SST便 共同配送マッチングシステムとは?パレット単位の幹線混載と自動配車で輸送効率化

ヤマトHD傘下のSSTが提供する、標準パレット単位で幹線輸送をシェアする「SST便」の中核となる配車マッチングシステムです。富士通のデータ基盤を活用し、荷主の出荷計画と運送会社の運行計画を照合して最適な混載・中継輸送ルートを自動生成します。

料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
中堅〜大手向け
対象業界
製造業 小売・卸売業 物流・倉庫業

SST便 共同配送マッチングシステムとは?

SST便 共同配送マッチングシステムは、中堅から大手の荷主企業や物流事業者が抱える「トラック積載率の低下」や「幹線輸送リソースの不足」という課題を解決するオープンプラットフォーム型の配車マッチングシステムです。ヤマトホールディングス傘下のSustainable Shared Transport株式会社(SST)が提供し、富士通株式会社の物流データ基盤「Fujitsu Unified Logistics」を採用して共同開発されました。荷主の出荷計画や荷姿・荷量データと運送事業者の運行計画を照合し、標準パレット単位での混載輸送や中継・リレー輸送ルートを自動生成します。

主な機能

配車マッチング・輸送ルート自動生成

  • 標準パレット単位のマッチングエンジン
    トラック1台単位ではなく、T11型(1.1m×1.1m)を中心とした標準パレット1枚単位での積載スペースのマッチングを行います。荷主は1パレットから必要な輸送枠を指定して配車依頼を行えるため、貸切便(チャーター便)を手配するほどではない中ロット貨物の輸送効率を高められます。
  • 混載・中継輸送ルートの自動最適化
    複数荷主の出荷スケジュールと物流事業者の運行ダイヤを照合し、同一方面への混載や中継拠点での積替え(リレー輸送)を組み合わせた最適な運行ルートを自動生成します。長距離ドライバーの日帰り運行シフトの実現や運行平準化を支援します。
  • 事前予約・ダイヤ選択管理
    定期運行される幹線輸送ネットワークの運行ダイヤ一覧から、希望する時間帯や輸送手段(トラック、鉄道など)を選択して事前予約できます。直前手配による「トラックが見つからない」配車リスクを低減し、計画的な出荷体制を構築できます。

データ連携・標準化基盤

  • 物流情報標準ガイドライン準拠のデータ統合
    内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」が策定した物流情報標準ガイドラインに準拠しています。荷主や物流企業ごとに異なる品名コードや荷姿定義、出荷フォーマットを標準化し、システム間のスムーズなデータ連携を可能にします。
  • ブロックチェーン技術によるセキュリティ・機密性担保
    富士通のセキュリティ技術およびブロックチェーン知見を活用し、マッチングに必要な運行情報・貨物情報を安全に管理します。競合他社に取引先や荷物詳細などの機密情報が閲覧されないようアクセス制御が施されています。
  • マルチモーダル輸送連携管理
    幹線トラック輸送だけでなく、鉄道コンテナ輸送や内航船など複数の輸送モードを組み合わせた複合一貫輸送のデータ連携に対応しています。環境負荷の低い輸送手段へのモーダルシフトをシステム上で計画できます。

運行可視化・環境負荷管理

  • 運行ステータス・進捗可視化
    パレット単位で集荷から幹線中継拠点、ラストマイル配達先までの輸送ステータスを一元管理します。荷主企業と運送会社の双方が配送進捗をリアルタイムに確認できます。
  • CO2(GHG)排出量可視化・算出
    共同輸配送や積載率向上によって削減されたCO2(温室効果ガス)排出量の算出を支援します。企業のサステナビリティ開示(スコープ3削減)やグリーンロジスティクスの進捗管理に必要な実績データを取得できます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

長距離幹線輸送のチャーター便で積載率の低さに悩む中堅〜大手荷主企業

  • 中ロット出荷(2〜8パレット程度)で1台貸切にせざるを得ず輸送費が嵩む
    1パレット単位から事前予約できるマッチング機能を活用することで、必要なパレットスペース分のみの輸送料金で幹線輸送を手配でき、チャーター便の空きスペースに対する無駄なコストを抑制できます。
  • 自社単独での共同配送相手の探索や契約調整に限界がある
    富士通の標準化データ基盤上で荷主と運送事業者が自動照合されるため、競合他社や異業種パートナーとの個別交渉を自前で行うことなくオープンプラットフォーム上で共同輸送を実施できます。

