A-Drive 自動運転ワンストップサービスとは?実証実験から実運用まで支援し物流ドライバー不足を解消するサポート内容

自動運転トラックやバスの社会実装を支援するパッケージサービス。テスト走行から実運用までの運行管理、遠隔監視システムの提供を通じて、物流のドライバー不足解消をサポートします。実証実験のノウハウを活かしたトータルサポートが特徴です。

公式サイト
https://a-drive.jp/
料金モデル
要問い合わせ
対象規模
大企業向け
対象業界
物流・倉庫業 自動車・部品

A-Drive 自動運転ワンストップサービスとは?

「A-Drive 自動運転ワンストップサービス」は、少子高齢化やドライバー不足によって深刻化する地域公共交通の維持や物流の輸送力確保といった課題を、自動運転技術の導入・実装を通じて総合的に解決するパッケージサービスです。高精度3次元地図(3Dマップ)作成などの技術を持つアイサンテクノロジー株式会社(出資比率60%)と、モビリティサービス開発や自動車販売のグローバルな知見・ネットワークを有する三菱商事株式会社(出資比率40%)による共同出資のもと、2023年2月7日に設立された「A-Drive株式会社」が開発・提供を行っています。自動運転車両の調達、安全な走行ルートおよび運行設計領域(ODD)の設定、遠隔監視・運行管理システムの提供、さらには実運用に向けた行政・警察など関係機関との各種法的調整まで、複雑な社会実装プロセスを一括で伴走支援する点が特徴です。

主な機能・特徴

1. 複数メーカー対応の自動運転車両・インフラの調達支援

自動運転を実際に導入するためには、自社の用途や走行環境に適した車両や各種機器を個別に選定・調達する必要があります。A-Driveは、複数メーカーの自動運転車両の調達を強力にサポートします。実績として、ティアフォー社製の自動運転EVバス「Minibus 2.0」や、いすゞ自動車の大型ノンステップ路線バス「エルガ」をベースとした自動運転車両など、多様な車種に対応しています。さらに、車載用のLiDAR(レーザーセンサー)、カメラ、高性能GNSS(衛星測位システム)受信機といったセンサー類、車内外を常時監視するための通信システムなど、自動運転運行に必要不可欠な機器類一式をパッケージとして調達することができます。

2. アイサンテクノロジーの知見に基づく「高精度3次元地図データ」の構築

障害物の多いビル街、電波が届きにくいトンネル、積雪・降雪により白線が見えなくなる路面など、自動運転には様々な難所が存在します。A-Driveでは、共同出資元であり国内外2,000以上の自動運転プロジェクトに携わってきたアイサンテクノロジーの高度な3次元測量技術・マップデータを最大限に活用します。走行予定の公道においてあらかじめ高精度な3次元点群データを取得し、ベースとなる3Dマップを構築します。自動走行時には、車載LiDARがリアルタイムで検知する周囲の3D形状データと構築した3Dマップを瞬時に照合(スキャンマッチング)することで、GPSだけに頼らない、センチメートル単位の精密な自己位置推定が可能となり、安全性と走行安定性を両立させます。

3. 本格稼働を支える運行管理・遠隔監視システムの提供

完全な無人運行やドライバーレス運行(レベル4)を実現するためには、車両の状態を遠隔から常時見守る遠隔監視・制御体制が義務付けられています。A-Driveでは、車両の走行位置や移動ルート、車内外のライブ映像、乗客の状況をリアルタイムに集約して管理できる遠隔監視システムを設計・構築します。実証実験では、NTTドコモの「5Gワイド」(混雑時でも安定した通信が期待できる技術)や独自の高速ローカル5G、次世代通信規格のIOWN APNなどの最新通信システムを組み合わせて検証を重ねており、映像やデータの遅延を極限まで抑えた、極めて安全で信頼性の高い遠隔監視基盤を構築可能です。

