労働時間管理システム DiSynapseIIとは?
労働時間管理システム DiSynapseIIは、運送業界特有の長時間労働を抑制し、改善基準告示に則した適正な労務管理を実現するために開発された専用の労働時間管理システムです。株式会社情通が手がける本ツールは、デジタルタコグラフ(デジタコ)から得られる運行実績データを自動で取り込み、拘束時間や運転時間、休息期間の法令基準超過リスクを日報や月次データ上で自動判定します。事後的な勤怠集計にとどまらず、運行計画の作成段階で違反リスクを事前にシミュレーションできる機能を備えており、中堅から大手の物流・倉庫業および自社物流を持つ製造業における法令遵守と配車・労務管理の一体化を支援します。
主な機能
労務管理・改善基準告示チェック機能
- 改善基準告示に基づく自動チェック・違反警告
デジタコから取り込んだ運行実績データをもとに、1日の拘束時間、連続運転時間、2日平均の運転時間、休息期間などを自動計算します。労働基準法および自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)に抵触する可能性がある運行や違反が発生した箇所をシステムが自動検出し、運転日報や管理画面上に警告を表示します。これにより、運行管理者が手作業で拘束時間を再計算する手間をなくし、労務違反の早期把握と是正指導を可能にします。 - 日次・月次労働時間のリアルタイム集計
ドライバーごとの労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間などを日単位および月単位で自動集計します。月間の総拘束時間や時間外労働の上限に対する進捗状況をリアルタイムに把握できるため、月末に予期せぬ時間外労働の超過が発生するリスクを抑制し、月半ばでの配車調整やシフト変更といった予防措置を講じることができます。 - 違反日報一覧表・労務管理帳票の出力
改善基準告示や社内規定に違反した運行日報を抽出した「違反日報一覧表」をはじめ、監査時に必要とされる各種労務管理帳票を迅速に出力できます。違反内容が日報単位で明確化されるため、監査対応時の提出書類作成にかかる工数を削減するとともに、社内での労務コンプライアンス遵守状況の定期的なモニタリングに活用できます。
運行計画・事前シミュレーション機能
- 運行計画作成時の違反事前シミュレーション
ドライバーごとに1カ月単位の運行計画を立案する際、設定した運行ルートや勤務シフトに対して改善基準告示に違反しないかを事前に自動判定します。無理な運行スケジュールが組まれている場合は計画画面上で警告が促されるため、運行指示書を発行する前の段階で違反のない適正なシフトへ組み替えることが可能です。 - 模範日報チャート・過去実績モデルの展開
過去の運行実績データや法令に適合した「模範日報チャート」をモデルデータとして登録・再利用できます。定期便や類似ルートの運行計画を作成する際にモデルデータを呼び出して微調整するだけで済むため、計画作成にかかる工数を大幅に短縮しながら法令遵守を担保した運行指示書を作成できます。
安全運転指導・運行実績可視化機能
- 運転挙動データのグラフ化・日報表示
デジタコから取得した法定速度違反、急発進、急加速、急ブレーキなどの安全運転に関わるイベント情報をグラフ化し、運転日報と連携して出力します。ドライバー自身が自らの運転特性や危険運転の傾向を日報上で客観的に確認できるため、安全運転に対する意識向上を促すとともに、運行管理者が客観的な数値データに基づいた安全指導を行う基盤を整えます。 - 地図SDK連携による走行軌跡・ルート表示
地図開発キット(株式会社マップルのMapple G-SDK等)と連携し、デジタコで記録された走行軌跡を地図画面上に正確に描画します。ドライバーが適正な配送ルートを運行したかどうかの確認や、ヒヤリハット箇所の特定、ドライブレコーダーの映像と紐づけた振り返り教育に活用できます。
DiSynapseシリーズ・他社連携機能
- DiSynapseシリーズとのシームレスなデータ連携
株式会社情通が提供する運輸基幹業務システム(DiSynapse KT2)、配車システム(DiSynapse DT)、運行計画システム(DiSynapse OP)、IT点呼システム(DiSynapse RC / IT-RC)と直接連携が可能です。受注、配車、点呼、運行、労務管理、請求処理までのデータが一元化され、二重入力や転記ミスを防止します。 - 給与計算ソフト・外部システム向けデータ出力
