ASUENEとは?
ASUENE(アスエネ)は、アスエネ株式会社が提供する、企業およびサプライチェーン全体のCO2排出量を自動で算定・可視化するクラウドサービス(SaaS)です。温室効果ガス(GHG)排出量の集計における属人化の解消や、Scope3を含む複雑な算定に必要な専門知識の不足、膨大なデータ入力の工数といった企業の課題を、AIを活用した自動化技術と専門コンサルティングによって解決します。製造業や小売業だけでなく、多くの拠点や配送ルートを抱え、サプライチェーン全体の排出量管理が複雑になりやすい物流・倉庫業においても豊富な導入実績を持っています。算定のみにとどまらず、削減施策の提案や各種情報開示まで脱炭素経営を包括的に支援するプラットフォームです。
主な機能・特徴
- CO2排出量の自動算定・可視化(Scope1〜3対応)
自社の直接排出(Scope1)や間接排出(Scope2)だけでなく、原材料調達や輸送、廃棄などを含むサプライチェーンの上下流にわたる間接排出(Scope3)までの算出に対応しています。わかりやすいダッシュボードにより、会社全体や事業所別、部門別、さらには削減の余地が大きい排出源などを一目で把握できます。専門知識が浅い現場の担当者でも、グラフや表形式で視覚的に管理状況を理解できるよう設計されています。 - AI-OCRとAIエージェントによる自動入力サポート
電気・ガスの請求書や給油伝票などをシステムにスキャンしてアップロードするだけで、特許取得済みのAI-OCRが活動量データを読み取り、自動でCO2排出量データへ変換・登録します。さらに、2026年7月にはサステナビリティ分野で初となる「AIエージェントがメール添付された請求書から自動で算定データを取得・登録する機能」を実装。担当者がシステムに都度ログインして転記作業をすることなく、日常的な登録作業のミスや漏れを防ぎ、業務工数を大幅に削減します。 - 製品別CFP・LCA算定機能
企業単位での算定に加え、製品やサービスごとの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体(LCA)でのカーボンフットプリント(CFP)の算定機能を備えています。SuMPOが開発したデータベース「CORD」や環境省の排出係数などを標準搭載しており、取引先からのCFP開示要請や、欧州電池規則をはじめとするグローバルな規制にも対応した精緻な環境負荷の分析・シミュレーションが可能です。 - 多言語対応およびグローバル展開支援
日本語・英語・中国語(繁体・簡体)のほか、韓国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、タイ語、ベトナム語など10以上の言語に対応しています。国内外に数多くの拠点や子会社を抱える大企業であっても、異なる言語・通貨の環境から入力された環境データをクラウド上で効率的に一元管理することができます。 - 豊富な国際イニシアチブ・情報開示への対応
CDP、SBTi、CSRD、TCFD、TNFD、SSBJなど、国内外の多様なサステナビリティ開示基準や法規制に対応しています。単なる集計ツールにとどまらず、CDPのスコアリングパートナー(日本唯一)としての知見を活かしたコンサルティングが用意されており、評価機関やステークホルダー向けレポートの作成工数を劇的に軽減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 国内外に多数の拠点やグループ会社を抱える企業
安田倉庫やニデックのように、国内外に点在する事業所やグループ子会社の数が多く、各地の請求書回収やデータ統合に多大な労力を費やしている企業に向いています。AI-OCRによる自動読み取りや、AIエージェントによる自動取り込み機能により、データ収集の手間を大幅に簡略化できます。 - SBTi認定やCDP高スコアの獲得を目指す上場企業およびそのサプライヤー
グローバルな評価基準に沿った精緻な環境データの開示が求められている企業や、主要取引先から製品ごとのCFP算定やScope3の削減計画提出を求められている現場に適しています。ルールの変更に合わせた最新のシステム機能と、コンサルタントによる伴走支援を同時に受けられます。 - 専任のサステナビリティ担当者が不足している中小・中堅企業
「サステナビリティ推進室はあるものの専門知識を持つメンバーが足りない」「他の業務と兼任で集計作業に時間を割けない」といった課題を持つ現場に向いています。システム導入時の初期設定や勉強会に加え、日々発生する複雑な方法論の確認など、担当者と密接にコミュニケーションを取りながら業務を進められるサポート体制が整っています。
【向いていない企業・現場】
