N-Torusとは?スマホ・ガラケーにも対応したトラック入荷受付・バース予約システムの機能と導入メリットを解説

日本加工食品卸協会が会員企業の声を受けて開発したトラック入荷受付・予約システムです。タブレットやスマートフォン、ガラケーにも対応し、バースの入構指示をメールやSMSで柔軟に通知できます。

公式サイト
https://www.ooco.jp/
料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
規模問わず
対象業界
小売・卸売業 食品・飲料

N-Torusとは?

一般社団法人日本加工食品卸協会(日食協)が提供する「N-Torus(エヌ・トーラス)」は、食品流通業界における深刻なトラックドライバーの長時間待機(荷待ち)問題を解消し、物流センターの受け入れ効率を向上させるためのクラウド型トラック入荷受付・バース予約システムです。農林水産省の支援事業認定(平成29年度補正予算補助事業)のもと、卸売業や製造業、運送事業者の実務に寄り添い「業界標準システム」として富士通に委託して開発され、2019年3月に本格稼働を開始しました。食品・日用品の卸・メーカー企業が、現場の荷待ち時間削減と受付のデジタル化を推進するための、共同利用型ソリューションです。

主な機能・特徴

N-Torusは、食品物流の実態に合わせて設計された多様な機能を備えています。主な機能は以下の通りです。

  • 入構予約カレンダー機能
    運送事業者やドライバーは、PCやタブレット、スマートフォンから現時点のバース空き状況をカレンダー画面でリアルタイムに確認し、入構を希望する曜日や時間帯を事前に予約できます。また、過去の待機状況をもとに混雑状況が可視化されるため、空いている時間帯への予約の分散を自然に促すことが可能です。
  • 多様な通知手段による接車誘導(メール、SMS、LINE)
    車両が到着して受付登録を行った後、バースが空いたタイミングの入構指示や接車連絡を、ドライバーの携帯端末へ柔軟に通知できます。通知方法はeメールに加え、SMS(ショートメッセージサービス)、さらには2023年9月にリリースされたLINE連携に対応しています。これにより、ドライバーが受付事務所を何度も往復する手間が省け、構内・構外からのスムーズな誘導を実現します。
  • 車格や作業形態に応じた作業時間算出・自動バース割当
    荷降ろしの方法(パレット降ろし、バラ降ろし等)、車格(10t、4tなど)、バースタイプの組み合わせに基づいて、予約時に想定される作業時間をシステムが自動で算出します。予約時間枠の精度を向上させることで、バース運用の無駄を削減し、到着した車両の自動的なバース割り当てを円滑に行うことができます。
  • 卸側WMS(倉庫管理システム)とのデータ連携機能
    卸売業者が使用している既存のWMSとN-TorusをAPI等のデータ連携機能(2020年7月追加)で接続可能です。WMSにおけるバース指示結果や荷降ろし完了の実績データをN-Torus側に自動反映させることで、現場事務所での二重入力(ダブルオペレーション)を防止し、管理コストを削減します。
  • 待機実績の可視化・グラフ分析機能
    受付から作業開始、作業終了、出構までの各ステータスと実績時刻がシステム上に自動的に蓄積されます。時間帯別の混雑傾向や、車両・メーカーごとの平均待機時間を自動でグラフ化して照会できるため、荷待ち時間2時間以内ルールの遵守に向けた発注ロットの調整や、入荷曜日の分散化といったデータ主導の改善活動に活用できます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

N-Torusは業界標準を前提として設計されているため、導入が推奨されるシーンとそうでないシーンが明確に分かれます。

【向いている企業・現場】

  • 食品・日用品・飲料業界に関わる卸売業、小売業、製造業
    日本加工食品卸協会が主導して仕様策定を行っているため、食品物流特有のバラ降ろし、パレット降ろし、多頻度小口配送などの現場運用に最適化されています。
  • サプライチェーン全体での標準化・ドライバーの操作負荷軽減を重視する企業
    三菱食品、日本アクセス、国分グループ本社、加藤産業、三井食品、伊藤忠食品、トーカン、ヤマエ久野といった国内の大手加工食品卸が既に標準システムとして数多く導入しています。同じシステムを導入することで、運送事業者やドライバーは異なる物流拠点でも同一の画面・操作方法で利用でき、登録や予約の手間を最小限に抑えられます。
  • 高齢ドライバーが多く、スマートフォンアプリの操作に不安がある現場
    専用のスマホアプリを個人のスマートフォンにダウンロードしてインストールさせる必要がありません。ブラウザからの操作のほか、ガラケー(フィーチャーフォン)や使い慣れたLINE、SMSを通じた呼び出しに対応しているため、ドライバー側のITリテラシーを問わず導入できます。

