e-dashとは?
e-dashは、三井物産発のスタートアップであるe-dash株式会社が開発・提供する、企業の脱炭素経営を総合支援するクラウド型CO2排出量算定・可視化プラットフォームです。電気や都市ガス、燃料などの請求書をアップロードするだけで使用量を自動データ化し、Scope 1・2の温室効果ガス排出量を手軽に算出できます。さらにScope 3の算定や製品単位のカーボンフットプリント(CFP)算出、各種報告書の出力、三井物産グループ等のネットワークを活かした具体的な削減施策の実行支援までを幅広くカバーしています。
主な機能
CO2排出量・エネルギー算定機能(Scope 1・2)
- 請求書アップロードによる自動データ化
電気・ガス・ガソリン・軽油などの月次請求書(PDFや画像)をWeb画面からアップロードするだけで、AIおよびシステムがエネルギー使用量・コストを自動でデータ化します。手作業による入力工数や転記ミスを大幅に抑制し、確証(証票)を紐付けた形で正確な排出量データを蓄積できます。 - 最新の排出係数データベース自動適用
環境省や経済産業省が公表するガイドライン・排出係数、および各電力会社の事業者別排出係数をシステム側で定期的に自動更新・適用します。法改正や毎年の係数改定にユーザー自身が追従する手間を省き、監査や対外開示に耐えうる正確な算定を維持できます。 - 拠点別・エネルギー別の一元管理ダッシュボード
本社、物流拠点、工場、営業所など複数拠点のエネルギー使用量・コスト・CO2排出量を1つの画面で可視化します。拠点ごとの進捗状況の把握や拠点間でのエネルギー効率の比較分析が直感的に行えます。
サプライチェーン排出量管理(Scope 3・CFP)
- Scope 3網羅的算定機能
自社活動以外のサプライチェーン上流・下流で発生するGHG排出量(Scope 3の各カテゴリ)を算定します。特に物流領域において重要となるカテゴリ4(上流輸送・配送)やカテゴリ9(下流輸送・配送)の排出量集計に対応し、サプライチェーン全体像の把握を支援します。 - 製品別カーボンフットプリント(e-dash CFP)
原材料調達から製造、流通・物流、使用、廃棄に至る製品のライフサイクル全体(LCA)で発生するCO2排出量を算出・管理します。サプライヤー連携基盤を活用し、取引先から求められる製品単位の排出量開示要求へ迅速に対応できます。 - サプライヤー対話・アンケート機能(e-dash Survey)
取引先企業に対してESG関連データや排出量データを効率的に収集・集計するためのアンケート支援基盤を提供します。データ収集が難航しやすいScope 3の一次データ収集において、サプライヤーとの円滑な対話とデータ連携を後押しします。
分析・報告・削減実行支援
- 各種イニシアチブ・法定報告レポート作成
温対法・省エネ法の定期報告書に必要なデータ整理や、TCFD、CDP、SBTiなどの国際的な開示フレームワークに沿ったデータ出力を支援します。集計データのCSV出力や報告フォーマットへの転記がスムーズになり、サステナビリティ担当者の報告書作成負荷を軽減します。 - 具体的なCO2削減ソリューション連携
可視化にとどまらず、再エネ電力への切り替え、非化石証書・カーボンクレジットの調達、省エネ設備の導入提案など、排出量削減に向けた具体的な打ち手をプラットフォーム上から検討・実行できます。物流領域では三井倉庫ホールディングス等との提携により、精緻な輸送データ分析や物流脱炭素化の改善提案も受けられます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
全国に多数の物流倉庫・営業拠点を展開し、光熱費や燃料の伝票集計に追われている企業
- 拠点ごとの紙やPDF請求書の集約・Excel手入力に月数百時間を費やしている
e-dashの請求書アップロード機能を使えば、現場担当者が請求書をシステムに投入するだけでエネルギー量とCO2排出量が自動算出されるため、本社管理部門への集約業務や手入力の手間を大幅に削減し、集計ミスのリスクを排除できます。 - 拠点ごとのエネルギーコストと排出量の推移を横断比較したい
ダッシュボード上で拠点別・エネルギー種別(電気・ガス・重油・軽油など)の使用量とコスト推移を一覧比較できるため、エネルギー効率が低下している非効率な拠点を迅速に特定し、設備更新や省エネ施策の優先順位付けを行えます。
荷主や取引先からScope 3や製品単位(CFP)の環境データ開示を求められている製造・流通企業
- Scope 3算定のノウハウがなく、サプライヤーからのデータ収集が進まない