- 自社(Scope1、2)のみを対象としたごく小規模でシンプルな算定だけを行いたい企業
ASUENEはScope3やLCAの製品別算定、各種国際イニシアチブ対応、削減コンサルティングといった総合的な機能と伴走支援を強みとしています。そのため、「自社の拠点数が1〜2箇所しかなく、電気料金やガス使用量の単純な集計だけで済む」という場合にはサービスが過剰(オーバーペック)になりやすく、より簡易的でコストを抑えた算定特化型ツールを検討する方が適しています。 - 独自の配車計画や輸送モード別シミュレーションに直結した精緻な物流CO2算出を自力で行いたい現場
物流部門における配車管理システム(TMS)や動態管理システムと緊密に連携させ、日々の細かな配送ルート設計と連動したCO2削減シミュレーションを行いたい場合、ASUENE単体での初期設計だけでは対応が難しいことがあります。物流領域に特化した輸配送シミュレーション機能を優先させたい場合は、ロジスティードが提供する「EcoLogiPortal」や、荷主・輸送事業者間のデータ共有に特化した「CAMOTSU」を検討するか、それらをASUENEと連携させて利用する方法が適しています。
料金・プラン・導入方法
ASUENEの料金プランはSaaS形式(月額課金)となっており、企業の算定対象や希望するサポート内容、拠点数などに合わせた個別見積もりのため、金額は「要問い合わせ」となっています。公式に具体的な一律料金表は公開されていません。
個別に見積もりを取得・検討する際には、以下のポイントを整理・確認しておくことを推奨します。
- 算定の対象範囲:Scope1・2のみの算定(スタータープラン相当)か、Scope3までを含めた算定(ベーシックプラン相当)か。
- 管理する拠点数と子会社数:登録する施設数やグループ会社のボリューム。
- サポートオプションの要否:アカウント発行後の初期設定、システム入力代行、過去の活動データの「1年分算定代行」などの追加メニューの有無。
- 削減コンサルティングや開示支援の有無:CDPやSBTiなどのイニシアチブ申請・開示に向けた専任コンサルタントによる伴走支援のレベル。
- 契約期間と解約の条件:最低利用期間の設定(通常は年間契約ベースとなる場合が多い)や途中解約時の規定。
導入の流れ・期間
ASUENEを導入する際、問い合わせから運用開始に至るまでは以下のようなプロセスで進行します。
- 問い合わせ・情報収集
公式サイトのフォームより問い合わせを行います。資料のダウンロードや、デモの希望を伝えることが可能です。 - 製品デモ・ヒアリングの実施
担当者より実際のシステム画面を提示しながらの機能説明やデモが行われます。企業の現在のデータ管理状況や、どの範囲まで算定を行いたいか(Scope1〜3、LCAなど)についてのヒアリングが実施されます。 - プラン提案・見積もり
企業の規模や算定対象範囲、求めるサポートプランに応じた個別見積もりとシステム構成が提案されます。内容に合意した段階で契約締結となります。 - 初期設定(アカウント発行)
契約完了後、アカウントが発行されます。システム上で管理する「施設情報」「ユーザー情報」「セキュリティ設定」などの基本マスターデータを登録し、算定対象範囲の初期登録を完了させます。 - コンサルタントによる勉強会の実施
担当コンサルタントにより、算定方法やデータの揃え方、具体的なケーススタディを交えたレクチャー・勉強会が開催され、運用の疑問を解消します。 - 本格稼働・算定開始
請求書等のスキャン入力やAPI連携によるデータ自動収集を開始し、日常的なCO2排出量の可視化・分析業務へ移行します。
※なお、ASUENEの具体的な導入期間(アカウント発行から最初の算定を終えるまでの期間)については企業の拠点数や準備状況により大きく変動するため、公式サイトには一律の期間は明記されておらず「要問い合わせ」となります。
連携できるシステム・機器
ASUENEは、50種類以上の各種SaaSや社内システムとシームレスにデータ連携を行うことができるAPI機能(ASUENE CONNECTORなど)を提供しています。
- 会計・販売管理システムとの連携
「マネーフォワード クラウド会計Plus」等の各種会計SaaSとのシステム連携が行えます。財務仕訳データや購買履歴などから自動的に活動量情報を取得し、算定効率をさらに高めることが可能です。 - 物流ソリューション「EcoLogiPortal®」とのシステム間データ連携
ロジスティード株式会社が提供する輸配送領域のCO2排出量可視化ソリューション「EcoLogiPortal(エコロジポータル)」とのデータ連携(2024年11月発表)に対応しています。これにより、物流分野のより詳細で高精度な輸配送データを「EcoLogiPortal」側から「ASUENE」へデータ連携させ、サプライチェーン上の排出データ全体として一元管理・分析することが可能になっています。 - その他の連携システム