DiSynapseIIで集計・確定したドライバーの勤怠実績データや各種手当の基礎数値をCSV形式などの汎用データとして出力できます。給与奉行などの他社製給与計算ソフトへスムーズにデータを受け渡すことができ、月末の給与計算業務の効率化と転記ミスの撲滅を実現します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
デジタコデータを活用して改善基準告示の遵守と事前予防を徹底したい運送事業者
- 日報の手計算による拘束時間集計に追われ、法令違反の確認が後手に回っている
デジタコから取り込んだ実績データを改善基準告示のルールに沿って自動判定し、日報や一覧表に違反・警告事項を明記します。集計作業の負担を大幅に削減し、管理者が違反運行の発生原因を即座に特定してドライバーへの個別指導を行える体制を構築できます。 - 事後的な集計だけでは時間外労働や拘束時間の超過を未然に防ぎきれない
運行計画の作成段階で拘束時間や運転時間のシミュレーションを行い、計画に無理がある場合はシステムが警告を出します。運行指示書の発行前にシフトを修正できるため、法令違反の発生自体を事前に予防することが可能になります。 - 点呼・配車・請求など業務ごとにシステムが分かれており二重入力が多発している
DiSynapseシリーズの点呼システムや運輸基幹業務システムと組み合わせることで、受注から運行実績、労務管理、請求処理までを一本化できます。拠点間や部署間での転記作業を削減し、入力ミスの防止と事務処理スピードの向上を実現します。
拠点数が多く、運行管理者による労務・安全指導の基準を統一したい中堅〜大手企業
- 営業所ごとに運行管理者のスキルや法令理解度に差があり、労務管理の精度にバラつきがある
システムが改善基準告示や労働基準法に準拠した判定を一律に行うため、どの拠点でも均一なコンプライアンス水準を維持できます。全社の労働時間状況を同一基準でモニタリングでき、監査に対する統率力を高められます。 - 速度超過や急加減速などの安全指導を感覚ではなく客観的なデータに基づいて実施したい
デジタコから取得した挙動データをグラフ化し、走行軌跡や日報とリンクさせて出力できます。運行管理者が客観的な数値と地図上の位置情報をもとに説得力のある指導を行えるようになり、事故削減とドライバーの安全意識向上に寄与します。
向いていない企業・現場
デジタコを未導入で、初期費用を抑えて簡易的な出退勤打刻のみを行いたい小規模事業者
- 車両にデジタコを搭載しておらず、スマートフォンのGPS打刻だけで出退勤と休憩を管理したい
DiSynapseIIはデジタコデータを中核とした運行・労務管理を強みとしているため、デジタコ連携を行わない単純なタイムカード代わりの用途ではツールの強みを十分に生かせません。月額数百円単位で導入できる汎用的なクラウド勤怠管理システムや、スマホ打刻に特化したツールの利用を検討した方が費用対効果を得やすい場合があります。 - 数名〜十数名規模の事業所で、オンプレミス型や高機能パッケージの導入コストを捻出できない
DiSynapseIIは中堅・大手企業の実務に耐えうる高機能な設計となっており、導入構成やサーバー環境によっては初期費用や設定費用が発生します。最低限の勤怠集計機能のみを低価格で利用したい小規模運送会社にとっては、導入ハードルが高くなる可能性があります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 労働時間管理システム DiSynapseII | デジタコデータを活用した改善基準告示の自動判定に加え、運行計画段階での違反事前シミュレーション機能やDiSynapseシリーズとの総合連携を強みとする。 | 要問い合わせ(利用環境・構成により個別見積もり) | 中堅〜大手運送企業、デジタコを活用した事前シミュレーションや総合的な基幹連携を求める事業者 |
| 勤怠ドライバー | トラック運送業に特化したクラウド型勤怠・労務管理システム。デジタコ連携やスマホ打刻に対応し、リアルタイムでの拘束時間管理と給与連携をサポート。 | 要問い合わせ | クラウド環境でドライバーの打刻からリアルタイムの拘束時間管理、給与計算連携までを効率化したい運送企業 |
