ヤード管理システムとは?
株式会社日立ソリューションズ・クリエイトが提供する「ヤード管理システム」は、広大な工場敷地や自動化が困難な屋内外の倉庫を抱える企業を対象に、属人的なロケーション管理や誤出庫のリスクを解消するヤード管理システムです。倉庫や物流施設におけるヤード内のトラックや人員の動線を効率的に管理・把握する「バース予約・ヤード管理」カテゴリに属しながらも、特に「在庫品の正確な保管場所把握」と「モバイル・RFID等の現品識別技術を活用した省人化」に強みを持っています。「敷地が広大」「保管場所が分散している」「回転率が低い」「現品が汚れて標準ルールが適用しにくい」といった自動倉庫やロボットによる自動化が難しい特有の課題を、デジタル技術を用いて解決します。
主な機能・特徴
日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」は、従来のWMS(倉庫管理システム)や基幹システム(ERP)単体では管理しきれなかった現場の「人・モノ」の動きと位置情報を可視化します。主な機能と特徴は以下の通りです。
1. 現品置場特定と現品識別の紐づけ登録
入庫作業時に、納品書や入庫指示書に記載された現品仕様情報と、ヤード内の区画看板などの「区画情報」、現品に貼付された「識別情報(バーコード、二次元バーコード、RFIDなどのタグ)」を紐づけて登録します。この紐づけにより、現場に足を運ぶことなく、事務所や詰所の管理システム上で各在庫品の正確な保管場所を即座に特定することができます。これにより、出庫時には入庫を担当した本人以外の作業者であっても、迷わずに該当する現品が置かれている場所へ直行できるようになり、業務の標準化とリードタイムの短縮を実現します。
2. 汎用モバイルデバイスとキャリア回線(LTE等)の活用
専用の頑丈で高価なハンディターミナルを購入する必要がなく、現場作業者が日常的に使用しているスマートフォンやタブレット(AndroidやiOS端末など)をそのまま現場入力用の端末として活用可能です。また、データ連携にはスマートフォン等のLTEや5Gなどの携帯キャリア回線を使用するため、屋外ヤードのように物理的な配線や無線LAN(Wi-Fi)環境の構築が困難なエリアであっても、高額なインフラ設置コストをかけることなく、事務所と現場間でリアルタイムにデータを同期できます。
3. バーコード・二次元バーコード・RFIDによる誤出庫防止
出庫の際、作業者は現場で現品に貼付されたタグをモバイル端末でスキャンします。システムが自動で指示書とスキャンされたデータを照合し、正しい対象物であるかをその場で識別するため、目視による確認ミスから発生する誤出庫を根本から防止します。雨や汚れに強いRFIDタグや安価なバーコードなど、現場の物理的な環境や取扱商品の特性(金属、液体、不整形な資材など)に合わせた最適な識別技術を組み合わせて運用することが可能です。
4. パッケージ化による導入コスト・納期の圧縮
当システムは、必要なソフトウェア、サーバ用プログラム、端末管理機能、モバイルアクセス機能などがパッケージとして統合されて提供されます。一からオーダーメイドで開発するスクラッチシステムに比べ、システム導入にかかる仕様決定の負荷や、受入テストに伴うお客様の作業工数を大幅に削減し、導入コストの軽減と稼働までの期間短縮を両立させています。日立のデジタルソリューション「Lumada」のユースケースにも登録された確かな実績に基づき、信頼性の高いシステム構築を可能にしています。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」は、一般的なバース予約・待機削減システムとは特性が大きく異なります。そのため、導入を検討する際には自社の現場環境との適正を見極める必要があります。
【向いている企業・現場】
- 広大で分散された保管ヤードを運用する大企業・グループ企業:
製造業の工場敷地内や、屋内外に資材置場が点在するような大規模なヤードを持つ企業に適しています。 - 自動倉庫やマテハン機器の導入が難しい現場:
「扱う現品が不整形で大きい」「現品が汚れる」「多品種を扱っており配置が定まらない」といった物理的要因から、自動クレーンや無人搬送車(AGV)などの標準化された自動化設備を導入できない現場に向いています。 - 属人化からの脱却とサプライチェーンの安定化を狙う現場:
特定の「ベテラン作業者の記憶と経験」に頼って在庫の所在を管理している現場や、作業員が商品を探し回る無駄な移動時間を削減し、作業品質を平準化したい担当者に向いています。
【向いていない企業・現場】
