SustainaLinkとは?国際輸送対応の物流GHG排出量算定機能や強みを解説

物流が抱える環境・労働力等のリスクに対応するソリューションで、国際輸送を含む精緻な物流GHG排出量算定サービスを提供します。ISO14083規格にも対応しています。

料金モデル
要問い合わせ
対象規模
大企業向け
対象業界
物流・倉庫業 製造業 自動車・部品 医薬品・医療

SustainaLinkとは?

SustainaLink(サステナリンク)は、三井倉庫ホールディングス株式会社が提供する、物流サプライチェーンの持続可能性(サステナビリティ)向上を支援する総合ソリューションサービスです。企業の脱炭素経営において課題となりやすいScope3(サプライチェーン排出量)の輸送・配送領域に対し、国内輸送から国際輸送まで対応した精緻なGHG(温室効果ガス)排出量の算定・可視化を提供します。さらに、総合物流企業としての知見とアセットを活かし、算定にとどまらずモーダルシフトや共同配送といった実際の物流オペレーションを通じた排出量削減施策の実行までを一気通貫で支援します。

主な機能

SustainaLinkは、物流領域におけるCO2排出量の算定・可視化から、データ分析、実際の輸送オペレーション改善までを多面的にサポートする機能を備えています。主要な機能群は以下の3つに大別されます。

CO2排出量算定・可視化機能

  • MS CO2 Analyzer(一括・詳細算定サービス)
    荷主企業から提供された物流実績データ(発着地、重量、輸送手段など)をもとに、CO2排出量を一括かつ精緻に算定するサービスです。国際規格「ISO 14083:2023」や「GLEC Framework」などのグローバル基準に準拠しており、第三者評価機関(DNV)による妥当性評価も取得しています。荷主側で複雑なデータ前処理や専門知識を用意することなく、高品質なScope3排出量データを算出できます。
  • MS CO2 Navigator(簡易算定ツール・特許取得)
    貨物重量、輸送手段、出発地・到着地の3要素を入力するだけで、国内外の輸送に伴うCO2排出量を手軽に算出・比較できるツールです(特許第7627249号取得)。直感的な地図UIや入力補助サジェスト機能を備えており、輸送モード(トラック・鉄道・内航船・航空・外航船など)の違いによる排出量の差をスピーディにシミュレーションできます。
  • 国際複合一貫輸送の算定対応
    陸上輸送・海上輸送・航空輸送が組み合わさる国際物流において、各区間や地域ごとに異なる排出原単位を適用して算定できます。海外拠点を含むグローバルサプライチェーン全体の排出量を高い精度で把握可能です。

データ分析・レポーティング機能

  • 多軸分析・ボトルネック特定
    算定結果を輸送レーン別、発着拠点別、製品・品目別、輸送モード別、月次別などの切り口で詳細に集計・可視化します。サプライチェーンのどの区間や輸送方法が最大のCO2排出源(ボトルネック)になっているかを明確に特定できます。
  • ESG・サステナビリティ開示向けレポート作成
    有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示をはじめ、CDP質問書への回答、SBT(Science Based Targets)認定申請などに活用可能な形式で算定データを取りまとめます。客観的根拠に基づくデータを提供することで、開示情報の信頼性向上に寄与します。

脱炭素物流・オペレーション改善支援機能

  • モーダルシフト設計・実行支援
    長距離トラック輸送から鉄道や内航船へのモーダルシフトをシミュレーションし、CO2削減効果とコスト・リードタイムのバランスを考慮した最適ルートを設計・運用します。三井倉庫グループの輸送ネットワークを活用した実運送への移行まで対応可能です。
  • 輸送効率化・共同配送スキームの構築
    複数荷主間での共同配送やミルクラン輸送の設計、積載率向上のための荷姿改善などを提案します。CO2排出量の削減と同時に、トラックドライバー不足(2024年問題)への対策や輸送コストの最適化を両立させます。
  • 物流拠点・ネットワーク最適化(BCP・省人化対応)
    環境負荷低減だけでなく、労働力不足に対応した倉庫内の省人化・自動化支援や、災害リスクを考慮した代替拠点・代替輸送ルートの選定など、サプライチェーンの強靭化を統合的に支援します。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