4. 実証から実用化までを一貫サポートするコンサルティング・法的調整

自動運転の公道走行、特にレベル4(特定自動運行)を行うためには、道路交通法や国土交通省の各種ガイドラインに基づく厳格な許認可申請、警察庁への特定自動運行計画の作成・提出が必要です。さらに、周辺の安全を脅かさないための事故リスクアセスメント(損害保険ジャパン等と提携)や、地域住民への説明会実施など、技術面以外の作業が膨大に存在します。A-Driveはこれらのプロセスすべてに伴走し、関係自治体、地元の警察署、道路管理者、交通事業者といったステークホルダー間の合意形成や、提出書類の作成手続きをトータルでコンサルティングします。

5. 運行後の安全を守る「高度メンテナンスサービス」の整備体制

2025年5月、A-Driveはアイサンテクノロジー、および中部圏を中心に自動車整備を展開する名鉄自動車整備株式会社の3社で、自動運転車両(レベル4対応)の整備・定期メンテナンスに関する包括的な体制構築に向けた協定を締結しました。これにより、高精細なセンサー類や複雑な制御システムのキャリブレーション、定期点検、万が一の故障・不具合発生時における専門の特定整備工場での高度整備などを可能にしました。さらに、将来的な予防整備(故障の兆候をデータから検知して事前に対策する)を見据えたデータ連携スキームの構築にも取り組んでいます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

【向いている企業・現場】

  • ノウハウゼロから自動運転の導入・社会実装を始めたい自治体や大企業、グループ企業
    「自動運転に興味はあるが、どの車両を買い、どのセンサーを取り付け、高精度地図をどう作ればよいのか全く分からない」という状態であっても、A-Driveが調達、地図構築、実証から運行管理まで一貫して支援するため、社内に専門部隊がいない現場に最適です。
  • 決まった特定ルート(幹線輸送・拠点間シャトル・固定路線バスなど)の自動化・省人化を図りたい物流・倉庫事業者や交通事業者
    自動運転は、設定された走行環境条件(ODD)の中で最大の効果を発揮します。工場・倉庫の拠点間輸送、大型商業施設へのシャトルバス、地域の生活を支える決まった循環ルートなどの運行を省人化・無人化したい場合に力を発揮します。
  • 法的な手続きや関係機関調整に割く社内リソースが不足している現場
    行政や地元の警察、住民、既存のタクシー・バス協会などの合意形成や特定自動運行計画の策定プロセスは非常に複雑です。これらを専門のコンサルタントに任せ、業務負荷を最小限に抑えながらプロジェクトを進めたい場合に適しています。

【向いていない企業・現場】

  • 走行ルートや集荷・配達先が毎日不定期に変わり、環境の変化が激しい運用スタイルの物流企業
    特定のODD(運行設計領域)から外れるような、不特定多数の狭小路をランダムに走るようなラストワンマイルの個別配送業務などでは、事前に高精度3Dマップを全域に構築し維持することが難しいため、現在の自動運転技術やパッケージの枠組みには適していません。
  • 月額数万円程度の低予算で、簡易的な運行管理機能や位置情報共有(SaaS)のみを導入したい小中規模の事業者
    A-Driveは車両・センサーの調達、3Dマッピングの実施、遠隔監視システムの特設、各種許認可の獲得調整など、数千万円規模(またはそれ以上)の費用や長期プロジェクトを前提としたトータルパッケージです。手軽な運行状況確認ソフトのみを求めている場合にはオーバースペックとなり、費用対効果が合いません。
  • 自社で自動運転OSのソースコードを自由にカスタマイズし、ハードウェアも内製でゼロから設計・開発したいITデベロッパー企業
    A-Driveは実運用を目的とした社会実装支援サービスであるため、開発者が技術的に柔軟な開発検証を行うためのツールキットのみを求めている場合は、ティアフォーが提供する開発者向けのオープンなエコシステムなどを直接契約したほうが目的に合致しやすくなります。

料金・プラン・導入方法

A-Drive 自動運転ワンストップサービスの料金体系は、完全非公開(要問い合わせ)となっています。

自動運転プロジェクトの性質上、走行する予定のルート距離(マップを作成する範囲)、艤装・調達する車両の種類(大型路線バス、小型EVカートなど)、設置する遠隔監視システムの規模、および現地での通信インフラの追加整備状況によって大きく価格が変動するため、個別見積もりが基本となります。

