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輸配送・TMS 2026年4月30日

2024年問題に挑む!ヒューテックノオリン新拠点に学ぶ冷食物流最適化の2つの戦略

2024年問題に挑む!ヒューテックノオリン新拠点に学ぶ冷食物流最適化の2つの戦略

SGホールディングスグループで低温物流事業を牽引するヒューテックノオリンが、静岡市に同社初となる物流拠点「静岡センター」を開設し、5月からの本稼働を発表しました。このニュースは、単なる一企業の拠点拡張にとどまらず、物流の「2024年問題」によって崩壊の危機に瀕している東西の長距離輸送網に対する、極めて戦略的かつ実戦的な解答として業界内で大きな注目を集めています。

特に、厳格な温度管理が求められる冷凍食品(フローズン)領域において、長距離ドライバーの労働時間規制は致命的なボトルネックとなっていました。本記事では、新拠点が備える「共同配送」と「中継輸送」という2つの強力な機能を中心に、その全貌と業界に与えるインパクト、そして今後の物流企業が取るべき戦略について徹底的に解説します。

静岡センター開設の背景と全貌

これまで静岡県内への冷凍食品の納品は、関東や愛知県の大型拠点から中継輸送を行う体制が主流でした。しかし、ドライバーの拘束時間制限が厳格化される中、自社で末端の店舗まで納品しきることが物理的に困難になりつつありました。この課題を抜本的に解決するために誕生したのが「静岡センター」です。

施設概要と主要スペック

まずは、公表されている静岡センターの基本的な事実関係と主要設備について整理します。

項目 詳細内容
施設名称 株式会社ヒューテックノオリン 広域事業部 静岡センター
所在地 静岡県静岡市駿河区片山114-1(日本平久能山スマートICから約500m)
規模・収容能力 敷地面積約9,234㎡、延床面積約8,342㎡、冷凍温度帯で約4,900パレット収容
庫内設備 移動ラック、仕分ソーター、デジタルアソートシステム(DAS)
環境・付帯設備 太陽光発電システム(使用電力の約25%自給)、自然冷媒採用、乗務員用仮眠室完備

本施設は東名高速道路の日本平久能山スマートICからわずか約500mという絶好の立地にあり、東西の大動脈を直結するハブとしての役割を最大限に発揮できる設計となっています。

なぜ今、静岡に「冷凍特化」の拠点が必要だったのか

最大の狙いは、保管から県内配送までを「自社で完結させる」機能の獲得にあります。東西の拠点から長距離を走ってきたトラックが、そのまま県内の店舗を細かく回るルート配送(ラストワンマイル)を行うことは、2024年問題の規制下では到底不可能です。

静岡市内に冷凍特化型のハブを設けることで、関東や関西から到着した幹線輸送トラックは荷物を降ろしてすぐに帰路につくことができます。その後、庫内で仕分けられた商品は、静岡センターに配備された18台の冷凍温度帯専用車両(パワーゲート装着)によって、地域密着型の高効率なルート配送へと引き継がれるのです。

業界の各プレイヤーに与える具体的な影響

この高機能な低温物流拠点の稼働は、サプライチェーンを構成する各プレイヤーのビジネスモデルに明確なメリットをもたらします。

運送会社が享受する労務環境の劇的改善

運送事業者にとって最も大きなインパクトは、「中継輸送」の結節点として機能する点です。センター内には乗務員向けの仮眠室が完備されています。関東や関西を出発した長距離ドライバーは、この施設で荷物の引き継ぎや十分な休息を取ることが可能となり、コンプライアンス(労務管理)を完全に順守した運行ダイヤを組むことができます。車中泊の削減や拘束時間の短縮は、深刻化するドライバー離れの抑止に直結します。

参考記事: 中継輸送とは?2024年問題・2026年問題を乗り越える導入ガイドと3つの方式

荷主・メーカーが得る安定的なコールドチェーン

食品メーカーや小売チェーンにとって、運送網の逼迫は「店舗の棚から商品が消える」という最悪の事態を意味します。静岡センターは、複数メーカーの商材を同じトラックで運ぶ「共同配送」の拠点として機能します。

