WebKIT2とは?
WebKIT2は、公益社団法人全日本トラック協会の後援のもと、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が運営するトラック運送事業者・協同組合向けの求荷求車情報ネットワークシステムです。実車率向上や急な輸送力確保に悩む中小運送会社を対象に、会員同士で空車情報や貨物情報を登録・検索し、効率的なマッチングを実現します。協同組合を介した運送代金支払保証や貨物保険が付帯しており、未回収リスクを抑えた安全な事業者間取引環境を提供します。
主な機能
WebKIT2(機能拡張版「WebKIT2プラス」を含む)は、日貨協連に加盟する運送事業者の実務に合わせて設計された多彩な機能を備えています。主要な機能群は以下の通りです。
求荷・求車マッチング機能
- 荷物・車両情報の登録およびリアルタイム検索
荷物の出発地・到着地・品名・重量・車種指定、または保有車両の空車状況を登録し、全国の加盟事業者が公開している情報とリアルタイムに相互検索できます。自社の空車スケジュールや急な荷物発生に合わせて迅速に相手先を見つけられます。 - マッピング地図検索機能
地図画面上から視覚的に積地や降地の位置関係を確認し、近隣の案件や車両を直感的に絞り込めます。地理に詳しくない配車担当者でも効率的に運行ルート沿いの貨物・車両を特定できます。 - メール・SNS(LINE)連携通知
あらかじめ設定した条件に合致する荷物や車両が登録された際、メールやLINEへ即座に通知を届けることができます。常に管理画面に張り付いていなくても、ビジネスチャンスを逃さず把握できます。 - 画像データ添付機能
荷物の荷姿や積載制限、特殊な納品現場の状況などを写真データとして登録情報に添付できます。テキスト情報だけでは伝わりにくい荷姿を事前に共有することで、現場での積み残しやトラブルを未然に防ぎます。
運行可視化・コミュニケーション機能
- 傭車追跡機能(ドライバー専用アプリ連携)
成約した運行について、傭車先ドライバーの専用スマートフォンアプリから位置情報やステータス(運行開始・積込完了・積降完了など)を双方でリアルタイムに共有できます。位置確認の電話連絡を削減し、荷主からの問い合わせにもスムーズに回答できます。 - ビデオ会議機能(ワンクリック通話)
外部の通話ツールを別途契約・設定することなく、システム画面上の通話ボタンから直接相手先の担当者とオンライン商談が可能です。新規取引先とも顔を合わせて条件確認を行うことで、安心感のある取引関係を構築できます。
取引適正化・安全決済管理機能
- 標準的な運賃の自動参考表示機能
積卸地や車格、重量などの登録条件をもとに、国土交通省が告示する「標準的な運賃」がシステム上に参考値として自動表示されます。適正運賃の収受に向けた指標として活用でき、極端な安値取引の抑制に役立ちます。 - 取引形態(委託次数)の表示・管理
元請けや一次下請けといった取引形態・委託次数を情報画面上に明示する管理仕様が組み込まれています。多重下請け構造の是正や法規制に配慮した取引管理を支援します。 - 協同組合決済・運送代金支払保証制度
成約した運賃の精算は所属するトラック運送事業協同組合を通じて一括処理され、代金未回収を防ぐ支払保証制度が適用されます。相手先の信用調査に過度なコストをかけることなく取引を進められます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
実車率向上と帰り荷確保を目指す中小トラック運送事業者
- 幹線輸送の復路で空車回送が発生し、採算性が悪化している課題
全国の運送事業者が登録する求車(荷物)情報を地域やルート別に検索することで、復路に合わせた帰り荷を確実に確保できます。これにより空車走行距離を減らし、車両1台あたりの運行採算性と実車率の向上につながります。 - 自社便だけでは繁忙期の突発的な荷量増加に対応しきれない課題
保有車両が足りない場面でも、システム上で条件に合う空車を保有する運送会社をスピーディーに検索・傭車手配できます。自社の輸送キャパシティを超えたオーダーに対しても柔軟に対応し、荷主への失注を防ぐ体制を構築できます。 - 新規取引先との間で運賃未回収や荷物事故のリスクを懸念している課題
所属協同組合を介した運賃精算と支払保証制度、さらにKIT貨物保険が適用されるため、初取引の相手先であっても決済や補償のリスクを抑えて安全に運行を委託・受託できます。
配車業務の属人化を解消し、運行状況の可視化を進めたい現場
- 配車担当者の個人的な電話帳や人脈だけに依存した手配が続いている課題
WebKIT2の共通データベースを活用することで、社内の複数担当者が統一されたインターフェース上で車両や荷物を手配できるようになります。担当者の不在時でも案件の進捗や空車情報が可視化され、組織的な配車体制へ移行できます。 - 傭車先のトラックが現在どこを走行しているか把握できず、電話確認に追われる課題