検討開始に伴う見積もり段階では、以下の項目を中心にベンダー(A-Drive株式会社)へ確認することをお勧めします。

  • 初期費用の内訳:ベースとなる自動運転車両の車両価格、LiDARやカメラといった車載センサー・システムの調達および車両への組み込み費用、高精度3次元地図を計測・作成するための3Dマッピング作業費、実証実験に向けた現地ルート調整費用、特定自動運行計画の作成コンサルティング費用など。
  • 月額運用の構成:遠隔監視システム・運行管理プラットフォームの月額ライセンス料金(車両単位またはルート単位)、データ通信を行うSIM回線費用、運行に伴う車両メンテナンス費用、緊急時のサポート・コールセンター等の保守費用の有無。
  • 契約形態と移行コスト:実証実験フェーズ(レベル2運行など)から、本格運行(レベル4の無人運行)へ移行する際に発生する追加費用(追加の許認可調整、インフラ整備費用など)の有無、最低契約期間、途中解約時の条件など。

導入の流れ・期間

A-Driveの公式Webサイトでは、一般的な「お問い合わせ〜本格稼働」までのステップごとの標準スケジュール・期間は明示されていません。自動運転の導入はプロジェクトの規模により、通常は数ヶ月から1年以上の準備期間を必要とします。A-Driveでは、以下のような流れで実用化へ向けたステップを伴走支援します。

  1. お問い合わせ・相談・ヒアリング
    公式サイトのフォーム等から問い合わせを行います。導入目的(物流の省人化、地域コミュニティバスの維持など)、導入希望ルート、稼働を想定する車両(バス、トラック等)について相談し、課題の整理を行います。
  2. ルート調査とODDの初期設計
    安全な自動走行が可能か現地で走行ルートの調査を実施します。ビル影の多さ、GPS電波の受信状況、交差点や道路幅などの環境条件(ODD)の初期設計とリスクアセスメントを行い、導入の実現可能性を検証します。
  3. 見積もり・ご契約・プランニング
    必要な車両(ベース車、センサー等)の選定、高精度3D地図データの構築範囲、遠隔監視システムの構成、予算計画を盛り込んだ見積もりが提示され、合意後に契約を締結します。
  4. 車両調達および高精度3次元地図(3Dマップ)の作成
    A-Drive主導のもとで車両および必要なセンサー・カメラ・通信機等の調達が進められます。同時に、対象ルートにおいてアイサンテクノロジーによる高精度3次元地図データの計測・作成が行われます。
  5. システム設定および「レベル2」実証実験(テスト走行)
    車両にシステムを組み込み、3Dマップを登録した上で、現地でのテスト走行(ドライバーが乗車するレベル2での検証)を開始します。走行中の位置推定精度や障害物検知センサーの検知状態、通信の安定性などを徹底的に検証します。
  6. 運行データの解析・課題の抽出
    実証実験の走行ログを分析し、急ブレーキが発生した地点、センサーが誤検知しやすい場所などの要因を解析し、自動運転の判定精度を高めるようにマップデータや制御プログラムの最適化調整を施します。
  7. 法的調整・特定自動運行計画の作成手続き
    本格的な無人運行やレベル4走行を見据え、A-Driveのコンサルタントが自治体、地元警察、道路管理者との調整を行います。道路交通法に基づく「特定自動運行計画」の提出に必要な書類一式の作成サポートを推進します。
  8. 本運行(実運用)の開始
    特設された遠隔監視システムを活用し、安全を監視しながら日々の定常運行を開始します。運行開始後も、提携している名鉄自動車整備等による定期メンテナンス体制を通じ、センサー類の異常や車載システムの保守整備を継続して受けることができます。

