スマレジEC・B2Bとは?
スマレジEC・B2B(旧:楽楽B2B)は、卸売業や製造業におけるFAX・電話注文のアナログ管理による業務の非効率や誤入力を解消する、中小企業向けのクラウド型BtoB受発注システム(OMS)です。提供元は株式会社ネットショップ支援室で、2025年11月に現ブランドへ刷新されました。最大の特徴は、取引先ごとに異なる掛け率、決済手段、販売経路を細かく個別設定できる点です。これにより、企業間取引特有の複雑な商習慣をWEB上にそのまま再現可能となります。インボイス制度への対応など必要な機能を豊富に備え、受注データ入力や転記作業の大幅な削減を推進することで、バックヤード業務の自動化と売上向上の両立をサポートします。
主な機能・特徴
スマレジEC・B2Bには、BtoB(企業間)取引ならではの特有の商習慣や個別要件に対応するための機能が豊富に備わっています。以下に主な機能と特徴を列挙します。
- 掛け率・卸価格の個別設定機能
取引先企業ごとに、商品ごとの掛け率(割引率)や指値による個別の販売価格を設定することができます。この機能により、従来は営業担当者が紙の台帳やエクセルで個別に確認しながら行っていた価格調整作業が完全に自動化され、属人化の解消と価格誤りの防止が実現します。 - 販路および商品表示の制御機能
特定の取引先にだけ特定の商材を見せたい、あるいは逆に非表示にしたいといった細かな販路の制御が可能です。オープンサイト、セミクローズド、完全クローズドなど、自社の戦略に合わせて卸向けECサイトの表示形態を選択でき、競合他社に価格や取り扱いラインナップを伏せたい場合にも対応します。 - 取引先別の決済手段カスタマイズ機能
請求書払い(掛け払い)、クレジットカード決済、代金引換など、取引先ごとに利用可能な決済方法を個別で指定可能です。これにより、新規取引先には前払いやクレジットカード決済を求め、長年の取引先には従来の掛け払い(請求書払い)を適用するといった柔軟な運用がシステム上で完結します。 - かんたん発注フォーム(数量入力フォーム)
発注側の取引先が迷わず注文できるよう、商品一覧の横に数量を入力するだけで一括注文できる「簡易発注フォーム」を搭載しています。PCの操作やシステムの扱いに不慣れな取引先であっても、従来のFAX注文書に近い直感的な感覚でスムーズにWEB発注へ移行できます。 - 見積書作成機能
発注側の企業自身が卸サイト上で見積書(PDF)を自動で作成・ダウンロードすることができます。これにより、発注側の社内決裁に必要な見積書を即座に発行でき、自社の営業担当者が手作業で見積書を作成・送付する手間が削減されます。 - 営業・販促支援機能(顧客ヒアリング・提案)
Web上でアンケートフォームなどを設置し、顧客ニーズや課題を直接ヒアリングする仕組みを構築できます。収集した情報や購買履歴データをもとに、特定の取引先に対して個別の提案やアップセル・クロスセルといった販促活動を行うことが可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
スマレジEC・B2Bの特性や仕様を踏まえ、導入効果が出やすい現場と、ミスマッチが起こりやすいケースを解説します。
向いている企業・現場
- 取引先ごとに契約条件や価格設定が細かく異なる企業
「A社は掛け率60%、B社は特定の型番のみ特別価格、C社にはこの商品は非表示」といった、複雑な個別ルールが多数存在する卸売・製造業に向いています。システム側で自動で制御されるため、都度確認する手作業をゼロにできます。 - FAXや電話による注文の手入力作業に限界を感じているバックヤード
毎日大量に届く手書きのFAXや電話注文を、担当者が基幹システムや伝票に手作業で打ち込んでいる現場に最適です。注文をWEB化することで、入力ミスの撲滅と作業時間の劇的な削減が期待できます。 - 営業担当者が受発注や在庫確認の電話対応に追われている企業
「この商品の在庫はあるか」「うちの卸値はいくらか」といった問い合わせ電話が頻繁にかかってくる現場に向いています。取引先が自らサイト上で在庫や価格を確認できるようになるため、営業活動本来の提案業務に集中できます。
向いていない企業・現場
- 取引先が紙やFAXでのやり取りを一切変えられない場合
発注側となる取引先(小売店や代理店など)の高齢化が進んでおり、WEB画面からの注文を完全に拒絶している場合はミスマッチになり得ます。AI-OCRによるFAX自動データ化などの代替手段もありますが、取引先の協力が得られないと導入効果が半減します。 - BtoC(一般消費者向け)の販売業務がメインである企業