復路の空車運行やドライバーの長距離拘束時間を改善したい物流事業者

  • 往路は満載でも復路の帰り荷が確保できず採算が悪化している
    SST便の幹線運行計画と連動し、復路区間のパレット貨物をプラットフォーム経由で受注・積載することで、空車走行率を下げてトラックの稼働率と売上を向上させられます。
  • 長距離運行によるドライバーの拘束時間超過(2024年問題)に対応したい
    中継拠点でのリレー輸送スキームを活用することで、ドライバー1人あたりの運行区間を分割し、日帰り勤務が可能な労務環境へのシフトを推進できます。

向いていない企業・現場

段ボール1個単位の小口宅配や都度スポットの不定期輸送が中心の企業

  • T11型パレット化されていないバラ積み貨物や不規則な個口発送が多い
    SST便は標準パレット(1.1m×1.1m)単位での混載・積替えを基本仕様としているため、段ボール数箱程度の小口宅配や手積み・手降ろしのバラ貨物輸送が主体の現場には適していません。小口特約便や宅配便サービスの利用が推奨されます。
  • 当日急遽発生するスポット配送をその都度手配したい
    事前に運行ダイヤを確定させて共同輸送枠を予約する運用モデルであるため、突発的な緊急チャーター便や時間指定の細かなスポット配送をメインとする運用の場合は、即時対応型の求車求貨マッチングサービスのほうが適しています。

類似ツールとの比較

ツール名 特徴 料金 向いている企業
SST便 共同配送マッチングシステム ヤマトHD傘下のSSTと富士通が構築。標準パレット単位で幹線輸送・中継輸送をシェアするオープンプラットフォーム。 要問い合わせ(SaaS月額課金・運賃体系はパレット変動制) 中〜長距離幹線の中ロット(数パレット)輸送を効率化したい荷主・物流企業
共同配送システム(ゼンリン) 複数事業者の荷物を地域の配送事業者が一括してラストワンマイル配送。端末・システム統合管理を提供。 要問い合わせ 中山間地域や特定エリアでのラストワンマイル配送・域内共同配送を効率化したい企業
共同輸配送プラットフォーム(日本電気) 複数荷主間で共同輸配送候補を自動提案するクラウドサービス。企業間調整を支援するチャット機能等を搭載。 要問い合わせ 自社主導で荷主間パートナーを探索し輸送条件の合意形成・共同運行を組みたい企業
traevo noWa(traevo) 動態管理システムtraevoと連携し、匿名データを活用して混載・復路輸送パートナーを探索するプラットフォーム。 要問い合わせ 既存の動態データを活かしつつ、トラック単位・混載の協業先を広く探索したい運送会社

幹線輸送(長距離・中継)の定時ネットワークにおいて「標準パレット単位でのスペース共有」を前提とする場合は、SST便 共同配送マッチングシステムが適した選択肢となります。ヤマトグループや協同組合(JL連合会等)の輸送ネットワークおよび中継拠点が組み込まれており、個別の運送会社と都度契約・交渉する負担を抑えてパレット混載輸送を運用できます。

一方で、特定の地域や中山間地におけるラストワンマイル配送リソースの統合・シェアリングを目的とする場合は「共同配送システム(ゼンリン)」、自社の既存路線・取引先を中心に荷主企業同士で直接条件を協議しながら共同運行を組みたい場合は「共同輸配送プラットフォーム(日本電気)」や「traevo noWa」を検討するのが適しています。

料金・プラン・導入方法

SST便 共同配送マッチングシステムのシステム利用料およびSST便の輸送運賃は、公式には一律固定の料金表は公開されておらず、要問い合わせとなっています。

実際の輸配送費用体系としては、同一の集荷・納品先において出荷パレット枚数が増えるほど1枚あたりの単価が安くなる「単価変動制」が採用されています。また、パレット基本サイズ(T11型:1.1m×1.1m、高さ最大2.0m、重量1,000kgまで)を超える背高貨物や異形スペース貨物については、利用スペースに応じた料金算出が行われます。

見積もりやプラン選定の際には、以下の点を確認することが推奨されます。

  • マッチングシステム利用にかかる月額費用・アカウント費用体系
  • 対象区間(発着地)と1回あたりの予定出荷パレット数に応じた運賃単価
  • 集荷・納品時の附帯作業料や中継・域内配送オプションの有無

導入の流れ・期間

SST便 共同配送マッチングシステムにおける導入の流れは、一般的な共同輸配送SaaSおよび輸送サービスの標準的な手順に沿って進行します(SST便 共同配送マッチングシステムの具体的な導入期間は要問い合わせ)。

