EcoLogiPortalとは?
EcoLogiPortalは、大手3PLのロジスティード株式会社(旧・日立物流)およびロジスティードソリューションズ株式会社が提供する、サプライチェーン輸配送領域に特化したCO2排出量可視化クラウドソリューションです。「出荷元住所・納品先住所・輸送重量」の3つの基礎データを取り込むことで、精緻な排出量算定と多角的な分析を迅速に実現します。同社のサプライチェーン最適化基盤「SCDOS」の一環として開発され、第三者認証機関(LRQA)の適合性評価を取得した算定ロジックを搭載しています。荷主や物流企業が直面するScope3算定の手間を解消し、脱炭素に向けた具体的な共同配送やモードシフトなどの改善施策立案を強力に支援します。
主な機能
EcoLogiPortalは、物流現場の実態に即したデータ収集から、ISO規格に準拠した算定、削減施策の検証までを一気通貫でカバーする機能を備えています。機能群は大きく「データ連携・算定エンジン」「ダッシュボード・多軸分析機能」「外部システム・サプライチェーン連携」に分類されます。
データ連携・算定エンジン
- 基礎データ自動収集・一括取り込み
WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、基幹システムから出力される出荷明細、運行実績データ、Excelファイルを自動または手動で一括取り込みできます。拠点や委託先ごとに散在していた輸送データを集約する工数を大幅に削減し、月次や年次の算定作業を迅速化します。 - 高精度排出量算定(ISO14064準拠)
出荷元住所、納品先住所、輸送重量の3要素をベースに、輸送経路の選択や距離情報、車格設定などを加味した精緻なパラメータでCO2排出量を自動計算します。国際規格ISO14064に準拠し、第三者認証機関(LRQAリミテッド)から適合性評価声明書を受領しているため、対外開示や環境報告書にも耐えうる高い信頼性を担保します。 - 積載率・実運送データの精緻化
一般的なトンキロ法による平均値推計だけでなく、実輸送における積載率や車両タイプを反映させた算定が可能です。実態に即した数値を算出することで、過大・過小評価を防ぎ、現場の改善努力が排出量削減の数値としてダイレクトに反映される環境を整えます。
ダッシュボード・多軸分析機能
- BIプラットフォーム「Domo」連動ダッシュボード
クラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を基盤に採用し、直感的なUIでCO2排出量の推移や構成比をグラフィカルに可視化します。専門的なデータ分析スキルがない担当者でも、全社・事業部門・拠点ごとの環境負荷状況を瞬時に把握できます。 - 多角的な切り口によるドリルダウン分析
輸送モード別(トラック、鉄道、船舶、航空)、拠点別、取引先別、納品先別、商品カテゴリ別など、多様な粒度で排出データを分解・比較できます。排出量の絶対値が大きいホットスポットや、積載効率の低い非効率な輸送ルートを容易に特定できます。 - 削減シミュレーション・KPI管理
大型車から中小型車への車種変更、混載便の活用、モーダルシフト(鉄道・海上輸送への転換)などを実施した場合のCO2削減効果を画面上でシミュレーションできます。設定した削減目標KPIに対する進捗を定常的にモニタリングし、PDCAサイクルの高速化を支援します。
外部システム・サプライチェーン連携
- SAP基幹システム・サステナビリティ管理連携
SAPの公式マーケットプレイス「SAP Store」に対応し、「SAP Sustainability Control Tower」や「SAP Sustainability Footprint Management」とのデータ連携が可能です。EcoLogiPortalで算定した物流(Scope3)データをSAP上に集約し、全社のScope1・2を含む包括的なESG経営管理を一元化できます。 - 「ASUENE」データ連携
アスエネ株式会社が提供するCO2排出量算定クラウド「ASUENE」との連携機能を備えています。ASUENE導入企業は、算定難易度が高い輸配送領域のデータをEcoLogiPortalからシームレスに取り込み、サプライチェーン全体の脱炭素管理をワンストップで完結できます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
荷主として多数の物流委託先や輸送モードを抱え、Scope3(輸送領域)の正確な把握に苦慮している企業
- 委託先ごとにデータ形式が異なり、排出量集計に膨大な時間がかかっている
出荷元住所・納品先住所・輸送重量という基本項目さえあれば、既存のWMS・TMSやExcelデータから自動集計・算定を行えます。これにより、従来2か月近く要していた集計・分析結果の取りまとめを最短数日にまで短縮し、担当者の業務負荷を大幅に軽減できます。 - 環境省などの業界平均原単位による概算値ではなく、実運送に即した高精度な算定を行いたい
第三者認証機関(LRQA)の適合性評価を受けたロジックと積載率・輸送距離データを活用し、ISO14064準拠の精緻な排出量を算出します。有価証券報告書やCDP質問書、SBT認定などの対外開示においても説明責任を果たせる強固なエビデンスを確保できます。 - 可視化だけでなく、輸送効率化やコスト削減につながる現場改善アクションを起こしたい
