TiTraとは?
TiTra(ティトラ)は、物流倉庫や製造工場におけるピッキング作業の歩行負荷や工程間搬送の人手不足を解消する、株式会社匠が開発・提供する国産の無人搬送ロボット(AGV/AMR)ソリューションです。床面に配置された2次元コードを読み取りながら±10mm以下の高精度で自律走行し、棚やパレットの下部へ潜り込んでリフトアップ搬送を行います。作業員が保管場所まで移動する代わりにロボットが棚をステーションまで運ぶ「Goods-to-Person(歩かないピッキング)」を実現し、ピッキングや工程間搬送の効率化と省人化を支援します。
主な機能
走行・搬送制御機能
- GRID方式による自己位置認識と高精度走行
床面に碁盤目状に敷設された2次元コード(マトリクスコード)を光学センサーで読み取ることで、自己位置を正確に認識して走行します。停止精度±10mmという高い位置決め精度を備えており、狭い通路や他設備との正確な位置合わせが必要な現場でも安定した稼働を維持します。 - 低床リフトアップ機構とスピンターン旋回
専用の棚やパレット、台車の下部に潜り込んでジャッキアップするリフト機能を搭載しています。二輪速度差制御によるその場旋回(スピンターン)が可能なため、方向転換のための旋回スペースを最小限に抑え、限られた倉庫・工場フロアを有効活用できます。 - 可搬重量に応じたラインナップ展開
可搬重量500kg対応の「TiTra G500」や、重量物搬送に対応する1,000kgモデル「TiTra G1000」など、取り扱う荷姿や運用要件に合わせたモデルが用意されています。部品棚の搬送からパレット単位の重量物搬送まで柔軟に適応します。
設備・上位システム連携機能
- 上位システム(WCS/WMS)とのデータ連携
既存の倉庫管理システム(WMS)や倉庫制御システム(WCS)と連携し、出庫指示や在庫配置データに基づいた最適な搬送指示を受け取ります。入出荷指示に合わせた自動配車とステーションへの棚搬送をシームレスに行うことが可能です。 - 工場設備・PLC・シャッター連動
工場のPLC制御システムや自動ドア、シャッター、自動倉庫などの建屋・搬送設備と相互に通信連動できます。設備間の受け渡しやエリア移動時の扉開閉を自動化し、人の介入を介さない完全自動化ラインの構築を支援します。
安全監視・カスタマイズ機能
- 障害物検知と安全制御
車体に障害物検知センサーを搭載しており、走行ルート上に人や障害物を検知した際には自動で減速・停止する安全機能を備えています。作業者と搬送ロボットが同一フロアで混在する環境でも接触事故を防止します。 - 外部AIカメラシステム連動
天井や壁面に設置された外部のAI監視カメラと連動させ、AGV走行エリアへの人の立ち入りを検知してロボットへ停止信号を送るなど、エリア全体の高度な安全管理体制を構築できます。 - ハードウェア・アタッチメントのカスタマイズ
搬送対象物の形状や工程に合わせて、コンベヤユニットの搭載や治具の変更など、ハードウェアのカスタム設計に対応しています。既設の台車や現場独自のパレット形状に合わせた運用設計が可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
ピッキング作業における歩行距離が長く、作業者の身体的負荷や人員不足に悩む物流倉庫
- 作業員の移動時間がピッキング全体の大部分を占めている
TiTraを導入して棚搬送方式(GTP)を構築することで、ロボットが指定の保管棚を作業ステーションまで自動搬送します。作業員は定位置にとどまったままピッキングを行えるため、倉庫内の無駄な歩行時間を削減し、作業効率の向上と作業負担の軽減につながります。 - 多品種・小ロット出荷で頻繁なロケーション変更が発生する
固定ラックを設置する方式と異なり、TiTraのGRID方式は床面のコード配置とソフトウェア上のマップ管理によって保管レイアウトを変更できます。季節変動や取扱品目の増減に合わせた柔軟な棚配置変更が可能です。
製造現場において工程間の重量物搬送を自動化し、設備連動を図りたい工場
- フォークリフトや台車による人手搬送がボトルネックになっている
可搬重量最大1,000kgの「TiTra G1000」を活用することで、重い部品フレームやパレットの工程間移動を自動化できます。重量物運搬に伴う作業者の安全リスクを抑えつつ、定時・定ルートでの安定した資材供給を実現します。 - 自動倉庫やコンベヤ、製造設備と高精度に位置合わせを行いたい
±10mmの高精度停止とPLC通信連動により、コンベヤや自動倉庫の入出庫口と正確にドッキングして荷受け・荷渡しを行えます。前後の製造工程とシームレスにつながる無人搬送ラインを構築できます。