社内基盤システム(WMS/TMS、基幹システム)や各現場におけるその他のデータソースからの連携要件がある場合は、個別のAPI開発や接続仕様について導入検討時の問い合わせ・お見積もり時に確認する必要があります。
導入事例・実績
公式サイトや信頼できるプレスリリース等で公開されている、ASUENEの代表的な導入事例は以下の通りです。
- 安田倉庫株式会社(大手倉庫・総合物流業)
- 導入前の課題:全国約60カ所の拠点を保有しグループ企業も増加していたが、従来のCO2排出量(Scope1・2)の算定範囲は安田倉庫と一部関係会社のみにとどまり、グループ全社としての可視化体制が構築できていなかった。サステナビリティ推進室新設後であり、特にScope3の算定については何から始めればよいかわからない手探りの状態であった。
- 選定・導入の効果:拠点数や関係会社が非常に多い環境においても、「システムに請求書をアップロードするだけで入力可能」な機能によって集計業務の大きな工数削減につながった。また、アスエネの専門コンサルタントが迅速かつ明解に質問へ回答し、同業他社の事例を踏まえた伴走型サポートを提供したことで、Scope3算定の手順を具体化できた。
- ニデック株式会社(大手製造業・メーカー)
- 導入前の課題:世界40カ国・200以上の拠点が存在し、さらにM&A(企業の合併・買収)によって事業やグループ企業が次々に拡大する複雑な組織構造であったため、グローバルでの環境データ回収・算定業務が煩雑化していた。
- 導入の効果:多事業・多国籍の複雑な組織構造に対応した一元的なデータ管理体制を構築。環境データ管理業務の大幅な効率化を実現した。
- トクセン工業株式会社(精密金属加工メーカー)
- 概要と導入効果:大阪ガスおよびDaigasエナジーが提供する低・脱炭素ソリューション「D-Lineup」を活用した太陽光発電サービス「D-Solar」の導入と並行して、CO2見える化クラウド「アスエネ」を導入。設備データとの連動も含め、可視化から削減アクションへの移行を迅速化させ、サステナビリティ活動の推進スピードを大きく向上させた。
導入前に知っておきたいこと
外部のIT製品レビュープラットフォーム「ITreview」等に投稿されている、実際の導入ユーザーからの課題や改善要望を分析すると、以下の注意点が挙げられています。
- オリジナル係数(自社係数)登録のしやすさに対する要望:
独自の設備や特殊な材料に対応するため、自社独自の排出係数(オリジナル係数)を初期登録する手順がやや面倒であるという声が寄せられています。また、システム登録後は分類項目が「自社係数」という一律の名前になりやすいため、後から判別しづらい点を改善してほしいという意見が見られます。 - データ入力単位の柔軟性:
「年に1回まとめて登録すれば十分な項目(廃棄物データなど)」であっても、システム仕様上、月単位での入力を迫られる(月次の入力を繰り返し求められる)ケースがあるため、入力頻度の設定について柔軟性を高めてほしいという要望が挙がっています。 - 過年度データ等の複数画面での比較:
管理画面上で過年度のデータと現在のデータを見比べたり分析を並行して進めたいときに、ブラウザの新しいタブや別ウィンドウで複数同時にページを開いて確認できない仕組み(同一タブ内での画面推移が主)であるため、操作性において少し不便に感じられるという指摘があります。
類似ツールとの比較
CO2排出量・カーボン管理分野でLogiShiftサイト内に紹介記事がある代表的な類似ツールとの比較は以下の通りです。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ASUENE | AI-OCRやメール添付ファイルからの自動算定など最先端のAI機能に強み。専門コンサルタントが伴走し、算定からCDP・SBT対応、クレジット取引までをワンストップでサポート。 | 要問い合わせ (個別見積もり) |
国内外の拠点数が多く、AIでの徹底した工数削減と専門家によるきめ細かな開示サポートを両立したい企業 |
| Zeroboard | 温室効果ガス(GHG)排出量の算定・可視化を多機能に支援。輸送(物流)分野の算定に特化した機能強化を行い、大手物流企業との連携実績も豊富。 | 要問い合わせ | サプライチェーン全体の細かな輸送・製品別CFP管理や、業界特化型のデータ連携を重視する企業 |
