共同配送システムとは?ラストワンマイル配送を一括統合・シェアリングする仕組みとメリットを解説

共同配送システムとは?ラストワンマイル配送を一括統合・シェアリングする仕組みとメリットを解説 ロゴ・サービス画像

複数の物流事業者の荷物を地域の配送事業者が一括してラストワンマイル配送を行うための共同配送システムです。各社の異なる荷物や配送状況を一つの端末・システムで統合管理し、中山間地域等における物流リソースのシェアリングを実現します。

料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
中堅〜大手向け
対象業界
物流・倉庫業 小売・卸売業

ロジシフト編集部による最新動向サマリ

  • 日清食品と三菱食品が2026年6月より商流・物流データの高度連携を本格化させ、需要予測の精度向上等を通じて配送トラック台数の約30%削減を推進しています。
  • 丸紅ロジスティクスが九州にペット用品専用のハブ拠点を開設し、地場企業との共同配送プラットフォーム参画により積載効率44%以上への到達を目指しています。
  • AZ-COM丸和HD、セイノーHD、福山通運の3社が物流BCPネットワークを構築し、有事のアセット相互融通を前提とした平時の共同配送システム標準化を進めています。
  • アマゾンジャパンがJR各社と提携し、新幹線の業務用スペースを拠点間輸送に共同利用することで、青森・函館・金沢エリアにおける数百万点の当日配送を実現しました。

(ロジシフト掲載7記事をもとに自動生成・2026年8月17日更新)

共同配送システムとは?

共同配送システムは、株式会社ゼンリンがヤマト運輸株式会社の運用ノウハウ協力を得て開発した、中山間地域や過疎地域等におけるラストワンマイル配送の共同化を一元管理するクラウド型物流SaaSです。複数の大手宅配・路線便事業者の荷物を地域の配送事業者が集約して一括配達する現場において、事業者ごとに異なる配達管理業務を単一の専用端末とWebブラウザ上で統合します。各社の基幹システム改修を不要とし、個人情報をシステム内に保持しないセキュアな設計によって、地域物流の維持と配送リソースのシェアリングを支援します。

主な機能

共同配送システムは、ヤマト運輸が培った配送管理の運用知見を取り入れ、パナソニック コネクト株式会社の「配送見える化ソリューション」をベースにカスタマイズ開発されています。異なる運送会社の荷物を現場で混乱なく処理し、各事業者が自社荷物のステータスを把握するための機能群が備わっています。

ラストワンマイル現場作業・端末機能

  • バーコードスキャンによる一括ステータス登録
    地域の配送事業者が携行する専用端末を使用し、荷物に貼付された各社固有の配達伝票バーコードをスキャンするだけで、荷物の受付・持ち出し・受渡・配達完了などのステータスを即座に登録できます。配送ドライバーが荷主や元請け事業者ごとに異なる専用端末を持ち替えたり、個別の操作手順を覚えたりする負担を解消し、現場オペレーションの標準化を実現します。
  • 配達結果(不在・持戻・完了)のステータス管理
    配達完了時だけでなく、受取人の不在や持ち戻りといったイレギュラー発生時も、専用端末から該当ステータスを選択してスキャン登録を行えます。紙の伝票への手書き控えや日報への転記作業を排除し、現場ドライバーの作業時間を短縮するとともに、報告漏れや転記ミスによるトラブルを防止します。

事業者間ステータス共有・可視化機能

  • Webブラウザによるリアルタイム配送状況モニタリング
    集約拠点に荷物を預託した各物流事業者は、自社のオフィスからWebブラウザ経由で荷物の配送進捗状況をリアルタイムに確認できます。電話やメールによる問い合わせを行わずに「現在配達中」「配達完了」「不在」などの状態を即時に把握できるため、エンドユーザーからの配送状況確認に対する一次対応を迅速化します。
  • 集約拠点における荷物受け渡し・追跡管理
    地域の拠点(共同配送デポ)において、大手物流事業者が持ち込んだ荷物を地元配送事業者へ引き渡す際の受渡ログを一括管理できます。複数社の荷物が同一拠点に混在する環境下でも、どの荷物がいつ・誰に引き渡され、どの車両で配送中であるかのトレーサビリティを確立します。