庫内に導入されたデジタルアソートシステム(DAS)や仕分ソーターにより、多品種の冷凍食品を店舗ごとに極めて高い精度でピッキングし、積載効率を最大化した状態で配送します。これにより、荷主企業は配送コストの高騰を抑えつつ、厳格な温度管理(コールドチェーン)の品質を維持し続けることができるのです。

参考記事: 共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、導入成功のポイントを徹底解説

ESG経営に直結する環境対応型施設

冷蔵・冷凍倉庫は、常温倉庫に比べて膨大な電力を消費します。本施設では屋上に太陽光パネルを設置し、施設内で使用する電力の約25%を再生可能エネルギーで賄う計画です。さらに、冷凍機には環境負荷の低い「自然冷媒」を採用しています。こうした脱炭素化に向けた取り組みは、施設を利用する荷主企業自身のスコープ3(サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量)削減に貢献し、ESG経営を力強く後押しします。

参考記事: フローズン輸送完全ガイド|温度管理の裏側から3PL選定・物流DXまで徹底解説

LogiShiftの視点:「中継結節点」がコールドチェーンを救う

ここからは、今回のヒューテックノオリンの戦略が示す業界トレンドと、企業が今後取るべき方向性について独自の視点で考察します。

メガ施設から「戦略的中規模ハブ」へのシフト

近年、物流不動産市場では数十万平方メートル規模のメガマルチテナント型施設が持てはやされてきました。しかし、今回の静岡センター(延床面積約8,342㎡)や、他社でも見られる静岡県袋井市での中継特化型施設の開発など、東西の中間地点における「中規模かつ高機能なリレー拠点」の整備が新たなトレンドとなっています。

長距離の「線」が切断されようとしている現在、巨大な保管庫を都市部に構えるよりも、輸送網を分断させないための「結節点(ハブ)」を戦略的な位置に配置することの方が、事業継続において遥かに重要度を増しているのです。

共同配送の標準化と「自前主義」からの脱却

これまで多くの食品メーカーは、自社専用のトラックで納品を行う「自前主義」にこだわってきました。しかし、積載率の低いトラックを走らせる余裕は現在の物流業界には残されていません。

ヒューテックノオリンが推し進める冷凍食品の共同配送プラットフォームに相乗りすることは、もはや選択肢の一つではなく、運べなくなるリスクを回避するための「必須の生存戦略」と言えます。競合他社とも荷台をシェアし、物流領域を非競争領域と位置づけるマインドセットへの転換が急務です。

自動化と省人化のハイブリッド運用

約4,900パレットを収容する移動ラックやDASの導入は、深刻化する庫内作業員の人手不足を見据えた布石です。マイナス温度帯という過酷な労働環境においては、人間の作業負担をいかに機械で代替するかが定着率を左右します。保管効率を高めるハードウェアと、正確な仕分けを支援するシステムの融合は、今後の低温物流施設における最低限のスタンダードとなっていくでしょう。

まとめ:明日から見直すべき自社の拠点戦略

ヒューテックノオリンの静岡センター開設は、日本のコールドチェーン網を維持するための極めて重要な防波堤となります。この動向を受け、物流関係者が明日から意識・実行すべきことは以下の3点に集約されます。

  • 長距離輸送ルートの脆弱性評価
    自社の直行ルートの中で、労働時間規制に抵触する区間を洗い出し、中間地点での中継拠点(リレー方式)の活用を早期にシミュレーションする。
  • 共同配送プラットフォームへの参画検討
    自社単独でのチャーター便手配に限界を感じている場合、3PL事業者が提供する共同配送ネットワークへの切り替えを積極的に協議する。
  • 拠点の環境性能とESG要件の確認
    新たに利用する倉庫や委託先の選定において、太陽光発電や自然冷媒の有無など、中長期的な脱炭素目標に合致する環境対応型施設を優先的に選択する。

物流の危機を乗り越えるためには、企業間の垣根を越えた連携と、拠点ネットワークの再構築が不可欠です。次世代のインフラをいかに自社のサプライチェーンに組み込んでいくか、経営層の迅速な決断が求められています。

出典: LOGI-BIZ online

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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