everfleetとは?
everfleetは、メーカーや規格が異なる自動運転車両・物流モビリティを一元管理し、深刻化するドライバー不足や運行監視コストの抑制を図る中堅〜大手企業向けの遠隔運行管理プラットフォームです。株式会社マクニカが提供し、自動運転トラックやバス、構内搬送車のリアルタイム遠隔監視、異常時の遠隔操作、運行スケジュールの統合管理を実現します。外部API連携にも対応しており、既存の倉庫管理システムや物流システムとスムーズに接続可能です。
主な機能
リアルタイム遠隔監視・統合可視化機能
- 車両データおよび車内外映像の統合モニタリング
走行中の自動運転車両から取得される位置情報、車速、ステアリング角、バッテリー残量などのテレメトリーデータと、車内外カメラのライブ映像を単一の管理画面にリアルタイム表示します。監視オペレーターは複数台の稼働状況を視覚的に把握でき、画面を切り替えることで過去の走行録画データの再生確認も行えます。 - 交通インフラ連携・信号協調表示
走行ルート上に設置された信号機やスマートポールなどの路側インフラと協調連携し、信号現示情報や周辺道路の障害物情報を監視画面上にオーバーレイ表示します。見通しの悪い交差点や死角の情報を事前に把握できるため、安全確認の精度向上と遠隔監視員の判断負荷軽減につながります。 - マルチベンダー・異機種の群管理
特定メーカーの車両に依存せず、異なるメーカーの自動運転EVバスやトラック、AGV・AMR、フォークリフトなどを同一システム上で一括管理できます。拠点内に複数種類の自動運転モビリティが混在していても、画面を分けることなく1人の遠隔監視員が複数台(1対N)を効率的に監視できます。
異常検知および遠隔操作・制御機能
- AIを活用した自動異常検知・アラート通知
車両のシステム障害やセンサー異常、ルート逸脱、スケジュール遅延などをシステムが自動で検知し、即座に管理者へ警告通知を送ります。車内カメラ映像の解析により乗降状況や車内転倒などの危険の予兆も捉えるため、監視員の常時注視による疲労を防ぎつつ迅速な初動対応を可能にします。 - トラブル時の遠隔操舵・走行指示介入
自動運転システムが走行継続困難と判断した停止時や路上障害物の回避時に、遠隔監視センター側の端末から車両に対して走行再開指示やステアリング等の操舵介入を行うことができます。現場に係員が急行するまでのダウンタイムを短縮し、運行ダイヤの乱れを最小限に抑えます。 - 物流機器・建機向けの後付け遠隔操作連携
ARAV株式会社などのパートナー技術と連携し、専用パーツを取り付けた構内フォークリフトや建設機械を一般的なPC環境から遠隔操作できます。専用の高額なコックピット設備を新設することなく、事務所や遠隔地から荷役機器のトラブル解除や補助操縦が行えます。
運行計画・データ分析・外部連携機能
- 運行ダイヤ・走行ルートの集中管理
複数車両の運行スケジュール作成、ルート設定、停留所や荷積み・荷降ろしポイントの割り当てを一括して管理します。遅延状況やバッテリー残量に応じた動的な計画変更や車両の割り当て調整もシステム上で完結します。 - 柔軟な外部システム連携API
RESTful API等の接続インターフェースを備えており、既存の配車管理システム(TMS)、倉庫管理システム(WMS)、予約受付システム、デジタルマップとデータ連携が可能です。上位システムからの輸送オーダーを自動でeverfleetの運行指示へ反映させる自動化ラインを構築できます。 - テレマティクスデータ蓄積と走行レポート分析
走行履歴、エネルギー消費量、急加減速などの運転イベントデータを蓄積し、運行効率や安全性の分析レポートを自動生成します。収集したデータを分析することで、稼働率の低い余剰車両の削減や省エネ運行に向けたルート見直しなど、継続的な運行改善に役立てられます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
異なるメーカーの自動運転車両や荷役機器が混在し、遠隔監視体制を1箇所に集約したい物流拠点・工場