連携できるシステム・機器

公式プレスリリースや実証実績、製品概要等から確認されている連携可能システム・機器は以下の通りです。

  • 高精度3次元地図データ(MMSシステム):アイサンテクノロジーが構築する高精度3次元点群・地図データ。車載LiDARのセンサー情報とマップ情報をリアルタイムで照合し、センチメートル精度の自己位置推定に利用します。
  • 株式会社ティアフォーの自動運転システム・車両:「Autoware」をベースにした、ティアフォー社製の自動運転車両(Minibus 2.0など)とのシームレスなシステム連携。
  • いすゞ自動車「エルガ」等の大型バス車両:既存の大型路線バスを改造・レトロフィットし、A-Driveの制御機器やセンサー(LiDAR、GNSS、カメラ、アクチュエーター、通信モデム)を搭載して連動させることが可能です。
  • AIオンデマンド配車・予約システム「のるーと」:福岡県古賀市における実証事例(自動運転のるーと)では、既存のオンデマンド交通サービスである「のるーと」のアプリ、古賀市LINE公式アカウント、電話予約環境から、自動運転バス(Minibus 2.0)の配車・同一予約管理を行えるシステム連携を実現しています。
  • 通信ネットワーク連携:NTTドコモが提供する「5Gワイド」、高速のローカル5G、次世代通信のIOWN APN、スマート道路路側機等との連携による、高画質な遠隔監視映像の安定伝送。
  • JR東日本のMaaS・交通系ICカード等との連携:JR東日本、アイサン、A-Driveの協業(2025年2月開始発表)に基づき、地域公共交通向けの自動運転モビリティおよびMaaSサービス、Suicaをはじめとする交通系ICカード決済などとの新たな技術連携の開発が進められています。
  • 名鉄自動車整備株式会社との予防整備データ連携:自動運転車両に備わるセンサーや制御システムの稼働ログデータを整備データ連携システムと結びつけ、予防整備の判定に活用する体制を整えています。

※公開されている一般的な連携システム(WMS、TMS、一般的な基幹ERPなど)との標準データ連携機能の有無は現時点で確認されていません。既存の倉庫管理・輸配送管理システム等と自動でデータ共有等を行いたい場合は、問い合わせ時にAPI等の公開要件を確認する必要があります。

導入事例・実績

1. 神奈川県平塚市:既存路線バスの自動運転化(路線バス運行維持支援事業)

【参画・実施体制】平塚市、神奈川中央交通株式会社、三菱商事、アイサンテクノロジー、いすゞ自動車、A-Drive
【概要】バスドライバーの不足解消や、将来にわたる持続可能な地域公共交通手段を確保することを目的に、2023年4月に地域公共交通のDX推進に係る連携協定を締結し、実証実験を開始しました。JR平塚駅南口を起点とした約4.3kmの既存の路線バス営業ルート(平15系統)において、いすゞ自動車の大型ノンステップバス「エルガ」にティアフォー製自動運転システムを搭載した自動運転車両を使用し、実証走行を行いました。1日のうち6便、一般の乗客も予約不要(先着順)で乗車可能な形で運行され、3Dマップを用いたスキャンマッチング技術やセンサー、遠隔監視による安全性、および運転士との協調領域の検証を行い、国内の先進事例として高い関心を集めました。

2. 福岡県古賀市:既存オンデマンド交通と連携した「自動運転のるーと」運行

【参画・実施体制】古賀市、古賀タクシー、花鶴タクシー、A-Drive、アイサンテクノロジー
【概要】高齢化に伴う公共交通需要の増加や運転士不足の解決を目的に、2026年3月に自動運転バス「自動運転のるーと」の運行を実施しました。既存のAIオンデマンド交通サービスである「のるーと古賀」とシステムをシームレスに連携させた全国初のモデルです。既存ののるーとアプリ、古賀市LINE公式アカウント、電話予約という同一の利用環境から、一般の乗客が自動運転バスを予約して利用できるようになり、MaaS(Mobility as a Service)の理想的な地域実装モデルとして運行が行われました。車両にはティアフォー製の自動運転EVバス「Minibus 2.0」が採用されています。

