TRiとは?荷主と運送会社を最適に繋ぎ共同配送を効率化する価値と仕組み

荷主と複数の運送会社を最適に繋ぐ共同配送マッチングサービスです。自社で対応できないエリアの配送を企業の垣根を越えて他社に委託するなど、チルド温度帯の食品物流等を中心に新規の商流網構築と効率的な共同配送を促進します。

料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
規模問わず
対象業界
食品・飲料 物流・倉庫業 製造業

TRiとは?

「TRi(トライ)」は、株式会社アイシンとダイセーエブリー二十四株式会社が共同開発した、荷主と複数の運送会社を最適に繋ぐ共同配送マッチングサービスです。主にチルド温度帯の食品物流を対象としており、トラックドライバー不足などの社会課題に対応することを目的に、2024年3月に実証運用が開始されました。メーカーなどの荷主が配送を依頼したい場合だけでなく、共同輸送を活用したい運送事業者も利用でき、企業の垣根を越えた共同配送(フィジカルインターネット)の促進を支援します。自社だけで対応できないエリアの配送を他社に委託するなど、新規の商流網構築と物流の効率化・持続可能性を追求するクラウド型SaaSです。

主な機能・特徴

TRiは、アイシンが有するカーナビゲーションのルート最適化技術と、ダイセーエブリー二十四が蓄積してきた食品物流の知見を融合した機能群を搭載しています。以下に、主な機能とその導入により現場がどのように変化するかを具体的に説明します。

  • AIによる最適な配送コースの自動提案機能
    アイシンの配送管理システム「BRIDGES@ny」に搭載されているルート最適化アルゴリズムを活用し、登録されている複数の運送会社の運行データベースの中から、最適な配送便を自動的に選定します。単にA地点からB地点への直線的なマッチングを行うのではなく、経由地での荷降ろしやリードタイムを考慮した複合的な配送ルートが提示されます。これにより、配車担当者が長年の経験や勘、あるいは個別の電話連絡に頼って手探りで配送先を探していた業務が自動化され、最適なルート検討にかかる時間が大幅に削減されます。
  • 即時の配送シミュレーション機能
    システム上で「出発地」「到着地」「貨物情報(容量や重量など)」を入力するだけで、瞬時に配送シミュレーションが実行されます。該当エリアにおける配送ルートの有無や、目安となるリードタイム、概算のコストが画面上で即座に確認可能です。従来、新規の納品先への配送手段を確保するために数日から1週間かけて複数の運送会社へ相見積もりやルート確認を行っていた現場において、営業段階でのスピーディーな可否判断と概算コスト算出が可能になります。
  • システム上でのワンクリック見積もり依頼
    シミュレーションにより合致する配送コースが見つかった場合、システムからワンクリックで該当する運送会社へ見積もりや配送の打診リクエストを送信できます。交渉に必要な情報をシステム上で一括提示できるため、個別のメール作成や電話での状況説明といった煩雑なやり取りが不要になります。荷主と運送会社との間で発生していた条件調整の交渉期間が短縮され、新規配送の立ち上げが効率化されます。
  • 運送会社向けの「空き情報」登録と自動マッチング
    運送会社側は、自社が保有する既存の配送ルートや、トラックの空きスペース(積載余力)の情報をあらかじめデータベースへ登録しておくことができます。荷主が登録した配送ニーズと自動的に照合されるため、営業担当者が能動的に新規案件を探索せずとも自動的に配送案件の獲得へと繋がります。これにより、実車率・積載率の向上、さらには燃料費や人件費を抑えた形での収益改善が図れます。
  • リレー配送(共同配送)における窓口一本化
    1社だけでは対応しきれない遠方や複雑なエリアへの配送において、複数の運送会社を組み合わせたリレー配送(共同配送)をシステムが構築した場合でも、原則として窓口となる運送会社1社が荷主への対応を行います。これにより、配送ルート上でトラブルや遅延が起きた際、荷主が複数の会社へ個別に状況確認を行う必要がなくなります。事務手続きや運行管理の手間を抑えつつ、企業の垣根を越えた広範な物流ネットワークを利用可能にします。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