- 機器ごとに監視ツールが分かれておりオペレーターの配置人数が膨らんでいる
everfleetはマルチベンダー対応の群管理機能を備えており、メーカーの異なる自動運転EV、トラック、フォークリフトの映像とデータを1画面に集約できます。これにより1人の監視者が複数台を一元監視する体制(1対N監視)を構築でき、遠隔監視要員の人件費削減と現場の省人化を達成できます。 - 構内搬送のトラブル時に現場スタッフが駆けつける時間ロスが発生している
異常検知時の自動アラートと遠隔操作連携機能により、障害物検知で停止した搬送車やフォークリフトを事務所から遠隔操舵でリカバリーできます。現場への駆けつけ時間が不要になるため、構内物流ラインの停止時間を大幅に圧縮できます。
地域交通の自動運転バスや複数拠点の幹線輸送の集中遠隔管理を進める自治体・大手物流事業者
- 拠点ごとに遠隔監視室を置くコストが重く、事業の採算性が合わない
複数地域で走行する自動運転車両を単一の遠隔運行管理センターから統合管理できるアーキテクチャを採用しています。常陸太田市などで実証されているように拠点を集約して広域の自動運転運行を一括監視できるため、拠点ごとの設備投資・人件費を抑えた持続可能な運行モデルを確立できます。 - 信号や周辺インフラと連携した高水準な運行安全管理が求められている
路車協調システムや信号機連携に対応し、ブラインドコーナーの状況や信号現示を画面上で一元把握できます。公道や複雑な敷地内を走行する自動運転車両の安全性を高め、事故リスクを抑えた安定運行を実現できます。
向いていない企業・現場
単一メーカーの自動運転システムのみを導入し、専用の監視ソフトで十分な現場
- 導入する自動運転車両が1種類のみで完結している
車両メーカー純正の付属ソフトウェアで遠隔監視や運行指示が完結する場合、マルチベンダー統合管理を強みとするeverfleetを重ねて導入するメリットが限定的になります。単一車種に特化した運用であれば、車両付属の管理ツールの活用を検討した方が導入コストを抑えられます。
通信インフラが整備されていない山間部や電波の届かない地下倉庫
- リアルタイムの映像伝送や制御信号を維持できる通信回線がない
クラウドを介したリアルタイム映像監視や遠隔制御を前提としているため、4G/5Gやローカル5G、安定したWi-Fi環境が確保できない現場では遅延や通信遮断のリスクが生じます。安定した通信網を敷設できない環境では、車上自律制御のみで完結する仕組みの検討が推奨されます。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| everfleet | マルチベンダー対応の遠隔運行管理・群管理基盤。建機・フォークリフト遠隔操作や信号協調、複数拠点の一元監視に対応 | 要問い合わせ(SaaS月額個別見積もり) | 異機種・複数メーカーの自動運転車両や荷役機器を1拠点から集約監視したい企業 |
| Web.Auto | オープンソース「Autoware」ベースの自動運転開発・運行・遠隔監視PF。商用トラック向けリファレンスデザインを提供 | 要問い合わせ | Autowareベースの自動運転システムを自社主導で開発・カスタマイズしたい事業者 |
| Dispatcher | 複数台の自動運転車両を同時制御できる運行管理基盤。バスやトラックなど車種を問わず遠隔監視・遠隔操作を提供 | 要問い合わせ | 公道や商業施設等で自動運転モビリティの同時運行監視と乗客サポートを行いたい事業者 |
| T2 自動運転システム | 高速道路の幹線輸送に特化したレベル4自動運転トラックの開発および運行・遠隔監視システム | 要問い合わせ | 拠点間・高速道路での長距離大型トラック幹線輸送の無人化・自動化を進めたい物流企業 |
自動運転の遠隔管理システムを選定する際は、対象とする運行領域(高速道路の幹線輸送か、構内搬送・地域交通か)と、管理対象となるモビリティの種類(単一車種か、マルチベンダー混在か)を明確にすることが重要です。