ドライバー専用アプリによる傭車追跡機能を使うことで、積込・運行・積降の状況を画面上で即座に確認できます。荷主からの到着時刻の問い合わせにも迅速に回答できるようになり、配車担当者の電話応対工数が削減されます。
向いていない企業・現場
自社で運送業許可を持たない荷主企業や一般事業会社
- 荷主として直接運送会社へ安価に配送を発注したいニーズ
WebKIT2はトラック協会加盟事業者や運送協同組合に所属する運送事業者を対象とした業界専用ネットワークです。一般の荷主企業(メーカー・商社・EC事業者など)が直接登録してトラックを手配する仕様にはなっていません。荷主が直接運送会社やドライバーを探したい場合は、荷主向け配車プラットフォーム(ハコベルやPickGoなど)を検討する必要があります。
軽貨物車両や個人事業主ドライバーを主軸に手配したい現場
- 小口配送や緊急のラストワンマイル配送で軽バン車両を即座に確保したいニーズ
WebKIT2は一般貨物自動車運送事業者のトラック(中型・大型・トレーラー・特殊車両等)を中心とした事業者間取引に強みを持っています。軽貨物車両のスポット配送や個人事業主ドライバーの即時手配を最優先とする現場では、軽貨物ネットワークに特化したプラットフォームの方が適しています。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| WebKIT2 | 全ト協後援・日貨協連が運営する事業者間ネットワーク。協同組合決済・支払保証・貨物保険を標準付帯 | 月額利用料制(所属協同組合により異なる/1ID月額1,000円〜2,000円程度+成約手数料等) | 一般貨物の中小運送会社、協同組合ネットワークで安全に帰り荷・傭車を確保したい企業 |
| トラボックス | 国内最大級の登録情報量を誇る老舗プラットフォーム。会員同士で直接連絡・価格交渉を行うオープンな掲示板型 | 月額定額制(プランに応じた月額費用、要問い合わせ) | 豊富な荷物・空車情報から幅広い案件を直接交渉で獲得したい運送会社 |
| ハコベル | 荷主と運送会社を直接つなぐマッチングおよび配車受発注管理システム。定期便からスポット便まで対応 | マッチング運賃(案件ごとの見積もり)/システム利用料 | 運送会社への直接発注や配車業務のデジタル化を推進したい荷主・物流企業 |
| PickGo | 軽貨物から一般貨物まで全国のドライバーと直接マッチング。最短30分で集荷に向かえる緊急配送に強み | 発注ごとの配送料金体系(無料見積もり) | 緊急のスポット便手配や軽貨物配送をスピーディーに行いたい荷主・運送会社 |
求荷求車ツールの選定においては、「誰と取引するか」「代金決済やリスク管理をどのように行うか」が重要な判断基準となります。自社が運送事業者であり、トラック運送協同組合の相互扶助体制のもとで代金回収リスクを極力排除しながら一般貨物の帰り荷や傭車を確保したい場合は、協同組合決済と保険制度が整ったWebKIT2が第一候補となります。
一方で、オープンな掲示板形式でより多種多様な事業者と直接コンタクトを取り、取扱案件の絶対数を広げたい場合はトラボックスが適しています。また、荷主側として直接配送を手配したい場合や、軽貨物・スポット緊急便の手配スピードを最優先とする場合は、ハコベルやPickGoのような荷主直接型マッチングサービスの活用を検討するとよいでしょう。
料金・プラン・導入方法
WebKIT2の利用料金は、日貨協連に加盟する各都道府県のトラック運送事業協同組合を経由して契約する仕組みとなっています。一般的な料金構成の目安は以下の通りです。
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本利用料(端末ID) | 月額1,000円〜2,000円程度 / 1ID | 所属する協同組合の規約・料金規定により異なる |
| 追加端末ID利用料 | 月額500円程度 / 1ID | 複数台のPC・端末で同時利用する場合に追加 |
| 運送代金支払保証制度料 | 年額6,000円程度 / 1事業者 | 未回収リスクを防ぐ支払保証制度の登録費用 |
| KIT貨物保険料・成約手数料 | 成約運賃の0.2% | 成約した運送案件ごとに発生するシステム・保険手数料 |
| 組合加入費・利用保証金 | 協同組合ごとに規定(要問い合わせ) | 未加入の協同組合へ新規所属する際に必要な出資金・保証金等 |
※実際の月額費用や初期費用(組合出資金・保証金など)は、所属するトラック運送事業協同組合によって運用ルールや負担金が異なります。詳細な見積もりや料金プランは、所属先または最寄りの日貨協連加盟協同組合、もしくは日貨協連KIT事業部への問い合わせが必要です。
