Tanaとは?
Tana(タナ)は、試薬や器具、製造現場の副資材、店舗備品などの複雑な物品を扱う現場において、在庫管理の手間と欠品に伴う業務停滞を、スマートフォンのカメラ機能を利用した簡易的なスキャン操作で解決するクラウド型の在庫管理・棚卸アプリ(SaaS)です。提供元はInstoll株式会社で、カテゴリは在庫管理・棚卸に分類されます。元々は、数千種類に及ぶ多様な資材や薬品が並ぶ大学の研究室において、パソコンを都度起動してExcelやスプレッドシートに記録する手間を削減し、資材が他所に持ち出された際にもリアルタイムに共有できるようにするために開発されました。高額な専用ハードウェアを用意することなく、普段使用しているスマートフォンを用いて複数人のメンバーがその場で在庫状況を更新・共有できる、シンプルかつ経済的な運用体制の構築を目的としたシステムです。
主な機能・特徴
Tanaは直感的かつ現場の担当者レベルでも迷わずに使用できるシンプルな設計思想を重視して開発されています。以下に、その主な機能と特徴を解説します。
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スマートフォンのカメラを用いたバーコードスキャン:
利用者が所有しているiOSやAndroid端末に搭載された標準のカメラをバーコードスキャナとして機能させることができます。JANコード(EANコード)やQRコードをはじめとする合計11種類のバーコード規格に対応しているため、海外製の資材や商品の読み取りも容易です。これにより、高額な専用ハンディターミナルを別途購入する初期コストを抑えながら、現場にスピーディーに在庫管理ツールを展開することができます。 -
リアルタイムな在庫情報のチーム内共同管理:
システム内で「チーム」を作成し、メンバーを招待することで、同一の在庫情報を複数人で同時に閲覧・更新する環境が構築できます。あるメンバーが数量を変更した実績がクラウドを介して即座に他のメンバーのデバイスにも反映されるため、情報の齟齬や記入漏れによる重複発注の防止、在庫確認のための無駄なコミュニケーションコストの削減につながります。 -
簡易な入出庫登録・棚卸しオペレーション:
物品の出し入れ(入庫・出庫)や、データの差異を実在庫数と照合する作業(棚卸)に特化したシンプルなUIが実装されています。元からバーコードが印字されていない資材や、独自に仕分けた備品に対しては、システム側が割り振る「Tana QR Code」を印刷して現物に貼付することで、同様にスマートフォンによるスキャン追跡が可能です。マニュアルを読み込むことなく、新入社員や現場のアルバイトでも短時間の教育で操作を習得できるのが特徴です。 -
安全性の高いクラウド環境での自動データ管理:
入力された在庫データはクラウド環境で自動管理され、3重のバックアップ体制が敷かれているほか、通信経路はすべて暗号化されています。日本語のほか英語にも標準で対応しており、留学生や外国籍のスタッフが在籍する多様性のある現場であっても、高いセキュリティと利便性を両立した運用が可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
Tanaは手軽で導入が簡単な反面、複雑なサプライチェーンを擁する物流倉庫や大規模な在庫連携要件を持つ現場には向いていません。自社の要件に合致するかどうか、向いている現場とそうでない現場に切り分けて整理します。
【向いている企業・現場】
対象規模としては、10名前後までの小規模なチーム、少人数で管理する店舗、特定の研究室や部署単位での運用に適しています。対象業界・業種としては、試薬品や消耗器具の細かな出入りの把握や共有が不可欠な医薬品・医療関連のラボ、または少品種の原材料や作業部品の所在を常に管理しておきたい製造業のバックオフィスが挙げられます。
これまでExcelや紙の管理台帳、手書きのメモで在庫情報を記録しており、記入漏れやデータの不一致、それに伴う「現物確認の時間の多さ」に悩んでいるものの、高度なシステムに何十万円もの高額な予算を割くことができない企業に向いています。スマートフォン1つで出先や買い出し中であっても最新データが変更・参照できるフットワークの軽さを求められる現場にフィットします。
【向いていない企業・現場】
一方で、数万点から数十万点以上の極めて膨大なSKU(商品分類数)を保有する大規模な物流倉庫や、複数拠点をまたぐ高度なWMS(倉庫管理システム)としての動線管理、出荷検品、配送送り状の発行、ピッキング順路の最適化などを行う現場には不向きです。Tanaには、ロジスティクス全般を制御する詳細なWMS機能や自動発注などの仕組みは標準搭載されていません。
