ハサレポとは?
「ハサレポ」は、ラトックシステム株式会社が提供するクラウド型のIoT温度管理システムです。冷蔵・冷凍倉庫や保管庫、さらにはサーバールームなどの温度・湿度を自動で計測し、遠隔地のスマートフォンやPCからいつでも状況を確認できます。これまで人が巡回して行っていた目視確認や紙のチェックシートへの手書き記録業務をデジタル化し、省力化とペーパーレス化に大きく貢献します。食品・飲料の製造現場、物流・倉庫業、小売業など、HACCP対応や厳格なコールドチェーン管理が求められる中小企業向けのソリューションです。
主な機能・特徴
- 5分ごとの自動計測とクラウド保存:センサーが温度や湿度を5分間隔で自動的に計測し、データをクラウドに蓄積します。これにより、目視や手書きによる記録漏れ・誤記を完全に防ぎます。
- リアルタイムの遠隔モニタリング:PCやスマートフォン(iOS、Android対応)の専用アプリから、離れた場所にある複数拠点の温度を一括で確認でき、温度変化をグラフで視覚的に把握できます。
- 異常時のアラート通知とコメント記録:設定した温度範囲から逸脱した際、スマホのプッシュ通知やメールで即座に担当者へお知らせします。また、HACCPで求められる異常時の対応内容をアプリからコメントとして記録可能です。
- 配線・LAN工事不要の後付け導入:センサー間は障害物に強いWi-SUN通信(中継器利用で見通し最大1000m)を利用し、クラウドへはLTE-M回線で接続します。社内ネットワークに依存しないため、配線工事や複雑なWi-Fi設定が不要です。
- 停電時のデータ保持と補完機能:温度センサーは乾電池で駆動するため、施設の停電時でも継続して計測を行います。通信復旧時にセンサー本体のメモリーからデータをクラウドへ補完し、欠測を防ぎます。
- 回転灯(パトランプ)連動による視覚的報知:現場の回転灯やブザーをIoT通信ユニット経由で連動させる機能が搭載されており、作業中や騒音環境下でも異常を即座に察知できます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 日々の温度記録・巡回業務を削減したい現場:HACCP対応のため、1日に複数回、広い工場内や倉庫を歩き回って温度を記録している食品加工業や物流倉庫の担当者に最適です。
- 離れた複数拠点を一元管理したい企業:複数の工場や倉庫、さらには常温・冷蔵・冷凍の三温度帯の設備が点在している場合でも、本部や管理者の手元で一元的に状況を把握したい企業に向いています。
- ネットワーク工事が困難、またはWi-Fi環境がない現場:独自のLTE-M回線を利用するため、Wi-Fi環境がないコンテナ倉庫や、セキュリティの都合上、社内LANに外部機器を接続できない現場のシステム担当者におすすめです。
- サーバールームの無人監視を行いたい企業:食品業界に限らず、休日や夜間に無人となるサーバールームの温度異常を監視・把握したい企業にも適しています。
【向いていない企業・現場】
- 毎月のランニングコストをかけたくない現場:SaaS型のクラウドシステムであるため、通信費やクラウド利用料を含む毎年のライセンス費用が発生します。買い切り型のスタンドアロン機器で完結させたい運用スタイルの場合は、別のローカル型ロガーツールを検討した方がよいでしょう。
- スマートフォンやPCの持ち込み・利用が一切禁止されている現場:現場でのデータ確認や異常通知の受け取りにPCまたはスマートフォンアプリを使用するため、厳格なセキュリティ規定によりインターネット接続端末を利用できない環境には不向きです。
料金・プラン・導入方法
ハサレポの料金体系は、導入時に購入する「ハードウェア機器の代金」と、継続利用するための「ライセンス費用(クラウド利用料・通信料・アプリ更新料込み)」の組み合わせとなります。
- ライセンス費用(ゲートウェイ1台あたり):
- 1年プラン:15,000円(税別)
- 3年プラン:37,800円(税別)
- 5年プラン:57,000円(税別)
- 初期ハードウェア費用:10万円台〜(導入する施設規模や、センサー・ゲートウェイの台数によって変動するため要問い合わせ)