本ツールはBtoB(企業間)特有の複雑な商習慣に特化したOMS・カートシステムです。一般的な個人向けネットショップの運営に必要なデザインテンプレートや販促機能(SNS連携や汎用ポイント機能など)を最優先する場合は、他のBtoC向けカートシステムを検討した方がよいでしょう。 - 即日・数日でのスピード稼働を絶対条件とする場合
取引先ごとの掛け率、商品マスタの整理、決済ルートの登録など、事前の設計とマスタ構築に一定の時間を要します。契約から稼働まで約2ヶ月程度の期間が必要とされるため、今すぐ使い始めたい場合には適していません。
料金・プラン・導入方法
スマレジEC・B2BはSaaS型の月額課金モデルを採用しています。公式Webサイト上では詳細な金額は公開されておらず、企業ごとの規模や要件に合わせた「要問い合わせ(個別見積もり)」となっています。代表的なプランの構成および上限値などは以下の通りです。
| プラン | 初期費用 | 月額料金 | 仕様・制限(備考) |
|---|---|---|---|
| Standard | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 受発注機能に特化。無料ID数:5名、商品数上限:10,000件、取引先数上限:5,000件。 |
| Professional | 要問い合わせ | 要問い合わせ | ECカタログ・営業支援機能あり。無料ID数:20名、商品数上限:50,000件、取引先数上限:10,000件。 |
※追加商品5,000件あたり、月額10,000円の追加料金が発生します。
※システム構築にあたり、導入時に数十万円程度の初期費用が発生します。
【見積もり時に確認すべきポイント】
- ① 自社の取引先数と登録商品数の上限
初期仕様(例: Standardプランは商品1万件・取引先5,000件)を超えた場合の追加費用(従量課金やプランアップ)の基準を確認してください。 - ② WMS(倉庫管理システム)や基幹システム等との連携費用
既存の販売管理ソフト(例:商奉行クラウドなど)や外部の物流システムとAPI連携する際、追加の連携年間利用料やオプション料金が発生するかどうかを必ず問い合わせ時に確認してください。 - ③ 最低契約期間および解約条件
基本契約期間(通常は12ヶ月など)と、契約更新月における解約の事前通知期限(満了日の前月20日までなど)について、自社の運用に耐えうるか確認してください。
導入の流れ・期間
スマレジEC・B2Bの具体的な導入の流れと期間の目安は以下の通りです。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式ホームページより資料請求やお問合せを行います。担当者より連絡があり、自社の受発注の現状(取引先数、取扱商品数、現在の受注手段など)をヒアリングされます。 - デモンストレーション・個別提案
自社の商習慣や要件に基づき、デモ画面を見ながら機能の説明を受けます。取引先別の設定方法や注文画面のインターフェースが自社の業務に合うか検証します。 - プラン・構成の決定および見積もり
StandardかProfessionalかのプラン選定、システム連携オプションの有無などを確定させ、初期費用および月額料金の見積もりを受け取ります。 - 契約(個別合意)
契約期間や支払い条件などを個別合意し、正式な契約を締結します。 - 初期設定・システム構築(約1.5ヶ月〜2ヶ月)
自社の商品マスタ、取引先マスタ、各取引先ごとの掛け率や決済条件などの設定作業を行います。必要に応じて、外部システム(WMSや販売管理ソフトなど)との連携設定や、一部の取引先を用いたテスト運用を実施します。 - 本格稼働(テスト完了後)
取引先(発注側)に向けてアカウント(ログインID)を発行し、実際のWEB受発注の運用を開始します。
※導入開始から本格稼働までに要する一般的な期間は、マスタデータの整理や商習慣の調整を含め約2ヶ月程度が目安となります(具体的な導入期間は要問い合わせ)。
連携できるシステム・機器
スマレジEC・B2Bは、外部システムとの親和性が高いOpenAPIやCSVマッピング機能を備えており、以下の主要システムとの連携実績が公表されています。
- WMS(倉庫管理システム)
「LOGILESS(ロジレス)」などの自動出荷管理システムとAPI連携が可能です。スマレジEC・B2Bで受注したデータをLOGILESSへ自動取り込みし、出荷完了後に配送追跡番号などを自動でスマレジEC・B2B側に書き戻す一連の自動出荷フローを構築できます。 - 販売管理・基幹システム(ERP)
株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する「商奉行クラウド」との自動API連携に対応しています。スマレジEC・B2Bの受注データを手作業によるCSV出力・手入力なしで商奉行クラウドへ同期でき、商品マスタや得意先マスタの自動連携も可能です。 - 業務改善プラットフォーム(kintone)