また、仕入管理や販売データと在庫情報を厳密に自動連動させ、仕訳や請求書発行までシームレスに処理したい場合は、販売管理機能と在庫管理が完全に統合された別のシステムの導入を検討した方がよいと言えます。さらに、作業環境の性質上、スマートフォンを現場に持ち込むことが禁止されている場所や、毎秒何十点もの資材を読み取る極めて素早いスキャン速度と高耐久性が要求されるピッキングラインでは、スマホ操作の手間がボトルネックとなる可能性があります。
料金・プラン・導入方法
Tanaはメンバー登録数に応じて費用が変動する、明瞭な従量課金型のSaaSモデルを導入しています。初期費用や最低契約期間などの制約はありません。
| プラン名 | 初期費用 | 月額料金(税別) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | 無料 | 1名で利用する場合に適用。機能制限やトライアルの利用期限はありません。 |
| スタンダードプラン | 0円 | 1名あたり200円 | 個人や法人向け。複数のメンバーを招待して同じ在庫データを共同管理する場合に必要となります。 |
| アカデミックプラン | 0円 | 1名あたり100円 | 大学生、専門学校生、教育機関の教職員を対象とした割引プランです。 |
有料プランへの切り替えや登録は、iOSまたはAndroidアプリ内の設定画面からクレジットカード情報を入力することで簡単に行えます。セキュリティを高めるためにトークン方式の決済を採用しており、入力したカード情報はTanaのサーバーを経由せずに直接クレジットカード決済代行会社に送信され、安全に保管されます。複数名で同時に共同管理を開始する場合、1名の無料プランからアプリ内で決済を行うことで、いつでも有料のスタンダードプラン等へ直接アップグレードが可能です。
導入の流れ・期間
Tanaは非常にシンプルな構成となっているため、特別なサーバー構築や機器手配の期間は発生せず、一般的な在庫管理システムと比べて極めて短いプロセスで稼働させることができます。
- アプリのダウンロードとアカウント作成:
利用する端末(iOS 10以降のiPhone / iPad、Android 8.0以降のスマートフォン等)にApp StoreまたはGoogle Play StoreからTanaアプリをダウンロードします。その後、Googleアカウントを利用してログインを行うことで、瞬時にアカウントが生成されます。 - 初期チームの自動作成と自社設定:
初回アクセス時に登録を済ませると、自動的にデフォルトの管理用「チーム」が構成されます。管理対象となる保管棚やロケーションなどの「収納」をアプリ内で登録し、次に管理対象の「アイテム」を設定します。 - バーコードの紐づけまたは生成:
バーコードがあるアイテムはスマートフォンのカメラで読み取って紐づけを行い、バーコードが存在しない資材に関しては「Tana QR Code」をアプリから作成して現物に貼付します。 - 有料プランへの切り替えとメンバー招待(複数人管理時):
複数人での運用を行う場合は、管理画面からスタンダードプラン等を選択し、クレジットカードにて決済情報を登録します。その後、一緒に管理したいメンバーのメールアドレス等を招待することで、同じ在庫データを共同管理する体制が整います。
なお、Tanaの公式サイト等には具体的な「最短導入期間」やスケジュールの目安は明記されていません。一般的な在庫管理SaaSでは、社内のマスターデータ作成等に一定の時間がかかりますが、Tanaは専用ハードウェアのセットアップを必要としないため、数分から即日のスモールスタートが可能です。ただし、大量の初期在庫データをシステムに移行したり、社内のシステム稼働規定を定める必要があるなどの場合は、正確な導入スケジュール等を提供元であるInstoll株式会社に問い合わせる必要があります。
連携できるシステム・機器
Tanaは単体での使いやすさとシンプルさを前提に設計されているシステムであり、他システムや外部機器との広範な自動連携は基本的に限定的です。
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REST APIの提供:
Tanaには、他社システムや自社専用データベースとデータを同期させるためのREST APIが技術的に用意されています。しかしながら、接続方法やアクセスに必要な手順などは、現時点では一般顧客向けに公開されていません。APIを活用した自社システムとのシームレスなデータ連携を想定している場合は、個別にサポート窓口(support@tana.app)までメールで直接確認・相談を行う必要があります。 -