| e-dash | 請求書のアップロードなどの手軽な操作が強み。拠点・企業単位のデータだけでなく、製品ごとのCFP算定や物流におけるScope3データ管理も可能。 | 基本料金:要問い合わせ | 手元にある請求書のデジタル化を中心に、まずはシンプルな運用フローで手軽に可視化・算定を開始したい企業 |
| EcoLogiPortal | ロジスティードが提供する、サプライチェーン上の輸配送領域におけるCO2排出量の算定・可視化ソリューション。輸送モード別、ルート別、拠点別の詳細分析に対応。 | 要問い合わせ | 輸配送や物流ネットワークにおける高精度な算定と、それに紐づくモーダルシフト等の削減施策を突き詰めたい企業 |
| CAMOTSU | 輸送事業者と荷主間で直接CO2データを共有・可視化するクラウド。改正物流効率化法や、特定荷主の定期報告書作成支援の対応に特化。 | 要問い合わせ | 荷主と運送事業者間のデータ連携を主目的とし、特定荷主としての法的な報告義務に素早く対処したい企業 |
【選定における判断基準の解説】
ASUENEを第一候補として選ぶべき条件:
企業の全社・国内外グループ子会社を含めた「組織全体のScope1〜3の算定」において、紙の請求書やメールに届く請求書ファイルをAIに自動で読み取らせることで、手動入力の工数を極限まで減らしたいと考える大中規模企業に向いています。また、算定ツールを導入したものの「その後、CDPの質問書へどう回答すればスコアが上がるのか」「SBTの認定手続きを誰に進めてもらえばよいか」といったサステナビリティ戦略の部分にリソースやノウハウが不足している企業においては、専任コンサルタントが直接面談を通じて勉強会や開示支援を迅速に行ってくれるASUENEの伴走体制が大きな強みとなります。
他社ツールや個別ソリューションを検討すべき条件:
もし企業が「脱炭素経営全般の伴走支援」よりも、「日々の物流における積載率の改善やモーダルシフトのシミュレーション、特定の配送経路がもたらす精緻な排出データ分析」など、輸配送現場の実務的な削減効果にフォーカスしている場合は、ロジスティードの「EcoLogiPortal」や、荷主・運送業者間のデータやり取りに特化した「CAMOTSU」をメインに検討する方が適しています。なお、ASUENEは「EcoLogiPortal」との直接的なシステム連携が可能なため、基軸の全社管理プラットフォームとしてASUENEを置き、物流データ算出部分はEcoLogiPortalから自動取得するといった、強みを組み合わせた構成をとることも十分に有効です。
よくある質問(FAQ)
- ASUENEにスマートフォン専用のアプリはありますか?
- ASUENEに専用のスマートフォンアプリが存在するという情報は、現時点では公開されていません。ただし、PCやタブレット、スマートフォン等の各種Webブラウザ環境からクラウドサービスとしてシステムにログイン・アクセスして運用する形態となります。
- 導入前に無料で利用できる無料トライアルや製品のデモ体験は可能ですか?
- 無料トライアルについては時期や条件(自治体の導入支援事業など特定の条件)によって実施状況が変動するため、直接の問い合わせが必要です。製品のデモについては、公式サイトの問い合わせフォームから申し込むことで、後日担当者から実際のシステム操作画面を用いた詳しい説明やデモの提供が受けられます。
- 専門コンサルタントによるサポート体制はどこまで含まれますか?
- サステナビリティ専門のコンサルタントが、導入時のアカウント作成・セキュリティ設定や利用に必要な基本初期設定をサポートするほか、算定方法やケーススタディを学べるオンライン勉強会を提供します。また、契約中の質問への迅速な個別回答や、CDP回答、SBTi認定、TCFDなどの国際イニシアチブ申請に向けた高度な開示コンサルティングまでをカバーしたメニューが用意されています。
- 最低契約期間や解約条件、料金単価は決められていますか?
- システムの最低契約期間や中途解約に関わる条件は、公式サイト上では一律に公開されていません。各企業の管理する拠点数や提供される初期設定・算定代行等のサポートオプション等を含むお見積もり内容ごとに変動するため、検討時・契約前に必ず詳細条件を直接担当者にご確認ください。
- 算出されたCO2排出量のデータを、社外向けの報告資料やファイルとして出力できますか?
- はい、ダッシュボード上で視覚的に集約・可視化されたCO2排出量のデータを基に、報告用レポートの作成や、社内共有・他システム連携のための算定結果エクスポート(データ出力)に対応しています。
- 温対法や省エネ法などの国内法に基づく定期報告書の作成には対応していますか?
- はい、温対法や省エネ法といった日本の国内規制に対応した、法的なレポート作成を支援する機能を備えています。