【向いていない企業・現場】

  • 食品・日用品以外の特殊なヤード(化学品、鉄鋼、建設資材等)の管理を行う企業
    製造業や建材分野に特化したヤード管理・動線制御、あるいは複雑な出荷指示連携などの独自の運用ルールを求める場合、食品物流に最適化されたN-Torusの標準仕様とはミスマッチが生じることがあります。
  • 自社専用の個別カスタマイズを柔軟に行いたい企業
    業界標準の共同利用型クラウドSaaSであるため、特定の1社のためだけに大規模なシステム構造を変更するようなカスタマイズを施すことは困難です。
  • 1ヶ月以内の短期・スポットでのヤード利用や、短期解約を前提とする場合
    最低契約期間が1年間と定められているため、シーズン限定の一時的な利用や、システム稼働後すぐに解約する可能性のあるスモールスタートには向きません。

料金・プラン・導入方法

公式サイト等の公式資料に公開されている料金プランは以下の通りです。N-Torusは1拠点ごとの定額制(SaaS)を採用しており、複雑な初期投資を抑えてスピーディーに導入できる仕組みになっています。

利用区分・項目 初期費用(税別) 月額利用料(税別) 備考
日食協 会員・賛助会員 0円 35,000円 / 1拠点 稼働後のQ&Aサポート対応を含みます。
N-Torus会員(日食協 非会員) 50,000円 35,000円 / 1拠点 当協会に入会せずN-Torusを利用する場合、初回申込時(1拠点目)に登録料が発生します。
SMS連携機能(外部契約) 契約先による 実費(従量課金) 推奨サービス「メディア4u」や「Twilio」などと直接の外部契約が必要です(例: 1通あたり数円程度)。
マスタ設定支援オプション 50,000円 / 回 - Webを通じたマスタ設定の支援、運用方法の説明(1回あたり3時間程度、要申し込み)。

【見積もり・契約時の確認ポイント】

  • 最低契約期間:初回のご利用開始月から1年間です。期間満了の1か月前までに申し出がない場合は、1か月単位での自動更新となります。
  • 日割り計算の有無:月の途中で利用開始、または解約した場合であっても、料金の日割り計算は行われません。1か月分の満額が請求されます。
  • 請求方法:毎月、日本加工食品卸協会より発行される請求書に基づき、翌月末までに銀行振込にて支払う必要があります(振込手数料はユーザー負担)。

導入の流れ・期間

日本加工食品卸協会が提示する「お申込みから運用開始までのフロー」および一般的な導入ステップは以下の通りです。

  1. お打合せ・導入前相談会(無料)
    Webシステムを通じて、申し込み手順の確認、導入に向けた具体的な打ち合わせ、デモ画面を用いた機能紹介を行います。
  2. サービスお申し込み
    日食協のウェブサイトから「サービス申込書」(単一拠点用または複数拠点用)をダウンロードし、必要事項を記入して事務局宛に郵送またはメールで送付します。同時に、ドライバーへのSMS通知を行うための外部SMS送信サービス(推奨キャリア:メディア4u等)の契約手続きを行います。
  3. 本番環境構築・URL通知(通常5営業日程度)
    日食協側での環境構築が完了した後、本番環境用のURLおよび企業IDがeメールにて通知されます。申込書に不備がなく、SMS契約情報が揃った状態で申し込んだ場合、5営業日程度での発行が可能です。
  4. マスタセットアップ・導入前運用確認(最大1ヶ月)
    提供される専用のExcelマスタ登録用シート等を用いて、運送業者情報や車両・ドライバー情報のマスタ登録、セットアップを行います(別途オプションによる登録支援も可能)。正式な利用開始(サービス料金発生月)の「1か月前」は「導入前運用確認期間」に設定され、この期間は利用料金が発生することなくシステムの動作検証やマニュアル作成を行うことができます。
  5. 運用開始
    「操作手引書」をもとに現場スタッフや運送会社への利用説明を行い、実運用をスタートさせます。

申し込みから実際の運用開始まで、マスタ登録や動作試験等の準備期間を含めると、通常1〜2ヶ月程度が目安となります。

連携できるシステム・機器

N-Torusで公式に確認できている連携情報および動作推奨環境は以下の通りです。

  • 倉庫管理システム(WMS)とのデータ連携:
    荷受側のWMSとN-Torus間でAPI等のデータ送信を行い、バース割付の指示や荷降ろしが完了したステータス情報を相互に自動連携できます。これにより、事務所側のダブルオペレーションを防ぎます。
  • 推奨動作環境:
    システムにアクセスして利用する着荷主(物流センターなど)のPC、タブレットの推奨端末およびブラウザは以下の通りです。
    • 推奨ブラウザ:Google Chrome、Microsoft Edge
    • 推奨スペック:Intel Core i5以上、メモリ8GB以上の端末を推奨
    • 通信環境:安定したインターネット接続環境
  • 外部SMS・呼出システムとの連携:
    ドライバー宛ての通知システムを動作させるため、外部のSMS送信サービスとの連携が必須(推奨:メディア4u、動作確認済:Twilio)となります。