グローバルサプライチェーンを展開し、国際規格に準拠した精緻なScope3開示が求められる大企業

  • 従来の「料金法」による概算では正確な開示や削減効果の把握ができないという課題
    国内外の輸送実績データをもとに「トンキロ法」や国際規格「ISO 14083:2023」に準拠した方式で算定を実施します。運賃変動の影響を受けずに実態に即した精緻な排出量を把握でき、有価証券報告書やCDPなどの外部開示において客観性と信頼性の高いデータを提供できます。
  • 海外法人やグループ各社で物流データの管理粒度がバラバラで集計工数が膨大という課題
    「MS CO2 Analyzer」のデータ処理ノウハウにより、出発地・到着地・輸送手段・重量といった最小限の必要項目から一括算定が可能です。グループ各社に過度なデータ整備負荷をかけることなく、サプライチェーン全体の排出量集約を効率化できます。

CO2の可視化だけでなく、モーダルシフト等の具体的な物流オペレーション改善まで完結させたい企業

  • 算定ツールを導入して排出量は分かったが、自社だけでは具体的な削減施策をどう実行すべきか分からないという課題
    総合物流企業である三井倉庫グループの専門知見を活かし、データ分析に基づいたモーダルシフト、共同配送、拠点配置見直しなどの具体的な削減策を立案し、実際の運送・倉庫オペレーションまで一気通貫で受託・推進できます。これにより、計画倒れにならず実効性の高いCO2削減と物流効率化の推進につながります。

向いていない企業・現場

自社完結の国内近距離配送が中心で、月次の請求書アップロード等による簡易管理のみを希望する中小企業

  • 国際輸送や複雑な物流網を持たず、全社CO2排出量を手軽かつ低コストに概算管理したいという状況
    SustainaLinkはグローバル基準の精緻な物流算定や実際のオペレーション改善に強みを持つため、小規模な国内配送のみを行う企業には機能やサポート範囲が過剰となる場合があります。このような場合は、請求書データの読み込み等で手軽に企業単位の排出量を可視化できる汎用的なカーボンマネジメントSaaS(e-dashなど)の利用を検討する方が適しています。

自社の担当者がブラウザ上で随時データを直接インポートし、セルフ完結で即時ダッシュボード運用したい企業

  • 物流会社によるデータ前処理や分析コンサルティングを介さず、完全自社運用型のSaaSシステムを求めている状況
    SustainaLinkの「MS CO2 Analyzer」は、三井倉庫側に物流データを提供して高品質な一括算定や分析を受けるサービスモデルが中心です。自社システムとのAPI常時連携や、社内担当者が完全にセルフで画面操作を完結させるソフトウェアを探している場合は、スタンドアロン型のSaaSツール(ZeroboardやASUENEなど)を比較検討するのが現実的です。

類似ツールとの比較

ツール名 特徴 料金 向いている企業
SustainaLink 三井倉庫HDが提供。国際規格ISO 14083準拠の精緻な物流算定と、物流オペレーションを通じた削減実行まで一気通貫対応。 要問い合わせ(無料算定トライアル・簡易ツールあり) 国際輸送を含むグローバル大企業、Scope3の精緻な開示やモーダルシフト等まで実行したい企業
Zeroboard Scope1〜3の算定・可視化を網羅するクラウドサービス。物流特化機能やサプライチェーン連携機能が充実。 要問い合わせ 企業全体のGHG排出量を自社主導で網羅的にクラウド管理したい大企業・中堅企業
CAMOTSU ゼロボード提供の輸送・荷主間CO2算定共有プラットフォーム。改正物流効率化法や特定荷主の定期報告書作成に特化。 要問い合わせ 運送事業者とのデータ連携や、特定荷主としての法定義務報告を効率化したい国内荷主企業
ASUENE Scope1〜3の自動算定・可視化とコンサルティングを提供。導入実績が豊富でサプライチェーン全体の削減施策立案に強み。 要問い合わせ 全社的なScope1〜3算定からESG情報開示、削減実行支援までを幅広くカバーしたい企業
e-dash 請求書のアップロード等で手軽にScope1〜3のCO2排出量を可視化できるクラウド型サービス。 要問い合わせ データ収集工数を最小限に抑え、まずは手軽に全社のCO2排出量把握をスタートしたい中堅・中小企業

