KEY CARTとは?
株式会社豊田自動織機(トヨタL&F)が提供する「KEY CART(キーカート)」は、製造工場や物流倉庫における定常的な荷物搬送作業の省人化・自動化を実現するエントリーモデルの無人搬送車(AGV)です。床面に磁気テープを貼るだけで走行ルートを構築でき、Excelを用いた簡易な設定や豊富なオプション追加に対応しています。最大1,000kgまでの重量物搬送を手軽かつ低コストに自動化し、搬送専任者の工数削減や作業負荷軽減に貢献します。
主な機能
走行・誘導・ルート設定機能
- 磁気テープ誘導とテープレス走行
床面に敷設した磁気テープに沿って正確に誘導走行します。モデルによっては最大3mのテープレス走行に対応しており、フォークリフトが頻繁に横断する走行帯などテープ敷設が難しい箇所も横断・通過が可能です。 - Excelベースの走行・タスク設定
使い慣れたExcelソフト上で走行ルートや停止位置、動作条件などのタスクを作成・編集できます。専用の複雑なプログラミングツールを必要とせず、現場担当者自身でルート変更や追加設定を完結できます。 - タスク登録機能(タスク30オプション等)
最大30パターンの作業タスクを登録でき、本体タッチパネルから番号を選択してスタートボタンを押すだけで目的の走行パターンを実行できます。運行状況やバッテリー残量も画面上で即座に確認できます。
積載・牽引・車体バリエーション
- 車体タイプと搬送許容重量
搬送物を直接載せる・下部に潜り込む「基本タイプ」と、台車牽引に特化した「ショートタイプ」がラインアップされています。可搬質量は500kg級モデルおよび1,000kg級モデルが用意されており、重量物の搬送にも対応します。 - 多彩な牽引治具・連結オプション
カゴ車、6輪台車、パレット台車など現場で使われている既存台車に合わせて、多様な連結治具やオートキャッチャー(自動連結・切り離し機構)などのオプションを組み合わせて運用できます。
安全機能・運行管理オプション
- 障害物検知センサー
進行方向の障害物や人を検知して自動で減速・停止する安全センサーを標準搭載しています。上位モデルやオプションでは垂直方向の検知が可能な補助障害物センサーも装備でき、荷物の仮置きや作業者が行き交う現場での接触リスクを抑制します。 - 交差点制御・リモコン操作連携
専用ユニット(KEY×CON+など)の連携により、複数台のキーカートが交差・合流するルートでの進入タイミング自動調整や、作業員の手元リモコンからの呼び出し・発進操作に対応します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
定修やレイアウト変更が多く、自社内で柔軟にルートを保守したい現場
- レイアウト変更のたびに高額な外部委託費や設定工数が発生する課題
KEY CARTは床面の磁気テープ貼り替えとExcel上のデータ編集だけでルートを再設定できるため、外部エンジニアに依存せず現場スタッフだけで短時間に変更作業を完了できます。 - 多品種少量生産や季節変動で工程間搬送のルートが頻繁に変わる課題
複数の運行タスクを事前に登録しておき、タッチパネルで選択するだけで切り替えられるため、工程変更に合わせたスムーズな搬送計画の維持が可能です。
既存の台車やパレットを活用し、初期投資を抑えてスモールスタートしたい現場
- 専用ラックや高額な設備更新を伴う自動化システムでは投資回収が難しい課題
基本機能に特化したシンプルなハードウェア設計となっており、専用の牽引治具を用いることで既存のカゴ車や台車をそのまま活用した自動搬送化が可能です。 - 低温環境や長距離移動など作業員の身体的負荷が大きい単純搬送の課題
最大1,000kgの牽引能力と複数台連結により一度に大量の資材を運搬できるため、作業員の移動工数を大幅に削減し、より付加価値の高い作業へ人員を再配置できます。
向いていない企業・現場
床面のテープ敷設が完全に禁止されている現場や、自由回避を求める現場
- フォークリフトや大型車両の通行頻度が高く磁気テープの剥がれ・破損が頻繁に起きる環境
磁気テープ誘導を基本とするため、路面清掃が激しいエリアやテープの摩耗リスクが高い環境では、SLAM技術等を採用した完全ガイドレス型の自律走行ロボット(AMR)を検討した方が適している場合があります。 - 人や台車が密集し、障害物を自動で迂回・リルートしながら走行させたい環境
障害物を検知した際は基本的に停止して待機する挙動となるため、障害物を自律的に避けて別ルートを自動探索する運用を求める現場には向きません。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| KEY CART | 磁気テープとExcelで簡単設定可能なシンプルAGV。最大1,000kg牽引に対応し低コスト導入が可能 | 要問い合わせ | 定常ルートの搬送を低予算・自社保守で手軽に自動化したい現場 |
| Geek+ | 棚搬送(GTP)やソーティングに対応したAI自律走行型AMRソリューション | 要問い合わせ | 大規模EC・物流倉庫でピッキング作業の歩行削減・高効率化を目指す企業 |
| Quicktron | AIアルゴリズムによる経路最適化と群制御を備えた棚搬送・パレット搬送ロボット | 要問い合わせ | 大規模な保管エリアを持ち、高度な群制御による自動ピッキングを行いたい現場 |