幹線輸送の大規模な長距離トラック自動運転に特化する場合は「T2 自動運転システム」が有力な選択肢となります。一方で、工場構内や物流センター内、地域コミュニティ内において、自動運転EVバスやトラック、搬送機、フォークリフトなど複数メーカーの多種多様なモビリティをまとめて1つの画面で遠隔監視・操作したい場合は「everfleet」が適しています。
また、自社で自動運転ソフトウェア(Autoware)の制御アルゴリズム開発から深く関わりたい開発主導型の現場では「Web.Auto」が候補となります。公道におけるモビリティサービス実証や遠隔オペレーションの標準化を重視する場合は「Dispatcher」との比較検討が推奨されます。
料金・プラン・導入方法
everfleetの利用料金は公式には明示されておらず、導入環境や管理対象台数、利用機能に応じた個別見積もり(要問い合わせ)となっています。
料金体系はSaaS型の月額課金モデルを基本としており、見積もり取得時には以下のポイントを確認することが推奨されます。
- 管理対象車両の台数と車種構成
管理対象となる自動運転車両や機器の台数、接続する車載機器(TCUや通信機器)の数によって月額料金や初期セットアップ費用が変動します。 - 利用する機能範囲とカスタマイズの有無
遠隔監視のみの利用か、遠隔操作・制御機能、信号協調などのインフラ連携、UIカスタマイズを含めるかによって費用が異なります。 - 外部システム連携や車載機器設置の初期費用
既存のWMS/TMS等とのAPI連携開発や、既存車両への遠隔操作パーツ後付け工事(レトロフィット)に伴う導入支援費用の確認が必要です。
導入の流れ・期間
everfleetの一般的な導入フローは以下の通りです。なお、対象車両の種類や実証フィールドの環境によって準備期間が異なるため、具体的な導入期間についてはマクニカへの問い合わせが必要です。
- ヒアリング・要件定義
導入予定の車両・モビリティの種類、走行エリア(公道・私有地・構内)、連携予定の上位システム、遠隔監視体制の要件を整理します。 - システム構成・通信環境の設計
車両側の車載端末(TCU等)やセンサー、カメラの選定・設置計画を策定し、走行ルート上の通信環境(4G/5G回線やWi-Fi)の検証・設計を行います。 - 車載機器設置・システム連携構築
対象車両への通信機器や制御ユニットの取り付け、everfleetプラットフォームと車両・既存物流システム間のAPI連携設定を実施します。 - テスト走行・遠隔監視シミュレーション
テストコースや対象構内においてテスト走行を行い、映像伝送の遅延状況、異常検知アラート、遠隔操舵介入の動作確認およびオペレーターの操作訓練を実施します。 - 本番稼働・定常運行
遠隔運行管理センターや社内監視室からの定常的な群管理・遠隔監視運用を開始します。稼働後は走行データの蓄積と定期的な運用見直しを継続します。
導入事例・実績
茨城県常陸太田市:遠隔運行管理センターを開設し自動運転EVバスを一元管理
マクニカは、自動運転EVバスの定常運行を実施している茨城県常陸太田市に「everfleet」を基盤とした遠隔運行管理センターを開設しました。従来の1台または1地域に対して個別に監視員を配置する体制から脱却し、複数の異なる地域で運行する自動運転車両をセンターから一元的に監視・管理できる体制を構築しています。AIによる乗降客計測や車内異常検知を活用して運行業務を自動化し、限られた人員で安全かつ持続可能な運行モデルの確立を進めています。
北海道当別町:市街地ルートおよび豪雪地帯での自動運転EVバス実証運行
北海道当別町において、ハンドルやペダルのない自動運転EVバス「NAVYA ARMA」および「NAVYA EVO」を用いた公道実証運行にeverfleetが採用されました。JR当別駅周辺の市街地ルートや、ロイズタウン駅周辺の積雪環境下において、車両の走行データや信号協調情報をeverfleetで可視化し、離れた場所からリアルタイムに遠隔監視を実施して運行の安全性を確認しています。
