2025年雇用動向調査の結果公表と運輸業の動向
厚生労働省は、2025(令和7)年1年間の「雇用動向調査」結果を取りまとめ公表しました。主要産業全体では入職率が14.7%、離職率が13.7%となり、1.0ポイントの入職超過となりました。
物流業界を含む「運輸業,郵便業」においては、入職率9.6%、離職率9.0%で0.6ポイントの入職超過となったものの、就業形態別では一般労働者が1.2ポイントの入職超過であるのに対し、パートタイム労働者は1.6ポイントの離職超過(入職率10.6%、離職率12.2%)となるなど、雇用形態による動向の差異が示されています。
雇用動向調査の目的と位置づけ
雇用動向調査は、統計法に基づく一般統計調査として、主要産業における入職・離職および未充足求人の状況、入職者・離職者の属性や移動理由を把握し、雇用労働力の産業間・規模間・地域間移動の実態を明らかにすることを目的に上半期・下半期の年2回実施されています。
本調査は1964(昭和39)年に現行体系として開始されて以降、産業別の労働需給や転職・離職の実態を把握する基礎資料として継続的に集計・公表されています。
運輸業・郵便業の入職・離職実績と全体動向
公表された2025年調査結果の概要および「運輸業,郵便業」に関連する主な数値は以下のとおりです。
- 調査の規模と回答状況
- 対象事業所:5人以上の常用労働者を雇用する約15,000事業所(有効回答:上半期9,277事業所、下半期8,807事業所、平均有効回答率60.9%)。
- 集計対象:入職者57,896人、離職者73,332人。
- 「運輸業,郵便業」の労働移動状況
- 全体計
- 常用労働者数(年初):295万5,100人
- 入職者数:28万2,800人(入職率9.6%、うち転職入職率6.8%)
- 離職者数:26万4,700人(離職率9.0%)
- 入職超過率:0.6ポイント(前年差0.8ポイント拡大)
- 一般労働者
- 常用労働者数(年初):234万6,100人
- 入職者数:21万8,200人(入職率9.3%、うち転職入職率7.1%)
- 離職者数:19万200人(離職率8.1%)
- 入職超過率:1.2ポイント(前年差1.4ポイント拡大)
- パートタイム労働者
- 常用労働者数(年初):60万9,000人
- 入職者数:6万4,700人(入職率10.6%、うち転職入職率5.6%)
- 離職者数:7万4,500人(離職率12.2%)
- 入職超過率:-1.6ポイント(1.6ポイントの離職超過、前年差-1.2ポイント悪化)
- 全体計
- 転職入職者の賃金変動と離職理由(全産業傾向)
- 前職の賃金と比べ「増加」した割合は40.8%(前年比0.3ポイント上昇)、「減少」は31.0%(同1.6ポイント上昇)。
- 男性の離職理由(個人的理由等を除く)は「定年・契約期間の満了」(16.1%)、「給料等収入が少なかった」(9.9%)が上位。
- 女性の離職理由は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(12.9%)、「職場の人間関係が好ましくなかった」(11.5%)が上位。
雇用管理・人材調達に関わる主な対象
- トラック運送事業者および利用運送事業者
- 倉庫・物流センター運営事業者
- 荷主企業(製造業・卸売業・小売業等の物流管理部門)
物流実務への示唆と雇用形態別の課題
- トラック運送事業者
- 一般労働者(正社員等)の入職超過幅が1.2ポイントに拡大している一方、全産業的に転職者の4割以上が賃金増加を伴って移動している実態が示されています。他産業への人材流出防止や採用力強化に向けて、給与水準や労働条件の設定がより重要な要素となる環境がうかがえます。
- 倉庫・物流拠点(物流センター等)
- 運輸業のパートタイム労働者において離職率(12.2%)が入職率(10.6%)を上回り、1.6ポイントの離職超過となっています。庫内作業や仕分け業務などを非正規雇用に依存している拠点では、シフトの維持や人材確保の難度が高まりやすい状況が示されています。
- 荷主企業
- 運送・物流現場における労働力需給の偏りやパートタイム層の離職傾向を踏まえ、荷待ち時間の削減や付帯業務の負担軽減など、物流パートナーの労働環境維持に配慮した連携の重要性が高まっています。
今後の公表スケジュール
- 2027年2月頃
- 2025年雇用動向調査の詳細な調査結果報告書が公表される見込みです(労働政策研究・研修機構の別途公表資料による)。
今後の注目点と雇用動向の着眼点
- 運輸業における未充足求人(欠員補充求人)の動向
- 職種別の未充足求人数や求人充足状況の推移は、今後の詳細統計で確認される論点となります。
- パートタイム労働者の離職超過傾向の行方
- 庫内作業員等の短時間労働者における離職先行傾向が、待遇改善や業務効率化によってどのように推移するかが今後の焦点になります。
関連する業界動向(人材定着と倒産動向)
- 「従業員退職型」倒産の動向
- 帝国データバンクの調査によれば、2026年1〜7月の「従業員退職型」倒産において運輸・通信業が急増しており、従業員の離職が事業継続に直接影響を与えるリスクが高まっています。
- ドライバーの年齢構成と処遇の動向
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」等ではドライバーの平均年齢の上昇がみられるなど、労働力維持に向けた労働環境改善の取り組みが業界全体で進められています。
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出典
- 発表主体: 厚生労働省 / 発表日: 2026-08-31
- 調査の概要(PDF)
- 入職と離職の推移(PDF)
- 産業別の入職と離職(PDF)
- 転職入職者の状況(PDF)
- 離職理由別離職率の推移(PDF)
- 付属統計表(PDF)
- 用語の定義(PDF)
- 利用上の注意(PDF)
- 報道用発表資料(PDF)
- 概況全体版(PDF)
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