3. 東京都多摩市:多摩ニュータウンにおける大型自動運転バスの実証運行

【参画・実施体制】多摩市、京王電鉄バス株式会社、A-Drive、アイサンテクノロジー
【概要】内閣府「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の採択事業『多摩市自動運転バス社会実装によるバスネットワーク維持・確保事業』の一環として、2026年1月10日〜2月1日まで実施されました。京王電鉄バスが運行主体となり、多摩ニュータウンの鶴牧循環ルート(約25分、4便/日、乗車定員25名、事前予約制)にて自動運転レベル2(運転手搭乗型)による一般向け試乗運行を実施。A-Driveが自動運転システムおよび大型バス車両(いすゞエルガ)を提供し、アイサンテクノロジーが高精度3D地図と現地での技術支援を担当しました。起伏の激しいニュータウン環境における大型バス自動運転の実装に向けた貴重な課題整理が行われました。

4. 北海道千歳市:豪雪・寒冷地における自動運転バスの安定走行モデル検証

【参画・実施体制】NTTドコモビジネス、A-Drive、ドコモ・テクノロジ、スタンレー電気、千歳市、公立千歳科学技術大学、アイサンテクノロジー等
【概要】総務省「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」に採択されて実施された実証事業です。冬季の豪雪や寒冷地特有の積雪、視界不良といった過酷な自然条件における自動運転バス(いすゞエルガ等)の走行安定性や通信環境を検証するため、2026年1月14日〜1月24日まで行われました。路肩に設置したカメラや道路インフラと連携する「路車協調システム」、大容量伝送に対応するIOWN APN、NTTドコモの通信サービス「5Gワイド」などを駆使し、積雪路面における柔軟な走行制御や、遅延のない遠隔での車内見守り映像の伝送実証に取り組みました。

5. 長野県塩尻市:自動運転レベル4(特定自動運行)の許可取得と社会実装

【参画・実施体制】塩尻市、塩尻市振興公社、アルピコ交通、アルピコタクシー、アイサンテクノロジー、A-Drive等
【概要】長野県塩尻市において、将来的な無人移動サービスの実現を見据えて包括連携し、実用化のステップを推進してきました。塩尻駅から塩尻市役所までのルートにおいて、特定自動運行(自動運転レベル4)の許可を取得し、安全性を徹底的に検証した上で、一般市民向けにレベル4自動運転走行の試乗体験会を実施しました。本事例は、実証実験に留まることなく、実際のレベル4運用許可を獲得したことで注目を集め、地方都市における自動運転導入の成功事例となっています。

導入前に知っておきたいこと

A-Drive 自動運転ワンストップサービスの検討および導入を進めるにあたって、事前に把握しておくべき課題や注意点は以下の通りです。

  • 導入予算と準備期間の大規模化:一般的な運行管理SaaSソフトを導入するのとは異なり、自動運転車両の調達や、車載カメラ・センサー(LiDAR)類の取付、高精度3次元地図を計測・作成するための3Dマッピング、現地の通信環境やインフラ整備など、非常に巨額の初期コストが発生します。また、問い合わせから実際の公道での走行実験や実運用まで、早くとも数ヶ月から1年以上の計画的な準備期間を想定する必要があります。
  • ODD(運行設計領域)による制約:自動運転は、設定した走行環境条件(ODD=天候、ルート、時間帯、最高速度など)の範囲内でのみ走行が可能です。千歳市での雪道実証実験など過酷な環境での検証も進められてはいますが、強風、豪雨、極度の積雪、道路上の予期せぬ障害物や路上駐車、工事などが発生した場合、自動運転の継続が困難となり、有人での手動運転への切り替えが不可欠となることがあります。
  • 関係機関や地域住民との合意形成の負担:無人運転(レベル4)の開始には、特定自動運行計画の作成、道路管理者、警察庁、地元の警察署、タクシー・既存路線バス等の交通事業者、地域住民との間で、徹底した安全対策の協議や合意形成が求められます。A-Driveによるコンサルティング伴走はありますが、導入を検討する自治体や事業者側も主体となって各所との調整を行うための社内(庁内)人員体制や熱量が必要です。
  • ネット上の利用企業・一般ユーザーの口コミの少なさ:A-Driveは2023年に設立された比較的新しい企業であり、かつ個別の一般企業が社内で手軽に利用するタイプのSaaS製品ではない(大企業・自治体・交通事業者向けの大規模パッケージである)ため、インターネット上に一般的な「操作がしにくい」「システムが重い」といったような口コミ・評判の書き込みは確認できません。事前にサービスの品質や使いやすさを確認するためには、すでにA-Driveやアイサンテクノロジーが参画して実施した全国の自治体・交通事業者の実証実験等における「事業報告書」などの客観データを精査するか、個別問い合わせ時に直接説明を受ける必要があります。

