スマクラとは?流通BMSや金融EDIに対応するクラウド取引基盤の機能・メリットを解説

SCSKが提供する、クラウド型の企業間取引連携基盤です。インターネットEDIや流通BMSなど多様なプロトコルに対応し、年間数十兆円規模の商取引データを支えます。金融EDIや電子帳簿保存法にも対応し、手作業の削減と生産性向上に貢献します。

料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
大企業向け
対象業界
製造業 小売・卸売業 食品・飲料 医薬品・医療

スマクラとは?

スマクラは、SCSK株式会社が提供する大企業・グループ企業向けのクラウド型企業間取引連携基盤(統合EDIサービス)です。インターネットEDI、Web-EDI、流通BMS、FAX配信など多彩なプロトコルに対応し、取引先ごとに分断された受発注や請求データをクラウド上で一元統合します。金融EDI(AnserDATAPORT接続等)や電子帳簿保存法対応のデータアーカイブ機能も備えており、年間数十兆円規模の商取引データを支えながら手作業の削減と業務の標準化・効率化を支援します。

主な機能

マルチプロトコル・データ変換機能

  • 多様なEDIプロトコル対応
    流通BMS(JX手順、ebXML MS、EDIINT-AS2)をはじめ、全銀TCP/IP、従来型EDI、Web-EDI、FAX配信など、新旧さまざまな通信手順を標準でカバーします。取引先ごとに通信環境が異なっていても、スマクラ側で集約して処理できるため、相手先に応じた個別システムの構築や専用回線の維持が不要になります。
  • データマッピング・フォーマット変換
    CSV、固定長、XML、JSONなど多様なデータレイアウトを相互に変換します。自社の基幹システム(ERP)が要求するデータ仕様と取引先指定のフォーマットの差異をクラウド側で吸収するため、基幹システム側の大規模な改修を行わずにスムーズなデータ連携が可能になります。
  • FAX・帳票配信連携
    EDI未対応の取引先に対して、注文書や受領書などの帳票データを自動でFAX配信やWebダウンロード形式へ変換して送付します。取引先側のシステム化状況に合わせて段階的にデジタル化を進められるため、取引先へのシステム導入強制による摩擦を回避できます。

取引業務効率化・Web連携機能

  • Web-EDI・サプライヤーポータル
    専用の通信設備を持たない中小サプライヤーや取引先向けに、Webブラウザ上で受発注や納期回答、出荷案内、請求確認が行える画面を提供します。取引先はブラウザ環境のみで利用でき、発注側は注文情報の登録から確定までのプロセスをペーパーレスで迅速に完結させられます。
  • 金融EDI・AnserDATAPORT接続
    全銀EDIシステム(ZEDI)や株式会社NTTデータの「AnserDATAPORT」との連携に対応し、振込データの送信や入出金明細データの受信をEDI基盤上で統合管理します。経理・財務部門におけるファームバンキング業務の手作業を排除し、入金消込や支払業務の自動化を推進します。
  • 調達購買・見積業務連携
    製造業や卸売業向けに、見積依頼から回答の収集、仕様書・図面データの受け渡しまでをWeb上で一元管理する機能を備えています。メールや郵送に依存していた調達前段の業務を電子化し、購買リードタイムの短縮と取引履歴の確実な保全を実現します。

ガバナンス・法令対応機能

  • 電子帳簿保存法・インボイス制度対応アーカイブ
    EDIで送受信された取引データを、電子帳簿保存法の電子取引要件に準拠した形式で長期保存・検索できる「スマクラ データアーカイブ」機能を提供します。取引年月日・取引先・金額による複合検索や訂正削除履歴の保持に対応し、法定保存義務への確実な準拠を支援します。
  • 高セキュリティ通信(スマクラ セキュア)
    EDI送受信データの暗号化およびアクセス制御を強化し、機密性の高い商取引データを安全に運用できる環境を提供します。運用担当者と通信先管理担当の権限分離など、厳格な情報管理体制により情報漏洩リスクを低減します。
  • 取引ステータス監視・エラー通知
    データの送受信状況、構文エラー、通信障害などをリアルタイムで監視し、異常検知時に管理部門へ即座に通知します。再送信処理やログ管理も管理画面から容易に行えるため、受発注トラブル時の原因特定とリカバリー作業を迅速化できます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