- すでにシンプルな保管ルールや自動化が確立されている現場:
保管場所(ロケーション)や品目のコード化が最初から徹底されており、標準的なWMSの導入や自動倉庫システムの運用によってスムーズに棚卸・入出庫が行えている現場には不要です。 - 瞬時に全体が見渡せる小規模な倉庫:
物理的に敷地が狭く、在庫を紛失したり、ロケーション特定のために探し回ったりするリスクがほぼ存在しない小規模な現場では、初期投資に対する費用対効果が得られにくいと考えられます。 - 「車両の入場予約と呼び出し」だけが課題である現場:
在庫の位置管理や出庫識別に課題はなく、単に「トラックの待機時間を減らしたい」「入場手続きを自動化したい」という場合は、本システムよりも一般的な「バース予約システム(例:MOVO Berthやトラック簿など)」を導入した方が、低コストかつ目的に直結した運用が可能です。
料金・プラン・導入方法
日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」は、導入する企業個々の規模や管理対象、組み込むタグ技術(RFID、バーコード、二次元バーコード等)によって個別に見積もりを行います。提供開始時点の基本料金体系は以下の通り公開されています。
| 品名 | 概要 | 価格(税別) | 備考 |
|---|---|---|---|
| ヤード管理システム サーバライセンス | サーバ1台ごとに必要なライセンス | 5,000,000円 | システム全体のベースとなるサーバ用ライセンスです。 |
| ヤード管理システム クライアントデバイスライセンス | 端末1台ごとに必要なライセンス | 300,000円 | スマートフォンやタブレットなど、現場で利用するモバイル端末ごとに必要です。 |
| 導入サービス・個別カスタマイズ | システム構築、既存システム連携、現場導入支援など | 要問い合わせ | お客様の要件や環境に応じて日立ソリューションズ・クリエイトが個別に見積もります。 |
※上記は2019年9月の販売開始時点における参考提供価格です。最新の価格、サブスクリプションプラン、クラウド型での提供有無、および実際の導入見積もりについては、公式窓口への「要問い合わせ」となります。
見積もり時に確認すべきポイント
- 使用する識別タグの種類:
安価なバーコードや二次元バーコードを印刷して運用するか、あるいは読み取り精度の高いRFID(無線ICタグ)を現品に貼るかによって、初期にかかるタグ費用やスキャナー・リーダーなどのハードウェア調達費用が大幅に変動します。 - デバイス数に応じた費用設計:
デバイスライセンスは端末ごとに課金されるため、現場で同時に何人の作業員がどの程度端末を稼働させるか、予備端末も含めた適切な稼働数を見極める必要があります。 - 基幹システムや既存ERP・WMSとの連携費用:
在庫情報や入出庫データを既存のシステムとリアルタイムに自動連携させたい場合、データ同期のためのAPI改修やカスタム開発の費用がどの程度発生するかをあらかじめ確認しておく必要があります。
導入の流れ・期間
日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」における具体的な導入期間は公開されていないため、お問い合わせ時の確認が必要です。本システムカテゴリにおける一般的な導入フローは以下の手順で進められます。
- 問い合わせ・ヒアリング:
公式サイトの専用フォームより問い合わせを送信し、担当者へ現場の敷地規模、在庫の種類、現状の運用課題(属人化、誤出庫、探索時間の発生など)を説明します。 - システムデモの実施:
実際のヤード管理システムの画面設計や操作性について、開発ベンダーからデモの実演を受けます。現場作業員が使いこなせるか、モバイル端末のUIなどを確認します。 - PoC(概念実証・実証実験):
特にRFIDを屋外ヤードで導入する場合、天候や周囲の遮蔽物(金属、ドラム缶、他の荷物など)によって電波の読み取り精度が変化するため、現場でのテスト運用(PoC)を実施し、最適なタグの選定やアンテナ位置の検証を行います。 - システム設計・お見積もり:
検証結果を踏まえ、サーバー構成、モバイル端末の台数、識別方法、既存システムとの連携仕様を決定し、正式な見積書および契約手続きを進めます。 - 初期設定・マスター登録とテスト:
ヤードの区画マスター情報や現品仕様マスターをシステムへ取り込みます。現場のモバイル端末に「快作モバイル+」などの動作プラットフォームやヤード管理アプリをセットアップし、テスト稼働を行います。 - 本番稼働・教育:
