N-Torusとは?
N-Torus(エヌ・トーラス)は、加工食品物流におけるドライバーの長時間荷待ち問題の解決を目指し、一般社団法人日本加工食品卸協会(日食協)が開発・提供するトラック入荷受付・バース予約システムです。各卸売事業者が個別にシステムを構築することによるドライバーの混乱や操作負担を避けるため、業界共通の標準システムとして設計されています。着荷主のPCやタブレット、ドライバーのスマートフォンやガラケー、LINEから利用でき、一拠点月額35,000円(税抜)の低コストで導入可能です。事前予約やSMS・メールでの呼出通知を通じて、バース管理の効率化と荷待ち時間の短縮を実現します。
主な機能
予約・入荷受付機能
- カレンダー画面による事前予約
運送事業者や代行企業がWebサイト上のカレンダーから拠点の空き状況を確認し、納品日時や数量を指定して予約を入れられます。過去の待機実績データを閲覧しながら空いている時間帯を選択できるため、特定の時間枠へのトラック集中や順番待ちによる周辺渋滞を事前に予防します。 - 多端末対応のデジタル受付
物流センターの受付事務所に設置されたタブレットやPCを使い、ドライバーが到着時にタッチ操作で受付を行います。紙の管理簿をデジタル化することで、センター管理者は構内および構外待機車両の状況を一覧画面でリアルタイムに把握できるようになります。
バース誘導・呼出コミュニケーション機能
- メール・SMS・LINEによる誘導通知
バースが空き次第、待機中のドライバーへメール、SMS、またはLINE(2023年9月機能リリース)で直接バース割当・入構指示を送信します。ドライバーが何度も受付事務所に確認へ行く手間を省き、車内待機のまま指定バースへスムーズに移動できます。 - ガラケー対応のアクセシビリティ
スマートフォンだけでなく、フィーチャーフォン(ガラケー)のSMS受信機能にも対応しています。幅広い年齢層や多様な端末を利用するドライバーが存在する現場においても、専用アプリの事前ダウンロードなしで呼び出し通知を届けることが可能です。
実績分析・システム連携機能
- 作業実績の自動収集とデータ分析
受付時刻、作業開始時刻、作業終了時刻などのタイムスタンプを自動で収集・蓄積します。蓄積されたデータは待機時間や荷役時間のグラフとして出力でき、拠点ごとのボトルネック特定や現場運用の改善・平準化に活用できます。 - 自動バース割当・外部システム連携
バースの空き状況に応じた自動割当機能や、倉庫管理システム(WMS)との連携機能を備えています。ヤード管理者の手動割り振り工数を削減し、入退館データと庫内作業の一体的な管理を推進します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
食品・飲料業界の卸売・小売拠点で業界標準の運用を取り入れたい会社
- 拠点ごとにシステムが異なりドライバーの操作負荷が大きい
日本加工食品卸協会が仕様策定した業界標準システムであるN-Torusを導入することで、同一の画面構成と操作フローを取引先へ提供できます。ドライバーが拠点を移動するたびに別アプリの使い方を覚えるストレスを緩和し、標準化された受付・予約の運用を定着させやすくなります。 - ガラケー利用のドライバーが多くスマホ専用ツールでは対応しきれない
SMSやガラケー、LINE連携を活用した通知機能を備えているため、ドライバー側の端末環境に左右されず呼出指示を出せます。連絡の行き違いによる構内滞留を防ぎ、スムーズなバース誘導を確実に実施できます。
拠点あたりの固定コストを抑えて複数倉庫へ段階展開したい会社
- 高額なツールでは全拠点への一斉導入予算が確保しづらい
1拠点あたり月額35,000円(税抜)、初期登録料50,000円(税抜)という業界普及を目的とした低コストな料金体系が設定されています。導入ハードルが低く、自社の小規模拠点や多倉庫へコストを抑えて順次展開することが可能です。 - 自社独自の機能開発やシステム構築の負担を避けたい
会員企業から寄せられる現場ニーズをもとに機能強化(WMS連携や自動バース割当など)が随時アップデートされるため、自社で多額のシステム開発投資を行う必要がありません。導入前の無料お試し期間で現場運用を確認したうえで利用を開始できます。
向いていない企業・現場
自社固有の特殊な物流フローに合わせて大規模なカスタマイズを行いたい会社
