九州主要23港の2025年度取扱実績は1年ぶりに増加へ転じる
国土交通省九州運輸局は、管内指定港湾23港における令和7年度(2025年度)の港湾貨物取扱実績を公表しました。総取扱量は前年度実績(1億7,264万トン)を472万トン上回る1億7,736万トン(前年度比2.7%増)となり、1年ぶりの増加を記録しました。全体の67.8%を占める上位5品目のうち、石炭、金属鉱、鉄鋼の3品目が増加したことが取扱量全体の押し上げ要因となっています。
港湾運送事業法に基づく定期報告統計の仕組み
この統計は、港湾運送事業法に基づき政令で定められた九州運輸局管内の指定港湾23港において、港湾運送事業者が行った船舶積卸し実績(船積貨物の積卸し、上屋・荷さばき場への搬出入および一時保管)を集計した年次データです。同法および港湾運送事業報告規則に基づき、事業者が毎月提出する実績報告を取りまとめて公表されています。
品目別・港湾別の貨物取扱実績と増減の内訳
公表された令和7年度の取扱実績および品目・港湾別の動向は以下の通りです。
- 総取扱量の推移
- 令和7年度実績:1億7,736万1,224トン(前年度比2.7%増、前年度差+472万1,004トン)
- 令和6年度実績(修正後):1億7,264万220トン
- 主要品目別の取扱実績(上位5品目で全体の67.8%)
- 実入りコンテナ:3,683万8,179トン(前年度比0.9%減、構成比20.8%)
- 鉄鋼:2,131万5,195トン(前年度比5.0%増、構成比12.0%)
- 石炭:2,103万1,633トン(前年度比6.9%増、構成比11.9%、前年度差+135万トン)
- 自動車:2,077万6,987トン(前年度比0.0%減、構成比11.7%)
- 金属鉱:2,025万8,778トン(前年度比6.9%増、構成比11.4%、前年度差+130万トン)
- その他主要品目:空コンテナ(1,649万トン、2.6%増)、その他鉱産品(1,516万トン、4.1%増)、その他窯業品(488万トン、11.9%増)、その他林産品(390万トン、8.3%増)、穀物ばら(282万トン、6.4%減)
- 港湾別取扱動向(上位5港で全体の87.3%)
- 関門(5港):4,351万トン(前年度比2.1%増、管内比率24.5%)/主品目:実入りコンテナ、鉄鋼、金属鉱、石炭
- 内訳:若松 2,026万トン(1.8%増)、門司 1,792万トン(0.8%増)、下関 234万トン(17.7%増)、小倉 224万トン(2.0%増)、八幡 75万トン(0.2%増)
- 大分港:4,295万トン(前年度比6.7%増、管内比率24.2%)/主品目:金属鉱、鉄鋼、石炭、その他鉱産品
- 博多港:3,807万トン(前年度比0.1%増、管内比率21.5%)/主品目:実入りコンテナ、空コンテナ、自動車、穀物ばら
- 苅田港:1,773万トン(前年度比0.3%増、管内比率10.0%)/主品目:自動車、その他鉱産品、その他窯業品、その他林産品
- 宇部港:1,263万トン(前年度比5.8%増、管内比率7.1%)/主品目:石炭、その他鉱産品、その他窯業品、化学肥料
- その他の港湾:津久見港(628万トン、2.4%増)、鹿児島港(357万トン、4.2%増)、八代港(266万トン、13.4%減)、伊万里港(243万トン、17.5%増)、細島港(226万トン、9.3%増)など
- 関門(5港):4,351万トン(前年度比2.1%増、管内比率24.5%)/主品目:実入りコンテナ、鉄鋼、金属鉱、石炭
- 前年度公表実績の数値修正
- 令和6年度実績について、集計データの一部に誤り(苅田港におけるトン数誤計上・項目間違い、佐伯港の項目間違い、門司港の自動車計上漏れ等)が判明したため、修正後の数値(合計1億7,264万220トン)をもとに前年度比が算出されています。
対象となる関係事業者・荷主企業
- 九州運輸局管内の指定港湾23港で荷役・一時保管・横持ちを担う港湾運送事業者
- 九州発着の海上コンテナ輸送や原料輸送に関わる外航・内航船社
- 鉄鋼、石炭、金属鉱、自動車、コンテナ貨物を九州管内港湾経由で搬出入する荷主企業(製造業・商社等)
- 港湾ターミナル周辺でドレージ輸送やバルク貨物の二次輸送を担う一般貨物自動車運送事業者
港湾荷役・陸上輸送の実務に及ぼす影響
- 港湾運送事業者・荷役事業者
- 鉄鋼・石炭・金属鉱の取扱量が前年度からそれぞれ5〜7%程度増加した大分港や宇部港、関門港などにおいて、ばら積み貨物や産業基礎資材の荷役作業量が増加傾向を示しています。一方、コンテナ貨物や自動車の取扱量はほぼ横ばいから微減で推移しており、港湾や取り扱い品目の特性ごとに作業動向の差異が生じています。
- トラック運送事業者(ドレージ・原料輸送)
- 博多港や関門港のコンテナ取扱規模は前年水準を維持しており、港湾近郊のドレージ需要は安定して推移しています。また、大分港や苅田港、宇部港などで鉱産品・窯業品・金属鉱といった特定品目の取り扱いが堅調なことから、産業拠点と臨海部を結ぶ原料・製品輸送の運行需要が下支えされています。
- 荷主企業(製造業・資源関連)
- 九州管内の港湾貨物は上位3港(関門、大分、博多)で約7割、上位5港で87%超を占める集中構造が継続しています。品目ごとに利用港湾の棲み分けが進んでいるため、各港湾の取扱品目バランスや荷動きの推移は、海上輸送ルートの選定やサプライチェーン設計における基礎指標となります。
全国輸送統計および管内事業者の事業環境
- 全国の内航船舶輸送動向との関係
- 国土交通省が別途公表している全国の内航船舶輸送統計月報(2026年3月分実績)においても、鉄鋼や石炭の輸送量が堅調な伸びを示しており、九州管内における産業基礎資材の取扱量増加傾向とも軌を一にしています。
- 九州管内の港湾運送事業者の構造
- 九州運輸局の資料によれば、管内23の指定港湾における港湾運送事業者は資本金1億円未満の中小・小規模事業者が約8割を占めており、特定港湾における貨物取扱量の増減が地域事業者の経営環境に直接影響しやすい構造となっています。
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出典
- 発表主体: 国土交通省九州運輸局 / 発表日: 2026-09-08
- 報道発表資料【PDF:540KB】(PDF)
- 掲載ページ