取引先数が多く、通信プロトコルや帳票形式が乱立している大企業・卸売業・小売業

  • 取引先ごとに異なるEDIや紙・FAXが混在し、受発注処理が煩雑化している
    スマクラは流通BMSやインターネットEDIだけでなく、Web-EDIやFAX配信まで単一基盤で網羅します。取引先のシステム環境に応じた接続方式を柔軟に選択できるため、取引先へ過度な設備投資を強いることなく、社内のデータ受け口を一元化して入力作業や照合工数を大幅に削減できます。
  • ISDN回線終了(EDIの2024年問題)やレガシーEDIの維持管理が限界に達している
    従来の全銀手順やJCA手順からインターネットEDIへの移行アダプタを備えているため、既存の基幹システムを大きく変更することなく最新の標準プロトコル環境へ移行できます。レガシー環境の保守切れリスクを解消し、将来にわたる取引継続性を確保できます。
  • 法改正に伴う取引データの長期保存や管理体制の刷新を求められている
    電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したアーカイブ機能を標準で備えているため、EDIデータとWeb-EDI上の帳票データを同一基盤で法要件に沿って保存・検索できます。法対応のために別システムを個別に契約・連携する手間を省けます。

EDIシステムの運用負荷が情報システム部門に集中しているエンタープライズ企業

  • 夜間や休日の通信エラー対応・運用監視に情シス部門のリソースが奪われている
    24時間365日の運用監視体制とSCSKの専門チームによるマネージドサービスが提供されるため、自社で専門要員を常駐させる必要がなくなります。情シス部門は障害切り分けなどの定常運用から解放され、DX推進や基幹刷新などのコア業務に注力できます。
  • 取引先の追加や仕様変更が発生するたびに個別開発・検証が必要で対応が遅れている
    SCSKが長年蓄積した業界標準フォーマットや接続実績を活用できるため、新規取引先の追加や通信テストを効率的に進められます。サプライチェーンの拡大や取引先統廃合に対しても迅速に接続環境を整備できます。

向いていない企業・現場

取引先数がごく少数で、通信手順やフォーマットが単一に固定されている企業

  • 数社程度の取引先と決まったCSVやWeb画面だけで受発注を行っている
    スマクラは大規模なマルチプロトコル統合や大容量データ処理を前提としたエンタープライズ向け基盤です。取引先数が少なくデータ変換の要件も簡易な場合は、初期費用や運用設計の規模が過剰になり、投資対効果が見合わない可能性があります。このような場合は、初期費用が抑えられた単機能型のWeb-EDIツールや小規模向けSaaSの導入を検討した方が合理的です。

自社オンプレミス環境内でのみシステム運用を完結させたい企業

  • セキュリティポリシー上、すべての商取引データを自社閉域網内の専用サーバで管理する必要がある
    スマクラはSCSKのクラウドインフラ上で提供されるSaaS/マネージドサービスです。自社データセンター内にEDIパッケージを導入して完全に自社開発・自社運用でコントロールしたい場合は、パッケージ版のEDIソフトウェア(ACMSシリーズのオンプレミス導入など)を選択する方が適しています。

類似ツールとの比較

ツール名 特徴 料金 向いている企業
スマクラ 年間数十兆円の商取引を支える大規模向け基盤。流通BMS、インターネットEDI、Web-EDI、金融EDI、FAX配信を網羅し、24時間365日監視を含むフルマネージド体制を提供。 要問い合わせ(個別見積もり) 取引先数が多く多様なプロトコルを統合したい中堅・大企業、製造・小売・卸売業
JFT/SaaS TOKAIコミュニケーションズが提供するクラウド型EDI。マルチプロトコル対応や業界VAN連携、24時間365日運用の手厚いサポート体制が強み。 要問い合わせ(個別見積もり) インフラ管理から運用までワンストップで外部委託したい企業、安定運用を重視する中堅・大企業
ACMS Cloud データ・アプリケーション提供のEDI+iPaaS統合クラウド基盤。ノーコードでのデータ連携構築やWeb API連携に優れ、社内外のデータ統合を柔軟に実現。 要問い合わせ(月額課金) EDIにとどまらず社内システムやSaaS間のデータ連携(iPaaS)までノーコードで一元化したい企業
Biware Cloud インターコムが提供するクラウドEDI。レガシーEDIからインターネットEDIまで対応し、ノーコードでのジョブフロー作成機能で運用自動化を支援。 要問い合わせ(月額課金) 既存のレガシー手順を残しつつ段階的にクラウドへ移行したい企業、ジョブ管理を自社で柔軟に設定したい企業

