eve autoとは?
株式会社eve autonomyが提供する「eve auto(イブ・オート)」は、ヤマハ発動機のゴルフカー車両技術と自律走行用自動運転OS「Autoware」を融合させた、屋内外対応型の無人自動搬送サービスです。従来のAGVやAMRでは走行が困難であった雨天や夜間、段差や坂道などの過酷な屋外環境に対応し、工場敷地内や物流拠点における建屋間のレベル4無人自動運転搬送を実現します。磁気テープ等の工事が不要なガイドレス方式を採用しており、構内トラック搬送の置き換えや人手不足の解消、現場の作業環境改善、構内物流DXを強力に推進します。
主な機能
屋外走行・走破・安全制御機能
- Autowareを活用したガイドレス自動運転
オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を搭載し、事前計測した3D点群地図とLiDARによるリアルタイムのセンシングデータを照合(マップマッチング)して自己位置を測定します。磁気テープや誘導線の埋設工事を行わずにガイドレスで自動運転走行が可能です。 - 悪天候や段差に対応する高い走破力
ヤマハ発動機のゴルフカー車両技術をベースにしており、雨天や夜間、風雨などの環境下でも稼働できます。最大1,500kgの牽引能力(または積載300kg)、最高速度10km/h、7度の傾斜走行や±3cmの段差乗り越えに対応し、舗装状態が一定でない建屋間の道路を走破します。 - 360度センシングによる障害物検知と安全停止
車体上部に360度視野のLiDAR、前部に180度視野のLiDARを3個備えるほか、バンパーセンサー、緊急停止ボタン、進行方向表示灯、スピーカーを標準装備しています。歩行者や他の車両を検知すると自動で減速・停止し、安全性を維持します。
運行管理・運用オペレーション機能
- 直感的に操作できる運行管理システム(eve auto DASH / FMS)
Webブラウザを通じてPCやタブレットから運行状況をリアルタイムに確認・管理できるFMSコンソールを提供しています。現場の作業者は画面上の指示や車体・拠点の「発進」ボタンを押すだけで、直感的に無人搬送指示を出せます。 - マップ上での柔軟なルート変更制御
デジタル3Dマップ(ベクターマップ)上で、走行レーン、一時停止位置、走行速度、ウインカーの点滅位置などを設定・調整できます。工場のレイアウト変更や工程の見直しにも柔軟に対応可能です。 - バッテリー換装による24時間連続稼働
一般的なプラグ充電方式に加え、バッテリーのワンタッチ換装(交換)方式に対応しています。オプションの追加予備バッテリーを活用することで、充電による待ち時間を発生させず、2直・3直といった24時間連続稼働現場でも止まらない搬送を実現します。
サポート・設備連携機能
- 構内設備との通信連携(オプション)
構内の自動シャッターやパトランプ、信号機などと通信連携するための専用機器やAPIを提供しています。車体の接近に合わせて建屋のシャッターを自動開閉させるなど、建屋内外をシームレスにつなぐ工程統合が可能です。 - サブスクリプション内包のアフターサポートと保険
サービス料金には1年ごとの定期車両点検・メンテナンス、リモートによるソフトウェアの定期アップデート、アフターサポート、および損保ジャパンの自動運転専用保険が標準付帯しています。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
悪天候や夜間の建屋間搬送による現場負荷を減らし、構内物流を自動化したい製造・物流企業
- 過酷な屋外環境での手動搬送による作業負担
雨や風、酷暑、極寒、夜間作業などの過酷な屋外環境で作業員やドライバーが搬送を行っている現場に対し、屋外走行に特化したEVカートで完全無人化を実現できます。作業員を安全な屋内作業に集中させ、労働環境の改善を図れます。 - 構内トラック運用やドライバー確保難によるコスト増
敷地内の建屋間移動のために構内トラックを手配している現場では、eve autoに置き換えることで専門の運転手を確保する負担を軽減できます。実際に複数台の導入により数名〜十数名分の人工(工数)削減を達成した事例も報告されています。
床面工事を行えず、将来のレイアウト変更や拡張に柔軟に対応したい大規模拠点
- アスファルトへの誘導線工事が困難な広大敷地
3D点群マップとLiDARによる自律走行を行うため、路面への誘導線埋設や磁気テープ貼り付け工事が不要です。工事期間による生産ラインの停止を回避でき、将来的な走行ルートの追加や変更もソフトウェア上の設定更新で対応できます。
向いていない企業・現場
完全屋内の狭い通路のみで小型荷物のピッキングや工程間搬送を行いたい現場
- 小回りが最優先される屋内専用の搬送環境