納品先別・輸送モード別の積載率とCO2排出量をクロス分析することで、積載率が低い大型便の見直しや混載化、共同配送への移行といった施策を具体化できます。日本トムソンの事例のように、環境負荷低減と輸送コスト削減の両立を図ることが可能です。
SAP等の基幹ERPや「ASUENE」を全社導入しており、物流データを統合したいグローバル・大手企業
- 全社のサステナビリティ管理システムと物流現場の算定データを統合したい
「SAP Sustainability Control Tower」や「ASUENE」との公式API/データ連携に対応しているため、基幹システム側でScope1〜3の全社データを統合管理できます。部門間のデータ分断を防ぎ、経営陣が迅速に脱炭素投資の意思決定を下せる体制を構築できます。
向いていない企業・現場
自社保有車両のみの小規模配送が中心で、輸配送データの電子管理が進んでいない企業
- 配送ルートや車両台数が限定的で、Scope1・2の燃料消費量把握だけで事足りる
EcoLogiPortalはサプライチェーン全体のScope3輸送領域や複雑な物流網の分析に強みを持つため、自社トラック数台の軽微な運行管理であれば、燃料伝票の集計や汎用的な温室効果ガス算定ツールで十分な場合があります。自社リソースとコストのバランスを考慮する必要があります。 - 出荷伝票や運行データが紙ベースで管理されており、デジタルデータが存在しない
EcoLogiPortalで自動算定を行うには、最低限「出荷元・納品先・重量」の電子データが必要です。基幹システムやWMSのデータ出力環境が整っていない企業の場合、まず社内物流データの電子化・デジタル基盤整備を先行させる必要があります。
類似ツールとの比較
CO2排出量算定・可視化クラウドの主要ツールとEcoLogiPortalを比較します。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| EcoLogiPortal | ロジスティードの物流ノウハウを活かした輸送特化型算定エンジン。ISO14064準拠、SAP・ASUENE連携対応。 | 要問い合わせ | 複雑な輸配送網(Scope3 カテゴリ4・9)の精緻な可視化と輸送効率化を両立したい中堅〜大手荷主・物流企業 |
| ASUENE | Scope1〜3全カテゴリに対応する総合クラウド。AI-OCRによる請求書読取や包括的なSXコンサルティングが強み。 | 要問い合わせ | 企業全体の温室効果ガス排出量を網羅的に算定・開示し、全社的な脱炭素経営を推進したい企業 |
| Zeroboard | サプライチェーン全体のScope1〜3算定に対応。国際基準整合性やサプライチェーン間データ連携に強い。 | 要問い合わせ | 国内外のサプライヤーを含めた広範なサプライチェーン全体の排出量連携・国際開示を目指す企業 |
| CAMOTSU | 荷主と運送事業者間のデータ共有に特化。改正省エネ法・改正物流効率化法の定期報告書作成支援に強み。 | 要問い合わせ | 法改正対応や特定荷主としての定期報告書作成を主目的とし、実運送事業者とデータ連携したい企業 |
ツール選定における最大の判断基準は、「企業全体の網羅的算定(Scope1〜3全体)」を目指すのか、「輸配送領域(Scope3 カテゴリ4・9)の精緻な分析と物流改善」を目的とするのかにあります。
全社的なカーボンニュートラル宣言や統合報告書作成に向けて、電気・ガス使用量や調達品全体の排出量を広く浅く一括管理したい場合は、ASUENEやZeroboardなどの全社型GHG算定プラットフォームが適しています。
一方、サプライチェーンにおいて物流部門の排出割合が大きく、概算値ではなく積載率や輸送ルートに基づく精緻な排出量を把握し、共同配送や積載効率改善などの具体的な物流改革アクションまで踏み込みたい場合は、ロジスティードの知見が組み込まれたEcoLogiPortalが有力な選択肢となります。なお、EcoLogiPortalはASUENEやSAPとも連携できるため、併用・連携運用によるハイブリッドな導入構成も可能です。
料金・プラン・導入方法
EcoLogiPortalの利用料金は完全非公開となっており、公式には公表されていません。導入企業の出荷データ量、連携する拠点数・システム構成、シミュレーション機能等のオプション利用範囲に応じた個別見積もりとなっています。
料金体系はSaaS型の月額課金モデルを採用していますが、導入検討時の見積もり取得においては以下のポイントをベンダーに確認することが推奨されます。
- 課金単位の基準
月間の処理レコード件数(出荷伝票行数・運行データ数)に応じた従量・段階定額制か、連携する拠点数やユーザーアカウント数に基づく料金体系か。 - 初期導入・データ整備費用の有無
既存のWMS・基幹システムからのデータ抽出・マッピング設計、初期設定サポートに伴う初期構築費用の発生有無。 - 契約期間とサポート範囲
最低契約期間の定めや、排出量算定後の物流改善コンサルティング(SCDOS連携サービス等)が含まれるかどうかの確認。
導入の流れ・期間
EcoLogiPortalの導入フローは、一般的なSaaS導入手順に沿って進行します。具体的な導入期間はシステム連携の規模によって変動するため要問い合わせとなりますが、標準的なステップは以下の通りです。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの問い合わせ窓口やセミナー等を通じて連絡し、自社の物流体制、取り扱いデータ(WMS/TMSの出力項目)、算定目的を共有します。 - デモ・サンプルデータ検証(PoC)