データ連携・セキュリティ管理機能

  • 個人情報非保持アーキテクチャ
    システム内部には受取人の氏名・住所・電話番号といった個人情報を直接保持・蓄積せず、伝票バーコードの識別子(荷物追跡番号)と配送ステータスのみを紐付けて処理します。これにより、事業者間での顧客データの意図しない共有や情報漏洩のリスクを極小化し、競合関係にある物流事業者同士でも安心感を持って共同配送体制へ参画できる環境を整えます。
  • ノンカスタマイズ導入(基幹システム改修不要設計)
    参加する各物流事業者が既存で運用している基幹配送管理システムや伝票体系に手を加えることなく、バーコード情報の読み取りとクラウド共有のみで独立して機能します。大規模なAPI連携開発やシステム改修に伴う初期投資・開発期間を抑え、共同配送プロジェクトのスムーズな立ち上げを可能にします。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

中山間地域や過疎地域を抱え、ラストワンマイルの維持に課題を持つ物流事業者・自治体

  • 荷物密度の低下による配送採算の悪化とドライバー不足
    山間部や過疎地では走行距離に対して配送件数が少なく、各社が個別にトラックを走らせると積載率が低下して深刻な採算割れや人員不足に直面します。共同配送システムを導入して地域の配送拠点(デポ)で複数社の荷物を集約し、1台の車両・1人の地元ドライバーでラストワンマイルを巡回する体制を組むことで、走行距離の大幅な削減と地域全体の配送リソース有効活用を実現できます。
  • 運送会社ごとにシステムや端末が異なり、地元事業者への委託が困難
    地域の交通事業者や観光事業者へラストワンマイル配送を委託しようとしても、大手各社が指定する専用ハンディ端末や伝票処理手順が異なると委託先現場が煩雑化します。本システムは1台の専用端末で複数社のバーコードを読み取りステータスを統一管理できるため、物流専業ではない地域の事業者であっても短期間の教育で配送実務を担える体制を構築できます。
  • 競合他社との荷物情報共有における情報セキュリティの懸念
    共同配送の推進にあたって顧客の個人情報が他社に開示されるリスクを懸念する物流企業が多い中、本システムは個人情報を保持せずバーコード識別子のみで稼働します。機密性を保ったまま配送状況の可視化だけを共有できるため、競合各社が合意形成を図りやすい環境を整備できます。

地域のインフラ維持と買い物弱者支援を一体化させたい地方自治体・地域推進組織

  • 公共交通や地域見守りサービスと宅配事業の融合推進
    過疎地域において物流ネットワークを維持しつつ、高齢者の見守りや生活物資の調達代行など地域課題を包括的に解決したいケースに適しています。本システムによって宅配大手各社の荷物配送状況を可視化・デジタル管理しながら、地元事業者が地域密着でラストワンマイル配送を担う「地域協働型物流モデル」の基盤として活用できます。

向いていない企業・現場

都市部など高密度な配送網を自社単独で維持できている物流企業

  • 自社完結で高い積載率と配送密度を確保できている場合
    都市部のように配送先が密集し、自社単独の便で十分な積載効率を維持できている現場では、他社との荷物集約や中継デポでの積み替え作業を挟むことによる荷扱い工数の増加がデメリットになる場合があります。荷物集約に伴うタイムロスを避け、自社の既存配車・運行管理システムによる単独効率化を追求した方が費用対効果が高くなります。

幹線輸送(長距離拠点間)のマッチングや積載率最適化を主目的とする企業

  • 都市間輸送におけるトラックの空きスペース共有や求荷求車を求めている場合
    共同配送システムはラストワンマイル区間における複数社荷物のステータス統合と配送実行管理に特化しています。長距離幹線輸送における空車マッチングや、AIを活用したトレーラー積載パターンの自動最適化などを求める場合は、幹線輸送に特化したマッチングプラットフォーム等の別ソリューションを検討する必要があります。