類似ツールとの比較

「A-Drive 自動運転ワンストップサービス」と、物流・モビリティ分野における主要な自動運転関連ツールとの比較は以下の通りです。

ツール名 特徴 料金 向いている企業
A-Drive 自動運転ワンストップサービス アイサンの3Dマップ技術と三菱商事のモビリティ開発ノウハウを融合。車両調達、法的調整、運用監視まで一括サポート。 要問い合わせ 自動運転のノウハウがなく、車両調達から法的調整、本運行までトータルで手厚く伴走してほしい自治体・大手企業。
Web.Auto オープンソースの自動運転OS「Autoware」を活用。クラウドシミュレーター、遠隔監視、開発評価等のツールが豊富なプラットフォーム。 要問い合わせ 自社で自動運転車両の開発やカスタマイズ、検証、シミュレーションを行いたい高度なエンジニア組織を持つ自動車メーカー、部品メーカー、大企業。
Dispatcher ソフトバンク系列BOLDLYが提供。30種類以上の多様な車種・モビリティ(バス、トラック、ドローン等)に対応し、1人で複数台を同時監視。 要問い合わせ(※実証事例では数千万円/年の目安実績あり) すでに自動運転バスやドローン等を所有しており、メーカー混在の複数台のモビリティを一元的に遠隔監視・運行管理したい交通事業者や自治体。
T2 自動運転システム 幹線輸送(高速道路本線)でのレベル4自動運転トラック開発に特化。切替拠点(トランスゲート)と連携した安全な幹線輸送管理。 要問い合わせ 高速道路を活用した長距離拠点間・中継輸送におけるドライバー不足の解消、自動運転トラックの輸送システムを活用したい大手3PL・物流企業。

自動運転関連ツールの選び方の基準:

まず、「自動運転の計画立案、警察や関係自治体との調整、高精度地図の作成、自動運転車両の調達など、導入前のステップから導入後の管理システムまで一貫して一社に任せたい」という場合は、A-Drive 自動運転ワンストップサービスを選択するのが最適です。親会社であるアイサンテクノロジーの持つ圧倒的な「3次元地図構築ノウハウ」と、三菱商事の持つ「地域交通DXの実行力」という二大アセットを、ワンパッケージで受け取ることができるため、自社に技術的な専門部隊が少なくても社会実装にこぎつけやすいメリットがあります。

一方で、「すでに特定の自動運転車両を保有・調達している、あるいはドローン、バス、カートなど、多様な国内外製モビリティが混在している状況下で、それらを1つの同一画面で一元的に『複数台同時監視・異常検知』したい」という、運行監視システムの高度化・プラットフォーム利用に特化したい場合は、BOLDLYの「Dispatcher」が有力な選択肢になります。すでに30種類のモビリティとの接続実績があり、車内の乗客の立ち歩きをAIで検知する「車内移動検知AI」など、監視・運用の現場作業に特化した実用的な機能が多く提供されています。

また、「自社に高度なシステムエンジニアチームがあり、自動運転システム自体を柔軟にプログラミング・設計したり、デジタルツインの環境シミュレーターを用いてテストしたい」など、開発基盤としての導入を重視する場合は、ティアフォーの「Web.Auto」をベースにするべきです。さらに、目的が長距離輸送(高速道路を走る大型トラック)に特化している場合は、切替拠点(トランスゲート)を活用して高速道路の無人幹線輸送を目指す「T2 自動運転システム」を検討するのが、条件に適合する最短のルートとなります。