- 自社専用の画面変更や独自機能の追加開発を必須としている
N-Torusは業界標準として共通化されたSaaS型システムであるため、個別企業専用の汎用性のない大規模な機能カスタマイズには向いていません。自社の独自要件に合わせたシステム構築が必要な場合は、個別の要件定義や受託開発に対応したヤード管理システムの検討が推奨されます。 - SMS送信代行費用などの変動費を発生させず完全固定で運用したい
基本利用料(月額35,000円)のほかに、SMS送信サービス事業者(メディア4u推奨等)との契約費用が別途必要となります。通信コストも含めてすべて一元化された定額プランのみを希望する場合は、費用構造の事前確認や定額制の別ツールとの比較検討が必要です。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| N-Torus | 日本加工食品卸協会が提供する業界標準システム。SMS・LINE通知やガラケー対応により低コストで導入可能。 | 初期:50,000円(税抜) 月額:35,000円/拠点(税抜・SMS代別) |
食品・飲料卸・小売業、低価格で業界標準ツールを導入したい企業 |
| MOVO Berth | 国内シェアNo.1のクラウド型バース予約システム。荷主・運送会社・倉庫間の高い可視化と手厚い導入支援が特徴。 | 要問い合わせ | 大型物流拠点、拠点横断のデータ連携や手厚いサポートを重視する企業 |
| トラック簿 | 倉庫指定・配車マン予約・ドライバースマホ予約の3方式に対応。受付から分析までワンストップ対応。 | 要問い合わせ | 現場オペレーションに合わせた多様な予約方式・受付管理を行いたい企業 |
| KG TruckCALL | LINEを活用した呼び出し・バース予約システム。ドライバーのアプリ不要で最短翌日から運用開始可能。 | 要問い合わせ | LINE活用によりドライバーの操作ハードルを下げ、低コストで最短翌日導入したい企業 |
食品・飲料業界の卸・小売拠点であり、業界標準の統一されたインターフェースを安価に導入したい場合はN-Torusが選択肢となります。月額35,000円(税抜)という明確な定額料金で基本機能を利用できる点が大きな魅力です。
一方で、国内シェアNo.1の実績や他社・拠点横断での高度なデータ連携、高度な個別サポートを求めるならMOVO Berth、予約方法の多様さや柔軟なオペレーション対応を重視するならトラック簿、LINEに特化した簡易運用を求めるならKG TruckCALLなど、自社の運用体制や予算規模に応じて比較・検討することをおすすめします。
料金・プラン・導入方法
N-Torusは1拠点ごとの定額SaaS(月額課金)モデルを採用しており、日食協の正会員・賛助会員だけでなく、会員外の企業も「N-Torus会員」として利用することができます。
| 項目・プラン | 初期費用(税抜) | 月額費用(税抜) | 備考 |
|---|---|---|---|
| N-Torus基本利用(1拠点) | 50,000円 | 35,000円 | 1拠点目申込時に事務手数料(登録料)が発生。予約/受付など全機能が利用可能。稼働後QA込み。 |
| お試し利用・確認期間 | 無料 | 無料 | お試し利用期間は開始日から翌月末まで。稼働1ヶ月前は運用確認期間となり利用料なし。 |
| 初期設定オプション | 50,000円 / 回 | - | Webにてマスタ登録支援や操作方法のご説明(1回3時間程度)。 |
| SMSサービス契約(外部) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | SMS通知を利用する場合、SMS提供会社(メディア4u推奨等)との契約費用が別途必要。 |
※導入にあたっては、1拠点目お申込み時に事務手数料として50,000円(税抜)が発生します。稼働1ヶ月前からの運用確認期間やお試し利用期間が設けられているため、事前に現場で問題がないかを確認したうえで本格稼働へと移行できます。
導入の流れ・期間
N-Torusの一般的な導入フローは以下の通りです。基本契約の締結から運用設定、お試し利用を経て本格稼働に至ります。
- 導入前相談会・お打合せ(無料)
日食協のWebサイトから申し込みを行い、オンラインにて機能の紹介や導入検討のお打合せ、手続きの説明を受けます。 - お申し込み・アカウント発行