福岡市JR箱崎駅周辺:信号・路車協調を取り入れた公道実証実験
まちづくり事業「Fukuoka Smart East」の一環として実施された自動運転EVバスの公道実証において、everfleetが遠隔監視システムとして導入されました。走行ルート内の信号機や道路環境情報を取得するインフラ連携(信号・路車協調)を行い、リアルタイムな運行状況を遠隔監視するとともに、デジタルマップや乗車予約と連動させた回遊性向上実証が行われました。
ARAV株式会社との協業:物流機器・建機の遠隔操作機能の提供
東京大学発スタートアップのARAV株式会社と協業し、everfleetにフォークリフト等の物流機器や建設機械を遠隔操作できる機能を追加しました。既存の車両に専用パーツを後付けすることで、事務所のPCとコントローラーから遠隔操作が可能となり、物流倉庫や工事現場における人手不足の解消や危険作業の削減に向けたソリューションとして提供されています。
導入前に知っておきたいこと
everfleetの導入を検討する際は、以下の技術的・制度的要件について事前に把握しておく必要があります。
- 安定した通信環境の確保と通信遅延への対策
遠隔監視および異常時の遠隔操作を行うため、車両と管理センター間での安定した大容量・低遅延なモバイル通信(4G/5G、Wi-Fi等)が不可欠です。電波の遮蔽物が多い倉庫構内や地下、通信の不安定な山間部では、中継器の設置やネットワーク設計の事前検証が必須となります。 - 自動運転レベル4運用における法令・制度への適合
無人走行(レベル4)を実現するためには、道路交通法や関係法令に基づく遠隔監視体制の基準を満たす必要があります。現場の運行設計領域(ODD)の設定や非常時対応マニュアルの策定など、法制度に準拠した運用設計をマクニカなどの専門部隊と協議して進めることが求められます。 - 既存車両へのレトロフィット(後付け)対応範囲の確認
既存の手動運転フォークリフトや搬送機器に遠隔操作ユニットを取り付ける場合、対象機器の電気・油圧制御構造によって後付けの難易度や対応可否が異なります。保有機器への適合性については事前調査が必要です。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレットから運行状況を確認できますか?
- テレマティクス機能「everfleet Drive」などでは、解析された運行データや車両状況をスマートフォン等から手軽に確認できる仕組みが提供されています。遠隔操舵などの詳細な操作画面の推奨環境についてはマクニカへの確認が必要です。
- 無料トライアルやデモ画面の確認は可能ですか?
- 一般向けの無料トライアルは公開されていませんが、問い合わせを通じて遠隔監視センターのデモや画面機能の紹介、PoC(概念実証)の相談が可能です。
- 他社製の自動運転車両や既存のAGV・フォークリフトでも接続できますか?
- 可能です。everfleetはマルチベンダー対応を特長としており、特定の自動運転車両だけでなく、レトロフィット技術を組み合わせることで既存の建機やフォークリフト等の遠隔監視・操作にも対応しています。
- 信号機のない私有地(工場・倉庫構内)でもインフラ連携は使えますか?
- 私有地であっても、構内の自動シャッターや交差点監視カメラ、出入退管理システムなどと連携させることで、構内安全運行のためのインフラ協調環境を構築することが可能です。
- 最低契約期間や解約条件はどうなっていますか?
- 契約期間や解約条件は公開されていません。実証実験(PoC)単位の短期利用か定常運行での長期利用かによって契約条件が異なるため、商談時にご確認ください。
- 遠隔監視センターの構築や運用代行も依頼できますか?
- マクニカは自社で遠隔運行管理センターの運営を行っており、システム提供だけでなくセンサー選定から運行体制の構築・運用支援までトータルに伴走するサポート体制を提供しています。