TRiは食品共同配送という特定の領域で高い親和性を発揮する一方、その仕様や特徴からミスマッチが発生しやすい現場もあります。検討の際は、自社の業務スタイルや商材が以下の条件に当てはまるか確認してください。

【向いている企業・現場】

  • チルド食品を扱う食品・飲料メーカーなどの荷主企業
    品質管理の観点から厳密な温度管理(チルド帯)が求められ、個別のチャーター便では配送コストが高くなってしまう小口配送の多い荷主企業に適しています。他社のチルド商材との混載(積み合わせ)により、コストを抑制しながら安定した配送手段を確保したい現場に合致します。
  • 新規の納品先への販路拡大を急いでいる営業部門・物流部門
    「新しい納品先の候補があるが、既存の契約運送会社では対応エリア外のため断られてしまった」「すぐに物流コストを把握して提案に生かしたい」という課題を抱える担当者に向いています。システム上でのオンライン検索により、対応可能な運送会社の候補を素早く見つけられます。
  • 積載効率の低下や帰り便の空車に悩む地域密着型の運送事業者
    特定の地域ネットワークは強いものの、そこから外れるエリアの配送ニーズを獲得する営業リソースがない運送会社に向いています。自社の運行ルートや積載余力を登録することで、他社の荷物を混載して運行効率を高めたい運送事業者に有効です。

【向いていない企業・現場】

  • 常温や冷凍、あるいは非食品の大型産業資材などをメインに扱う企業
    TRiは現状、チルド温度帯の食品物流をメインに据えてスタートしたプラットフォームです。常温での保管・輸送で十分な製品や、マイナス20度以下の冷凍管理が必須となる商材については、システムが保有する配送ルートや運送会社データベースの恩恵を十分に受けられない可能性があります。
  • 即日・当日のスポットチャーター(貸切便)手配のみを求めている場合
    TRiは既存の共同配送ルートや混載ネットワークを活用して中長期的な配送商流網を構築することを目的とするシステムです。突発的に「今日すぐにトラック1台を丸ごと手配したい」といった求貨求車としての緊急手配用途のみを期待している現場には適していません。
  • 自社専用の配送ルールや、特殊な付帯作業(納品時の棚入れ等)の比重が極めて高い現場
    複数荷主の荷物を一括して効率的に運ぶ「共同配送」の特性上、納品先での極めて特殊な個別対応や、ドライバーによる長時間の付帯作業が前提となっている運用では、他社との積載効率化やルートシェアリングの合意形成が難しく、マッチングに至らない場合があります。

料金・プラン・導入方法

TRiはSaaS(月額課金)モデルを採用していますが、具体的な料金プランや初期費用の金額は公式サイト上では公開されていません。利用にあたっては提供元への直接の問い合わせが必要となります。なお、システムを介してマッチングした際の実際の配送料金(運賃)は、提示される目安金額をもとに、システムを通じて個別に運送会社と見積もり・調整を行う形となります。

料金の見積もり時に確認しておくべき主なポイント:

  • 課金単位の基準:月額のシステム利用料がアカウント数(ID数)に応じた従量課金なのか、あるいは定額制なのか。
  • マッチング手数料等の有無:月額利用料とは別に、実際にマッチングが成立した際の成約手数料や、配送料金に応じた手数料が発生するかどうか。
  • 契約期間の制約:最低契約期間の有無や、解約を希望する際の手続き期限(※なお、親システムである「BRIDGES@ny」の最低契約期間は1ヶ月と設定されていますが、TRiについての個別条件は確認が必要です)。

導入の流れ・期間

TRiの公式サイトおよび関連資料等に基づくと、利用を開始するまでの具体的な導入期間やスケジュールは個別相談(要問い合わせ)となっています。一般的なSaaS型配送マッチングプラットフォームにおけるシステム利用の流れは、以下の通りとなっています。