過去の出荷明細や運行実績などのサンプルデータを提供し、EcoLogiPortal上での算定精度やダッシュボードの表示イメージを確認します。 - 要件定義・見積もり・契約
連携方式(API連携または定期ファイル取り込み)、分析対象範囲を決定し、正式な見積もりを取得して利用契約を締結します。 - 初期データ連携設定・マッピング
自社システムから出力されるデータ項目(出荷元住所・納品先住所・重量等)とEcoLogiPortalの入力フォーマットとの紐付け(マッピング設定)を行います。 - 本番稼働・定期運用
データの定期取り込みを開始し、ダッシュボードでのCO2排出量モニタリングおよび削減施策のシミュレーション運用へと移行します。
導入事例・実績
EcoLogiPortalは、大手3PLプロバイダーとしてのロジスティードの基盤を背景に、製造業をはじめとする100社以上の企業に導入・活用されてきた実績を持ちます。
日本トムソン株式会社(機械・ベアリング製造)
- 導入背景・課題
サプライチェーンにおける物流CO2排出量の精緻な把握と、環境負荷低減に向けた具体的な管理指標(KPI)の設定が急務となっていました。従来の業界平均値ベースの算定では、現場の効率化努力が反映されない点が課題でした。 - 導入効果
EcoLogiPortalの導入により、CO2排出量だけでなく納品先ごとの積載率まで詳細に把握できるようになりました。積載率が低迷していた納品先に対して、大型トラックによる少量配送を見直し、小型トラックでの混載配送へと切り替える運用改善を実施しました。その結果、CO2排出量の確実な削減とともに、物流コストの最適化と業務効率化を同時に達成しました。
データ集計・分析業務の大幅なスピード向上
クラウドデータ基盤「Domo」との統合により、顧客企業から出荷サンプルデータを受領してから分析結果を提供するまでに従来約2か月を要していた期間が、最短2日〜1週間程度へと約90%以上短縮された事例が報告されています。これにより、年次報告にとどまらず、月次単位での迅速な削減施策のPDCAサイクルが可能になっています。
導入前に知っておきたいこと
公開情報および製品の特性から確認できる注意点・検討ポイントは以下の通りです。
- 元データの品質(住所・重量データ)への依存
EcoLogiPortalは「出荷元住所・納品先住所・輸送重量」を基点に算定を行うため、荷主側の基幹データにおいて重量情報の欠損や住所の表記ゆれが存在する場合、事前のデータクレンジング作業が必要になります。 - 可視化後の「施策実行」における社内外の調整
ロジスティードの公開情報でも指摘されている通り、CO2排出量の可視化に成功しても、実際のトラック台数削減やモーダルシフト、共同配送の実現には荷受先とのリードタイム調整や運送事業者との協議など、業務プロセスの合意形成が別途必要になります。 - 単体では輸送領域以外のScope1・2に対応しない点
EcoLogiPortalは物流(輸送領域)に特化したソリューションであるため、自社工場の電力使用量など全社Scope1・2の算定を行うには、連携先である「ASUENE」や「SAP」などの総合ESG管理ツールとの併用を前提とする必要があります。
なお、現時点ではSNSやレビューサイト等における一般ユーザーからのネガティブな口コミ・不満に関する公開情報は確認されていません。
よくある質問(FAQ)
- EcoLogiPortalを利用するにあたって、どのような元データが必要ですか?
- 基本的に「出荷元住所」「納品先住所」「輸送重量」の3つのデータ項目を含む出荷明細や運行実績データがあれば算定が可能です。WMS、TMS、基幹システムから出力されたCSVやExcelデータを取り込むことができます。
- モバイル端末やスマートフォンアプリでの利用に対応していますか?
- 専用のスマートフォンアプリの提供は確認されていません。PCのWebブラウザを通じてクラウド上のダッシュボードにアクセスして利用するWebアプリケーション形式となっています。
- 無料トライアルやデモ画面の確認は可能ですか?
- 一般向けのセルフサインアップ型無料トライアルは公開されていません。導入検討企業向けにデモやサンプルデータを用いた検証(PoC)が実施されているため、公式サイトより問い合わせて個別相談を行う必要があります。
- 算定結果は省エネ法や温室効果ガス関連の公的報告・国際開示に利用できますか?
- 利用可能です。EcoLogiPortalの算定ロジックはISO14064規格に準拠し、第三者認証機関(LRQAリミテッド)の適合性評価声明書を受領しているため、環境省への報告やCDP、SBT等の対外開示資料のエビデンスとして活用できます。
- 導入後のサポート体制やコンサルティング支援はありますか?
- 提供元であるロジスティードのサプライチェーンイノベーション部・DX戦略部門がサポート窓口を担っており、データ連携の初期支援に加えて、3PL大手としての知見を活かした物流改善・共同配送などの施策立案支援(SCDOS連携)が提供されています。
- 最低契約期間や解約条件はどうなっていますか?
- 最低契約期間および解約ポリシーに関する公式情報はWeb上に公開されていません。利用規模や個別カスタマイズの有無によって条件が異なるため、見積もり・商談時にご確認ください。