「N-Torus利用申込書」およびSMS利用に必要な情報を提出し、システムのアカウント・IDが発行されます。 - 初期設定・マスタ登録
拠点情報、バース枠、納品区分などの初期マスタ登録を行います。必要に応じて「初期設定オプション(Web支援・1回3時間程度)」を活用することも可能です。 - お試し利用・導入前運用確認期間
実際の現場で動作確認やドライバーへの案内を行います。本格稼働前の1ヶ月間は導入前運用確認期間として利用料無料で調整を行えます。 - 本格稼働・月額運用開始
運用確認完了後、本運用を開始します。稼働後もQA対応などのサポートを受けながら運用を継続します。
※お打合せから本格稼働までの具体的な期間は拠点の規模や準備状況により異なるため、事前に日食協事務局へご確認ください。
導入事例・実績
N-Torusは、持続可能な食品物流の構築に向け、製・配・販(製造・卸売・小売)の各層で導入・活用が進んでいます。
大手食品総合卸の株式会社日本アクセスでは、全国の物流拠点における荷待ち時間削減と入荷データの見える化に向けてN-Torusや他社バース予約システムを拠点ごとに組み合わせて展開(計141拠点)。収集された受付・予約・作業データを分析して入荷時間の分散化やパレット化を推進した結果、「1時間以上の入荷待機」発生率を半減させるなどの成果を上げています。
そのほか、三菱食品、加藤産業、三井食品、伊藤忠食品、ヤマエ久野、トーカンなどの大手食品卸や、味の素、東洋水産などの食品メーカー、西友などの小売企業においても運用実績があり、食品流通業界における標準インフラとして普及が進んでいます。
導入前に知っておきたいこと
N-Torusを導入するにあたり、公的実証事業の報告書や現場運用データから報告されている運用上の注意点や課題は以下の通りです。
- 早着車両による待機時間の発生
実証事業の分析結果によると、予約時間よりも大幅に早く到着するトラックが存在することで、結果的に構内・構外で待機時間が発生するケースが確認されています。システム導入と並行して「予約時刻より極端に早く到着しないよう運送会社へ要請する」「予約車両優先のルールを徹底する」などの運用ルールの整備が必要です。 - 外部SMS送信サービスの別契約が必要
N-TorusでドライバーへSMS呼出通知を行うには、システム本体の利用料(拠点月額35,000円)とは別に、指定・推奨のSMS送信事業者との契約(メディア4u等)と送信費用が必要となります。導入予算の算出時には通信費も含めて計算しておく必要があります。 - 自社専用カスタマイズの制限
N-Torusは日食協が仕様を策定・提供する「業界標準型クラウド」であるため、個別の自社都合による大規模なシステム改修には対応していません。現場特有の複雑な業務フローがある場合は、標準機能の範囲内で運用を合わせられるか事前相談会で確認が必要です。
よくある質問(FAQ)
- 日食協(一般社団法人日本加工食品卸協会)の正会員や賛助会員でなくてもN-Torusを利用できますか?
- はい、利用できます。日食協の会員以外でもサービスを利用できるよう「N-Torus会員」制度が設けられており、正会員・賛助会員と同額の月額35,000円(税抜)で全機能を利用可能です(お試し利用を含む1拠点目の申込時に登録料50,000円が必要)。
- ドライバー側は専用のスマホアプリをダウンロードする必要がありますか?
- いいえ、専用アプリのダウンロードは不要です。ドライバーはスマートフォンやタブレットのWebブラウザから利用できるほか、フィーチャーフォン(ガラケー)のSMS受信やLINEでの通知にも対応しています。
- 無料の体験利用や事前確認の期間はありますか?
- はい。申込開始日から翌月末までお試し利用期間が設けられているほか、本格稼働の1ヶ月前は「導入前運用確認期間」として月額利用料なしでシステムを検証することができます。
- 導入にあたって初期設定の支援サポートはありますか?
- はい。有料オプションとして「初期設定 オプション(50,000円/回・税抜)」が用意されており、Web会議形式でマスタ登録支援や操作方法のレクチャー(1回3時間程度)を受けることが可能です。
- 解約条件や最低契約期間などはどのようになっていますか?
- 具体的な解約通知の期限や最低契約期間等の条件については、契約書(サービス基本契約)での確認が必要です。事前に導入前相談会または公式問い合わせ窓口にてご確認ください。