GHGSCOPEとは?輸送時のCO2排出量算定を自動化する機能や強みを解説

企業間の輸送に関するエネルギー及びCO2排出量の算定を自動化し、可視化するツール。ISO14065に基づく妥当性評価を取得しており、算定プロセスの信頼性が高いのが特徴です。

公式サイト
https://added.co.jp
料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
中堅〜大手向け
対象業界
物流・倉庫業 製造業 小売・卸売業

GHGSCOPEとは?

「GHGSCOPE(ジーエイチジースコープ)」は、物流・倉庫業、製造業、小売・卸売業などの中堅から大手企業を対象に、企業間の輸送に関するエネルギー消費量およびCO2排出量の算定・集計を自動化し、視覚的な可視化を実現するクラウド型SaaSツールです。昨今の物流業界における「トラックドライバーの不足」や「燃料コストの高騰」といった構造的課題に加え、企業がサプライチェーン全体で排出する間接的な温室効果ガス(Scope 3)の環境情報開示要請が急速に高まっています。本ツールは、手作業での集計が難しく不確実になりがちな「輸送実績データ」を自動で加工・算定することにより、荷主企業や物流事業者が抱える集計業務の過重な負担を解消することを目的としています。なお、本サービスは2025年11月1日付で、元々の開発元である株式会社Addedから、企業のサステナビリティ経営を包括支援する株式会社ゼロボードへと事業が譲渡され、現在は「Zeroboard」のサービス群に統合された形でより強固なサポート体制のもと提供されています。

主な機能・特徴

GHGSCOPEは、企業間の輸送におけるGHG(温室効果ガス)の収集・計算から対外的な報告書の作成支援に至るまで、物流特有の課題に特化した以下の実務的な機能を備えています。

  • 膨大な輸送実績データからの排出量自動計算
    自社が保有する運行実績や輸送距離、輸送量などの膨大なデータをシステムに取り込むことで、発注主別、商品単位別、発着地(ルート)別でのCO2およびエネルギー排出量を自動で算出します。省エネ法に定められた「トンキロ法」「燃費法」を含むすべての算定方法に準拠しており、従来のようなExcelを用いた属人的で複雑な手動計算を完全に排除します。
  • 政府機関向け定期報告書の自動作成支援
    経済産業省への提出が義務付けられている特定荷主・特定輸送事業者用の「定期報告書」の作成に対応しています。各種記入項目に対して自動で算出結果を反映・入力する機能が備わっているため、年度末に膨大な時間を要していた報告書作成業務の大幅な効率化と省人化を実現します。
  • サプライチェーン間での排出量データ連携(Scope 3対応)
    自社単体の算定にとどまらず、輸送を委託している複数のサプライチェーン企業(輸送事業者・荷主)に対して、Scope 3の「カテゴリー4(輸送・配送の上流)」および「カテゴリー9(輸送・配送の下流)」に関する算出結果をリアルタイムで共有・連携できます。複数の取引先から共有された数値は、ダッシュボード上で自動集計・合算して一元的に把握可能です。
  • 環境マネジメントシミュレーション機能
    蓄積された輸送実績データをベースに、トラックから鉄道や船舶などへの「モーダルシフト」の導入、あるいは水素車やEV(電気自動車)への車両入れ替え、再生可能エネルギーの購入などを行った際に、どの程度のGHG削減効果が期待できるかをシステム上でシミュレーションできます。これにより、具体的な脱炭素計画の立案や投資判断に役立つ客観的なデータ根拠を容易に得られます。
  • ISO14065に基づく第三者妥当性評価の取得
    本ツールが提供する算定ロジックは、ISO14065に準拠したGHG排出量第三者検証機関である「ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社」から、GHG算定ルールに基づいた妥当性評価(限定的保証)を取得しています。GHGプロトコルや環境省・経済産業省・国土交通省の各種共同ガイドラインに適合した確からしい算定プロセスであることが裏付けられているため、対外的なサステナビリティ開示や監査対応においても高い信頼性を担保できます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

【向いている企業・現場】

  • 特定荷主に指定されており、省エネ法の定期報告対応に苦慮している企業
    輸送ルート別や委託運送会社別の排出量データを手動で取りまとめ、毎年の報告書に手入力する作業が多大な負担となっている企業の管理部門に向いています。自動作成支援機能により、定期報告業務の工数を最小限に抑えることが可能です。
  • Scope 3(輸送分野)の情報開示に向け、推計値ではなく実態に基づく一次データを収集したい企業
    国内外のSSBJ基準(サステナビリティ基準委員会)対応などの気候変動情報開示に向け、従来の金額や重量をベースとした大まかな二次データ(推計値)の算定から、実際の配送実績を伴う「一次データ」を活用した精緻な算定へと切り替えたい中堅・大手企業に適しています。
  • 多数の輸送事業者と取引があり、データの統合管理に課題を持つ荷主企業
    委託先ごとに報告されるデータの形式や算定方法がバラバラで、サプライチェーン全体の排出量データの一元化や共有に苦慮している場合、プラットフォーム上での共有・自動集計機能が課題解決に直結します。