ツール選定の判断基準として、国際輸送を含む複雑な複合一貫輸送の精緻な算定が必要であるか、また物流オペレーション自体の見直し(モーダルシフトや共同配送の実運送)までを委託・連携したいかどうかが大きな分かれ目となります。物流領域に特化した高い信頼性(ISO 14083対応)とオペレーション改善力を最重視する場合は、SustainaLinkが適した選択肢となります。

一方で、物流領域に限定せず企業全体のScope1〜3排出量を網羅的に自社完結型クラウドで一元管理したい場合は、ZeroboardASUENEが候補となります。また、国内輸送における運送事業者とのデータ連携や法定義務(特定荷主の定期報告等)対応を優先する場合はCAMOTSU、手軽な請求書ベースの可視化から始めたい場合はe-dashを検討するとよいでしょう。

料金・プラン・導入方法

SustainaLinkの利用料金は、対象となる輸送データの件数、算定対象範囲(国内・国際輸送、輸送モード数)、分析レポートの深さ、および物流オペレーション改善のコンサルティングや運送受託の範囲に応じて個別見積もりとなるため、公式には「要問い合わせ」となっています。

なお、Web上で提供されている簡易算定ツール「MS CO2 Navigator」は誰でも無料で利用できるほか、詳細算定サービス「MS CO2 Analyzer」については初回サンプルデータを用いた「無料算定トライアル」が公式に提供されています。

個別見積もりを依頼する際は、以下のポイントを事前に確認・整理しておくことが推奨されます。

  • 算定対象のデータ件数と更新頻度
    年間または月間の輸送レコード件数や、算定をスポット(年1回)で実施するか定期継続して実施するかによって費用体系が変動します。
  • 対象とする輸送範囲(国内輸送・国際輸送)
    国内輸送のみか、海上・航空を含む国際複合一貫輸送が含まれるかによって、適用する算定モデルや係数設計の範囲が変わります。
  • オペレーション改善支援・物流受託の有無
    データの算定・可視化のみを委託するのか、モーダルシフトや物流網再編のコンサルティングおよび実際の物流業務まで含めるかを確認します。

導入の流れ・期間

SustainaLinkの一般的な導入ステップは以下の通りです。具体的な導入期間は対象データ量や分析範囲によって異なるため、要問い合わせとなります。

  1. 問い合わせ・ヒアリング
    公式サイトのフォーム等から問い合わせを行い、自社の物流体制、サプライチェーンの課題、算定・開示の目的(有価証券報告書、CDP、改正省エネ法・改正物流効率化法対応など)を三井倉庫の担当者に共有します。
  2. 無料算定トライアル・要件定義
    自社のサンプル輸送データ(過去の一定期間分)を提供し、トライアル算定を実施します。出力される算定結果やレポートの粒度を確認した上で、正式な算定範囲やスケジュール、見積もり条件を決定します。
  3. 契約締結
    サービス内容、算定仕様、費用条件、秘密保持条項などを確認し、正式に契約を締結します。
  4. データ受領・データクレンジング
    荷主企業の基幹システムやWMS(倉庫管理システム)、TMS(輸配送管理システム)から出力された物流実績データを受領し、三井倉庫側で算定に必要な形式へのマッピングおよび精査を行います。
  5. CO2排出量算定・レポーティング
    「MS CO2 Analyzer」等を用いてCO2排出量を一括算定し、輸送モード別・レーン別・製品別などに整理した分析レポートを作成・納品します。
  6. 改善提案・オペレーション実行(継続フェーズ)
    算定結果から明らかになった排出ボトルネックに対し、モーダルシフト、共同配送、拠点見直しなどの具体的な削減策を協議し、必要に応じて実運送のオペレーション改善へ移行します。

導入事例・実績

三井化学株式会社

三井化学株式会社は、自社製品の過去3年分に及ぶ国際輸送に伴うCO2排出量算定を三井倉庫ホールディングスと共同で実施しました。グローバル全域における海上・航空・鉄道・トレーラーなどの複合一貫輸送を対象とし、同一輸送モードでも地域ごとに異なるCO2排出係数を考慮した精緻な算定を実現しています。国際的な第三者機関(DNV)の妥当性評価を得た算定手法を活用することで、原材料調達から生産、製品出荷に至るサプライチェーン全体の信頼性の高い排出量開示を可能にしました。

大手メーカー F社(東証プライム上場企業)