  1. お問い合わせ・資料請求
    公式サイトの問い合わせ窓口から、自社の現在の配送課題や取り扱い商材について情報を入力してアプローチします。
  2. 状況のヒアリング・個別デモ
    担当者より連絡があり、現在の配送エリア、納品頻度、課題などをヒアリングされます。同時に、実際のTRiのシステム画面を用いた機能説明やデモが行われます。
  3. アカウント発行・無料試用(トライアル)
    システムを実際に体験するための無料アカウントの登録や初期設定を行います。操作性や、自社が希望するエリアにどの程度の配送候補ルートが存在するかを事前に確認します。
  4. 検証・シミュレーション
    自社の過去の配送データや実際の新規納品先予定地をテスト登録し、マッチングの成立見込みや想定コスト低減効果の検証を実施します。
  5. 本契約・プランの確定
    検証結果をもとに、利用するアカウント数や運用範囲に合わせた見積もりが提示され、正式な利用契約を締結します。
  6. 運用開始(実稼働)
    システム上での実際の配送シミュレーション、見積もりリクエスト、運送会社との交渉、実配送の管理を開始します。

連携できるシステム・機器

現時点で、TRiが外部のWMS(倉庫管理システム)、TMS(配送管理システム)、ERP(基幹システム)やハンディターミナル等の外部機器、あるいはAPIを公開して自動連携を行っているかについての公式な仕様・情報は確認できていません。既存の社内システムとシームレスなデータ連携を行いたい場合は、導入前の問い合わせ時に連携要件について担当者へ確認してください。

導入事例・実績

TRiは、2024年3月に株式会社アイシンとダイセーエブリー二十四株式会社によって実証運用が開始された新しいサービスです。発表時点では、全国の複数の運送会社やメーカー、ダイセーエブリー二十四の有する物流網を整備・連携させながら実証運用を推進することが公開されています。ただし、現時点において「〇〇株式会社が導入し、配送コストを〇%削減した」といった個別の民間企業名や詳細な削減効果の数値、あるいは導入インタビューのような公開実績情報は確認できていません。最新の導入実績については公式サイトよりご確認ください。

導入前に知っておきたいこと

TRiの検討にあたって、事前に把握しておくべき注意点や制限事項は以下の通りです。ユーザーからの具体的な不満や詳細な口コミ(SNS上の投稿等含む)はサービスの新しさから現時点では確認されていませんが、システム仕様やプレスリリースの情報から次の点に留意する必要があります。

  • 対象がチルド食品分野に特化している点
    サービスの設計思想およびスタート時のネットワーク構築が「チルド(冷蔵)温度帯の食品物流」をターゲットに開発されています。常温品や冷凍品の混載に対応したルートは現状ではデータベース上に整備されていない、もしくは非常に限定的である可能性があるため注意が必要です。
  • 登録ルートの地域的な偏りと検索網羅性の制限
    全国の配送ネットワークを対象としてルートの整備が進められていますが、全ての都道府県や配送エリアで必ずしも高密度な選択肢が揃っているとは限りません。納品先を入力してもシステム上で最適な配送コースがヒットしない場合があり、その際は直接の問い合わせや個別対応となる可能性がある点に留意が必要です。
  • 配送価格の交渉プロセスが必須となる点
    システム上で完結するのは配送便の「シミュレーション」および「候補の検索・打診」までです。システム上で表示される金額はあくまで登録データに基づく「目安」であり、実際の運賃契約を結ぶためには、マッチングされた運送会社との個別の見積もり提示と交渉のプロセスを経る必要があります。