【向いていない企業・現場】

  • 自社内に運行実績や輸送距離などの実績データがほとんど蓄積されていない企業
    GHGSCOPEは精緻な輸送実績データを基にした自動計算を強みとしているため、運行データ自体を保有していない場合は本来の機能を発揮できません。運送費用の総額や電気料金の請求書データなどから手軽に大まかなCO2排出量を概算したい段階にある企業は、請求書アップロード方式主体の別のツールを検討した方がよいでしょう。
  • 物流による排出量が極めて小さく、Scope 1・2の算定のみが目的の企業
    オフィスの電気や燃料など、自社が直接排出するエネルギー量の可視化が主目的である場合は、物流特有の算定アルゴリズムや企業間連携の機能は過剰スペックとなる可能性があります。全社的なScope 1・2管理に特化したシンプルなツールの導入を推奨します。
  • 一切の連携開発やデータ整備を行わず、基幹システム等から完全自動で連携させたい現場
    既存の基幹システムやWMS・TMS、元請け事業者の独自システムなどとの連携には、一定のデータフォーマット調整やAPI設計(CAMOTSU APIの活用等)が必要となります。システム間の自動連携を無償かつ標準機能のみで即時実現したい場合、事前の要件検証や開発コストが発生する点に注意が必要です。

料金・プラン・導入方法

GHGSCOPEの利用料金は、完全非公開(要問い合わせ)となっています。お客様の事業規模、データ連携を必要とするサプライチェーン企業(取引先や下請け運送会社)の数、データインポートの頻度、および既存システムとの連携要件などに応じて個別に見積もりが行われます。

料金を見積もる際や商談を進めるにあたって、事前に確認しておくべき実務的なポイントは以下の通りです。

  • アカウント数と連携対象企業数の課金ルール:自社のユーザー数だけでなく、データを共有・連携する外部の荷主企業や輸送事業者の数によって月額利用料金が変動するかどうか。
  • 初期導入・データ整備費用の有無:既存の輸送データ(CSVなど)を取り込む際のフォーマット構築支援や、API接続設定にかかる初期プロフェッショナルサービスの費用の有無。
  • 最低契約期間と解約の条件:SaaSとしての最低利用期間(例:1年間など)が定められているか、また途中で解約する場合のペナルティや手続きの条件。

導入の流れ・期間

GHGSCOPEの具体的な標準導入期間については公式に明記されておらず、要問い合わせとなります。しかし、提供元であったAdded社および現在提供しているゼロボード社の一般的なSaaSの導入フロー、ならびに輸送データのクレンジングを要するシステムの特性から、以下のようなステップで導入が進められます。

  1. お問い合わせと初期相談(無償対応)
    公式サイトのフォーム等から問い合わせを行い、担当者による課題ヒアリングや、そもそも排出量集計を必要とする法規制の背景などの相談を無償で実施します。
  2. 課題ヒアリング・活用方法の提案
    現在のデータ保有状況(どのような形式で輸送実績を記録しているか)を確認し、企業ごとの実務に応じたツールの活用方法や算定範囲、データクレンジングの方向性を提案されます。
  3. プラン提示・見積もり・契約
    必要なアカウント規模や、データ連携の要件に合致した見積もりが提示され、合意に至れば正式にSaaS契約を締結します。
  4. 初期設定・データインポート検証
    システム内に自社の組織情報や輸送事業者情報を設定します。また、実際に保有している過去の輸送データをインポートし、自動加工・計算のテストを行います。
  5. データ連携の本格開始・稼働
    データの取り込みを定期化し、実稼働を開始します。ダッシュボード上での可視化、特定荷主向けの定期報告書の作成、および関係するサプライチェーン企業とのデータ共有・連携を進めます。