※その他の基幹システムやWMS、車番認識カメラなどの外部機器との詳細な個別API連携仕様については、公開されている連携情報が限定的であるため、導入前の相談時に必ずご確認ください。

導入事例・実績

N-Torusは、持続可能な食品物流の構築に向けた重要なツールとして、製配販(製造・配送・販売)の各層で幅広く導入されています。

  • 株式会社日本アクセス(食品総合卸)
    経済産業省の「CLO(物流統括管理者)取組事例集」によると、日本アクセスは自社開発の入荷管理システム、日本加工食品卸協会の「N-Torus」、Hacobu社の「MOVO Berth」の3つのシステムを拠点ごとに組み合わせて導入しています。全国の物流センター(2025年10月時点で3システム合計141拠点)に展開し、入荷予約・受付状況を徹底して可視化しました。これにより、KPIとして設定している「1時間以上の入荷待機発生率」を以前の半分にまで減少させる成果を上げています。
  • 業界各社の導入実績
    日本加工食品卸協会の公式資料(2021年5月時点)によると、本格稼働から約2年で15企業、75拠点でN-Torusの稼働が報告されました。導入企業には、主要食品卸である三菱食品、日本アクセス、加藤産業、三井食品、伊藤忠食品、ヤマエ久野、トーカンなどが名を連ねるほか、味の素社や東洋水産などの大手食品メーカー、小売業では西友などの物流拠点でも導入・テスト運用が推進されています。

導入前に知っておきたいこと

他社の一般的なバース予約システムと同様、N-Torusの導入に際しても、事前の運用ルールの整備やシステム特有の課題に関する理解が必要です。

  • 到着時刻のコントロール・ルール運用の必要性:
    「トラック輸送における取引環境・労働時間 改善協議会」の実証事業報告書等によると、システムを導入して予約枠を設けたとしても、予約時間より大幅に早く到着する車両が存在することによる待機(見えない待機)が発生するケースが指摘されています。「予約時刻より遅れて到着した際、または早く到着した際の現場ペナルティやペナルティに類するルール」が荷主側で設定・徹底されていない場合、運送事業者やドライバーによる任意の時間調整に委ねられ、待機解消の効果が薄れる可能性があります。
  • 敷地外での待機問題へのアプローチ:
    受付完了後、または予約システム上では待機が「0分」と記録されていても、物流センターの敷地外や近隣の待機場などで実質的な待機時間が発生する、いわゆる「見えない待機時間」の課題があります。これは単一のシステム導入だけで解決するものではなく、川上から川下までのサプライチェーン全体での発注頻度や発注ロットの見直しを並行して推進していく必要があります。
  • SMS通知による従量課金コスト:
    SMS送信を利用した呼び出し機能は非常に便利ですが、送信するたびにSMS送信会社への通数課金が発生します。1日の入荷台数が多い大型センターでは、この従量料金(1通あたり約4.8円など)が想定以上の月額ランニングコストとなる場合があるため、eメール通知やLINE連携などの無料通知手段との併用、または予算の事前見積もりが不可欠です。

類似ツールとの比較

国内で流通している主要なバース予約・ヤード管理システムから、実績の豊富な競合3製品とN-Torusの比較表をまとめました。

ツール名 提供元・主な特徴 料金モデル(税別) 向いている企業・現場
N-Torus 一般社団法人日本加工食品卸協会が提供。食品・日用品卸の業界標準を目指し、シンプル設計、ガラケーやLINE連携に対応。 初期費用:0円(日食協非会員は50,000円)
月額:35,000円 / 1拠点
※最低契約1年
食品・飲料の共同物流や大手食品卸売業。ドライバー側の操作を均一化し、IT負担を減らしたい現場。
MOVO Berth Hacobu株式会社が提供。国内シェアNo.1。荷主、運送会社、倉庫が連携する、機能拡張性やデータ分析力の高いシステム。 初期費用:要問い合わせ
月額:要問い合わせ
※要見積もり
拠点数の多い大手荷主。データ統合や運送会社への一元的なアプローチ、高度なヤード動態分析を求める企業。
トラック簿 ハコベル株式会社が提供。倉庫指定・配車マン・ドライバー予約の3方式に対応。受付から分析までワンストップ。 初期費用:要問い合わせ
月額:要問い合わせ
※要見積もり
配車システムやハコベルの配車プラットフォームと合わせて、運送手配と受付管理を一元化したい現場。
KG TruckCALL 兼松株式会社が提供。LINEを活用した呼び出しに特化し、アプリインストール不要で最短翌日から利用できる低コスト設計。 初期費用:要問い合わせ
月額:要問い合わせ
※要見積もり
まずは低価格かつ迅速に「呼び出し(受付)」から効率化をスタートしたい中小規模の物流拠点。

