配車計画 ASSORTとは?
株式会社セイノー情報サービスが提供する「配車計画 ASSORT(アソート)」は、輸配送管理システム(TMS)の一環として、複雑な条件が絡み合う配送計画の作成をサポートする配車支援に特化したシステムです。配送計画が特定のベテラン担当者の知識や経験に依存する「業務の属人化」や、計画作成の難しさから生じる不効率な積載、それに伴う「車両台数や配送コストの高止まり」といった課題を解決するために開発されました。2013年に「CLOUD ASSORT(クラウド・アソート)」としてリリースされて以来、荷物や届け先の詳細な特性情報(積載条件、荷姿、積載重量、時間指定、庭先条件など)を一元的にシステム上で管理し、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で誰もが安全かつ正確な配車計画を立てられる環境を提供しています。
主な機能・特徴
配車計画 ASSORTは、現場での実務的な配車フローを考慮した多角的な機能を備えています。
1. 多様な入力項目による精緻な受注登録
配送計画を立てるベースとなる受注登録機能では、単なる配送先住所や荷量にとどまらず、積地・降ろし地の細かな物理的条件(2t車限定といった「庭先条件」)、到着希望などの時間指定、荷物の荷姿(パレットやケースなど)、積載重量、容積、上積み禁止といった特性情報を事前に入力・定義することが可能です。これらの制約情報をあらかじめデータベース化しておくことにより、実際の配車に際してすべての制約条件をクリアした無理のない運行ルート・計画の立案が可能になります。「配車した車両が現地に到着してみたら、道路が狭く進入できなかった」「荷物の特性上、積めない車両だった」といった実務における手戻りや配送トラブルの防止に寄与します。
2. 直感的に操作できるドラッグ&ドロップ配車
画面上に表示された「未配車」の荷物一覧から、稼働させる車両の枠に向かってマウスでドラッグ&ドロップするだけで、配車計画を直感的に作成することができます。配車条件(積載量の制限や各配送先の進入車両サイズなど)をシステムがリアルタイムでチェックしており、矛盾が生じた場合にはエラーや警告で通知する機能を備えています。これにより、経験の浅い配車担当者であっても、ミスを起こさず、短時間で精確な配車組みを完了できます。また、作成された計画は、そのまま現場用のドライバー運行指示書として即座に帳票出力が可能です。
3. データ作成の手間を省く柔軟な分割配車機能
物量が多く1台のトラックに載りきらないような大口荷物の配送が発生した場合でも、受注管理側で元のデータを2つ以上に分けて登録し直す必要はありません。配車登録を行う画面上で、その受注データを容易に「分割」して複数の車両へと割り付けることが可能です。データ加工や二重登録の手間を大幅に削減できるため、突発的な物量の変動や日々変化する出荷依頼に対しても、担当者がシステム上で臨機応変に、スピーディーな調整を行えるようになります。
4. 拠点間での連携コストを削減する中継配送支援
中長距離の幹線輸送などで、中継拠点や一時保管ハブを経由してリレー形式で配送を行う場合、中継先への情報連携がシステム内で完結します。中継が必要な配送については、システムから中継拠点宛てに中継情報を容易に送信・共有することが可能です。これにより、拠点間で発生しがちな「電話での確認」「メールやFAXの送受信」といった調整業務が不要となり、荷物の到着に備えた中継拠点側の準備や後続車両の段取りをスムーズに連携させることができます。
5. 正確な車両積載重量と積載率の可視化
受注時の請求単位とは別に、大口荷物の分割、拠点での荷積み・荷降ろし、中継配送、複数拠点の荷物の積み合わせなど、実際に車両へ割り当てられた後の「最終的な実態」に紐づいた、正確な積載重量や車両別の積載率(%)をリアルタイムで算出・可視化します。自拠点だけでなく他拠点の運行スケジュールや車両空き情報もシステム上で共有できるため、帰路で空きトラックが発生してしまう「空車運行」を抑制し、複数拠点の配車担当者が互いに車両を融通し合って積載率を高めるなど、全社的な車両運用効率の向上を可能にします。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 複雑な積載制約や配送先制限を持つ企業:積卸地の「庭先条件(2t車制限など)」や、製品の「上積み禁止・混載禁止条件」、厳格な時間指定などの物理的制約が多く、手作業でのチェックに膨大な労力を要している配送現場。