よくある質問(FAQ)

A-Driveを遠隔監視で動かすための推奨PC環境やスマートフォン用アプリはありますか?
A-Drive株式会社の公式サイト等では、運行管理・遠隔監視システムの具体的な動作環境(推奨されるOS、推奨ブラウザ、画面解像度など)や、スマートフォン向けアプリの有無についての技術的な仕様の詳細は公開されていません。一般的に自動運転の遠隔監視は特設された監視センターの多画面モニターや高性能PC・高信頼性ネット回線などを艤装して構築されるため、個別のシステム要件は要問い合わせとなります。なお、乗客側の予約手段としては、福岡県古賀市の事例のように、既存の「のるーと」予約アプリや古賀市公式LINEなどと連携させて、乗客自身のスマートフォンから予約・利用するシステムを構築した実績があります。
無料の体験版や、事前に数日間だけ無料で試せるトライアルは用意されていますか?
自動運転車両の調達、現地の3Dマップ(高精度3次元地図)データの作成、複雑な通信回線の設定や法的調整が必要となる大規模なソリューションであるため、簡易的な「無料体験版」や、自動で即座に試せる「無料トライアル」といった制度は用意されていません。導入に向けて技術的なデモ画面の確認を行いたい、あるいは実証実験を段階的に行いたい場合は、問い合わせ後に個別のデモ走行計画(費用含め)を相談・作成していくことになります。
自動運転のレベル何(有人・無人など)に対応していますか?
A-Driveは、運転手が搭乗してシステムが安全運転を制御する「レベル2(部分自動運転)」の実証実験から、特定の走行可能領域(ODD)を定め、その領域において運転手が不在であってもシステムが安全に自動運転を行う「レベル4(特定自動運行)」の社会実装まで、段階的に対応しています。実績として、長野県塩尻市においてはレベル4(特定自動運行)の運行許可を警察庁より取得して社会実装を行っているため、レベル4を目指す本格的な無人運行導入の支援も可能です。
トラック、大型バス、グリーンスローモビリティなど、対応している車種を教えてください。
A-Driveは複数のメーカーや車両に対応しています。実績としては、ティアフォー製自動運転EVバス「Minibus 2.0」をはじめ、いすゞ自動車の大型ノンステップ路線バス「エルガ」をベースにした車両、ヤマハ製グリーンスローモビリティ(低速のゴルフカート型小型EV車両)など、多様な車両を対象に自動運転システムのパッケージ化を行っています。物流トラックの自動運転化や隊列走行、過疎地の地域公共交通バスなど、用途に合わせて適切な車両の調達からサポートします。
車両が故障した際や、センサーの不具合、日常的な保守はどうなりますか?
A-Driveでは、アイサンテクノロジー、名鉄自動車整備株式会社の3社による協定書を締結しており、自動運転レベル4をターゲットとした専門の特定整備工場での車両定期メンテナンスや高度なセンサー類の調整、制御システムの保守点検を受けることが可能です。故障を未然に防ぐ「予防整備」のための走行データ連携など、安心安全に日々の運行を維持できる包括的なサポートを構築しています。
契約期間や途中解約時の条件、最低利用台数などは決まっていますか?
公式情報には最低契約期間や中途解約に伴う違約金・契約条件についての記述は公開されておらず、非公開となっています。プロジェクトは、数ヶ月間に及ぶ公道実証実験のフェーズ、その後の定常本運行フェーズなど、契約段階ごとに細かく分けて進行していくため、詳細な契約規定や条件は、初期段階の見積もり時・プランニング時に確認することを強く推奨します。

参照・出典

他の自動運転・隊列走行システムと比較する

A-Drive自動運転サービスの特徴を含む自動運転・隊列走行の11製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

自動運転・隊列走行システム比較11選