【選定・比較の判断基準】

卸主導の業界標準への参画や、低コストでの拠点運用を狙うなら:N-Torus
すでに日本の大手加工食品卸(三菱食品、日本アクセス、国分グループ等)が標準的に採用しており、それらの企業と日常的にやり取りする運送会社であれば、新しくドライバーのアカウントを作成する手間がほとんど不要な点が圧倒的なアドバンテージです。月額35,000円という明確かつ低コストなワンプライスモデルも魅力で、特定の個社開発のようなカスタマイズを必要としない「標準的な入荷管理・予約」を行いたい現場に適しています。

多拠点の統合管理や高度なサプライチェーン分析、自社独自の運用を重視するなら:他社システム
自社が主導権を握る大規模な3PL事業や、複数拠点(他業種含む)にまたがってカスタマイズ性の高いデータ連動(IPカメラとの連携や自社特有のWMSカスタマイズ)を行いたい場合は、MOVO Berthやトラック簿などの専門システムを個別に検討する価値があります。自社の抱える課題と、サプライチェーン上での協調領域のどちらに重きを置くかで選定すべきツールが異なります。

よくある質問(FAQ)

ドライバーはスマートフォンにアプリをインストールする必要がありますか?
いいえ、専用アプリのインストールは不要です。ドライバーはスマートフォンのウェブブラウザからアクセスして操作するか、SMS(ショートメッセージ)やLINEを活用した通知を受け取る形になります。そのため、ドライバー側の負担が少ないのが特徴です。
ガラケー(フィーチャーフォン)を使用している高齢ドライバーにも対応できますか?
はい、N-Torusはフィーチャーフォンでの通知・ステータス確認に対応して設計されています。SMSを使用した確実な接車呼び出しや、メール経由での入構指示確認が可能です。
LINEを使った呼び出し機能はどのように設定しますか?
2023年9月にリリースされたLINE連携機能により、ドライバーはN-TorusのLINE公式アカウントを友だち追加し、システムに登録された携帯電話番号を連携させることで、LINE上でスムーズに入構案内などの通知を受け取れるようになります。詳細な手順マニュアルは公式サイトの「ご利用ガイド」に公開されています。
無料の体験利用(トライアル)やデモはありますか?
一般社団法人日本加工食品卸協会では、本番の有償契約(利用開始手続き)を前提とする場合に限り、利用開始日の前月から、その開始日が含まれる当月末日まで(最大1か月間)、「トライアル期間」として無償での利用が可能です。体験を希望される際は、事前に協会の「トライアルサービスご利用条件」を確認の上、申し込みを推奨します。
最低契約期間や解約条件はどうなっていますか?
初回利用開始月から1年間が「最低利用期間」として定められています。その後は1か月単位の自動継続となります。解約を希望する場合は、解約希望月の1か月前までに日食協に対して書面での通知が必要です。なお、月の途中での解約であっても日割り計算による返金等は行われません。
問い合わせ窓口の対応時間は何時ですか?サポート体制について教えてください。
N-Torusに関するお問い合わせ窓口(一般社団法人日本加工食品卸協会)は、平日の10:00〜17:00(土・日・祝日および協会指定の休業日を除く)です。稼働後のQA対応は月額料金(35,000円)に含まれておりますが、マスタ設定等で特別な技術的支援が必要な場合は、別途見積もりとなる追加オプション(1回あたり5万円等)を利用できます。
SMSの送信費用は利用料金に含まれますか?
いいえ、月額のシステム利用料(35,000円)には含まれません。SMS送信通知を利用する場合、ユーザー企業が自らSMS提供キャリア(メディア4u等の推奨企業)と直接契約を行い、送信通数に応じた実費(参考:1通あたり約4.8円など、契約条件により異なる)を支払う必要があります。

参照・出典

他のバース予約・ヤード管理システムと比較する

N-Torusの特徴を含むバース予約・ヤード管理の17製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

バース予約・ヤード管理システム比較16選