類似ツールとの比較

ツール名 特徴 料金 向いている企業
共同配送システム 複数社の荷物を専用端末1台でスキャン管理し、ラストワンマイルの共同配送を実現。個人情報をシステム内に保持しないセキュリティ設計が特徴。 要問い合わせ(SaaS・月額) 中山間地域や過疎地でラストワンマイル配送を共同化したい物流事業者、自治体、地域配送事業者。
共同輸配送プラットフォーム 複数荷主間で共同輸配送候補を自動提案するマッチングサービス。条件調整チャットを備え、幹線から中継までのリソースシェアを支援。 要問い合わせ 荷主企業間で中長距離の輸送枠やルートをシェアし、幹線輸送の積載率を向上させたい企業。
traevo noWa 動態管理プラットフォームと連動し、匿名化された実態データをもとに混載や往復輸送の共同相手を探索できるマッチング基盤。 要問い合わせ 幹線・地場輸送において、自社車両の空き時間や空荷区間を埋めるパートナー企業を探したい運送事業者・荷主。
NeLOSS 量子コンピュータ技術等を活用し、複雑な配車計画と荷物の積付け組み合わせを数秒〜数分で最適化するソリューション。 要問い合わせ 大型車や中継拠点を活用し、容積・重量の異なる多種多様な混載荷物を高密度に積載・運行したい幹線輸送事業者。

共同配送の取り組みを検討する際は、「どの区間(幹線輸送か、ラストワンマイルか)」を対象とし、「何を目的とするか(空車マッチングか、配達現場のオペレーション統合か)」によって選択すべきツールが異なります。

長距離の拠点間輸送において積載効率を高めたい場合や、他社荷主とのマッチング・積付け最適化を図りたい場合は、幹線輸送に対応した「共同輸配送プラットフォーム」や量子計算を活用する「NeLOSS」、動態データを活用する「traevo noWa」などが有力な選択肢となります。これらは主に都市間輸送や工場・倉庫間の大型輸送リソースを共同利用することに適しています。

一方で、過疎地や中山間地域のように「荷物の受け渡し先である各家庭までの最後の配送区間」において、ヤマト運輸や路線便各社など複数キャリアの荷物を地域事業者がまとめて配送する体制を築きたい場合は、ゼンリンの「共同配送システム」が適しています。既存の基幹システムを改修せず、伝票バーコードの読み取りだけで現場と荷主事業者のステータス共有を完結できる点が大きな差別化要素です。

料金・プラン・導入方法

共同配送システムの利用料金は公式には公開されておらず、利用規模や対象エリア、利用する端末台数等に応じた個別見積もりとなっています。

導入を検討する際の見積もり時には、以下のポイントをベンダーに確認することが推奨されます。

  • 課金単位
    管理対象となる配送拠点数、月間処理伝票数、専用端末の利用台数、閲覧アカウント数など、どの指標に基づいて月額費用が算出されるか。
  • 専用端末・ハードウェア費用
    現場でバーコードスキャンを行う専用端末の購入費用やレンタル費用、通信回線費用の有無。
  • 初期導入支援・PoC支援費用
    共同配送スキームの設計支援、現場への操作教育、試験運用(PoC)実施に伴うコンサルティングや初期サポート費用の有無。

導入の流れ・期間

共同配送システムの導入は、一般的なSaaS型物流ソリューションと同様に、スキームの合意形成から実証を経て本番運用へと進める形が基本となります。公式な導入標準期間は要問い合わせとなっています。

  1. 問い合わせ・ヒアリング
    対象地域における荷物量、参加を想定する物流事業者(キャリア)、ラストワンマイルを担う配送体制などの現状課題をベンダーと共有します。
  2. スキーム設計・運用フローの確認
    荷物の集約拠点(デポ)の選定、荷受けから専用端末でのスキャン、配達完了・不在時の返却ルールなど、各社間の業務フローを定義します。
  3. デモ確認・システム検証
    専用端末でのバーコード読み取りテストや、各事業者が利用するWeb管理画面の動作確認を行います。
  4. 見積もり・契約
    対象規模や運用端末数に応じたプラン確定後、利用契約を締結します。
  5. 初期設定・現場トレーニング
    拠点・端末の登録やアカウント発行を行い、地域の配送ドライバーおよび各社管理者向けに操作説明を実施します。
  6. 本番稼働(または段階的PoC稼働)
    実際の配送業務でシステムの運用を開始し、ステータスの連携状況や業務工数の変化を確認しながら水平展開を進めます。

導入事例・実績

埼玉県秩父市大滝地域「おむす便」(秩父市生活交通・物流融合推進協議会)