向いていない企業・現場
床面の状態が粗悪である、または段差や屋外・建屋間の移動が必要な現場
- 床面に2次元コードを貼付できない、または屋外や未舗装路を通行する
TiTra Gシリーズは平坦な屋内床面に貼付した2次元コードを読み取って走行する仕組みのため、水濡れや泥、著しい凹凸がある路面や屋外の建屋間搬送には適していません。屋外搬送や建屋間移動を自動化したい場合は、悪路走破性を持つeve autoなどの屋外対応型自動搬送サービスの検討が適しています。
既存のカゴ車や6輪台車を床面工事なし・完全ガイドレスでそのまま牽引搬送したい現場
- 床面へのマーキングを行わず、既存の汎用台車を自律搬送させたい
TiTra Gシリーズは専用の棚構造やパレット受け治具が必要となり、床面へのコード敷設も伴います。既存のカゴ車やカートをそのまま活用し、SLAM技術でガイドレス搬送を行いたい現場には、Lexx500のような自律走行型AMRが候補になります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| TiTra | GRID式(2次元コード)で高精度停止(±10mm)を実現する国産棚搬送・工程間搬送AGV/AMR。ハード・ソフトのフルカスタムや設備連動に強み。 | 要問い合わせ(デモパッケージ・レンタル提供あり) | 国内サポートや現場に合わせた機器カスタマイズ、PLC・設備連携を重視する倉庫・製造現場。 |
| Geek+ | 棚搬送(GTP)やソーティングなど多様な自動化ラインナップを持つ世界展開のAMRソリューション。大規模導入実績が豊富。 | 要問い合わせ | 大規模なEC・通販倉庫で大量のロボットを群制御し、高密度保管と高速出荷を両立したい企業。 |
| Quicktron | 棚搬送やパレット搬送に対応し、AIアルゴリズムによる経路最適化と群制御で大規模倉庫の作業効率を向上させるAMR。 | 要問い合わせ | 広大な保管エリアで複数ロボットの最適稼働を追求し、ピッキングやパレット移動を自動化したい企業。 |
| Lexx500 | LiDAR SLAMにより床面コード不要で走行可能な国産AMR。既存のカゴ車や6輪カートをそのまま連結・搬送可能。 | 要問い合わせ | 床面工事を行わず、既存のカゴ台車やカートをそのまま活かして搬送自動化を図りたい混流製造・物流現場。 |
棚搬送(GTP)ロボットを選定する際、海外製の大規模導入実績や高度な群制御アルゴリズムを重視する場合は、Geek+やQuicktronが有力な候補になります。これらは大規模なEC倉庫などで実績が豊富であり、標準化されたオペレーションの大規模展開に適しています。
一方で、国内の製造ラインや既存倉庫において、建屋設備(PLC・シャッター・自動倉庫)との細かな通信連携や、現場独自の治具・コンベヤ搭載といったハードウェア・ソフトウェアの柔軟なカスタマイズ、迅速な国内メーカーサポート体制を重視する場合は、国産メーカーのTiTraが適した選択肢となります。
料金・プラン・導入方法
TiTraの本体価格および導入費用は公式には公開されておらず、「要問い合わせ」となっています。機器本体の購入だけでなく、初期費用を抑えて月額費用で導入できるレンタルプランや、短期間でお試し運用ができる「デモパッケージ」なども用意されています。
導入見積もりを依頼する際は、以下のポイントを事前に整理・確認しておくことが推奨されます:
- 搬送対象物の重量とサイズ
可搬重量500kgの「TiTra G500」か、1,000kgの「TiTra G1000」など、現場の積載要件に適合するモデルの選定。 - カスタマイズおよび設備連携の範囲
既設の棚やパレットに合わせた専用アタッチメントの製作、PLC制御・シャッター連動・WMS連携開発の有無。 - 導入形態と保守サポート範囲
一括購入かレンタル・サブスクリプション型か、定期点検やオンサイト保守体制の内容。
導入の流れ・期間
TiTraの導入は、一般的な無人搬送ロボットの導入手順に沿って進行します。具体的な導入期間は現場の要件定義やカスタマイズ内容によって異なるため「要問い合わせ」となります。
- 問い合わせ・ヒアリング
現場の搬送課題、対象物の重量・寸法、稼働面積、希望する搬送タスクについてのヒアリングが行われます。 - 現地調査・レイアウト検証
走行予定エリアの床面状態、通路幅、柱や障害物の位置、Wi-Fi通信環境などの現場調査を実施します。 - デモ・トライアル検証