外部システム・周辺機器との連携:
既存のWMS、TMS、生産管理システム、基幹システム(ERP)、または会計ソフトなどの各種販売・製造業務系パッケージとの間での標準的な自動連携コネクタや自動取り込みなどの情報は公開されていません。また、ハンディターミナルなどの専用周辺機器のサポート情報も開示されておらず、スマートフォンの標準カメラを使用する環境のみで完結する形になっています。
上記に基づき、公開されている連携情報は確認できていません。連携要件がある場合は問い合わせ時に確認してください。
導入事例・実績
公式サイトや関連情報より、確認が取れているTanaの具体的な導入・活用実績は以下の通りです。
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大学の研究室(ラボ)における試薬・器具管理の事例:
山口潤一郎研究室において、大学内に点在する複数の部屋で消費・移動される各種実験器具や消耗品、試薬の管理にTanaが活用されています。多言語対応が標準化されているため、日本語が不慣れな留学生であっても容易に利用できる環境が強みとなっています。各メンバーが器具を使用・返却した際にスマートフォンアプリからすぐに数量やステータスを更新でき、現在誰が何を使っているのか、どの薬品がいつどこに持ち出されたのかが即座に共有できるようになりました。これにより、Excelを立ち上げて転記する無駄な業務が削減され、外出時や買い物中であってもスマートフォンの画面1つで在庫数が変更・確認できるようになったことで、欠品による研究活動の停滞リスクを抑制する効果を発揮しています。
※その他の一般企業、工場、商業店舗などにおける具体的な導入社数や詳細な削減工数の数値を示した公式の公開事例は現時点では確認できていません。最新情報は公式サイトをご確認ください。
導入前に知っておきたいこと
Tanaは初期費用がかからずシンプルに使える優れたサービスですが、実際に現場に浸透させ長期的に活用するためには、以下の点に配慮しておく必要があります。
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初期登録とラベル発行における実務の負荷:
元からバーコードが印字されていない自社製品や、小分けにされた資材を管理する場合、初期設定としてシステム側に物品情報を手動で登録した上で、一つずつ「Tana QR Code」を自前でラベル印刷し、現物に貼付する地道な作業が必要となります。対象の物品数が数千からそれ以上におよぶ場合は、導入完了までに想定以上の人的負担と準備時間が生じる可能性があります。 -
高度な業務要件への対応限界:
Tanaは現場での直感的な増減・棚卸しを支援する簡易アプリとしての位置付けが強く、例えば「ロット別の消費期限アラート機能」や「賞味期限の経過による自動引当」、または「仕入先への発注書PDFの自動生成」といった、物流システム(WMS)や高度な在庫管理システムに標準搭載されている各種機能はサポートされていません。 -
複数人の利用による月額の増加:
1名までの利用は完全に無料ですが、現場での実運用においては「複数人でリアルタイムに共有すること」が基本となります。2人目からは人数に応じて月額費用が加算される仕組みとなっているため、部門全体や他拠点にまたがって利用人数が大きく増加するようなプロジェクトでは、利用予定の人数とそれに基づく月額費用の将来的な増分を、事前に把握しておくべきです。
類似ツールとの比較
自社の在庫管理の目的に合わせ、類似ツールと特徴を十分に比較検討することが失敗を防ぐ要因となります。以下はTanaと代表的な類似ツールの比較表です。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| Tana | スマホカメラでのバーコード読取。1名利用は永久無料、複数名共同管理時もメンバーごとの低価格な従量課金。 | 初期費用:0円 1名利用:無料 スタンダード:200円 / メンバー / 月(税別) |
小規模チームや個人店舗、ラボなどで、コストを極力抑えてスマホでの在庫共有を試したい場合。 |
| zaico | スマートフォンによるリアルタイム在庫共有。発注点アラートやAIによる画像認識機能、他社会計・POS等との豊富なAPI自動連携に対応。 | 初期費用:0円〜 スターター:8,980円 / 月(税別、3名〜) ベーシック:49,800円 / 月(税別、10名〜) ※2026年6月料金改定 |