連携できるシステム・機器

GHGSCOPEにおいて公開されているシステム連携に関する情報は以下の通りです。

  • CAMOTSU API
    提供元(旧Added)から、外部システムとシームレスにデータ連携を行うための「CAMOTSU API」が提供されています。これにより、社内の既存の物流基幹システム、WMS(倉庫管理システム)、あるいはTMS(輸配送管理システム)と連携し、運行データを自動的に取得する基盤を構築可能です。
  • EEGS(省エネ法・温対法・フロン法等共同システム)との連携
    日本政府の省エネ法等に対応した電子報告システム「EEGS」へのデータ登録に対応しています。システム内で自動集計された計算結果を報告書フォーマットに出力し、EEGSへとデータ連携を行うことで報告作業をワンストップ化します。

※その他の特定のWMS、TMS、ハンディターミナル、ERPなどのパッケージ製品との「標準で即時可能な連携機能」については、公式に明記されていません。連携を希望するシステムがある場合は、問い合わせ時に仕様を確認する必要があります。

導入事例・実績

GHGSCOPE単体での具体的な導入先企業については、公式サイトにおいて「国内大手物流企業複数社が利用を決定」と発表されているものの、具体的な社名は明記されていません。ただし、同事業を譲り受けた株式会社ゼロボードが、同じ技術・製品群(旧Addedが展開していたCAMOTSU、およびZeroboard)を活用して実施している大手企業での導入事例が確認されています。

  • SBSホールディングス株式会社(総合物流業)
    連結子会社40社以上、国内外に700以上の拠点を抱える大手総合物流の同グループでは、2025年3月4日付で「Zeroboard」および物流領域の「CAMOTSU」を導入しました。自社の企業活動によるGHG排出量を正確に算定するだけでなく、輸送サービス提供者として、顧客である「荷主」に対して正確な輸送における排出量を算定し、シームレスにデータを共有・連携するために活用されています。改正物流効率化法への対応や、実輸送データに基づく精緻な可視化の基盤として活用が進められています。

導入前に知っておきたいこと

導入を検討する段階で、事前に確認・理解しておくべき実務的な課題や変更点があります。

  • 多重下請け構造における「輸送実績データの収集」の現実的な負荷
    物流現場において、運行データや運賃データ、輸送実績の収集は、必ずしも自社だけで完結するとは限りません。下請け・孫請けといった多重下請け構造の中では、外部の運送事業者からのデータ取得が遅れたり、記録形式が揃っていなかったりすることが多くあります。GHGSCOPE自体にデータ自動加工や連携の仕組みは備わっているものの、導入初期には「関係する事業者とのデータ共有ルール決め」や、手元に集まるデータのクレンジング作業に一定の担当者工数を割く必要があります。
  • 運営体制およびブランド統合に伴う契約仕様の確認の必要性
    前述の通り、GHGSCOPEの事業は2025年11月に株式会社ゼロボードに事業譲渡されています。これにより、元々のアデッド(Added)社の体制からゼロボード社のプラットフォーム群に順次統合が行われています。今後、「Zeroboard」の他の機能(Scope 1やScope 2の算定ツール)とパッケージ化して導入する場合のライセンス料の仕組み、サポート契約の窓口変更、およびサービス自体の開発ロードマップについて、事前に最新情報をゼロボード社の担当窓口に直接確認することが極めて重要です。

類似ツールとの比較

物流分野のCO2排出量・カーボン管理に対応した、LogiShift内でも掲載実績のある主要な類似SaaSツールを、実績および仕様から比較しました。

ツール名 主な特徴 料金モデル 向いている企業
GHGSCOPE 輸送実績データを自動加工・算定。ISO14065に基づく妥当性評価取得済みでデータの信頼性が高い。旧Added開発、現ゼロボードに統合。 要問い合わせ(完全非公開) 輸送実績データを多く持ち、荷主・物流企業間での精緻なデータ連携や改正物流効率化法対応を進めたい中堅〜大手
ASUENE 企業全体・サプライチェーン全体のScope1〜3排出量を自動算定。コンサルティングと削減施策(カーボンオフセット等)の提案が手厚い。 要問い合わせ(完全非公開) 全社的な排出量算出と、CDP回答やSBT認定など第三者機関への高度な開示・脱炭素経営を本格化したい企業
e-dash 請求書のアップロード(スキャン)で手軽にScope1・2の算定が可能。製品単位(CFP)や物流Scope3の簡易対応も備える。 基本料金+従量課金(要問い合わせ) まずは手間や開発コストを抑え、電気・燃料の請求書を用いて素早くCO2算定を立ち上げたい中堅〜大手企業
CAMOTSU 輸送事業者と荷主間でのデータ共有、改正物流効率化法やEEGS報告、特定荷主の定期報告書作成に特化した旧Added製品。現在はゼロボードに統合。 要問い合わせ(完全非公開) 改正物流効率化法への対応や、特定荷主としての法的報告義務のデジタル化を最優先とする事業者・荷主