導入の流れ・期間
WebKIT2の利用開始までの一般的な流れは以下のステップとなります。
- 問い合わせ・参加相談
自社が所属しているトラック運送事業協同組合、または日貨協連KIT事業部に問い合わせを行い、利用条件や参加手続きについて確認します。 - 体験システム(デモ)の利用
公式サイト等から体験IDを申請し、実際の管理画面や検索機能の操作感を事前に確認します。 - 加入申込書類の提出・審査
組合加入申込書、会員情報届出書、運送代金支払保証制度加入申込書などの必要書類を所属協同組合へ提出します。トラック協会会員資格や健全経営状況等の審査が行われます。 - 加入承認およびID・パスワード発行
日貨協連による加入承認完了後、ログイン用の会員IDとパスワードが発行されます(協同組合員の場合、書類提出から通常数営業日程度で発行されます)。 - 利用環境の整備・利用開始
PCのWebブラウザからのログイン設定や、スマートフォン用「WebKIT2プラス」アプリ、ドライバー専用アプリのインストールを行い、実際の求荷求車業務を開始します。
※書類審査からID発行までの正確な期間は、所属する協同組合の手続き状況によって異なるため、各窓口への確認を推奨します。
導入事例・実績
WebKIT2は全国のトラック運送事業者に広く普及しており、日貨協連の公表データによると年間の情報総件数は200万件超を記録しています。また、業界紙等では以下のような活用実績が報じられています。
- 福岡ロジテック株式会社
福岡県に拠点を置く同社では、「親切が先、商いは後」をモットーにWebKITを活用した積極的な取引を展開。起業直後の小規模事業者とも協同組合ネットワークの信用力を基盤に公平な取引を積み重ね、2021年度には車両情報・荷物情報の両部門において成約件数8年連続1位を達成し、日貨協連より表彰を受けました。社内での丁寧な電話応対マニュアルの徹底や配車報告書の確実な送付と組み合わせることで、強固な協力会社ネットワークを構築しています。
導入前に知っておきたいこと
WebKIT2の導入を検討するにあたっては、一般的なオープンプラットフォームと異なる以下の仕様・運用上の特性を理解しておく必要があります。
- トラック協会会員・協同組合への加盟が前提となる
WebKIT2は非営利の協同組織ネットワークであるため、利用には各都道府県のトラック協会会員であることや、日貨協連に加盟するトラック運送事業協同組合の組合員(または準会員)である必要があります。未加盟の場合は協同組合への加入手続きや出資金・保証金が必要となります。 - 成約プロセスに電話等の相互連絡が介在する
システム上で希望する条件の荷物や車両を検索した後は、画面上で即座に受発注が自動完了するわけではなく、相手先担当者と電話やビデオ通話で積込時間・荷姿・付帯作業などの細かい条件をすり合わせて成約に至る運用が基本です。 - 一般荷主からの直接発注案件ではない
掲載されている荷物情報は運送事業者同士の融通案件(元請け運送会社からの下請け依頼等)が中心です。メーカーや流通荷主と直接口座を開設して新規案件を獲得したい場合には、別の営業手段や荷主直接型サービスの併用が必要となります。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレットからも利用できますか?
- はい。Webブラウザ版に加えて、iOS・Android対応の「WebKIT2プラス」スマートフォン専用アプリが提供されています。また、運行中の位置情報や作業ステータスを共有するためのドライバー専用アプリも用意されています。
- 無料トライアルや画面のデモ体験は可能ですか?
- はい。公式サイトにて体験システムが用意されており、体験IDを使用することで実際の操作画面や検索機能を事前に確認することができます。
- 運送会社以外の一般企業(荷主)でも申し込めますか?
- 原則として申し込めません。WebKIT2はトラック運送事業者およびトラック運送事業協同組合を対象とした専用ネットワークとなっています。
- 取引先が万が一運賃を支払わなかった場合、どうなりますか?
- 所属協同組合を通じた決済が行われ、運送代金支払保証制度が適用されるため、協同組合間の決済ルールに基づき運賃の回収が保護されます。
- サポート体制や操作方法の問い合わせ窓口はありますか?
- 日貨協連のKIT事業部および所属する各地の協同組合がサポート窓口となっており、システム操作や利用手続きに関する問い合わせを受け付けています。
- 解約条件や最低契約期間はどうなっていますか?
- 所属するトラック運送事業協同組合の規約や契約単位(月単位、半年単位等)によって異なります。契約更新時期や解約手続きの詳細は所属組合へご確認ください。