他店舗や拠点間をまたいだ運用、AIや既存の外部システムと連携して在庫管理業務の大幅な省力化を求める中小企業。 |
| スマートマットクラウド | IoT自動重量計「スマートマット」の上に置くだけ。人が関わる「数える・入力する」作業を完全に排除し、発注までを自動化。 | 初期費用:50万円〜(要見積) 月額料金:要問い合わせ(マット台数+システム利用料) |
細かなネジ、ボルト、消耗品、液体等の検品が手間で、毎日あるいは定期的に実在庫を正確に見える化したい製造業や医療現場。 |
| flam | 販売・仕入・在庫データを高速レスポンスで一元管理。詳細なロット別トレーサビリティ管理や見積・売上台帳との自動連動が強み。 | 初期費用:0円 STANDARD:9,300円 / 月(税別、3アカウント) PROFESSIONAL:19,800円 / 月(税別、5アカウント) |
卸売や製造などで、見積から請求までをシームレスにつなぎ、在庫のロット管理までを一括してシステム化したい現場。 |
選定の判断基準として、Excel管理を脱却し「とにかくコストと手間をかけずにスマホアプリで手軽に共同在庫の把握を始めたい」という明確な要望がある場合は、Tanaを選択するのがもっとも有力な選択肢となります。1人あたりわずか月額200円(税別)から試せるため、システム導入における財務リスクが極めて低い点が最大の強みです。
一方、「自社の基幹システムや、外部のPOS、ECモール、あるいは社内の会計ソフト(freee等)とリアルタイムにデータを連動し、欠品アラートや自動発注なども構築したい」という場合は、それらの外部連携が標準搭載されているzaicoを選択するのが候補となります。また、そもそも「スタッフが在庫を数える作業そのものから解放されたい、リアルタイムに残量や液体重量を計測したい」という目的であれば、導入ハードルを考慮してもスマートマットクラウドの自動重量検知が向いています。仕入・販売データとロット管理を一貫したガバナンスで統合したい企業は、flamが適切な解決策になるでしょう。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンを持っていないメンバーでも利用できますか?Webブラウザから使えますか?
- はい、Tanaにはスマートフォンアプリ(iOS / Android)の他に、Webブラウザでアクセス可能なWeb版アプリも提供されています。Google ChromeおよびMacOS Safariの最新版で動作検証が完了しており、パソコンの大画面から同じ在庫データにアクセスして、情報の変更や棚卸の登録などを行うことができます。
- 無料で使用できる期間(トライアル期間)や機能制限はありますか?
- いいえ、無料プランでの利用期限(トライアル期間)や機能制限は設けられていません。ユーザー「1名」での利用に限定されるという点のみが条件となっており、1名で使い続ける限りはすべての機能をずっと無料で使うことができます。
- アカウント作成には何が必要ですか?
- iOSまたはAndroid用のアプリをダウンロードした後、ご自身の「Googleアカウント」を使用してサインインを行うことで、Tanaアカウントの登録がその場で行えます。
- どのようなバーコード規格をスキャンできますか?
- 一般的なJANコード(EANコード)や、スマートフォンの普及で利用頻度の高まっているQRコードを含む、合計11種類のバーコード規格に対応しています。海外から届く資材や各種封筒、書籍等に貼られている様々なバーコードもそのままスマートフォンのカメラで読み取ることができます。
- WMSや基幹システムなどの自社システムと自動連携させることはできますか?
- TanaにはREST APIの仕組み自体は構築されていますが、具体的なAPI仕様書や接続方法などは、現時点では一般顧客向けには一般公開されていません。自社システムとのシームレスなAPI接続をご希望される場合は、個別にサポート窓口(support@tana.app)までメールで直接問い合わせ、技術的な連携可否を確認する必要があります。
- 支払方法にはどのような種類がありますか?デモや見積の依頼方法を教えてください。
- 主要なクレジットカード決済に対応しています。1名用の無料プランから複数名での共同管理を希望する場合は、アプリ内の設定画面からクレジットカード情報を登録の上、有料のスタンダードプラン等へいつでも直接アップグレードできます。なお、一般的な見積書の作成や詳細なデモのご要望、複数人数での長期契約にあたっての条件調整等が必要な場合は、Instoll株式会社へ事前に直接問い合わせることを推奨します。