埼玉県秩父市の大滝地域において、2024年6月3日より本格稼働した共同配送サービス「おむす便」にて共同配送システムが実運用されています。

  • 導入背景
    秩父市大滝地域は市域の大部分が山林で集落が点在しており、少子高齢化に伴う物流の維持が大きな課題となっていました。2019年から生活インフラ維持のための実証実験が進められ、2022年9月にはプレサービスを実施。しかし、荷物の配送管理システムが各物流事業者で異なっていたため、日々の配達状況や結果を紙などのアナログで管理せざるを得ず、荷物を預ける物流事業者と配送を担う地元事業者の双報で業務負担が増加する課題が浮き彫りになりました。
  • 取り組み内容
    サービスの全体統括をゼンリンが担い、ヤマト運輸の協力のもと、パナソニック コネクトの「配送見える化ソリューション」をカスタマイズした共同配送システムを導入。ヤマト運輸、西濃運輸、福山通運の3社が影森営業所に持ち込んだ荷物を、地域の事業者(観光事業者等)が専用端末でスキャンして受け取り、個人宅などの配送先まで一括してラストワンマイル配送を行う体制を構築しました。
  • 導入効果
    専用端末でバーコードをスキャンするだけで配送受付・持ち出し・受渡・配達完了のステータスがクラウド経由でリアルタイムに共有されるようになり、紙や電話によるアナログな確認作業が解消されました。既存の基幹システムを改修することなく、地元事業者が複数社の荷物を円滑に一括配達できる運用が定着しています。

導入前に知っておきたいこと

共同配送システムを導入・検討する際は、以下の実務的な留意点を事前に把握しておく必要があります。

  • 参加事業者間におけるステークホルダー調整
    共同配送の成否はシステム導入だけでなく、荷物を集約する拠点(営業所やデポ)の確保、各社の荷物持ち込み時間や引き渡し締切時間、不在時の持ち戻り荷物の保管・再配達ルールなど、事業者間での細かな運用取り決めが不可欠です。
  • 専用端末の操作環境と通信インフラ
    山間部や中山間地域では携帯電話の電波が届きにくいエリアが存在する場合があります。配送エリア内の通信状況を確認し、端末のオフライン対応や通信復帰時のデータ自動同期挙動などを事前に検証しておくことが重要です。
  • 公開されているユーザー口コミ・不具合報告について
    現時点では、Web上において一般ユーザーや導入事業者によるシステム固有の不具合報告や否定的な口コミは確認されていません。現場導入にあたっては、秩父市での先行事例等を参考にしながら自社エリアに適した運用設計を行うことが推奨されます。

よくある質問(FAQ)

既存の社内物流システムや基幹システムとのAPI連携改修は必須ですか?
いいえ、必須ではありません。本システムは各社が荷物に貼付している既存の配達伝票バーコードを専用端末でスキャンして独立したクラウド上でステータスを管理するため、各物流事業者が大規模な基幹システム改修を行わずに導入できます。
受取人の住所や氏名などの個人情報が他社に漏れる心配はありませんか?
システム内部で受取人の個人情報(氏名・住所・電話番号等)を直接保持しないアーキテクチャを採用しています。伝票バーコードに紐づくステータス情報のみを取り扱うため、事業者間での情報漏洩リスクを低減しています。
専用端末以外のスマートフォンや汎用タブレットでも操作できますか?
現場での確実なバーコード読み取りと耐久性を担保するため、専用端末を用いて運用されています。詳細な対応ハードウェアやスマートフォンアプリ対応の有無についてはベンダーへの確認が必要です。
物流事業者以外の企業(地域の観光事業者や交通事業者など)でも操作できますか?
はい、操作可能です。直感的な画面設計となっており、伝票バーコードをスキャンして該当のステータスを選択するシンプルなオペレーションのため、専任の宅配ドライバーではない地域事業者のスタッフでもスムーズに業務を行えます。
無料トライアルやPoC(実証実験)向けの提供はありますか?
自治体や地域推進協議会、物流事業者向けのPoC支援を含め、個別の実証運用に対応しています。費用や検証期間の条件については公式サイトよりお問い合わせください。
最低契約期間や解約条件はどのようになっていますか?
契約条件や最低利用期間に関する一般規定は公開されていません。プロジェクトの規模や運用形態に応じた個別契約となるため、見積もり時にご確認ください。

参照・出典

他の共同配送・共同輸送システムと比較する

共同配送システムの特徴を含むフィジカルインターネット・共同輸送の10製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

共同配送・共同輸送システム比較10選