は令和8年10月26日、一般旅客定期航路事業者であるY Cruise株式会社(神奈川県横浜市中区)に対し、海上運送法第19条第2項に基づき「輸送の安全確保に関する命令」を発出しました。同社が運航する旅客船において、機関長が海技免状失効の状態で複数回にわたり旅客運送に従事していた事実等を契機とした検査により、関係法令や安全管理規程の違反が確認されたことによる行政処分です。あわせて同社に対し、違反点数27点(累積違反点数27点)が付与されました。
発出された輸送の安全確保命令と付与された違反点数
| 処分・命令の種類 | 根拠条文 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 輸送の安全確保に関する命令 | 海上運送法第19条第2項 | 有効な海技免状を受有する海技士の配乗遵守や管理体制の見直し、安全マネジメント態勢の構築など、命じられた是正措置を講じて指定期日までに文書報告を行う義務を負う。 |
| 行政処分の違反点数付与(27点) | 旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について(海事局長通達) | 違反行為に応じて行政上の点数が記録され、今後の累積状況によっては船舶使用停止や事業停止等の加重処分につながる管理状態に置かれる。 |
海技免状失効状態での旅客運送と立入検査で確認された違反事項
令和8年6月5日の同社による報告、および同年6月24日、7月2日、7月17日に実施された海上運送法第25条第1項に基づく検査において、以下の違反事実が確認されました。
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法の違反
- 運航船舶「シーバス5」および「SEA BASS ZERO」において、機関長が受有する海技免状が失効したまま複数回にわたり旅客運送に従事していたこと。
- 安全管理規程に定める基準どおりの運用不備
- 経営トップにおいて、法令および安全管理規程違反に対する再発防止策の策定、安全管理体制の確立、ならびに安全最優先原則の社内徹底に向けた主体的な関与がなされていなかったこと。
- 安全統括管理者において、関係法令の遵守および安全最優先原則の社内徹底、安全管理規程の確実な遵守が図られていなかったこと。
- 運航管理者において、船舶の運航管理および輸送安全業務全般の統括、法令・規程の確実な遵守の確保がなされていなかったこと。
- 運航管理者において、配乗計画作成時に適正な資格を有する法定職員の確保等の安全性検討を行い、法定乗組み基準に適合させる業務が適切に行われていなかったこと。
- 運航管理者において、事故発生を覚知した際の管轄運輸局等への概要および事故処理状況の速やかな報告体制が遵守されていなかったこと。
海上運送法および船舶職員法が事業者に求める安全基準
海上運送法第10条の3では、旅客定期航路事業者に対し、輸送の安全を確保するための最高規範として「安全管理規程」の策定・届出およびその遵守を義務付けています。同法第19条第2項は、輸送の安全確保に支障があると認められる場合、地方運輸局長が事業者に対して輸送安全の確保に必要な措置を命じることができると定めています。また、船舶職員及び小型船舶操縦者法第18条第1項および第21条第1項に基づき、事業者は乗組み基準に定める有効な海技免状を受有する海技士を乗り組ませる義務を負い、乗組員本人も有効な免状を受有していなければ船舶職員として乗組むことは認められません。
海技免状の有効性確認と安全管理体制の点検ポイント
| チェック項目 | 根拠条項 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 海技士の有効な海技免状受有と乗組み基準適合 | 船舶職員及び小型船舶操縦者法第18条第1項、第21条第1項 | 運航船舶に乗組む船舶職員の海技免状の有効期限・資格区分を台帳や原本等で照合し、失効していないか確実に確認する。 |
| 経営トップによる安全マネジメント態勢への主体的関与 | 安全管理規程第4条 | 経営責任者が安全最優先の原則徹底に関与し、再発防止策の策定および全社的な安全管理体制の構築・運用を統括しているか確認する。 |
| 安全統括管理者による関係法令・規程遵守の社内徹底 | 安全管理規程第17条 | 安全統括管理者が職員および乗組員に対し、船舶職員法をはじめとする関係法令および安全管理規程の遵守を周知・徹底させているか点検する。 |
| 運航管理者による運航管理・安全確保業務全般の統括 | 安全管理規程第18条 | 運航管理者が船舶の運航管理および輸送安全に関する業務全般を漏れなく統轄し、法令や社内規程の実施を確保しているか業務実態を確認する。 |
| 適正資格者を踏まえた法定乗組み基準適合の配乗計画作成 | 安全管理規程第24条 | 配乗計画の作成段階で、適正な免状資格を有する法定職員が配置されているかなど安全性の検討が確実に行われているか点検する。 |
| 事故等覚知時における管轄運輸局への速やかな報告体制 | 安全管理規程第48条、事故処理基準第4条 | 事故や事案の発生を知った際、その概要および処理状況を管轄運輸局等へ速やかに連絡・報告する手順が機能しているか点検する。 |
令和8年11月25日を期限とする是正措置の文書報告
関東運輸局はY Cruise株式会社に対し、命令事項に掲げられた是正措置について、令和8年11月25日までに文書により報告することを求めています。
旅客船安全対策の強化と行政処分基準の運用動向
- 旅客船安全対策に伴う法改正の施行
- 2022年4月に発生した知床遊覧船事故を受け、「海上運送法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第24号)が2024年4月1日より順次施行され、安全管理規程の遵守義務の法制化や運航管理体制の厳格化など、旅客船事業者に対する安全統制が強化されています。
- 旅客運送船舶に対する違反点数制度の運用
- 国土交通省海事局通達「旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について」に基づき、法令や安全管理規程違反に対して違反点数を付与・累積し、改善命令や船舶使用停止、事業停止等を段階的に執行する厳格な管理が行われています。
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出典
- 発出元: 関東運輸局
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年10月26日
- 輸送の安全確保に関する命令を発出しました~海上運送法第19条第2項に基づく行政処分~(PDF)
- 掲載ページ
- 報道発表
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