| TUMIXコンプラ | 鈴与グループが開発したクラウド型コンプラ・勤怠管理システム。点呼時の打刻やデジタコデータ取込により勤務簿を自動作成し、法令超過リスクを通知。 | 基本料:月額17,000円〜 + 利用者数に応じた従量課金(初期費用要問い合わせ) | クラウドを活用して点呼時の打刻やデジタコ連携をスムーズに行い、改善基準告示対応を標準化したい事業者 |
| 勤怠管理 V3 | 運転免許証やスマートフォンによる多彩な打刻手段を備え、運送業特有の複雑な勤務形態や休息時間の自動集計に対応する労務管理ソフト。 | 要問い合わせ | 免許証リーダー等を活用した確実な本人打刻を行い、自社の就業規則に合わせた柔軟な勤怠集計を行いたい企業 |
労働時間管理システム DiSynapseIIを選択する主な判断基準は、「デジタコ連携を軸に、運行計画の作成段階から法令違反を未然に防ぐシミュレーション機能を重視するかどうか」、および「配車・点呼・基幹業務を含めたDiSynapseシリーズとの包括的な連携基盤を構築したいかどうか」です。開発担当者自身が運行管理者の資格を保有するノウハウを活かした実務的な警告機能や、模範日報チャートを活用した運行管理の標準化は、運行管理の厳格化を目指す中堅・大手企業に適しています。
一方で、クラウドネイティブな環境でスピーディーに従業員端末や点呼場からの打刻を集約し、月額従量課金でスモールスタートしたい場合はTUMIXコンプラや勤怠ドライバーが有力な比較候補となります。また、運転免許証を利用した点呼時の確実な本人認証や出退勤管理を重視する場合は勤怠管理 V3を含めて比較検討することが推奨されます。
料金・プラン・導入方法
労働時間管理システム DiSynapseIIの利用料金は、導入形態(スタンドアロン版、クライアント・サーバー版など)、管理する車両台数・ドライバー数、および連動させるデジタコ機器や他シリーズ製品(配車・基幹・点呼など)の構成によって異なるため、個別見積もり(要問い合わせ)となっています。
導入形態としては、月額課金形式のSaaSモデルに加え、自社サーバーや運用環境に応じたライセンス形態が用意されています。見積もりを取得する際は、以下のポイントを事前に確認・整理しておくことが推奨されます。
- 既存デジタコとの互換性・連携費用
現在使用しているデジタルタコグラフのメーカー・型番との連携可否や、データ取り込みに必要なインターフェース初期費用の有無。 - システム導入構成とクライアント台数
運行管理者が操作する端末台数、拠点数、および他シリーズ(DiSynapse KT2やIT-RC等)との連携範囲。 - サポート・保守契約の範囲
導入時の初期設定支援、操作指導研修、稼働後の法令改正に伴うアップデート対応やリモートサポートの費用体系。
導入の流れ・期間
労働時間管理システム DiSynapseIIの一般的な導入の流れは以下の通りです。なお、具体的な導入期間は企業の管理車両規模やデジタコ連携の検証期間によって異なるため、要問い合わせとなります。
- お問い合わせ・現状ヒアリング
公式サイトのお問い合わせ窓口または電話にて連絡を行い、自社の車両台数、現在の労務管理課題、導入済みのデジタコ機器や給与ソフトの運用状況を共有します。 - 製品デモ・要件確認
リモートデモや対面でのデモンストレーションを通じて、日報チェック画面、改善基準告示の判定ロジック、運行計画シミュレーション機能などの操作性を確認し、自社の運用に適合するか検証します。 - 見積もり提示・契約
必要なライセンス数、サーバー構成、導入支援オプションなどを確定させたうえで見積もりが提示され、契約を締結します。 - 初期設定・マスター登録
就業規則やドライバー情報、車両情報、運行コース、拘束時間・休息期間の判定基準などのマスターデータをシステムに登録します。既存デジタコとのデータ取り込みテストを実施します。 - 操作指導・運用テスト
運行管理者や事務担当者向けに日報処理や運行計画作成の操作研修を実施し、実際の運行データを用いた並行運用テストを行います。 - 本稼働開始
日常の運行日報管理および労務時間管理をDiSynapseIIへ完全移行し、実運用を開始します。導入後も法改正対応やリモートサポートなどの保守体制が提供されます。