  1. お問い合わせ・現状ヒアリング
    公式サイトのフォームより問い合わせを行い、現在の出荷ルート、対象品目、荷姿(パレット仕様)、物量データなどを共有します。
  2. 適合性診断・運用シミュレーション
    運行ダイヤ、発着エリア(東北・関東・中部・関西・九州等の幹線ネットワーク)、物量頻度を照合し、SST便の活用可否とコスト・CO2削減効果を試算します。
  3. システム利用契約・アカウント発行
    利用規約の締結、システム利用アカウントの設定、自社のマスタデータ登録を行います。
  4. 初期データ連携・運用テスト
    出荷計画や受発注データの連携フォーマットを確認し、テスト予約および集荷・幹線運行・納品フローのテストを実施します。
  5. 本番稼働・定期運行開始
    プラットフォーム上での定期的な配車予約と共同輸配送の実運用を開始します。

導入事例・実績

公式発表およびプレスリリースで確認できる導入・参画事例は以下の通りです。

  • 富士通株式会社
    データ基盤の共同構築パートナーであるとともに、荷主企業としてSST便を活用し、自社サプライチェーンにおける環境負荷低減と物流効率化を推進しています。
  • ダイキン工業株式会社
    製造メーカーとしてのサプライチェーンにおいて、共同輸配送サービス「SST便」を導入し、効率的な幹線輸送の実現に取り組んでいます。
  • 日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会(JL連合会)
    全国約1,600社の地域物流事業者が加盟するJL連合会とSSTが連携協定を締結し、組合員事業者が幹線運行・積替え拠点・域内配送の担い手として参画するとともに、輸送委託先としてSST便を利用するネットワーク拡大を進めています。
  • 株式会社東京流通センター(TRC)
    物流テック・共創スペース「TRC LODGE」への出展を通じ、朝日新聞社等とともにTRC入居テナントに向けた幹線・ラストマイルを繋ぐ共同輸配送モデルの構築検討を進めています。

導入前に知っておきたいこと

導入を検討するにあたり、以下の仕様・運用上の注意点を確認しておく必要があります。

  • 荷姿の標準化(パレット化)が前提
    荷役の迅速化と混載効率を高めるため、原則としてT11型パレット等に積載された荷姿が基本となります。手積み・手降ろしを前提とした荷姿のままでは利用できないため、出荷側・受取側双方でのパレタイズ体制やフォークリフト荷役環境の整備が必要です。
  • 取り扱い禁制品・温度帯の制限
    冷蔵・冷凍などの温度管理が必要なチルド品・冷凍品や医薬品、危険物(揮発性・引火性物質)、信書、高額貴金属・有価証券などは取り扱い対象外(禁制品)に指定されています。常温(ドライ)貨物が主な対象です。
  • 対応エリア・路線の確認
    サービス開始時点では宮城〜福岡間の主要幹線16便からスタートし、首都圏域内配送や鉄道混載、全国80線便へと段階的に拡大されていますが、自社の発着拠点がサービス提供エリア・運行ダイヤに合致しているか事前の確認が必要です。
  • ユーザー評価・口コミについて
    現時点では一般ユーザーによる公開された不満・改善要望等の口コミ情報は確認できていません。

よくある質問(FAQ)

どのような貨物サイズに対応していますか?
基本規格は1パレットスペースあたり幅1.1m × 奥行1.1m × 高さ最大2.0m、重量1,000kgまでです。標準のT11型パレット以外のサイズや、幅・奥行が1.1mを超える異形貨物・背高貨物についても利用スペースに応じた料金算出により相談可能です。
1パレットだけの出荷でも利用できますか?
利用可能です。パレット1枚単位から事前予約枠を確保でき、荷主拠点での集荷から指定場所への納品まで共同輸配送ネットワークを通じて対応します。
利用可能な環境(ブラウザやOS)やスマホ対応はどうなっていますか?
クラウド型システム(SaaS)としてWebブラウザ経由でアクセスする仕様ですが、推奨ブラウザや専用スマートデバイスアプリの有無などの詳細な動作要件については公式サイトよりお問い合わせください。
無料トライアルやデモ画面の確認は可能ですか?
無料トライアルの常設有無に関する公開情報はありません。導入検討時のデモ実演や運行シミュレーションの可否については、SSTの問い合わせ窓口への確認が推奨されます。
運送会社(物流事業者)として空きスペースを提供・参画することはできますか?
参画可能です。SST便のプラットフォームにはヤマトグループ以外の物流事業者も運行リソースを登録でき、幹線運行や域内配送、積替え拠点のパートナーとして共同輸配送網に参画できます。
契約期間や解約条件について教えてください。
最低契約期間や解約通知期限に関する公式情報は公開されていません。個別の利用契約内容や契約形態により異なるため、見積もり時に直接ご確認ください。

参照・出典

他の共同配送・共同輸送システムと比較する

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