Logistics Global Linkとは?
「Logistics Global Link(ロジスティクスグローバルリンク)」は、富士通株式会社が提供する物流データ変換・可視化クラウドサービス(SaaS)です。「物流DX・データ分析」カテゴリに位置づけられ、標準化・共通化した業務アプリケーション群「Fujitsu Uvance」の1サービスとして2023年12月に提供開始されました。
最大の特徴は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」が公開した「物流情報標準ガイドライン」に準拠している点です。異なる企業間やシステム間でバラバラになっている在庫・輸配送データを標準レイアウトに変換し、AWS(Amazon Web Services)上に集約・可視化します。これにより、サプライチェーン全体でのデータ連携や、企業間でのドライバー・車両のシェアリング(共同物流)を推進し、物流2024年問題に伴う輸配送能力不足などの社会課題解決を目的としています。
主な機能・特徴
- データ変換・蓄積(Datahub機能)
企業ごとに独自のフォーマットで管理されている輸送依頼や在庫データを、「物流情報標準ガイドライン」に準拠した形式に自動変換し、クラウド環境に蓄積・保存します。 - 物流KPIによる高度な可視化・分析
あらかじめ定義された基本的な物流KPIが標準装備されています。集約された複数拠点のデータを表やグラフでダッシュボード化し、需要予測精度の向上や在庫削減、改善策の立案を支援します。 - 外部システムとの連携アダプタ
企業の既存システム(基幹システムやWMS、TMSなど)をすべて刷新することなく、シームレスに外部接続を簡素化するアダプタ機能を備え、異業種や複数企業をまたぐデータ共有を容易にします。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 対象規模・業種:複数拠点を展開する製造業、物流・倉庫業、小売・卸売業などの大企業およびグループ企業。
- 導入シーン:同業他社や異業種間での「共同輸配送」を実現したい現場や、荷主企業(発荷主・着荷主)と物流事業者間でスムーズにデータ連携を行いたいシーン。
- 課題:「取引先ごとにデータ形式が異なり、伝票入力や検品作業に多大な工数がかかっている」「サイロ化された物流データを統合し、サプライチェーン全体を最適化したい」と考えるDX推進担当者やロジスティクス責任者に向いています。
【向いていない企業・現場】
- 小規模・単一拠点での運用:自社の一つの倉庫内だけで業務が完結しており、他社と物流データを共有する必要がない場合、本システムのような高度な企業間データ連携基盤はオーバースペックになります。
- 独自のレガシーシステムから脱却する予定がない企業:内閣府が推進する「物流情報標準ガイドライン」に沿った標準化を目的としているツールのため、自社の独自フォーマットを一切変更したくない企業には不向きです。自社専用のWMS(倉庫管理システム)などの導入を検討した方がよいでしょう。
料金・プラン・導入方法
Logistics Global Linkの具体的な料金プラン(初期費用や月額利用料)は公式に公開されていません(要問い合わせ)。
本サービスは富士通のSaaS/SIサービス「Fujitsu Uvance」のオファリングの一つとして提供されるため、自社の既存システム環境や接続するデータ規模、サプライチェーンを構築する参画企業の数などに応じた個別見積もりとなります。導入に向けた詳細なステップや価格については、富士通株式会社の公式サイトから問い合わせる必要があります。
導入事例・実績
本サービスおよび物流情報標準ガイドラインを活用したデータ連携の実績として、以下の公式情報が公開されています。
- 化学品業界の共同物流実証実験
経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」の化学品ワーキンググループにて、三菱ケミカルグループや三井化学など複数企業が共同物流の実証実験を実施。富士通も参画し、データ基盤を活用した結果、トラック積載率の改善やCO2排出量の大幅な削減効果が確認されています。 - ascend株式会社(運送管理システム「ロジックス」)
同社が提供する運送管理システムにて、物流情報標準ガイドラインのデータ項目定義を活用したデータ構造を実装。外部システムとの連携を通じてサプライチェーン全体の最適化を図っています。 - 株式会社ドコマップジャパン(DoCoMAP)
GPSを利用した車両位置情報管理システムのデータ項目に標準ガイドラインを導入。他システムとの連携が容易になり、車両管理や配送スケジュール管理の基盤として活用されています。 - ウイングアーク1st株式会社(invoiceAgent)
納品伝票電子化サービスにおいて、ガイドラインに準拠した納品伝票データの授受をSIP基盤との連携によって実現しています。
導入前に知っておきたいこと
現時点では、公開されたユーザー評価・課題報告(具体的なデメリット、不満、口コミなど)は確認できていません。
本サービスは2023年12月に提供開始された比較的新しい基盤であり、現在各業界の大手企業を中心に実証実験や実装が進められている段階です。導入前に知っておくべき注意点として、既存の基幹システムからクラウド上の「Datahub」へデータを連携させるための要件定義や、各ステークホルダー間でのデータフォーマットの擦り合わせにある程度の開発工数・調整が必要になる点が挙げられます。ガイドラインに沿った業務フローへの移行に対する、現場の学習コストも事前に考慮しておく必要があります。
類似ツールとの違い・選び方
一般的なWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)は「自社内の特定業務(ピッキングや配車計画など)の効率化」に特化しています。一方、Logistics Global Linkは「企業間(サプライチェーン全体)でのデータ標準化・共有」に主眼を置いている点が最大の違いです。
「自社倉庫内の作業スピードを上げたいだけ」であれば通常のクラウドWMSを選び、「荷主や運送業者など立場の異なる企業間で、バラバラなデータを統一し、将来的な共同配送や高度なサプライチェーン分析を実現したい」場合はLogistics Global Linkを選ぶ、という基準で検討するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
- 内閣府の「物流情報標準ガイドライン」とは何ですか?
- 国土交通省・経済産業省・内閣府による「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」において策定された、国内の物流・商流データを標準化するための規格です。システムや企業間のデータ連携を円滑にすることを目的としています。
- Logistics Global Linkのシステム基盤はどこに構築されていますか?
- パブリッククラウドであるAWS(Amazon Web Services)上でデータ変換・標準化・蓄積が行われています。
- 既存の物流システムをすべて破棄して入れ替える必要はありますか?
- いいえ。本サービスはデータ連携・可視化のためのハブ(Datahub機能)として機能します。連携アダプタを利用して既存システムのデータを標準フォーマットに変換できるため、自社の既存システムを活かしたまま導入可能です。