eve autoは屋外走破性や高牽引力(最大1,500kg)を備えた牽引型自動運転EVであるため、屋内専用の小型AMRと比較すると車体サイズや最小旋回半径が大きめです。雨風の心配がない屋内の狭い通路で、軽量トレイや小箱の移動・ピッキングアシストのみを目的とする場合は、小型の屋内専用AMRやGTPソリューションを選択する方が費用対効果が高くなります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| eve auto | ヤマハ発動機のEVカートとAutowareによる屋外対応型AMR。最大1,500kg牽引、雨天・夜間・段差の走破が可能。 | 月額45万円〜/台(サブスク) | 工場敷地内や物流拠点での建屋間搬送、過酷な屋外環境の搬送無人化を目指す企業。 |
| Geek+ | ピッキングやソーティングに対応したAI搭載AMR。GTP(Goods-to-Person)方式で作業員の歩行時間を大幅削減。 | 要問い合わせ | 屋内倉庫での棚搬送やピッキング作業の効率化、作業員の歩行削減を重視する物流センター。 |
| Lexx500 | 既存のカゴ車や6輪カートを無改造でそのまま自動牽引(500kgまで)できるAMR/AGVハイブリッド機器。 | 要問い合わせ | 既存の台車を活用して初期費用を抑えつつ、屋内の工程間搬送や混流生産ラインを自動化したい企業。 |
| Quicktron | 棚搬送式(GTP)やパレット搬送に対応するAMR。AIアルゴリズムによる群制御と高密度保管システムを展開。 | 要問い合わせ | 大規模な屋内倉庫で、縦の保管効率最大化と出荷スピードの向上を両立させたい企業。 |
搬送ロボット・AMRを選定する際の重要な判断基準は、「走行エリアが屋内か屋外か」および「搬送対象と自動化の形態」です。
工場の広大な敷地内で、雨や雪にさらされる建屋間の屋外道路を通り、重量物や複数の台車をまとめて牽引・無人搬送したいという課題に対しては、屋外走破性と防雨性能を備えたeve autoが有力な選択肢となります。屋内専用のAMRやAGVでは、濡れたアスファルトや舗装の段差・勾配に対応できず走行不能に陥るリスクがあるためです。
一方で、完全屋内の倉庫で既存のカゴ台車をそのまま自動化したい場合はLexx500、棚ごと作業者の元へ運ぶピッキング自動化や高密度保管を追求する場合はGeek+やQuicktronなど、現場の用途や走行環境に応じて最適なツールを比較検討することが推奨されます。
料金・プラン・導入方法
| プラン・構成項目 | 概要・内容 | 標準価格(税込/税別) | 備考 |
|---|---|---|---|
| eve auto サービスサブスクリプション | 自動運転車両、FMS、定期メンテナンス、保険、アフターサポート等を含む基本パッケージ(1台あたり) | 月額450,000円 | 初期導入費用、LiDAR・タイヤ等の消耗品交換代金は含まれません。 |
| LiDAR安心パック(ライト) | 定額でのLiDAR故障交換保証サービス(年間稼働3,850時間以下) | 月額63,000円 | 利用開始から1ヶ月以内のみ加入可能。旅費交通費・移動費除く。 |
| LiDAR安心パック(スタンダード) | 定額でのLiDAR故障交換保証サービス(年間稼働3,850時間超〜5,850時間以下) | 月額94,000円 | 年間5,850時間超は個別見積もりとなります。 |
| マップ修正プラン(Standard) | 月間20ポイントまでのマップ修正対応を含む定額プラン | 月額12,000円 | 本体サブスクへ追加。規定内なら都度見積もり・発注不要。 |
| マップ修正プラン(Premium) | 月間100ポイントまでのマップ修正対応を含む定額プラン | 月額36,000円 | 大規模なルート変更が多い拠点向け。規定超は1ポイント1,200円。 |
| 安心サポートパック | 地図修正の無償期間を3ヶ月へ延長+月例会(オンライン)での立ち上げ支援 | 60,000円(一括) | 初期費用とあわせて一括発注。導入初期の運用の安定化を支援。 |
| 追加予備バッテリー(オプション) | 24時間連続稼働を実現するための交換用バッテリー | 月額55,000円 | ワンタッチ換装で充電時間を短縮できます。 |
導入に関する正式な見積もり時には、以下のポイントを確認する必要があります。
- 初期導入費用
事前打ち合わせ、手動走行による現場データ計測、3Dマップ・ベクターマップ作成、現地試運転調整、作業者向けトレーニングなどの費用(個別見積もり)が含まれます。 - 年間稼働時間と保証プランの選択
自社の稼働形態(1直、2直、3直)に合わせて、LiDAR安心パック(ライト・スタンダード)の加入有無や対象プランを選定します。 - 設備連携オプション機器
構内シャッターやパトランプ等の設備と連動させる場合、設備側の通信機器や施工手配が別途必要となります。
導入の流れ・期間
eve autoの導入プロセスは、現場環境の測定から運用定着までステップ化されています。一般的な導入フローは以下の通りです。