デモパッケージなどを活用し、実際の搬送対象物を用いた走行性能や停止精度の検証を行います。 - システム設計・仕様策定
GRIDコードの敷設設計、WMS/WCSや工場PLCとの通信インターフェース設計、治具・アタッチメントのカスタマイズ設計を確定します。 - 現地設置・調整・試運転
床面への2次元コード敷設、ステーション設定、Wi-Fi環境構築、実機搬入および走行調整・連動テストを実施します。 - 本稼働・運用保守
操作教育を実施した上で本稼働へ移行し、国内メーカー技術者による定期点検や技術サポートが提供されます。
導入事例・実績
株式会社ロジコム(行橋営業所)
自動車メーカーと部品メーカーをつなぐサプライチェーン拠点のクロスドッキング現場において、「TiTra G1000」を25台導入しています。重量物の荷揃え・搬送工程をロボット化することで、作業者の身体的負荷軽減と構内搬送の効率化を図っています。
ファインテック株式会社(山口新工場)
物流機器・垂直搬送機の製造を手掛けるファインテックの新工場において、「TiTra G1000」を2台納入・稼働させています。従来はフォークリフトや手作業で行っていた組み立て工程における重量フレームや各種部品ユニットの工程間搬送を自動化し、大幅な省力化と安全性の向上を実現しています。
株式会社ハタノ製作所(本社工場)
浴槽接続金具メーカーのハタノ製作所本社工場において、「TiTra G500」を導入。自動倉庫とPLC連携システムを組み合わせたパレットの自動搬送システムを構築し、入出庫から生産ラインへの供給フローの無人化を推進しています。
株式会社ヒロテック(大分工場)
自動車用ドアや排気系部品を製造するヒロテック大分工場において、「TiTra G1000」を納入。自動車部品製造工程における生産性向上および工程間搬送の自動化を目的として運用されています。
導入前に知っておきたいこと
公開されている情報およびGRID式AGVの特性から、導入検討時に確認しておくべきポイントは以下の通りです:
- 床面の状態と2次元コードの定期管理
TiTra Gシリーズは床面に貼付した2次元コードを光学センサーで読み取るため、床面に著しい油汚れや摩耗、水濡れ、凹凸がある現場では事前の床面補修や定期的なコードの清掃・貼り替えメンテナンスが必要になります。 - 安定したWi-Fi通信環境の確保
ロボットと上位システム間の制御通信はWi-Fiを介して行われるため、倉庫・工場フロア全域で電波の死角(デッドゾーン)が生じないよう、アクセスポイントの適切な配置設計が必要です。 - ユーザー口コミや外部評価について
現時点では一般ユーザーによる公開された不満・課題報告の口コミは確認できていません。現場への適合性や運用課題については、事前に提供されているデモパッケージ等を活用して自社環境で直接検証することが推奨されます。
よくある質問(FAQ)
- 床面に磁気テープを貼る必要がありますか?
- いいえ。TiTra Gシリーズは磁気テープではなく、床面に敷設された2次元コード(マトリクスコード)を読み取って走行する「GRID方式」を採用しているため、床面全体に目立つ磁気ガイドテープを貼る必要はありません。
- 既存のWMS(倉庫管理システム)や工場のPLCと連携できますか?
- 可能です。TiTraは上位システム(WCS/WMS)とのインターフェース連携や、工場の生産設備を制御するPLC、自動ドア・シャッターなどの建屋設備との連動に対応しています。
- 操作画面や搬送指示はスマートフォンから行えますか?
- ファインテック株式会社への導入事例などでは、PLC制御システムを通じて現場の作業者がスマートフォン端末から搬送指示を出せる運用構成が採用されています。要件に応じた操作環境の構築については問い合わせが必要です。
- 本格導入前に実機を試すことはできますか?
- はい。株式会社匠では短期間でお試し運用が可能な「デモパッケージ」や、初期費用を抑えたレンタルプランが用意されています。
- ロボットの走行中に人が近づいた場合の安全性はどうなっていますか?
- 車体に障害物検知センサーを標準搭載しており、進行方向の人や物を検知した場合は自動で減速・停止します。また、外部のAI監視カメラと連動して人が侵入したエリアのAGVを自動停止させる安全システムの構築も可能です。
- 契約期間や解約条件、サポート体制はどうなっていますか?
- 契約期間や解約条件の詳細は個別見積もりでの提示となるため要問い合わせです。サポート面では国内メーカーとして自社および提携グループの技術者が設計から導入・メンテナンスまで直接対応する体制が整えられています。