類似ツールとの比較

共同配送や共同輸送のマッチングを支援する他のプラットフォーム・システムとの比較を行い、自社に適したサービスを選択するための参考にしてください。

ツール名 特徴 料金 向いている企業
TRi アイシンのカーナビ技術を応用し、チルド食品物流を中心に複数の運送会社を結んだリレー配送ネットワークを可視化・構築する。窓口の一本化に対応。 要問い合わせ(SaaS月額課金) 温度管理(チルド)が必要な食品・飲料メーカー、運行の積載効率を高めたい地域密着型の運送会社。
共同輸配送プラットフォーム NECが提供。複数荷主間で共同輸送の候補便を自動提案。チャット機能を備え、企業間での条件調整やリソースシェアリングを円滑に行える。 要問い合わせ(クラウド型) 複数企業間(N対N)での自動提案や、幹線輸送から地方配送までの長距離共同輸送、チャットでの細かな事前調整を重視する企業。
traevo noWa 荷主や運送事業者が匿名で輸送データを登録し、混載や往復便の協業パートナーを探索。動態管理システム「traevo」と連携した機密性の高いマッチングが可能。 要問い合わせ データ(混載や帰り便の運行予定など)の機密性を匿名登録で担保しつつ、実際の車両動態に基づいた実態重視のマッチングを行いたい現場。

【選び方の判断基準】

  • チルド食品の共同配送網を整備したい、あるいは「リレー配送」の管理負担を抑えたいなら「TRi」が有力な候補
    特にチルド食品分野においては提携している運送事業者や構築済みの共配ルートがTRiの大きな強みです。また、複数の運送会社が介在するリレー配送を組む場合でも、契約や事故発生時の窓口が1社に一本化される仕組みは、管理業務の煩雑さを避けたい企業にとって重要な判断材料となります。
  • 広範なエリアでの自動提案や、企業同士で能動的にチャット調整を行いたい場合は「共同輸配送プラットフォーム(NEC)」を検討
    温度帯(冷蔵)に縛られず、常温貨物を含む幅広い荷物をターゲットにN対Nの複雑な共同配送ルートを探索し、システム内で密なコミュニケーションを取りながら提携条件を煮詰めたい場合には、調整機能が充実したNECのプラットフォームが適しています。
  • 社内の輸送データを匿名で安全に登録しながら、最適な往復便・混載パートナーを探したい場合は「traevo noWa」を検討
    他社に対して自社の具体的な配送ルートや顧客情報を最初から開示することにセキュリティ上の懸念がある場合、実データに基づいた匿名のマッチング検索が行えるtraevo noWaを選択肢として検討することが推奨されます。

よくある質問(FAQ)

TRiの対応エリアは全国ですか?
アイシンおよびダイセーエブリー二十四は全国の運送会社やメーカーと連携して「TRi」上に運送ルートを整備していくとしていますが、エリアによっては対応可能な運送会社やルートの登録密度に差がある可能性があります。自社が希望する具体的な配送区間に対応しているかは、問い合わせの際にシミュレーション確認を行うことを推奨します。
スマートフォンでの利用に対応していますか?専用アプリはありますか?
TRiがスマートフォン(iOS/Android)向けの専用アプリを提供しているか、あるいはWebブラウザでのみ対応しているかについて、公式に明示された情報は確認できていません。詳細な稼働環境要件についてはお問い合わせ時にご確認ください。
チルド食品以外の温度帯(冷凍や常温)でも利用できますか?
現在はチルド温度帯の食品物流をメインターゲットとして実証運用を開始しています。冷凍品や常温品での利用可否や今後の対応計画については、公式サイトまたは提供元へ直接ご相談ください。
無料のデモ利用やトライアルは可能ですか?
公式サイトには「無料アカウント登録」や「お問い合わせ」の案内が用意されており、無料の相談窓口が設置されています。実際の機能をお試し利用できる範囲や試用期間の有無については個別に問い合わせが必要です。
契約期間や解約条件、料金プランに制限はありますか?
TRi固有の最低契約期間や料金テーブル、解約に関する特約については一般に公開されていません(要問い合わせ)。なお、ベースシステムである「BRIDGES@ny」は最低契約期間を1ヶ月と定めていますが、TRiの契約条件については見積もり時に個別確認してください。
複数の運送会社を経由する「リレー配送」において、荷物の紛失や遅延などのトラブルが起きた際の責任・連絡窓口はどうなりますか?
TRiでは、複数の運送会社が絡む共同配送であっても、原則として窓口となる運送会社1社が荷主への対応を担当する仕組みになっています。万が一のトラブルの際も、荷主が自ら複数の事業者へ個別連絡して原因追及や調整をする手間が省かれ、一本化された窓口を通じて状況把握が行えます。

参照・出典

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