「スマレジEC・B2B for kintone」の専用プラグイン(株式会社キャップドゥー・ジャパン開発・提供)を利用することで、kintoneとのシームレスな同期が可能です。リード情報、見積データ、受注ステータス、商品マスタ情報などを自動でkintoneへ集約し、社内の情報共有を円滑にします。 - ハイパーオートメーションツール(Yoom)
「Yoom」とのAPI連携に対応しており、ノーコードでスマレジEC・B2Bの操作を自動化できます。受注情報を自動的にGoogleスプレッドシートやSlack、Excelなど外部のビジネスチャットやスプレッドシートへリアルタイムで連携する仕組みを容易に構築可能です。 - 決済システム(掛け払いサービス)
「NP掛け払い」や「マネーフォワード ケッサイ」などのBtoB向け決済代行・掛け払いシステムと標準的な連携が可能です。与信審査や請求書発行業務を外部サービスへ自動で引き渡すことができます。
導入事例・実績
公式サイトや信頼性の高いビジネスメディアで公開されている、具体的な導入事例を以下に紹介します。
- 株式会社サザコーヒーホールディングス(サザコーヒーロースター)
営業担当が手作業で行っていた受注データの入力工数が課題となっていました。システム導入により、営業部門における手入力の事務作業がなくなり、1日あたり4時間(年間1,608時間)の入力工数が一気に「ゼロ」へ短縮されました。営業スタッフが本来注力すべきコア業務に専念できる環境が整い、売上高は前年比115.8%を達成しています。 - 福山黒酢株式会社(鹿児島県/黒酢製造販売・卸売)
導入前は、営業担当がExcelで作成した伝票をもとに事務スタッフが基幹システムへ再入力する二重管理となっており、情報連携に人手が必要でした。スマレジEC・B2Bを導入したことで、受注情報を登録するだけで受注伝票・納品書・請求書が自動的に出力される仕組みを構築。伝票作成にかかる作業時間を月に60時間以上削減することに成功しました。 - 有限会社イー・アンド・エス(全国約500社へ位牌を卸販売)
従来は、月平均1,000件におよぶFAX注文書を目視で確認し、手書きで納品書や請求書を作成し、売上集計を手計算で行うというアナログな体制でした。導入後は、WEB上で受注したデータの納品書や請求書の自動発行機能により、手作業での帳票作成や手計算による売上集計が不要となり、これらの業務にかかる時間を月に140時間削減しました。 - 株式会社利他フーズ(食品・雑貨の製造販売)
従来は受発注や問い合わせ業務を3人がかりで対応しており、手作業による処理スピードの限界が課題でした。法人向けのWEB受発注(EC)サイトを構築したことで、これまでの受注データ処理や伝票発行業務が効率化され、3人で対応していた業務を1人で対応可能にする省人化体制を確立しました。
導入前に知っておきたいこと
スマレジEC・B2Bは高い柔軟性を持つ一方で、導入したユーザーから報告されているデメリットや注意点、課題がいくつか存在します。
- 初期の各種設定項目が非常に多く、準備に時間がかかる
取引先ごとに細かく異なる掛け率、個別の決済方法、表示する販路の設定などを細密に登録できる反面、その「設定項目の多さ」から初期設定やマスタ構築の手間が大きくかかります。初期構築段階の設計を適当に行うと、誤った価格表示などのトラブルを招く恐れがあるため、稼働前の丁寧なデータ整理が必要です。 - 契約から実際の本格運用開始まで一定の期間(約2ヶ月)が必要
即座に利用を開始できるような一部の簡易ツールとは異なり、要件定義からマスタ整備、連携テストなどを進めるために、契約完了から導入稼働までに約2ヶ月程度かかります。余裕を持った導入スケジュール(稼働目標)を組んでおく必要があります。 - 環境やデータ量に応じた「検索スピード」への懸念
登録する商品点数や取引先データが膨大になった場合や、利用する通信環境などの要因によって、管理画面上の「検索スピード」にやや不満や重さを感じるというユーザー評価が一部で報告されています。大量データの扱いを検討している場合は、事前にデモ画面などでレスポンスを確認することを推奨します。
類似ツールとの比較
BtoBの受発注や、複数のEC店舗を一元管理する主要な類似ツールとの比較情報を整理しました。
| ツール名 | 特徴 | 料金(月額) | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| スマレジEC・B2B | 取引先ごとの掛け率や決済条件の個別指定、インボイス対応などBtoB取引特有の商習慣を完全にカバーするクラウドOMS。 | 要問い合わせ(初期費用あり) | 卸売業や製造業で、FAXや電話での受発注をデジタル化(WEB化)し、条件管理を自動化したい中小企業。 |