作業従事者への操作トレーニングを行い、実務への移行と本番稼働を開始します。
連携できるシステム・機器
日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」は、現場のハードウェアから上位の経営システムまで、多角的なデータ連携に対応しています。
- 上位・既存システム:
既存のERP(基幹システム)やWMS(倉庫管理システム)と連携し、入出庫の指示データや確定した在庫のロケーション情報をリアルタイムに共有できます。 - モバイルプラットフォーム:
日立ソリューションズ・クリエイトが提供するモバイルDXプラットフォーム「快作モバイル+」との親和性が高く、セキュアなモバイルアクセス環境を介した業務システム構築が可能です。 - 現場機器・センサー:
バーコードスキャナー、二次元コードリーダー、RFIDリーダー、モバイルプリンター(現場でのタグ・帳票印刷用)、および各種モバイルデバイス(iOS/Android対応のスマートフォン、タブレット)と連携可能です。
※公式に明示された一般公開用のAPI情報は確認できていません。既存システムとの連携仕様については、見積もり・要件確認時に詳細を確認してください。
導入事例・実績
日立ソリューションズ・クリエイトが提供する「ヤード管理システム」の、個別の企業名や導入規模、削減時間の具体的な数値といった詳細情報が明記された公開導入事例は現時点では確認できていません。日立ソリューションズ・クリエイトの公式サイトや発表内容においては、「特定倉庫向け管理パッケージの活用」として、既存ERPと連携させて「現品置場特定」や「現品識別」をサポートするヤード管理システムの「活用イメージ(事例01)」が公開されています。最新の導入事例や実績データについては、公式サイトから直接確認するか、問い合わせを行うことをお勧めします。
導入前に知っておきたいこと
現時点では、日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」に対する個別のユーザーからの不満や具体的な課題点、第三者による口コミ報告は確認できていません。
ただし、本システムのような「現場対応型ヤード・ロケーション管理システム」を導入する一般的なデメリット・注意点としては、以下のような課題が挙げられます。検討の際は事前にこれらの懸念点をどうクリアするか、担当者とすり合わせをしておくことが重要です。
- 初期導入におけるハードウェアコスト:
サーバライセンスやデバイスライセンスといったソフトウェア費用に加え、現場に貼り付けるRFIDタグ(または耐水性の高い特殊な二次元バーコードシール)や、スキャナー、モバイル端末そのものを多数調達する必要があり、全体の初期コストが高額になりやすいという点です。 - 作業員の運用徹底が不可欠:
現場の入出庫作業時に「必ず端末でスキャンしてロケーションを紐づける」という運用ルールを徹底しなければ、システム上の在庫データと実際の現場位置との間に不一致(データのズレ)が発生し、システムが形骸化するリスクがあります。
類似ツールとの比較
「ヤード管理システム」と、一般的にLogiShiftの紹介記事で取り上げられている「バース予約・トラック待機削減システム」を比較します。それぞれ解決する課題の主軸が異なるため、目的に応じて比較検討してください。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ヤード管理システム(日立ソリューションズ・クリエイト) | モバイル端末、バーコード、RFID等を活用し、広大な屋外ヤード等の「現品置場特定」と「現品識別」に特化。 | ・サーバ:5,000,000円(税別)〜 ・端末:300,000円(税別)〜 (要問い合わせ) |
敷地が広大で自動化が難しく、在庫品の保管場所探しや誤出庫の防止を重視する大企業・製造業。 |
| MOVO Berth | 荷待ち時間の削減・バース予約の効率化に特化した国内シェアNo.1のクラウドSaaS。倉庫・運送会社の連携。 | 要問い合わせ (初期費用・月額利用料) |
倉庫へのトラック入場スケジュールを可視化・管理し、荷待ち時間の短縮や受付の自動化を進めたい現場。 |
| トラック簿 | 3つの予約方式に対応し、受付から実績分析までワンストップ。2024年にハコベル株式会社へ事業継承。 | 要問い合わせ | ドライバーや運送会社からの事前予約を一元管理し、取得したデータからバース運用の分析改善を図りたい企業。 |