どのような企業条件でどのツールを選ぶべきか、具体的な判断基準は以下の通りです。

まず、「輸送実績そのものの『一次データ』を使い、特定荷主としての定期報告を省人化し、かつそのデータ品質に第三者の妥当性を求めたい場合」は、GHGSCOPEが非常に適しています。ISO14065に基づく妥当性評価を取得しており、アルゴリズムの信頼性が証明されているため、監査を前提とするような大手企業やそのサプライチェーンの算定基盤として実力を発揮します。

一方で、「物流の輸送単位だけでなく、企業全体の経営戦略としてScope1・2・3を包括的に算定し、かつCDP回答書の作成やSBTi目標の設定など、コンサルタントを交えた総合的な脱炭素化を推し進めたい場合」は、ASUENEが強力な候補になります。脱炭素経営を一気通貫でサポートする体制が整備されており、コンサルティングサービスとクラウドが強固に連携しているからです。

さらに、「手元の輸送事業者から実運行データを集めるのが難しく、まずは電気や燃料、運送コストといった各種請求書情報を基に、手軽かつローコストで全体の排出量を可視化するスモールスタートから始めたい場合」は、e-dashの検討を推奨します。初期設定の複雑さを回避し、運用フローをシンプルに維持しながら一定水準の可視化を始められる点が特徴です。

最後に、「改正物流効率化法の厳格な対応義務を抱える特定荷主であり、元請け・下請けや荷主との間の『物流データ共有や、実運送体制管理簿の補完、EEGSへのダイレクト登録』に完全にフォーカスして実務をデジタル化したい場合」は、GHGSCOPEの兄弟ツールとも言えるCAMOTSUを優先検討すると良いでしょう。

よくある質問(FAQ)

スマートフォン対応のアプリはありますか?
専用のスマートフォンアプリはありません。PCやタブレット端末のWebブラウザからアクセスして操作を行うクラウド型のWebサービス(SaaS)となっています。
無料の体験期間やデモ画面の確認はできますか?
無料トライアルについて、定額での一律の無償枠は公表されていません。ただし、企業ごとの輸送データや課題に応じた「無償の導入検討・相談窓口」が設けられており、そこで適切なプランの相談やシステムのデモ確認が可能です。商談プロセスを通じて個別に相談することを推奨します。
旧Added社からゼロボード社に事業が譲渡されたと聞きましたが、現在の問い合わせ窓口はどうなりますか?
2025年11月1日付の事業譲渡契約締結により、GHGSCOPEに関するすべての事業、契約、開発チームは株式会社ゼロボードに引き継がれました。現在の製品機能、サービスプラン、導入に関する新規のお問い合わせおよび既存ユーザーのサポート対応は、すべて「株式会社ゼロボード」が窓口となって運営されています。
最低契約期間や中途解約に関するペナルティの条件は決まっていますか?
最低契約期間、契約更新単位、解約条件などは公式情報としては一切公開されていません。商談時に提供される見積条件・契約条項の個別事項として必ずご確認ください。
トンキロ法や燃費法など、省エネ法の各種算定方式にはすべて対応していますか?
対応しています。省エネ法に定められたすべてのCO2排出量算定方法に対応しているため、保有しているデータの種類や精度(燃費データ、輸送距離と積載量、あるいは簡略化されたトンキロ情報など)に合致した最適な計算手法をシステム内で選択できます。
算定結果から出力される排出量データは、そのまま役所(経産省等)への定期報告等に使えますか?
可能です。GHGSCOPEは、経済産業省や国土交通省などのガイドライン、および国内の各種温室効果ガス算定基準に適合した計算アルゴリズムを採用しています。また、政府の報告システム「EEGS」などに対応した定期報告書の自動作成支援機能を備えているため、出力された値を公式な報告フォーマットへ直ちに反映させられます。
自社のWMS(倉庫管理システム)や基幹システムとAPIでデータを自動連携することは可能ですか?
技術的には可能です。システムには「CAMOTSU API」などのデータ連携用インターフェースが用意されています。ただし、標準のまま即時ノンカスタマイズで自動連携できるシステムの種類は限られており、多くは自社システムのデータフォーマットに合わせた個別設計やAPIの組み込み支援が必要となります。導入ステップにおいて、事前にデータ連携仕様の確認窓口を設けることをお勧めします。

参照・出典

他のCO2排出量管理システムと比較する

GHGSCOPEの特徴を含むCO2排出量・カーボン管理の12製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

CO2排出量管理システム比較12選