時価総額3兆円以上の東証プライム上場企業として有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示義務化に対応するため、三井倉庫の「MS CO2 Analyzer」を導入しました。従来は輸送コストに係数を掛ける「料金法」を用いていましたが、運賃高騰により実態と乖離したため「トンキロ法」への見直しを検討。外部物流委託先から燃料法用データを集める負担を回避しつつ、出荷先・納品先・輸送方法・重量という最小限の情報で算定できる点、およびISO 14083やGLEC Frameworkに準拠している客観的な信頼性が評価されました。グループ会社や海外法人の多様なデータを最小限の手間で集約し、迅速かつ正確な外部開示体制を構築しています。

豊田通商株式会社

豊田通商株式会社は、自動車部品の国際物流におけるパーツ単位でのGHG排出量を可視化する新たな物流CO2算定サービスの提供先として三井倉庫ホールディングスと業務委託契約を締結しました。豊田通商の商物一体サプライチェーンプラットフォームと、三井倉庫のISO 14083対応脱炭素ソリューションを組み合わせ、サプライチェーン全体の脱炭素化推進に取り組んでいます。

フォスター電機株式会社

音響機器製造における温室効果ガス排出量算定の支援としてSustainaLinkを導入し、業務効率化と国際基準に則ったデータ提供体制の構築を実現しています。

導入前に知っておきたいこと

SustainaLinkの検討にあたっては、以下の実務的な特性や留意点を事前に把握しておくことが重要です。

  • 社内物流データの事前準備が必要
    算定にあたっては、出荷元・納品先の住所情報、輸送重量、利用した輸送モード(トラック、鉄道、船、航空等)のデータが必要です。自社の基幹システムや販売管理システム、または委託先運送会社からこれらのデータがどの程度抽出可能かを事前に確認しておく必要があります。
  • 完全セルフ型のSaaSとは運用形態が異なる
    ユーザー自身がブラウザ画面で設定を行い即座に自動集計するタイプのSaaS製品と異なり、SustainaLinkは三井倉庫の専門チームによるデータ精査・一括算定サービスが主軸となります。自社主導で日々リアルタイムに画面を操作したい企業にとっては、期待する運用プロセスと一致しているかの確認が必要です。
  • 改善施策の実行にはステークホルダー間の調整が不可欠
    算定後のステップとしてモーダルシフトや共同配送などの物流改善を実行する場合、自社の営業部門や納品先顧客とのリードタイム調整、既存の契約運送会社との調整など、組織間・企業間の合意形成が必要となります。

よくある質問(FAQ)

MS CO2 NavigatorとMS CO2 Analyzerの違いは何ですか?
「MS CO2 Navigator」はWebブラウザ上で発着地や重量を入力して手軽にCO2排出量をシミュレーションできる無料の簡易算定ツール(特許取得済み)です。「MS CO2 Analyzer」は、企業の大量な物流実績データを受託し、国際規格(ISO 14083等)に準拠して一括・詳細算定および分析レポートを作成する本格的なサービスです。
算定は国際規格や第三者認証に対応していますか?
対応しています。SustainaLinkのCO2算定サービスは、物流温室効果ガス算定の国際規格「ISO 14083:2023」や「GLEC Framework」に準拠しており、日系物流企業としていち早く第三者機関(DNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社)から妥当性確認意見書を取得しています。
三井倉庫の物流サービスを利用していない企業でも算定サービスを単独で利用できますか?
利用可能です。他社の物流会社や自社手配による輸送データであっても、必要な実績データを提供することで「MS CO2 Analyzer」による算定・分析サービスを利用できます。
無料トライアルやデモはありますか?
初回算定のみサンプルデータを用いた「無料算定トライアル」が公式に提供されています。また、簡易ツールの「MS CO2 Navigator」はWeb上で自由に試用可能です。
どのような形式の物流データを用意すれば算定できますか?
一般的にはCSVやExcel等の形式で、出発地・到着地(住所または主要拠点名)、輸送モード(トラック・鉄道・海上・航空など)、貨物重量(トン等)が含まれるデータを用意します。必要なデータ項目の詳細は問い合わせ時に相談できます。
契約期間や最低利用期間の定めはありますか?
契約形態(スポット算定、年間定期算定、改善コンサルティング契約等)によって異なります。公式には公表されていないため、個別見積もり時に確認が必要です。

参照・出典

他のCO2排出量算定ツールと比較する

SustainaLinkの特徴を含むCO2排出量・カーボン管理の12製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

CO2排出量算定ツール比較12選