流通業界(スーパーマーケット、ドラッグストア、百貨店など)や製造業・食品業界において、業界標準仕様(流通BMSやCII標準)への準拠と、取引先ごとに異なる多様な手順(Web-EDI、FAX、金融EDI)を丸ごと包括的に集約したい場合は、スマクラが有力な候補になります。業界団体からの推奨実績や金融機関(AnserDATAPORT)との接続実績が豊富であり、インフラ保守から障害監視までSCSKへフルアウトソースできる点が強みです。

一方で、自社の社内システムや各種SaaSとのWeb API連携を含めた「iPaaS機能」を重視し、ノーコードで柔軟なデータパイプラインを構築したい場合はACMS Cloudが適しています。また、ジョブフローの視覚的な構築や自社運用でのコントロール性を重視しつつ、レガシー手順とインターネット手順を混在管理したい場合はBiware CloudJFT/SaaSとの機能・サポート体制の比較検討が推奨されます。

料金・プラン・導入方法

スマクラの利用料金は、個別見積もりとなっています。公式サイトにおいて全社一律の定額料金表は公開されていません。

これは、企業の取引規模、接続する取引先数、利用する通信プロトコル(流通BMS、Web-EDI、FAX、金融EDI等)、月間の送受信データ容量、必要なマッピング変換の複雑さ、および運用監視・ヘルプデスクなどの支援範囲に応じて構成が最適化されるためです。なお、高セキュリティ仕様の個別サービス「スマクラ セキュア」に関しては、新規導入時に初期費用400万円〜、月額利用料20万円〜という参考価格が一部リリースで公開された実績がありますが、基本プラン全体の料金については要問い合わせとなります。

見積もりを依頼する際は、以下のポイントを事前に整理しておくことが推奨されます。

  • 接続先数と通信手順の内訳
    直接接続する取引先数、Web-EDIを利用するサプライヤー数、FAX配信の対象件数、利用予定のプロトコル種別
  • 月間データ量・トランザクション数
    送受信するデータ量やピーク時間帯のトランザクション規模
  • 委託する運用サービスの範囲
    24時間365日のシステム監視のみか、取引先からの問い合わせ対応(ヘルプデスク代行)やマッピング定義の変更作業まで委託するか
  • 基幹システム連携の方式
    ERPとのインターフェース(ファイル連携、Web API連携、専用アダプタ等)の要件

導入の流れ・期間

スマクラの導入は、一般的なエンタープライズ向けEDIサービスの導入フローに沿って進められます。具体的な導入期間は取引先数やデータ変換の要件規模によって異なるため要問い合わせですが、標準的な流れは以下の通りです。

  1. 問い合わせ・要件ヒアリング
    現在のEDI環境、取引先数、通信手順、基幹システムとの連携方式、課題(法対応、コスト、運用負荷等)についてヒアリングが行われます。
  2. 提案・構成設計・見積もり
    ヒアリング内容に基づき、スマクラのサービス構成、データ変換仕様、運用監視体制などの提案および個別見積もりが提示されます。
  3. 契約・プロジェクト発足
    契約締結後、導入スケジュールを策定し、SCSKの専任チームとともに移行・構築プロジェクトを開始します。
  4. システム環境構築・マッピング定義
    クラウド基盤上の環境設定、データ変換マッピングの定義、基幹システムとのインターフェース接続環境を構築します。
  5. 接続テスト・取引先検証
    自社基幹システムとの送受信テスト、および各取引先との疎通・データ整合性テストを順次実施します。
  6. 本番稼働・運用移行
    取引先ごとに段階的な切り替えを実施し、本番運用を開始します。稼働後は専任チームによる監視・サポート体制へ移行します。

導入事例・実績

丸紅株式会社(総合商社・食品原料部門)

食料品や食品原料などを幅広く扱う丸紅株式会社の生活産業グループでは、既存EDIシステムの保守期限切れやINSネット(デジタル通信モード)の提供終了を控え、システムの刷新が急務となっていました。また、倉庫に対する出荷依頼の一部を紙やFAXで行っていたため、業務効率化が求められていました。スマクラのWeb-EDI機能を導入した結果、取引先の追加などの運用負荷が削減され、得意先および倉庫双方での伝票起票・登録作業が大幅に低減しました。出荷依頼の処理スピードが3〜4時間早まり、倉庫側の出荷作業に余裕が生まれる成果を上げています。

