先進モビリティ 自動運転システムとは?
先進モビリティ 自動運転システムは、東京大学生産技術研究所の技術をベースに設立されたベンチャー企業「先進モビリティ株式会社」が提供する、トラックの隊列走行およびバスの自動運転システムです。車車間通信を用いた自動追従技術により、長距離輸送におけるドライバー不足の解消や物流の効率化を強力に支援します。また、地方の過疎化や高齢化に伴う公共交通網の維持にも貢献しており、公道での無人隊列走行やレベル4自動運転バスの営業運行など、国内有数の実証・導入実績を誇ります。
主な機能・特徴
- 大型トラックの後続車無人隊列走行機能
手動運転の先頭トラックと後続の無人運転トラックを車車間通信を用いてソフトウェア的に連結し、先頭車を追尾するようにハンドル、アクセル、ブレーキを自動制御(電子牽引)します。 - CACC(協調型車間距離維持支援)および速度制御
ミリ波レーダーや車間距離センサーを用い、目標とする後続車の速度を先頭車に合わせ、近接した車間距離を安全に維持しながら隊列走行を行います。 - レトロフィット方式による自動運転化
専用の新型車両を一から製造するだけでなく、既存のバスなどの車両にセンサーや制御システムを後付けし、自動運転化を実現する「レトロフィット方式」のパッケージを提供しています。 - 路線バス正着制御技術
カメラによる白線認識や操舵制御を活用し、バス停と車両乗降口の離隔距離を数cmの精度で密着させて停止させる機能です。車椅子などの交通弱者の安全でスムーズな乗降を支援します。 - 冗長性を確保した安全・フェールセーフ設計
主要な制御装置を二重化・三重化しており、システムの一部が故障した場合は自動的に減速して低速走行に切り替わり、二重故障の際には安全に自動停止する仕組みを備えています。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
対象規模は主に大企業、自治体、交通・物流事業者です。高速道路での幹線輸送を担い、深刻なドライバー不足や労働時間削減(物流の2024年問題など)の課題を抱える大手物流・倉庫業、自動車メーカーに向いています。また、地方の路線バス網やBRT(バス高速輸送システム)の維持・省人化を図りたい自治体や旅客運送事業者にも最適です。インフラと協調した定時・定ルートの運行シーンで最大の強みを発揮します。
向いていない企業・現場
ラストワンマイルの宅配や、日々の配送ルートが細かく柔軟に変わる小規模な運送事業者には不向きです。また、トラックの隊列走行システムは高速道路のSA/PAなどの拠点で隊列を形成する必要がありますが、スペースや形成時間に制約があるため、頻繁に車両の入れ替えや途中での切り離しが発生する運用スタイルには適していません。インフラ側の整備(磁気マーカや信号連携など)が必要なケースも多いため、単発のイベント等で即席導入したい場合は、より簡易的な別ツールの検討が必要です。
料金・プラン・導入方法
先進モビリティ 自動運転システムの固定料金やプラン詳細は一般に公開されておらず、「要問い合わせ」となっています。導入方法としては、既存車両を自動運転化する「レトロフィット方式」にて、自動運転レベル4対応バス車両のレンタル・販売・保守サービスがシリーズ展開されています。また過去の実証・導入においては、リース会社や保険会社と連携し、自動運転システムの保守料や専用の自動車保険を含んだ「メンテナンスリース型」のソリューションとして提供された実績があります。導入企業のフェーズ(実証実験から商用運行まで)に合わせた個別提案が行われます。
導入事例・実績
- 国内商用車メーカー4社(いすゞ・日野・三菱ふそう・UDトラックス)
経済産業省・国土交通省の「RoAD to the L4」プロジェクトの一環として、新東名高速道路(駿河湾沼津SA〜浜松SA間)において、大型トラックを用いた自動運転技術・隊列走行の公道走行実証を共同で実施しています。 - 千葉県 柏市(柏の葉地区)
中型バス車両に自動運転システムを搭載し、国土交通省から自動運転車(レベル4)としての認可を取得。東京都市圏の公道で初となる特定自動運行の営業運行を開始しています。 - JR東日本 気仙沼線BRT
自動運転システムを搭載した大型ハイブリッドバスを用い、気仙沼線BRTの専用道区間において自動運転の実用化を見据えた走行試験・技術実証に参画しています。 - 愛知県(中部国際空港アクセス)
愛知県知多半島において、大型観光バスタイプの車両による高速道路での自動運転実証実験を実施。大型観光バスタイプによる高速道路での実証は全国初の取り組みです。 - 京都府 京都市(洛西ニュータウンエリア)
NTTドコモビジネス等と連携し、住民が試乗する自動運転バスの実証実験を実施。将来の自動運転レベル4実装に向けた走行データの取得と、社会受容性の向上を図っています。
導入前に知っておきたいこと
公開されているユーザー評価や実証実験の検証結果から、以下の課題や留意点が報告されています。
- 隊列形成時のスペースと時間の確保
国土交通省の報告資料等において、高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)で隊列を形成する際、数分の時間を要することが指摘されています。また、SA/PA内のスペースが限られているため、一度に長大な隊列を組むことや、隊列走行数を大幅に増大させることが現状の運用上の課題とされています。 - 乗車時の滑らかさ・ブレーキの挙動
自動運転バスの実証実験参加者によるフィードバックにおいて、「自動運転バスは急ブレーキ気味になりやすい」といった乗車感の指摘があり、手動運転と遜色のない滑らかな加減速の実現が今後の改善課題として挙げられています。 - 事故時の責任分解と保険・コストの課題
車両本体やシステムが高額であることに加え、万が一事故が発生した際に車両開発事業者とシステム提供事業者との間で過失割合の協議が必要になるなど、製造物責任の所在が複雑になる懸念が指摘されています。これらを解決するため、専用保険がパッケージ化されたソリューションの利用などが推奨されています。
類似ツールとの違い・選び方
自動運転プラットフォームやモビリティサービスを提供する同カテゴリの企業には、BOLDLY(ボードリー)やティアフォーなどがあります。先進モビリティの最大の強みは、「東京大学発の高度な研究実績をベースとした、国産大型商用車(トラック・バス)との深い協業実績」にあります。
特に長距離トラックの後続車無人隊列走行(CACC技術)においては、国内大手商用車メーカー4社すべてと共同で国の実証事業を牽引してきた実績があります。また、既存の使い慣れた車両にシステムを後付けできる「レトロフィット方式」に注力しているため、完全な新型自動運転車両(EV等)を導入するのではなく、現在保有・運用している車両ベースで段階的に自動運転化を進めたい企業にとって有力な選択肢となります。
よくある質問(FAQ)
- トラックの後続車無人隊列走行とはどのような仕組みですか?
- 先頭のトラックが手動(または自動)で運転し、後続の無人運転トラックが車車間通信とミリ波レーダーなどのセンサーを用いて、先頭車の速度やハンドルの動きにリアルタイムで追従し、自動制御で走行するシステムです。
- 現在保有している既存のバス車両を自動運転化することは可能ですか?
- 可能です。先進モビリティでは、既存車両にセンサーやコンピューターを後付けして自動運転対応にする「レトロフィット方式」を展開しており、車両のレンタル・販売から保守まで一貫して提供しています。
- 走行中にシステムが故障した際の安全性はどのように確保されていますか?
- 主要な制御装置は二重化・三重化の冗長設計が施されています。システムの一部に故障が発生した場合は安全な場所まで低速で退避走行し、二重故障が発生した際には自動的に停止するフェールセーフ機能が搭載されています。