- 導入方法:無線の電波を使用するシステムのため、事前の商談にて設置予定場所の電波状況を確認するテストが必要となります。
導入事例・実績
- 大阪府 食品加工会社 様:数千平方メートルの工場内で、1日3回・約20箇所の温度確認をスタッフが目視と手書き(1日90分拘束)で行っていましたが、ハサレポ導入により記録にかかる人手をゼロに削減。省力化と記録のペーパーレス化を実現しました。
- 宮崎県 株式会社 英楽 様(若鶏生産・加工品製造):工場2拠点と倉庫1拠点の冷蔵・冷凍庫の温度管理を自動化。手作業での見回りを撤廃し、異常検知時は手元で迅速に初動対応できる体制を構築しました。霜取り中の温度変化も5分間隔で正確に記録できるようになっています。
- 神奈川県 大和倉庫 様:お客様から預かった化学品(主に危険物4類)の冷蔵保管や輸送のプロセスにおいて、品質維持のための温度管理システムとして導入されました。
導入前に知っておきたいこと
ハサレポの導入にあたり、ユーザー企業から挙がった課題報告や、メーカー公式のアップデート情報から確認できる注意点は以下の通りです。
- 現場での通知見落としリスクへの対策が必要:IoTツール全般に共通する課題として、「作業中でスマホを見られない」「工場内の騒音でスマホの通知音に気づかない」といった理由から、スマホ通知やメールだけでは現場での異常検知が遅れるケースが報告されていました。この課題に対し、メーカーは2026年3月に「回転灯(パトランプ)・ブザー連動機能」をアップデートで追加しています。スマホを持てない作業員が多い現場では、こうしたオプション機能の併用を前提に導入を検討する必要があります。
- 導入前の電波テストが必須:センサーと通信ゲートウェイ間は最大1000m(見通し距離)の通信が可能ですが、分厚い断熱材や金属製の扉で覆われた冷蔵・冷凍庫の内部に設置する場合、電波が減衰・遮断される可能性があります。導入前には必ず現場で無償の電波テストを実施し、中継器の追加が必要かどうかを確認する手間がかかります。
類似ツールとの違い・選び方
同カテゴリのIoT温度管理システムと比較した際、ハサレポの最大の強みは「既存設備への後付けのしやすさ」と「トラブル発生時のデータ保護機能」にあります。
Wi-Fiを利用する一般的な温度管理ツールの場合、社内ネットワークへの接続設定や、アクセスポイントの増設工事が必要になるケースが多く、情報システム部門の工数がかさみがちです。しかしハサレポは、独立したLTE-M回線を利用するため、LAN配線や面倒なネットワーク設定が一切不要で、古い設備にもそのまま後付けできます。
また、センサー自体が乾電池で駆動し、停電時でも独立して温度計測を継続する仕組みを備えています。通信や電源が復旧した際に溜まったデータをクラウドへ自動補完できるため、災害時のBCP対策や、厳密なトレーサビリティを重視する企業にとって非常に信頼性の高いツールと言えます。
よくある質問(FAQ)
- 既存の冷蔵庫や冷凍庫に穴あけなどの設置工事は必要ですか?
- 工事は不要です。センサーは電池駆動であり、無線通信を行うため配線を外に引き出す必要がなく、今ある冷蔵設備の庫内にそのまま後付けで設置することが可能です。
- ライセンス費用には何が含まれていますか?
- 毎年のライセンス費用には、クラウドシステムの使用料、クラウドへ接続するためのLTE-M回線の通信費、およびスマートフォン用アプリの更新費用のすべてが含まれています。
- 停電が発生して通信が切断された場合、温度データは消えてしまいますか?
- 消えません。センサー本体は乾電池で駆動しているため、停電中も継続して温度を計測・記録します。通信機能が復旧した際に、センサー本体のメモリに保存されていたデータをクラウドへ自動的に補完する機能があります。
- パソコンがなくても利用できますか?
- はい、利用可能です。iOSおよびAndroid対応の専用アプリが提供されているため、スマートフォンのみで温度の確認や異常通知の受信、グラフの閲覧などの一連の管理が可能です。