おんどとり Web Storageとは?
おんどとり Web Storageは、株式会社ティアンドデイが提供するコールドチェーン・温度管理向けのクラウドサービスです。データロガー「おんどとり」シリーズで計測した温度・湿度などのデータをインターネット上で一元管理し、パソコンやスマートフォンから世界中どこからでも輸送・保管中のデータにアクセスできます。温度異常時のアラート通知機能を備えており、物流・倉庫業界における厳格な品質管理課題の解決や、手作業での記録業務の大幅な省力化に貢献します。
主な機能・特徴
- クラウドでのデータ一元管理:データロガーから自動送信された温度・湿度・電圧などの計測データをクラウド上に集約し、遠隔地からWebブラウザでリアルタイムの現在値や過去の推移をモニタリングできます。
- 異常検知・アラート通知機能:あらかじめ設定した上限・下限値を超える温度異常を検知した場合や、機器の通信エラー時に、管理者のメールアドレス宛てにアラートを即座に通知します。
- 連携アプリケーションの提供:スマートフォンアプリ「T&D Thermo」によるデータ閲覧や直接通信、PC向けの高機能ソフトウェア「T&D Graph」を利用した詳細なデータ解析・グラフ化が可能です。
- 公開APIによる外部システム連携:蓄積された計測データを取得するためのAPIが公開されており、自社の環境モニタリングシステムやBIツール、電子帳票ツールなどへ定期的にデータを取り込むことができます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
対象規模を問わず、物流・倉庫業、食品・飲料、医薬品、製造業など、厳密なコールドチェーン維持や環境管理が求められる現場に最適です。特に、複数拠点の倉庫や輸送中のトラック庫内温度を遠隔から一元監視したいシーンに適しています。「手作業での温度記録・帳票作成の手間をなくしたい」「異常発生時に即座に気づける仕組みがない」といった課題を抱える品質管理担当者や運行管理担当者に強くおすすめできます。また、農業のビニールハウス監視や、酒造業でのタンク温度管理などへの応用にも向いています。
【向いていない企業・現場】
本サービスは、株式会社ティアンドデイの「おんどとり」シリーズ等の対応ハードウェアを利用することが大前提となるシステムです。そのため、「すでに導入済みの他社製データロガーやIoTセンサーをそのまま流用してクラウド化したい」という企業には向いておらず、別の汎用プラットフォームを検討した方がよいでしょう。また、有線LAN・無線LAN・モバイル通信などのインターネット環境が全く確保できない現場では、クラウドへのデータ自動送信機能が活用できないため、オフライン運用(USB吸い上げ等)を主軸とするか、別のアプローチが必要です。
料金・プラン・導入方法
おんどとり Web Storageのクラウドサービス自体は無料で提供されています。月額のシステム利用料金(SaaSとしての課金)は発生しません。
ただし、データの計測・送信を行うための「おんどとり」シリーズ本体(データロガー)の購入費用(数千円〜数万円程度/台)や、インターネット通信にかかる費用は別途必要です。導入にあたっては、対応するデータロガーを購入後、公式サイトから無料でユーザー登録を行い、アカウントに機器を追加することで利用を開始できます。
導入事例・実績
- 合資会社基山商店(食品・飲料/酒造業)
通年製造に伴う手作業での製造記録の負担が課題だった老舗酒蔵にて、全タンクにIoT機器「おんどとりJr.」を導入。「おんどとり Web Storage」を活用して温度管理を自動化し、作業負担の軽減とデータの一元管理を実現しました。 - 株式会社島津テクノリサーチ(環境測定)
工事現場における騒音や振動の測定におんどとりシリーズ(電圧・電流・パルスロガー)を活用。Web Storage経由でAPI連携を利用して自社の環境モニタリングシステムにデータを取り込み、関係者へのリアルタイムでの値の公開やレポート作成に役立てています。 - 株式会社テクノツリー(システム開発・製造業向けIT)
自社の電子帳票ツール「XC-Connect」とおんどとり Web Storageを連携させ、本社の室温データを自動で取得。取得した温度データをグラフ付きの帳票へ自動反映させる社内DX運用を実施しています。
導入前に知っておきたいこと
ユーザー評価や導入企業の報告、実証実験の記録から、以下の課題や注意点が確認されています。
- ハードウェアの初期費用
クラウドシステム自体は無料ですが、通信機能を持つ「おんどとり」本体の購入には数万円程度の費用がかかるモデルもあります。複数台を導入する場合は、それなりの初期投資(ハードウェア予算)が必要です。 - 保存データ容量と期間の制限
無料サービスであるため、無制限にデータを保管できるわけではありません。クラウド上に保存できるデータ量は機器の記録間隔によって変動し、上限を超えた場合は古いデータから順次上書き・削除されます。監査対応などで長期間のデータ保存が義務付けられている医薬品・食品物流現場などでは、専用ソフトウェア「T&D Graph」等を用いてPCへ定期的にバックアップ・ダウンロードする運用フローの構築が必須です。 - ネットワーク環境への依存
データロガーをインターネットに接続するためのWi-Fi設定や、企業の厳格なネットワークセキュリティ環境(ファイアウォール設定やIPv6/IPv4対応状況など)によっては、導入時の通信設定に手間取ったという事例報告も存在します。 - アプリやAPI仕様の変更への対応
夏時間(サマータイム)設定やAPIのフラグ処理などに関するシステムメンテナンスが定期的に行われています。APIを利用して自社システムと連携させる場合、メーカーからの仕様変更・メンテナンス情報を常に把握し、システム側を調整する保守体制が求められます。
類似ツールとの違い・選び方
物流・倉庫向けの温度管理クラウドシステムは多数存在しますが、おんどとり Web Storageの最大の強みは「メーカー純正によるハードウェアとの高い親和性」と「ランニングコストの低さ」です。
他社のSaaS型温度管理システムでは、データロガーのレンタル費用やクラウド利用料として月額数千円〜数万円のランニングコストが発生するケースが一般的ですが、本サービスは初期のハードウェア購入費のみで、クラウド利用自体は無料(容量制限あり)で運用できます。
また、計測データをプラットフォーム内に囲い込まず、公開APIを提供している点も特徴です。「コストを抑えつつ、最終的には自社のWMS(倉庫管理システム)や基幹システムに温度データを連携させたい」という拡張性を求める企業に選ばれています。
よくある質問(FAQ)
- おんどとり Web Storageの利用に月額料金はかかりますか?
- いいえ、クラウドサービス自体は無料で利用できます。ただし、データを計測・送信するための「おんどとり」本体のハードウェア購入費用や、設置場所でのインターネット通信にかかる費用は別途必要になります。
- クラウドに保存されたデータは永遠に残りますか?
- いいえ、データの記録間隔によっておんどとり Web Storage上に保存できるデータ量(期間)が決まっています。上限を超えた古いデータから順次削除されるため、長期的なデータ保管が必要な場合は、専用ソフトウェアを利用してPC等へダウンロードしてください。
- 他社製の温度センサーを接続して利用することはできますか?
- 基本的に株式会社ティアンドデイの「おんどとり」シリーズおよび、互換性のある一部の対応機器(エスペックミック社のサーモレコーダーシリーズなど)専用のサービスです。他社製のセンサーを直接接続することはできません。
- 温度異常が発生した際の通知はどのような方法で届きますか?
- 機器があらかじめ設定した上限値・下限値を超えた場合や、センサーの電池残量低下・通信エラーなどの異常をクラウド側が検知した際に、登録されたメールアドレス宛にアラート通知が送信されます。