「e-dash Survey」などのサプライヤー対話機能や専門コンサルタントによる伴走支援を活用することで、データ収集フローを標準化し、取引先の脱炭素要請に遅滞なく対応できる体制を構築できます。 - 製品や物流モードごとの排出量を算出して環境配慮型サプライチェーンをアピールしたい
「e-dash CFP」の活用および三井倉庫HD等のアライアンス先との連携により、輸送・配送を含めた製品ライフサイクル全体の排出量を可視化し、対外開示や環境価値を付加した提案活動に活用できます。
向いていない企業・現場
デジタルタコグラフや動態管理システムと直結したミリ秒単位の輸配送排出量管理を求める現場
- 車両ごとの積載率・走行ログからリアルタイムに便単位のCO2排出量を自動算出・配車連動させたい
e-dashは請求書や活動量データをもとにした月次・年次の企業単位・事業所単位・製品単位の算定に主眼を置いたプラットフォームです。TMSや車載器(デジタコ)のリアルタイム動態データと連動した即時運行別算定を行う場合は、輸配送領域に特化したTMS連携型ツールやCAMOTSUなどの物流特化型ソリューションの併用・検討が適しています。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| e-dash | 請求書アップロードによる自動算定、Scope 1〜3対応、製品単位CFP、削減施策実行まで一貫支援 | 初期費用要問い合わせ・月額10,000円(税抜)〜(拠点数等に応じた従量制) | 請求書集計の手間を削減したい中小〜大手企業、CFPや削減施策まで幅広く取り組みたい企業 |
| Zeroboard | GHGプロトコル準拠の算定基盤。AIST-IDEA搭載、国際規格対応、サプライチェーン連携に強み | 要問い合わせ | グローバルサプライチェーンを持つ大企業、多言語・海外拠点算定を重視する企業 |
| ASUENE | 導入実績豊富。AI-OCRによるデータ自動連携、Scope 1〜3算定からESG情報開示・削減コンサルまで伴走 | 要問い合わせ | 豊富なコンサルティング伴走を求める企業、ESG全般の評価改善を進めたい企業 |
| CAMOTSU | 輸送事業者と荷主間で輸送データ・CO2排出量を共有。改正物流効率化法や特定荷主報告に特化 | 要問い合わせ | 荷主・物流事業者間で輸送データを直接突合し、法定義務の輸送排出量報告を効率化したい企業 |
e-dashは、電気やガス、燃料などの請求書をアップロードするだけで手軽にScope 1・2の算定が開始できる点が大きな特徴です。小規模な拠点展開からでも月額1万円台という低コストで導入でき、三井物産グループの調達力やパートナーシップを活かした再エネ切替やクレジット調達などの「可視化後の削減施策」までスムーズにつなげられる強みがあります。
一方、サプライチェーン全体の国際的な開示基準(CSRDやISSBなど)や海外拠点を多数含む包括的なデータ基盤を構築したいエンタープライズ企業であればZeroboardやASUENEが有力な選択肢となります。また、輸配送に特化して荷主と運送会社の間で運行・積載データを共有し、物流効率化法対応の定期報告書作成を主目的とする場合はCAMOTSUやEcoLogiPortalのような物流特化型ソリューションとの棲み分けを検討するとよいでしょう。
料金・プラン・導入方法
e-dashの利用料金は、管理する拠点数や利用機能(Scope 3管理機能、e-dash CFP、e-dash Surveyなどのオプション)に応じた月額課金モデルとなっています。
| 項目 | 料金(税抜) | 備考 |
|---|---|---|
| 基本月額利用料 | 10,000円〜 | 管理拠点数に応じて変動(5拠点まで一律、6拠点以上は1拠点あたり追加加算等) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 導入規模や初期データ投入サポート、コンサルティング有無により異なる |
| オプション機能 | 要問い合わせ | Scope 3管理、e-dash CFP、e-dash Survey、省エネ法報告機能など |
| 無料トライアル | あり(2ヶ月間無料等) | キャンペーン時期や提携金融機関経由等により提供条件が異なる場合あり |
見積もり取得時には、以下のポイントを確認することをおすすめします。
- 管理対象となる拠点数・施設数の定義
自社保有の事業所・倉庫だけでなく、賃借物件や営業所をどのようにカウントするかを確認します。 - Scope 3算定およびCFP算定の範囲
基本プランに含まれる算定範囲と、有償オプションとなる算定カテゴリ・製品数の条件をすり合わせます。 - BPO・コンサルティング支援の必要性
請求書データ化以外の複雑な活動量データの収集や、削減ロードマップ策定の伴走支援(BPaaS等)を依頼するかどうかで費用構成が変わります。