| ネクストエンジン | ECモールやカートの在庫・受注・商品登録の一元化に強みを持つ業界大手のクラウドSaaS。豊富な外部API・アプリ連携。 | 基本料金3,000円〜 + 従量課金制(※201件目以降、件数ごとに加算) | 楽天市場やAmazon、自社ECなど、複数の一般消費者向け(BtoC)ECサイトを併売・多店舗運営する企業。 |
| MOS | スマートフォンやタブレットでの受発注操作に徹底的に最適化。FAX注文を自動でデータ化する「MOS FAX」などのオプションも強み。 | 月額30,000円〜(ID数による。初期費用は個別見積もり、MOS Lite Premiumは初期0円) | 外出先や移動の多い取引先(店舗のバイヤーや営業マンなど)が、スマホメインで快適に受発注を行いたい現場。 |
| CROSS MALL | 商品・在庫・受注・発注・仕入の一元管理。実店舗のPOSレジや自社の卸向け基幹システムとの包括的な在庫・オムニチャネル連携に対応。 | 月額5,000円〜(スーパーライトプラン。受注課金なしの月額固定) | 多店舗展開のEC運営に加え、実店舗や自社の基幹システム(販売管理・倉庫)と緊密に在庫・仕入を連携させたい企業。 |
【選定時の判断基準】
自社取引先ごとの「個別掛け率(価格)」や「決済条件の制御」など、BtoB(卸取引)ならではの複雑な契約条件をWEB受発注で漏れなく再現・自動化したい場合は、スマレジEC・B2Bが候補になります。企業間取引の属人化を防ぎ、事務入力の工数を劇的に減らすことに直結します。
一方で、BtoBの商習慣よりも「複数ECモール(楽天市場やYahoo!ショッピングなど)のBtoC店舗における受注や在庫データをリアルタイムで一元管理したい」という課題がメインであれば、ネクストエンジンやCROSS MALLが適しています。また、「発注側(取引先)が主にスマホ端末からいつでも注文を入力できるようなモバイルファーストの環境」を最優先したい場合は、スマホ操作に最適化されたMOSを比較・検討するのが現実的です。
よくある質問(FAQ)
- 発注用のスマートフォン専用アプリはありますか?対応環境を教えてください。
- 発注用の専用アプリは公開されていません。ただし、システム自体がスマホやタブレット等のブラウザでの閲覧に対応したレスポンシブ設計となっており、取引先がモバイル端末からWEBブラウザ経由で発注を行うことは十分可能です。また、取引先が数量を入力するだけで簡易注文できる「かんたん発注フォーム」などが用意されています。
- 導入前に無料トライアルや実際のデモ画面を確認することはできますか?
- 公式サイトの「無料で使ってみる」やお問合せ窓口から、デモ環境の体験や、実際の管理画面を用いた詳細な製品説明を申し込むことができます。自社の複雑な条件に対応できるか確認するためのデモンストレーションを個別に実施する形式をとっています。
- サポート体制や問い合わせ窓口はどうなっていますか?
- Standardプラン、Professionalプランのいずれにおいても、電話、Eメール、専用フォームから問い合わせができるカスタマーサポート窓口が標準で用意されています。初期設定段階のサポート体制やオプションサポートの有無などは、契約内容によって変動するため、要問い合わせとなります。
- 最低契約期間や解約時の申し出期限、解約条件を教えてください。
- 登録時に個別合意した期間(通常12ヶ月など)での契約が適用されます。満了日の前月20日までに解約通知を出す必要があり、期限までに解約通知がない場合は同一期間での自動更新となる旨が報告されていますが、実際の条件は契約時に必ず見積もり時や担当者へのヒアリングを通じてご確認ください。
- 取引先からどうしても紙やFAXでの注文が残ってしまう場合はどうすればよいですか?
- 基本的にはWEB受発注(EC)へ段階的に切り替えることが目的ですが、どうしても紙の注文が残る場合は、スマホ等でFAX注文書を読み取り自動でシステムへ受注データ化するAI-OCR機能などのオプション等を活用することで、WEB注文とFAX注文のデータを管理画面上で一本化して管理することができます。
- WMSや基幹システム、会計ソフトとの自動連携は可能ですか?
- はい、可能です。商奉行クラウドとのAPI自動連携や、LOGILESS等のWMSとのAPI連携に対応しています。また、公開API(OpenAPI)やCSVのマッピング機能を標準で提供しているため、自社の既存システムや他の外部システムと柔軟に連携テストを行うことができます。