東都生活協同組合(生活協同組合)

産直農産物や食品の供給を行う東都生活協同組合では、オンプレミスで稼働していた旧来型EDIの老朽化に加え、マイクロソフトのブラウザサポート終了に伴うWeb-EDIの改修、および農産物の仕入先約100事業者に対する手書きFAX発注の業務負荷と人的ミスが大きな課題となっていました。スマクラを導入して流通BMSおよびWeb-EDIへの移行を進めた結果、農産物仕入におけるFAX発注の約9割をWeb-EDIへと移行することに成功しました。日々の発注業務にかかる時間を平均1〜2時間削減し、人的ミスの防止と発注処理の迅速化を実現しています。

ローランド株式会社(電子楽器製造業)

電子楽器メーカーのローランド株式会社では、自社で運用していたWeb-EDIシステムの老朽化に伴い機能拡張が困難となり、エラーが頻発していたほか、主要サプライヤーとのやり取りで郵送やFAXなどのアナログ処理が残存し、電子帳簿保存法への対応も急務となっていました。スマクラを導入して調達Web-EDIを刷新した結果、主要サプライヤー約130社との調達業務をほぼ100%デジタル化することに成功しました。手入力で行っていた基幹システムへの納期回答登録が自動化され、調達業務のペーパーレス化と電帳法対応を同時に達成しています。

導入前に知っておきたいこと

  • 導入・移行には取引先との綿密な調整期間が必要
    EDIの刷新やWeb-EDIの導入では、自社だけでなく取引先側での通信設定や操作習熟、疎通テストが必要になります。特に取引先が数百〜数千社に及ぶ大規模環境では、全取引先の切り替え完了までに相応の期間を要するため、移行計画を段階的に設計することが不可欠です。
  • 中小規模の現場ではWeb-EDI画面への入力負荷が発生する場合がある
    専用のEDIシステムを持たない小規模な取引先がWeb-EDIを利用する場合、ブラウザ上で注文内容を確認して手動で出荷・納期回答を入力する作業が発生します。取引先のITリテラシーや業務フローに配慮したマニュアル配布やサポート体制を事前に準備しておくことが望まれます。
  • 個別カスタマイズと標準仕様のバランス検討
    スマクラは標準化されたプロトコルやデータフォーマットを活用することで効率的な運用を実現するSaaS基盤です。自社独自の特殊な業務ルールや帳票レイアウトを過度に個別要件として組み込もうとすると、構築コストや期間が増大する要因になります。可能な限り業界標準仕様(流通BMS等)に業務を合わせるアプローチが推奨されます。

よくある質問(FAQ)

モバイル端末やスマートフォンからの利用には対応していますか?
スマクラのWeb-EDIや管理ポータルは、主にPCの標準的なWebブラウザ(Google Chrome、Microsoft Edgeなど)での操作を前提として設計されています。専用のスマートフォンアプリの提供有無やモバイル最適化画面の対応範囲については、要件に応じた確認が必要なため要問い合わせとなります。
無料トライアルやデモ環境の提供はありますか?
スマクラは企業の基幹システムや取引先ネットワークとの接続を前提とした個別設計型サービスであるため、一般的なセルフサーブ型の無料トライアルは提供されていません。デモンストレーション画面の確認や機能適合性の事前検証については、個別問い合わせ時に相談する必要があります。
運用のサポート体制や障害監視はどのように行われますか?
SCSKの専任EDI運用チームによる24時間365日の稼働監視体制が整えられています。インフラや通信の障害監視に加え、オプションや契約範囲に応じて取引先向けのヘルプデスク代行やマッピング変更作業などのマネージドサービスを利用することが可能です。
電子帳簿保存法やインボイス制度にはどのように対応していますか?
JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を取得した「スマクラ データアーカイブ」機能が用意されています。送受信された電子取引データを法定要件に準拠した形で長期保存し、取引日・取引先・金額などの条件で柔軟に検索・抽出することができます。
契約期間や解約条件、最低利用期間は定められていますか?
クラウド型サービスとして月額課金モデルが採用されていますが、導入時の環境構築や移行支援が含まれるため、初期契約期間や解約通知期限は個別契約内容によって異なります。契約条件の詳細は見積もり時にご確認ください。

参照・出典

他のEDIシステムと比較する

スマクラの特徴を含むEDI(電子データ交換)の11製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

EDIシステム比較11選