| eve auto | EVカートとAutowareを統合し、屋外・建屋間のレベル4自動運転搬送を実現 | 要問い合わせ | 工場敷地内や物流拠点の屋外・屋内外をまたぐ長距離自動搬送を行いたい企業 |
定常的な工程間搬送や出荷バースへの横持ちなど、決まったルートでの台車牽引・積載搬送をシンプルかつ低予算で自動化したい場合はKEY CARTが適しています。
一方で、EC物流における棚搬送型のピッキング効率化(GTP)を目的とする場合はGeek+やQuicktronなどのAMRソリューション、敷地内の建屋間など屋外走行を伴う重量物搬送を自動化したい場合はeve autoが有力な選択肢になります。
料金・プラン・導入方法
KEY CARTの導入費用は、車体モデル(500kg級/1,000kg級、基本タイプ/ショートタイプ)、磁気テープ敷設資材、連結治具、制御オプション(タスク30やセンサー類)の構成によって異なるため、公式には個別見積もり(要問い合わせ)となっています。
見積もり時に確認すべきポイントは以下の通りです。
- 搬送重量と台車仕様
積載または牽引する総重量(最大500kgまたは1,000kg)と、使用する既存台車(カゴ車、6輪カート等)の連結方式に合わせた治具オプション費用の確認。 - 走行ルート設計とオプション構成
走行距離に応じた磁気テープ・マーカー類の所要量、交差点制御や停止制御などの追加ソフトウェア・センサー要件の確認。 - 保守・サポート体制
全国のトヨタL&F取扱店を通じた定期点検やトラブル対応、バッテリー交換などのメンテナンス契約内容の確認。
導入の流れ・期間
一般的な導入ステップは以下の通りです(KEY CARTの具体的な納期・導入期間は現場の要件により異なるため要問い合わせとなります)。
- 問い合わせ・現場ヒアリング
搬送物の種類・重量、既存台車の形状、搬送ルート、1日の運行頻度などの要件を確認します。 - 現場レイアウト確認・実機デモ
ショールームでの見学や現場でのデモ走行を行い、通路幅、路面状態、勾配、センサー検知範囲などを検証します。 - システム設計・見積もり
走行ルート、牽引治具、タスク設定などの仕様を策定し、導入見積もりを提示します。 - 発注・納品準備
車体の手配、治具の製作、設定データの事前作成などを進めます。 - 磁気テープ敷設・初期設定
床面への磁気テープ・マーカーの敷設、Excelによるタスクデータ送信、試運転と安全確認を実施します。 - 本稼働・運用保守
現場オペレーターへの操作教育を行い、本稼働を開始します。
導入事例・実績
- 株式会社トーカン(瀬戸低温流通センター)
食品卸のチルド部門において、4〜5℃の低温環境下における重量物搬送の作業負荷軽減と省人化を目的に導入。往復160mの動線で15段積の商品搬送を自動化し、従来2名で行っていた作業を8連結×50往復の自動搬送に切り替えることで、搬送作業工数を67%削減し1名の省人化を達成。 - シモハナ物流株式会社
物流センター内の長距離搬送作業にキーカートを導入。長距離の横持ち搬送を自動化することでフォークリフト台数を削減し、オペレーターの省人化と作業効率向上を実現するとともに、構内の接触・事故発生リスクを低減。 - ダイキン工業株式会社(堺製作所)
業務用空調機の製造現場において、30kg以上の部品搬送工程に導入。Excelベースによる容易なルート設計と動作制御を活用し、多品種少量生産ラインにおける製造工数の効率化を実現。
導入前に知っておきたいこと
- 磁気テープの定期的なメンテナンス・貼り替えが必要
フォークリフトやハンドリフトが頻繁に横断・転回する箇所では、磁気テープが摩耗・損傷して読み取りエラーを起こす可能性があります。定期的な外観点検や補修が必要となります。 - 床面の段差や傾斜への制約
低床設計のAGVであるため、走行路に大きな段差や急勾配、油分・水分の付着がある環境ではスリップや底擦れを起こすリスクがあります。事前の路面確認が推奨されます。 - 複雑な群制御には専用機器や上位システム設計が必要
自律的な迂回ルート探索を行うAMRとは異なり、同一エリアで複数台を稼働させる場合は、交差点制御機器の設置や運行スケジュールの設計を適切に行う必要があります。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレットから操作できますか?
- 基本的な操作は車体搭載のタッチパネルや起動スイッチ、専用リモコン(オプション)で行います。タスク設定はPCのExcelを用いて作成し転送する仕様となっています。
- 実機のデモや見学は可能ですか?
- トヨタL&Fのショールーム(東京・愛知・大阪など)や販売店を通じて、実機見学や相談を受け付けています。
- 走行ルートの変更は現場スタッフだけでも行えますか?
- はい。床面の磁気テープを貼り替え、PCのExcel上でタスク表を修正して車体に送信する仕組みのため、専門のプログラミング知識がなくても現場でルート変更が可能です。
- どのような台車を牽引できますか?
- 標準的なカゴ車、6輪台車、パレット用台車などに対応する各種連結治具(オプション)が用意されており、現場で使用している既存台車に合わせたカスタマイズも相談可能です。
- サポート体制やメンテナンス窓口はどうなっていますか?
- 全国のトヨタL&F取扱店ネットワークを通じて、導入前の現場診断から納入後の定期点検、トラブル時の修理対応まで地域密着のサポートが提供されています。