ロータリーラックHとは?
ロータリーラックHは、オフィス家具や物流・産業用システムの大手メーカーである株式会社オカムラが提供する、ピース品・ケース品向けの自動入出庫タイプ水平回転棚(自動倉庫)です。各段が独立して高速で水平旋回する独自の機構を備えており、作業者の目の前に必要な商品を自動で呼び出す「GTP(Goods to Person)」ピッキングに対応しています。広い倉庫内を人が歩き回る手間(歩行時間)をゼロにすることでピッキング作業の劇的な効率化を実現するほか、一時保管や出荷前の荷合わせ、店舗別・方面別の自動仕分けといった現場課題を1台でマルチに解決します。
主な機能・特徴
- 多段式独立水平回転棚機構:各段が他の段とは独立して旋回します。出庫ポジションに最も近い旋回方向を自動で判別して動作するため、最小限の動きで高速かつスピーディな回転と、最大約70%の優れた省エネ性能を両立させています。
- 自動入出庫装置「オートリトリーバー(AR)」:トレイの格納と取り出しを正確かつ高速に行う自動クレーン装置です。一時的に荷物をため置くバッファ部が設置可能となっており、入出庫の処理時間を大幅に削減して高い処理能力を発揮します。
- GTP(Goods to Person)ピッキング:作業者が歩いて商品を探すのではなく、指示した物品が手元のワークステーションへ自動で運ばれてくる定点ピッキングを実現。作業者の歩行や重量物搬送の負担を排除し、誰でも快適でミスのない高速ピッキングを行えます。
- トレイ収納による荷姿の汎用性:荷物を専用のコンテナに詰め替える必要がなく、各種プラスチックコンテナやさまざまなサイズの段ボール箱などをそのままトレイに載せて保管できます。1システム内で多様な荷姿に対応できるため、既存の運用を変えずに導入しやすいのが強みです。
- 高層化による高密度保管:上部空間をフルに活用することで、一般的な平置き棚と比較して保管スペース効率を大幅に向上。最大12m(実績としては国内最大級の14m超高層仕様も存在)の高層化が可能で、限られた敷地面積のまま保管能力を最大化します。
- 高い耐震性能と環境適応力(BCP対策):阪神・淡路大震災(マグニチュード7クラス)の直下型地震に耐え、電源復旧後にすぐ稼働再開した実績を持つ優れた耐震構造です。また、マイナス30℃から60℃までの広範な温度帯に対応しており、冷凍倉庫でも導入が可能です。
- 安全設計(飛び出し防止・はみ出しセンサー):保管されているトレイからの物品飛び出しや、ラック外部へのはみ出しを検知・防止する安全システムが施されており、落下事故や破損を防ぎます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 多品種少量のピース・ケース品を多く抱える中堅〜大手の現場:多種多様な小箱や部品、ネジなどを取り扱い、従来は広い倉庫内を作業者が歩き回ってピッキングしており、作業効率の低下や労働環境の悪化、業務の属人化に悩んでいる現場。
- 出荷前の荷合わせや方面別・店舗別仕分けに多くの工数を割いている企業:オーダー別や配送ルート別などの仕分け作業、梱包前の荷合わせ工程を省スペースで自動化・高速化し、出荷スピード(リードタイム)を短縮したい現場。
- 倉庫面積が不足しているが、上部の空間に余裕がある現場:既存の床面積を増やすことなく保管容量を大幅に増やしたい企業。上部空間を有効活用した高層化によって、平置き棚に比べて保管効率を大幅に改善できます。
【向いていない企業・現場】
- 超重量物や長尺・大型パレット品を主に取り扱う現場:ロータリーラックHはピース品や各種コンテナ・段ボールケースの保管に特化しているため、パレット単位の重量物や極端に大きい異形貨物の保管には適していません。その場合は、パレット用自動倉庫(パレットスタッカー等)を検討した方がよいでしょう。
- 保管量や出荷量が極めて少ない小規模な倉庫:マテハン機器の設置や制御システム構築には大きな初期コストが発生するため、取扱量が少なく人手による管理で十分に対応できる規模の現場では、十分な投資対効果(ROI)が得られない可能性があります。
- 天井高が極めて低いテナント型倉庫:自動倉庫としての大きなメリットは高層化による上部空間の活用です。天井高が低く、高層化を設置する余地がない現場では、保管効率向上のメリットを十分に引き出せないため、別の平置きローラックや移動棚などを検討した方がよい場合があります。
料金・プラン・導入方法
ロータリーラックHの料金モデルは「要問い合わせ」となっています。導入する現場のレイアウト、天井高、取り扱う物品のトレイサイズ、必要な処理能力(出庫能力)、導入基数、コンベヤなどの周辺設備とのシステム連携規模に応じて個別設計されるため、個別見積もりによる対応となります。導入を検討する際は、株式会社オカムラの公式サイトまたはお問い合わせ窓口から問い合わせ、仕様策定を含めた提案を受けることができます。
導入事例・実績
- 株式会社資生堂様(ロジスティード株式会社様)「九州商品センター」
多品種少量の出荷が求められる化粧品物流の現場において導入。広い倉庫内を作業者が歩行するピッキング作業が課題でしたが、ロータリーラックHの導入により歩行時間をゼロ(GTP)にし、高さ方向の有効活用によって従来の約2倍の保管効率を達成しました。システム管理によるフリーロケーション運用で管理工数を削減し、年齢や性別を問わず誰もが快適に働ける環境構築と、出荷能力の大幅な向上を同時に実現しました。 - 住友重機械イオンテクノロジー株式会社様「愛媛事業所」
半導体製造用装置の製造ラインへの部品供給(15,000種類を超える部品保管)において、ロータリーラックHを5基導入。平置き棚からの人力ピッキングに依存していた運用の自動化により保管能力が約2倍に向上し、1品目あたり3分程度要していたピッキング時間が1分以下に短縮されました。またプロジェクションピッキングシステムを組み合わせることで誤ピックや検品工数の削減にも成功しています。 - サンコーインダストリー株式会社様「東大阪物流センター」
約180万アイテムのネジ・締結部品を全国に即日出荷するビジネスモデルを支えるため、段階的に順次導入。新設された5号館には、国内最大級の高さ14mを誇る超高層仕様の「ロータリーラックH」が7基(26,496ロケーション)導入されました。一般的な平置き棚と比べて約1/5の床面積(100坪)で大量保管を実現したほか、生産性が2倍に向上したことで、当日出荷のオーダー締め時間を変えずに運送会社の集荷時間に間に合わせ、荷待ち時間の削減を達成しました。 - 株式会社ロイヤル様「長田総合センター」
アイテム数と在庫量の増大に伴い、ロータリーラックHを2基、自動入出庫装置(オートリトリーバー)を4基導入。導入後は在庫保有数(容積率)が2割