導入事例・実績
株式会社情通が展開する運送業向け総合管理システム「DiSynapse」シリーズは、東北エリアを中心に全国で300社以上の運送事業者への導入実績を有しています。開発担当者全員が運行管理者資格を保有している点も現場業務への適合性を高めています。公開されている導入企業の実績例は以下の通りです。
- 株式会社 大昇物流 様(宮城県大崎市・従業員数約120名規模)
貨物自動車運送事業や倉庫事業を展開する同社では、デジタコから作成される日々の運行データをもとに労働時間を集計する運用を実施。日報ごと・月ごとにどのような基準違反が発生しているかを視覚的に把握し、違反のない適正な運行状態を確認しながらドライバーへの適切な労務・安全指導に活用しています。 - 株式会社 大玉運送 様(福島県安達郡・従業員数約50名規模)
一般貨物自動車運送事業を展開する同社では、日々の運転日報データ化を効率化するためにシステムを導入。運転日報上に現れる違反情報や個々の運転傾向を把握することで、事務作業の省力化とともにドライバーの安全運転意識の向上につなげています。 - 有限会社 水野運送店 様(福島県石川郡・従業員数約40名規模)
一般区域貨物自動車運送事業を展開する現場において、運転日報作成の迅速なデータ化と運行実績の可視化を実現し、労務管理精度の向上と安全運転指導の徹底に役立てています。
導入前に知っておきたいこと
労働時間管理システム DiSynapseIIを検討するにあたり、以下の実務的な留意点を確認しておく必要があります。
- デジタコメーカーとの連携仕様の確認
DiSynapseIIはデジタコデータとの連動を前提とした高機能な労務管理を提供します。すでに導入されているデジタコのメーカー(トランストロン、富士通など)や通信型・カード型の仕様によって、データ連携の手順や取り込みタイミングが異なる場合があるため、事前に自社機器との適合性をベンダーに確認することが必須です。 - 運行管理者による運用ルールの策定
運行計画シミュレーションや違反警告機能は高度である一方、警告が出た際に誰がどのように配車を調整するのか、ドライバーへどのような是正指導を行うかといった社内運用ルールを明確にしておかないと、アラートが形骸化する恐れがあります。 - 公開ユーザー評価・課題報告の状況
現時点において、Web上での不満やトラブルに関する目立った公開口コミ・課題報告は確認されていません。実際の現場操作性やレスポンス速度については、導入前のリモートデモやトライアル環境を通じて実務担当者が直接検証することが推奨されます。
よくある質問(FAQ)
- 2024年4月以降に適用された改善基準告示の改正内容に対応していますか?
- 対応しています。年間の拘束時間上限、月間拘束時間、1日の休息期間、連続運転時間などの新たな基準に基づき、運転日報や運行計画の自動チェックおよび警告表示が行われます。
- スマートフォンやタブレットから操作することは可能ですか?
- DiSynapseIIは基本的にPC(Windows環境)上で稼働するシステムです。出退勤やIT点呼、Web進捗確認など関連製品の一部機能でスマートデバイスやWebカメラを活用する構成はありますが、労務管理システムの詳細な稼働環境・対応OSについては事前にご確認ください。
- 導入前にデモ画面を見たり操作感を試すことはできますか?
- 株式会社情通ではリモートデモを受け付けています。実際の画面構成やデジタコデータの取り込み、日報チェックの流れを事前にオンライン等で確認することが可能です。
- 他社の給与計算ソフトに勤務データを連携できますか?
- 集計された労働時間や残業時間などの勤怠データをCSV等の汎用データとして出力できるため、給与奉行をはじめとする各種給与計算ソフトへのデータ受け渡しが可能です。
- 導入後のサポート体制はどのようになっていますか?
- 電話窓口での問い合わせ対応やリモート接続による遠隔サポートが提供されています。また、法改正時のシステム改修やマスター設定の相談など、運送実務に精通したスタッフによる保守対応が受けられます。
- 契約期間や解約条件にはどのような規定がありますか?
- 導入形態(月額SaaS型、ライセンス型等)によって契約条件や最低利用期間が異なります。具体的な契約条項については個別見積もり時にベンダーへご確認ください。