- ステップ1:ルート・運用に関する打ち合わせ(約3日)
搬送課題のヒアリング、走行ルート候補の設定、安全基準や運用方法の検討を行います。 - ステップ2:データ計測(約0.5日〜1日)
対象の現場にて車体を手動走行させ、レーザーセンサー等を用いて3Dマップ作成用の周辺環境データを計測します。 - ステップ3:マップ作成・シミュレーション(約1〜3週間)
計測したデータをもとに3D点群地図のノイズ除去やベクターマップの作成を行い、ソフトウェア上でシミュレーションを実施します。 - ステップ4:現地試運転・微調整・トレーニング
作成したマップデータを車体に読み込ませ、現地での走行テスト、調整、作業員への操作説明レクチャーを行い、無人搬送を開始します。
本格導入の前段階として、事前計測1日、試運転1日を経て「1day自動運転デモ」を体験できるライトプランのトライアルサービスが用意されています。また、実際にeve autoが稼働している同社工場(静岡県浜松市)などの見学ツアーに参加し、実際の走行環境や運用の工夫を確認することも可能です。
導入事例・実績
公式発表によると、eve autoは40拠点/60台の導入実績を持っています(2024年10月時点)。以下に代表的な企業の導入事例と具体的効果を記載します。
- 日立建機株式会社(製造業)
工場敷地内における部品等の建屋間屋外搬送の自動化に導入されています。 - トヨタ車体株式会社(製造業)
過酷な屋外環境下での搬送負荷軽減や安全性の向上を目的に導入されています。 - ヤマハ発動機株式会社(製造業)
自社工場における建屋間の自動搬送に導入され、構内物流の自動化を推進しています。 - 株式会社ANA Cargo(物流業)
航空・空港エリアにおける貨物搬送の自動化に導入されています。
導入前に知っておきたいこと
導入検討時に留意しておくべき仕様上の注意点や制約事項は以下の通りです。
- 消耗品や不測の損傷費用について
基本サブスクリプション費用には、定期メンテナンスやシステム不具合対応が含まれていますが、タイヤやセンサー(LiDAR)本体などの消耗品・破損交換費用は実費有償となります。過酷な屋外走行によるLiDARの突発的な故障リスクに備える場合は、アドオンの「LiDAR安心パック」への加入が必要です。 - マップ修正作業の制約
安全確保の観点から、ユーザー企業が自社で「VectorMapBuilder」などのシステムを用いて走行マップを直接変更することはできません。レイアウト変更に伴うマップ修正はメーカーに依頼する必要があるため、ルート変更頻度が高い現場では定額の「マップ修正プラン(Standard/Premium)」の契約を検討する必要があります。 - 導入準備期間の確保
環境工事は不要ですが、事前に現地での手動走行データ計測と、専門スタッフによる3D点群マップの作成・テスト(1〜3週間程度)が必要となります。契約即日からの稼働ではなく、事前準備期間を含めたスケジュール設計が求められます。
よくある質問(FAQ)
- 激しい雨や夜間でも問題なく自動走行できますか?
- はい、走行可能です。ヤマハ発動機の防雨・走破性を備えた車両技術と高精度LiDARセンサーを組み合わせており、一般的な雨天や夜間の暗闇であっても、正確に自己位置を把握して自動運転レベル4での無人搬送を行えます。
- 導入にあたって誘導線や磁気テープなどの敷設工事は必要ですか?
- 工事は不要です。LiDARでセンシングした周囲の形状と、事前計測した3D点群地図を照合して走るガイドレス方式を採用しているため、アスファルト路面を傷つける施工工事を行わずに導入できます。
- 導入前にデモ走行の体験や稼働現場の見学は可能ですか?
- 可能です。静岡県浜松市のヤマハ発動機工場などでの見学ツアーに加え、自社現場で計測1日・試運転1日・1day自動運転デモを実施するトライアル用の「ライトプラン」が用意されています。
- 24時間稼働の工場でも止まらずに運用できますか?
- カートのバッテリーは標準のプラグ充電に加え、ワンタッチで交換できる換装式に対応しています。オプションの予備バッテリーを用意しておくことで、充電待ち時間をゼロにした24時間体制での連続運行が可能です。
- 運行中の事故やトラブルに対する保証や保険はどうなっていますか?
- サブスクリプション料金内に「損保ジャパンの自動運転専用保険」が標準で付帯されています。対人・対物賠償、搭乗者傷害、車両破損など、万が一のトラブル時にも備えたサポート体制が整えられています。
- 工場のレイアウト変更でルートを変更したい場合はどうすればよいですか?
- 安全管理のため、地図修正作業はメーカー側で行います。定常的に軽微なルート追加や修正が発生する場合は、月額定額で規定ポイントまでの修正を依頼できる「マップ修正プラン」に加入しておくことで、都度の見積もり手続を行わずに迅速な変更対応を受けられます。