- 配車業務の属人化から脱却したい現場:特定のベテラン担当者の記憶や個人的なノウハウのみに頼って毎日の配車計画を作成しており、属人化の解消や、複数人で業務を均等に分担できる標準的な仕組みを構築したい現場。
- 複数拠点によるネットワーク運行を行っている企業:全国に複数の支店や営業所、倉庫拠点を配置しており、拠点間をまたいで空きトラックの情報や帰り便の積載スペースを可視化し、車両の全体融通による共同輸送や帰り便の有効活用を進めたい物流事業者。
【向いていない企業・現場】
- 所有車両台数や配送箇所が極めて少ない企業:配送拠点数が1か所、稼働するトラックも数台〜十数台程度であり、1人の担当者が表計算ソフト(Excel等)や紙の台帳で15分程度で問題なく配車を回せている小規模な運送会社。配車計画 ASSORTは中堅〜大手向けの機能群を備えているため、規模が小さすぎるとシステムの導入効果に対して費用対効果が合いにくい傾向があります。
- ラストワンマイルの宅配ルート最適化・ナビゲーションを最重視する現場:宅配や小口の戸別配送で、道路ごとのきめ細かな右左折制限やドライバーの運転傾向の学習、ドライバー用スマホアプリとの強固な同期(リアルタイムな走行マップ連携や顧客への遅延防止連絡など)のみを求める企業。本システムは積載率の最大化や物理的制約条件をクリアする配車「支援」に特化しており、地図上の巡回ルート算出やドライバー用運行管理を主目的とする場合は、ラストワンマイル特化型の「Loogia」など別のルート最適化システムを検討する方がミスマッチを防げます。
- 導入に時間や手間を一切かけたくない企業:本システムは各届け先の条件や荷姿情報の詳細なマスタ登録(事前設定)を行うことで配車の正確性と属人化排除を担保する仕組みです。初期設定のためのマスタ作成や業務データの整理に人的リソース・時間を割くことが難しい現場では、製品本来の機能を活かしきれない可能性があります。
料金・プラン・導入方法
配車計画 ASSORTの利用料金や初期費用は公式に公開されておらず、「要問い合わせ(個別見積もり)」となります。
本システムは、リーズナブルに利用を開始できる共用サーバー(マルチテナント)型の「クラウド(共用SaaS)」、企業の個別セキュリティや独自ポリシーに対応しカスタマイズ対応も行う「プライベートSaaS(プロフェッショナルプランなど)」、および社内サーバーやAWS(Amazon Web Services)、IBM CloudなどのIaaSサーバー環境にアプリケーションを導入する「オンプレミス・IaaS対応」の各利用形態が用意されています。
見積もりや検討にあたっては、以下の点を確認することが推奨されます。
- 導入するサーバー環境の種別(価格を重視した共用クラウドか、個別のセキュリティ環境に対応したプライベート環境か、オンプレミスか)
- ライセンスの算定基準(稼働させる車両台数か、管理する拠点数か、あるいは配車を担当するユーザー数による課金か)
- 初期のデータ移行やマスタ構築における支援プラン、および個別カスタマイズが発生する場合の設計費用の有無
- 最低契約期間やバージョンアップ時の対応範囲、保守費用の算出基準
導入の流れ・期間
公式情報において、具体的な導入に要する標準的な期間やステップは公開されていません。一般的にこのカテゴリのSaaSを導入する際のフロー、および配車計画 ASSORTを構築する際の手順は以下の通りです。
- お問い合わせ・相談:公式サイト等から問い合わせを行い、現在の配車プロセスにおける属人化や配送コストの課題を共有します。
- ヒアリングとデモンストレーション:ベンダー側より実務に合わせたデモ画面などの提供を受け、配車の要件定義や、業務プロセスにシステムが適合するか検討を行います。
- システム環境・プランの決定:クラウド(共用・個別)かオンプレミスかなど利用形態を決定し、カスタマイズや周辺連携の要否を擦り合わせます。
- 見積もり・契約:初期設計費用や月額のライセンス費用、カスタマイズ要件に応じた見積もりの合意と契約手続きを実施します。
- マスタ設定・テスト稼働(最重要プロセス):自社の届け先条件、庭先条件、車両の種類、荷姿制限などのマスタデータをシステム上に登録します。実データを取り込んでの配車テストを繰り返し、現場の運行実務に耐えうる配車精度が担保できるか擦り合わせを重ねます。
- 本稼働・稼働後サポート:運用の定着を図りながら本稼働を開始します。
※配車計画 ASSORTの実際の導入から本稼働までに要する期間については、導入規模、複数拠点間の要