導入の流れ・期間
e-dashを導入する際の標準的なフローは以下の通りです。
- お問い合わせ・ヒアリング
公式サイトまたは提携金融機関等の窓口から問い合わせを行い、自社の拠点規模や脱炭素の取り組み状況、算定目的(Scope 1・2のみ、Scope 3、CFP等)を相談します。 - デモ画面確認・無料トライアル
実際の管理画面や請求書アップロード機能のデモを確認し、要件に応じてトライアル環境で操作感やデータ化精度を検証します。 - プラン確定・契約
管理対象拠点数や利用オプションに応じた見積もりを確認し、利用契約を締結します。 - 初期設定・アカウント発行
会社基本情報、会計年度の開始月、拠点マスタ(倉庫・営業所名義など)の登録を行います。 - 請求書・活動量データの投入(運用開始)
各拠点の過去分および当月分のエネルギー請求書をアップロードし、算定・可視化運用をスタートします。
※導入決定から初期稼働までの具体的な期間は、対象拠点数や初期データ量により異なるため、詳細はベンダーへお問い合わせください。
導入事例・実績
e-dashは、地域金融機関や自治体、商工会議所との提携を通じて、全国の製造業・物流業・中小企業から大企業まで幅広い導入支援実績を持っています。
- 三井倉庫ホールディングスとの業務提携(物流脱炭素支援)
三井倉庫HDの脱炭素物流支援サービス「SustainaLink」と連携し、e-dashでのScope 1〜3網羅的算定に加え、Scope 3カテゴリ4・9(輸送・配送)における輸送ルートや積載率を踏まえた精緻な排出量算定と改善支援の仕組みを提供しています。 - 東京都大田区 脱炭素化支援事業(区内企業20社の可視化)
大田区からの委託事業として、町工場を中心とする区内企業20社を対象に「e-dash」を活用したCO2排出量の算出・可視化と削減施策の提案を実施。中小製造業における脱炭素経営の定着を支援しています。 - 太田商工会議所(群馬県)との業務提携
「商工会議所CO2見える化サポート」を通じて、地域の中小企業・製造業が低コストかつ簡便にScope 1・2・3のCO2排出量を可視化し、具体的な削減行動へと移行できる体制づくりを支援しています。
導入前に知っておきたいこと
- 非定型の燃料伝票や運賃データの手動補正
電気や都市ガスなどの標準的な月次請求書は高精度に自動データ化されますが、特殊な燃料伝票や個別の輸送伝票、取引先ごとの特殊なフォーマットについては、一部手動での確認やデータ整形作業が必要になる場合があります。 - 社内各拠点における請求書回収オペレーションの確立
システム自体は請求書を投入するだけで自動計算されますが、全国の物流センターや営業所から毎月の請求書を期日通りに回収・アップロードする社内運用ルールの整備が不可欠です。 - Scope 3・CFP算定における一次データ取得の難易度
自社排出量(Scope 1・2)に比べて、サプライヤーから輸送データや調達データを収集するScope 3やCFPの算定は、取引先の協力体制に依存するため、計画的なコミュニケーションと段階的な精緻化が求められます。
よくある質問(FAQ)
- 利用にあたって専用ソフトウェアのインストールは必要ですか?
- クラウドSaaS型サービスのため、専用ソフトのインストールは不要です。Google ChromeやMicrosoft Edgeなどの一般的なWebブラウザからインターネット経由でアクセスして利用できます。
- スマートフォンやタブレットから操作できますか?
- Webブラウザ経由での閲覧に対応していますが、請求書の大量アップロードや詳細なデータ分析、レポート出力等の実務はPCのWebブラウザ環境での操作が推奨されます。
- 無料トライアルやデモ画面の確認は可能ですか?
- はい、無料トライアルやデモ画面を用いた操作説明が提供されています。提携金融機関経由や公式窓口からの申し込みにより、実際の画面仕様や操作感を事前に確認できます。
- 算定結果は温対法や省エネ法の定期報告にそのまま使えますか?
- 環境省・経済産業省のガイドラインに準拠した算定方式および排出係数を採用しており、省エネ法報告支援機能(オプション)などを活用して報告に必要な数値を効率的に整理・出力できます。
- サポート体制はどのようになっていますか?
- システム内のヘルプセンターやお問い合わせフォームからのサポートに加え、運用定着を支援するカスタマーサクセスや、データ投入・算定業務を代行するBPO支援サービス(BPaaS)も提供されています。
- 最低契約期間や解約条件はどうなっていますか?
- 基本プランにおける契約条件や最低利用期間の有無、オプション追加時の契約単位は契約形態により異なりますので、見積もり時に担当窓口へご確認ください。