| KG TruckCALL | LINEを活用したトラック呼び出し・予約システム。ドライバーはアプリ不要。最短翌日稼働の低コスト設計。 | 要問い合わせ | 専用のスマホアプリをドライバーにインストールさせず、手軽かつ安価に車両呼び出しを開始したい現場。 |
どのツールを選ぶべきかの判断基準
自社が解決したい最優先の課題が「敷地内の在庫・資材・製品の保管場所を可視化すること(現品位置管理、誤出庫防止)」にあるのであれば、日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」が有力な選択肢になります。高価な自動倉庫やAGVなどの本格的な自動化システムを導入せずとも、既存のモバイル端末やRFID等を活用して、ベテラン作業員の経験に頼らない標準化された倉庫・ヤード運営を可能にするためです。特に、屋外ヤードのように物理的なインフラ構築が難しく、既存の基幹システムやERPとの緊密なデータ連携を求める大企業やグループ企業向けの本格的なシステム導入に適しています。
一方で、解決したい最大の課題が「トラックドライバーの荷待ち時間を削減したい」「運送会社からの事前予約時間を割り当てたい」「入場時にSMSやLINEで効率的に車両を呼び出したい」という、いわゆる車両の入退場やバース稼働効率化(車両待機対策)にある場合は、別のツールを検討した方がよいでしょう。この領域では、国内シェアNo.1のクラウドサービスである MOVO Berth や、多様な予約ルートに対応する トラック簿 、LINEをベースに簡便な導入ができる KG TruckCALL などが適しており、安価かつ迅速に課題解決を進めることができます。
よくある質問(FAQ)
- ヤード管理システムは一般的な「バース予約システム」と何が違いますか?
- 一般的なバース予約システムは「トラックの到着時刻の予約、待機時間削減、ドライバー呼び出し」を主目的とします。これに対し、日立ソリューションズ・クリエイトの「ヤード管理システム」は、広大なヤードや屋外倉庫を抱える現場における「在庫品の正確な保管位置の把握」や「モバイル端末やRFIDを用いた出庫対象物の識別(誤出庫防止)」をメインの目的としており、車両管理というよりも「在庫現品の位置と識別管理」に強みを持っています。
- スマートフォンやタブレット(モバイル端末)は、推奨される指定の専用端末が必要ですか?
- いいえ。汎用的なスマートフォンやタブレット(AndroidやiOS端末など)に対応しています。すでに業務で利用しているお手持ちの端末を有効活用できるため、専用のハードウェアを新規に揃える必要がなく、端末調達にかかる初期コストを抑えることができます。
- 屋外のヤードでも通信環境(Wi-Fiなど)を新しく構築しなければなりませんか?
- いいえ。本システムは携帯キャリア回線(LTE等)を通じてデータのやり取りが可能です。敷地内全域に無線LANの配線工事や中継器の設置を行う必要がなく、キャリアの電波が入る環境であれば屋外ヤードであってもすぐに導入・データ同期が可能です。
- 識別にはどのようなタグやコードが対応していますか?
- バーコード、二次元バーコード(QRコード等)、およびRFID(無線ICタグ)に対応しています。金属製品、化学バルク、汚れやすい屋外資材、雨に晒される保管場所など、お客様の実際の使用環境や保管物の特徴を踏まえて、最適なタグを選定します。
- 無料トライアルや評価用のデモ環境は提供されていますか?
- 無料トライアルの提供の有無については公式に公開されていません。ただし、製品のデモ紹介や、お客様の現場環境に合わせた電波強度テスト、識別タグの適合性を確認する実証実験(PoC)へのサポートが提供されているため、一度公式サイトの問い合わせ窓口へご相談いただくことを推奨します。
- 最低契約期間や解約に関する条件を教えてください。
- 本システムはパッケージ製品としての提供(サーバライセンス、クライアントデバイスライセンス)となっており、一般的な月額制のライトなクラウドSaaSとは契約形態が異なります。保守条件や複数年契約、解約条件などの詳細については、案件ごとの見積もり段階での確認が必要です。
- 既存のERPやWMS(倉庫管理システム)とデータを連携させることは可能ですか?
- はい、可能です。既存の基幹システム等とデータ連携を行うことで、上位からの入出庫指示データをヤード管理システム側で取得し、現場のモバイル端末で登録した保管位置データや確定出庫実績を、既存システム側に戻すといった一貫した管理環境を構築できます。ただし、具体的な接続方式や個別改修の範囲については事前の要件定義が必要です。